陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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笑う棺 ―――ギョティーヌ

推奨BGM:Gotterdmmerung


 踏込と同時に襲いかかってくるのは魔弾の暴風。遠距離からの攻撃手段を無くしたナハトからの攻撃は接近までない。故に、この攻撃はジューダス以外にはありえない。

「さあ、どう変わったか見せてくれよ」

 一瞬で数十発の弾丸が銃口から吐き出さればらまかれる。全てが計算された弾丸の結界、一見チンピラの様にも見える男だが、その本質は司狼と同じ天才派の人間なのだろう。弾丸が弾丸に当たり跳弾し、それが木や大地に当たりながら囲むように弾丸の檻を形成して襲ってくる。突っ込んで触れてしまえば一瞬で自滅するのは自明の理だ。だが、それでも、

「地獄に落ちる時間だジューダス」


 躊躇せずに踏み込み―――刃をジューダスの首に添える。

「なっ!?」

 一瞬だ。弾丸の檻を突き抜けジューダスの首に逆手で握った得物を首を挟むように添える。その動作が今までの数倍の速度で行われている。一瞬で速度の上昇した姿に驚きながらも、あわてずに銃口が頭に向けられる。

「がら空きだぜ」

 引き金が引かれた。大口径の銃口から吐き出された弾丸が、ジューダスの首を落とそうとしていた俺の頭を衝撃と共に吹き飛ばそうとするが―――その銃撃は謎の現象により威力が大きく減衰された。本来頭を軽く吹き飛ばすだけの威力を持った銃撃は頭を穿てずに、頭を大きく仰け反らすだけに止まる。今度こそジューダスの口から―――感嘆の声が漏れる。

「あぁ、待ってたんだよ。君がそうなるのを」

 嬉しそうな声を発するジューダスが何かをできる前に、

 両側に添えられた刃が交差するように閉じる。ギロチンの役割を果たすために、首を落とす動作に入ったところで、

「俺を忘れてもらっては困るな」

 体を衝撃が貫き、大きく吹き飛ばされる。その犯人は疑うことなくナハト。遠距離からの攻撃手段を失った今、逆手剣であるデスサイズを使って戦う以外にナハトの戦闘方法はない。蛇の鎖があった時と比べれば幾分か戦いやすいだろうが、ナハトの危険性に揺らぎはない。

 ナハトの一撃により体が大きく吹き飛ばされるも、体を丸めて回転しながら着地し、すかさず体を低くし、それこそ蛇が地を這うかのごとき動きで一気に接近を開始する。

 轟音。

 正面からジューダスの弾丸が射抜くべく迫る。乱反射しながら迫る弾丸は体に当たり―――減衰し、殺せるだけの威力を失っている。

 愛されている。

 その自覚はある。

 聖遺物に、そして何よりもそこに宿る魂に愛されている。そう、愛されているのだ。初めて使いたい、そう言われてマルグリットはだれよりもその信に応えようとしているのだ。求め、求められている。今までにはない関係が成立したことで、

 聖遺物との同調率は今までの比ではない値を見せている。

 形成位階、それが出せる最高の状態にまで今の俺は、高められている。

 形成された刃にマルグリットと自分の魂を通し、振るう。弾丸の防壁を切り砕き進んだ先に待っているのは二人の死神だ。完全にジューダスを無視し、先に殺すべきナハトへ向かって連続で刃を振るう。二刀の連撃をナハトは片手のデスサイズだけで完全に防いでくる。

「死ね」

 連撃の途中から、連撃に活動による斬撃を織り交ぜる。急に変更された動きは対応が難しく、並みのものであれば簡単に首を跳ね飛ばせるだろうが―――

「あまり俺を舐めるな」

 全身で刃を受け止める。首ではなく、体を使って受け止めることによって致死の一撃を回避する。如何にナハトと言えども、ギロチンの呪いは回避できない。首に突き刺されば死ぬ。それは活動位階のころから変わらない。が。形成位階で発揮できる最大の力が発揮されている今、身体能力はさらに上の位階の存在にすら届きかけている。

 一撃。

 首に一撃を通す事は決して不可能ではない。

 が、それでも、

「おいおい、流石に俺を舐めすぎてないか?」

「があっ……!」

『っきゃあ!』

 ジューダスの銃から放たれる魔弾が体を吹き飛ばす。今までの弾丸の威力の比ではない。それこそ砲撃と言っても差し支えないレベルの一撃だった。此方が発動させている減衰の現象に対してしてジューダスのとった選択は簡単に、威力を上げる事だけだった。

「確かに覚悟を決めて強くなったのは純粋に祝福してあげるよ。コングラッチュレーション、ユー・アー・ア・モンスター。君もめでたく俺達と同じ化け物の仲間入りだ。しかも、どうやら”その位階の先に指がかかっている”状態まで進んだみたいだけどさ―――」

 銃口が光り、轟音と共に弾丸が吐きだされる。弾丸の数は今までと比べて圧倒的に少ない。だが、その分威力は凝縮されたように詰め込まれていた。一撃目の弾丸に吹き飛ばされていた体は追撃の銃弾を受け、更に右へ左へ弾き飛ばされ、木々を砕きながら森の大地へ叩きつけられる。次の攻撃が来る前に素早く動きを開始する。

「あぁ、確かにすごいよ。いい鎧だよ。だけど、少し強く叩けば壊れる鎧なんて価値はないだろ?」

「っぐ、っく……!」

 再び砲撃と見間違うような弾丸が迫る。それをギロチンで切り払ったところで、目の前にナハトの姿が現れる。突き出されるデスサイズを大太刀で弾き、返しで振るわれるのをギロチンで弾きながら大太刀を前に振るう。それに反応し、ナハトが素手で大太刀の刃をつかむ。刃をつかむナハトの手が軽く焼ける様に煙を起こす。

「減衰、ではないな。これは」

 確かめながらも素早く片手のデスサイズを動かすナハトに対しギロチンの刃を合わせる。接触は一瞬だけ、互いに一歩もその場を動かず、大太刀を握られた状態のまま素早く、細かくギロチンとデスサイズを何度も何度もぶつけ合う。素早く、コンパクトに、ナハトの動きを見て逆手剣の使い方を”思い出していく”。

「……ほう」

 デスサイズを振るう速度が一段階上昇し、その動きもより精密なものへと昇華される。それに追いすがるべく片手で、明らかに戦闘用ではない処刑刃を高速で振るい、ナハトのデスサイズを必死に抑え込む。が、少しずつだがナハトの攻撃が体に切り傷を生み出す。

「解るか? いかにお前が先へ進もうが―――純然たる力の差というのは埋められない」

「ぐ、っらぁあ―――!」

 大太刀の拘束を振り切り、二本の刃による連撃をナハトに繰り出す。だが、純粋に身体能力で勝るナハトは自分の力をさらに引き出し、より素早く体を動かす事で斬撃を体に受ける程度で済ませる。

「ふん」

 ナハトのデスサイズが振るわれ、体に衝突する。骨が砕かれたような感覚と共にあっさりと体が吹き飛ばされる。解っている。骨なんかこの世界では表現されていない。体の内側はポリゴンだ。だからありえない、と。それでも、全身の骨を砕かれたような痛みに偽りはない。

 だがその程度、

「捻じ伏せる」

「あぁ、実にいい顔だ」

「それでこそ兄弟」

「うるせぇ。とっととクタバレ」

 立ち上がりから一瞬で接近し、両の刃を振るう。だが届く前に先にナハトのデスサイズが体を切り裂く。その威力だけで体が吹き飛びそうになるが、

「お、お、おぉ―――」

 咆哮を力として、踏み出す。

 ギロチンでナハトの首を跳ね飛ばそうと、一撃だけ耐えてナハトの首に刃を食い込ませ、

「死ね―――」

「まだだ……!」

 濃密すぎる殺意に動きを止められる。

 それは自分がやっている事と全く同じ手だった。殺意に敏感だからこそ反応しなければならない。ブラフだとしても反応せざるを得ない。殺気に反応し、体がほんの刹那だけ硬直し―――

「っげほ」

 喉にデスサイズの刃が叩き込まれる。同時に、

「俺を忘れて熱くなってんじゃねぇよ。寂しいだろ?」

 全身に弾丸が叩き込まれる。ナハトの首を撥ねる前に体が耐え切れず吹き飛び、再び木々をなぎ倒しながら森の中を突き抜ける。しばらく突き進んだところで大地に叩きつけられ、仰向けに滑りながら動きが停止する。遠くからジューダスとナハトが歩いてくるのが見える。

 ……トドメを刺さない辺りが舐められているなあ。

 だが、決して油断せず、慢心せず、絶対にこっちの戦闘力を測り間違えない。完全に把握しているからこその余裕の態度。ムカつくが、格が違う。

「……どうすっかな」

 大の字で倒れながら見上げる空はまだ暗い。遠くではまだ悲鳴と笑い声、叫び声に剣の音が聞こえる。時間で言えばまだ数分しか経過していないのだ。だからまだラフィン・コフィンとの闘いは続いている。その事を若干忘れそうになっていたことは秘密だ。

「……どうすっかなぁ……」

 あの二人が圧倒的過ぎる。だけど負ける気はない。捨て身になってナハトに一撃を食らわせようとしたが、ジューダスの横槍が入ったおかげで完全に殺す事は出来なかった。それでも殺しかけたのは事実だ。あとは、最後までどうやってギロチンを振り切るかなのだが―――

『アキ』

 マルグリットの声が聞こえてくる。

『諦めないで。私も頑張るから。アキならもっと強く輝けるから』

 ……自分が自分を信じないでどうするか。

「うっし」

 立ち上がり、軽く頬を叩く。

 ジューダスは言っていた。俺はこの先の段階に指をかけている状態だと。そして今、その特性がわずかにだけ現れていると。どうにかそこへ駆け上がるのが唯一俺に残された勝利の可能性。そしてそれが成せるようになるには―――

「―――……戦うしかない」

 そう、戦うしかない。戦うことでしか道は開けない。だからこそ、

「血、血、血、血が欲しい」

 さらに深く、強く力を引き出す、黒い刃の強度を、殺傷力をさらに凶悪なものにする。

『―――Donnons le sang de guillotine』

 ジューダスとナハトが見えた。聖遺物がさらに活性化する。

『Pour guerir la secheresse de la guillotine』

 歌を引き継いだマルグリットの声が聞こえる。

『Je veux le sang, sang, sang, et sang』

 更なる活性化が完了し、ジューダスとナハトが射程圏内に入った瞬間、

「ォ―――!」

 全力で逆手に握った二つの刃を乱舞させるようにふるう。一撃一撃が物質的強度を無視する斬撃、それが隙間なく何十と音速を超えて飛翔する。大地や大気を切り裂きながら進む不可視の斬撃は一切の減退を見せるどころか、創造の欠片を乗せて、触れたものを抵抗なく切り裂く。正面から迫る斬撃の颶風の前に、

「ッハ」

 対応したのはジューダスではなく、ナハトだった。明らかに遠距離からの攻撃とは相性の悪い存在であるはずなのに、前に出るナハトは余裕を持っている。

「いいだろう。ここまで来た礼だ。まだ先に進みたいのだろう? ―――腐滅しろ」

 それはおそらくナハトの力の一端なのだろう。確実に言えることはそれが全力ではない事。おそらく一割も力を使用していない。だが、それだけでナハトに触れた斬撃は全て”腐り死んだ”のだ。もはやシステムの仕様にはない現象に慣れてきた事もあったが、全力の一撃をあっさりと砕く姿には呆れが湧いてくる。

 だけど、

「負けられない……!」

『勝とう!』

 斬撃を連続で繰り出しながら一気に接近する。

「さあ、パーティーを盛り上げようぜ」

 向けられた銃口から弾丸が吐きだされる。それを左の大太刀だけで切り払いながら、右のギロチンをナハトのデスサイズと打ち合わせる。状況は最悪で、明らかに押し込まれている。だが、それでも、

「負けねぇんだよぉ……!」

 防御が遅れて体を腐らせる一撃が掠り激痛が走っても、弾丸を切り払えずに銃撃が肉を打ち付けても、それでも止まらない。ここが仮想でよかった。現実であれば今頃全身から血を流して真っ赤になっているところだ。そんな姿は、少し見せられない。

「っらぁあ―――!」

 まだ、もっと強く、もっともっと、まだ輝ける。

「ふ、くくく」

「いい空気吸ってる様で悪いけど」

 少しずつ体が重くなっていくのが解る。ナハトとジューダスの攻撃に対応しきれず、体を大きく動かし、逃げ回りながら攻撃を続ける。それでもナハトとジューダスは挟み込むように追いすがり、攻撃し、そして確実に此方の命を奪ってくる。確実に一つ一つの動作で命は削られ、逃げ道はなくなっていく。だがそれでも、

「この刹那に―――」

 全てを込めて、

「―――俺は、輝く」

 輝きたい。この刹那、俺は全力で生きている。それはだれにも否定されたくないし否定させない。ここは確実に現実で、俺がいるところが現実だ。故に今、全力でいる俺は輝いていて、それは誰にも否定させない。そう、消えてしまえ。俺の輝きを否定するやつらは俺に触れるな。お前はお前で勝手にしろ。俺はこうやってこの刹那を全力で過ごしたいんだ。邪魔をしないでくれ。

 願いが、渇望が強くなり、その先が欠片だけ見えてくる。

 が、それよりも早く意識が遠のいて行く。

「ク、ソ……!」

 刃を振るうが、それはほぼ勘に任せた乾坤一擲の一撃。全力を込めながら振るった刃もナハトとジューダスの得物に受け止められるのを感じ、衝撃が体を突き抜ける。動きが鈍り、一撃一撃の鋭さに磨きをかけるが、全体的速度は落ちていく。

 魂はもっても、

 意識の方が限界に近い。

 ジューダスとナハトの攻撃を受けるたびに渇望が強くなり、意識が遠のいて行くのが解る。確実に、倒れる時がすぐそこまで来ていた。

「サイアス!」

 あぁ、戻ってきたのか。

 キリトの声がする。戦っているうちに離れたと思ったが、追いついたか戻ってきたのだろうか。ともかく、かっこのいいことを言っておいて情けない姿を晒している。流石に、ちょっと恥ずかしい。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「限界か」

 荒い息を吐きながら振るう刃はナハトに受け止められ、

「っが……」

 体を吹き飛ばされる。刃を地面に突き立たせ、体を倒れる事から防ぐ。ここまで来てまた倒れる姿とか見せたくない。背中を見せている以上、倒れるわけにはいかない。それでも、体は正直で、

「っく、はぁ、はぁ、はぁ」

 膝をつく。刃を支えにしていても立てないほどに体の限界が来ている。

「ま、善戦したとは思うよ。正直勝ち目がないにしては十分頑張ったよ。だからそのことは正直誇ってもいい。君は十分すぎるほどに強かった―――ただ俺たちが強すぎただけでね」

「見、下すん、じゃねぇ……!」

「別に見下しているわけじゃないんだけど……まあ、所詮はここまでだったって話だ」

 キリトの前に立ち、攻撃に備えて刃をバツの字に構えるが、正直受け止められる自信はない。向けられるジューダスの銃口はどこまでも無慈悲で、対峙しているだけで意識が抜け落ちていくのが解る。解ってしまう。勝てない。負ける。その事実が、脳に記憶されていく。

 落ちる。

『アキ……!』

 解っている。負けたくない。負けられない。だけど、それでも、

 思いに反して意識は落ちかけていた。あと少し、後の事はどうでもいいから。お願い。この刹那だけは輝かせてくれ―――。

 その願いを裏切る様に意識は落ちる。

 その寸前―――

「よォ―――ウチの下っ端が世話になったようじゃねぇか。ちょっくら顔貸せや。愛想の悪い狂犬でも可愛い後輩だ。遊んでくれた礼をしてやらなきゃいけねぇよなァ?」

 どこか頼もしい声を聴きながらも、完全に意識が落ちた。
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| 断頭の剣鬼 | 12:51 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

あ、兄貴〜!

| 御神楽 湊 | 2012/08/10 13:01 | URL |

こ、このしゃべりと口調は――っ、ヤバイ、てんぞーさん、アンタなんてことしてくれたんだっ!

全力で土下座待機しています!
だからどうか兄貴のジンクス打ち破っちゃって、出番を! どうか活躍を!

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2012/08/10 18:56 | URL | ≫ EDIT

ずいぶん早いご出陣ですなぁ~。
明日が来るのが待ち遠しくて仕方がない。

| 断章の接合者 | 2012/08/10 19:11 | URL | ≫ EDIT

キャー!シスコン中尉ー!

| 空 | 2012/08/10 20:03 | URL |

さすが兄貴!
いいタイミングすぎてどこかで様子を見てたんじゃないかと思うほどにいいタイミングです兄貴!
カッコいいとこ見せてください!

| ろくぞー | 2012/08/10 23:01 | URL |

キャー魔弾に吸血鬼な中尉とか会わしちゃなんねえ!

| ぜんら | 2012/08/10 23:11 | URL |

キャーッ!兄貴~~!!
あんた出てきたところ悪いんだけど腐滅って相性最悪じゃねえ?
それともあれか、『質量の桁が違えば相性などに意味はなく』とか言っちゃうんじゃないでしょうね?

| 若年法師 | 2012/08/11 00:07 | URL |















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