陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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笑う棺 ―――ダンスマカブル

推奨BGM:Omnia Vanitas


 先陣を切ったのは―――

「―――血、血、血、血が欲しい」

 俺だ。

 誰よりも、何よりも早く意識を集中させる。聖遺物との同調率を上げる。聖遺物との親和性、同調律が戦闘における大事なファクターだと知らされている―――それはつまり魔女と心を合わせる事だ。冗談じゃない。この魔女なら喜んで心を合わせるだろうが、俺は死んでもごめんだ。


 だから同調するとしても、それはほぼゼロパーセントだった同調率がせいぜい十パーセントへ届くか届かないかのレベルでしかない。そして、キーワードを元に精神を超集中させる。草の動きすら見逃さないレベルにまで神経を尖らせる。そして、

「ッシ!」

 活動位階の身体能力を持って前にでる。踏込と同時に切り裂く剣の動き。ジューダスとナハト、両者を同時に攻撃できる様に放たれた攻撃はしかし、

「おっと」

「温い」

 あっさりと回避される。軽いバックステップの動きだ。だがバックステップという事は滞空中は上手く回避できないという事実もある。だからこそ、

「ハァ!」

 キリトが必殺のソードスキル、≪ヴォーパルストライク≫を後ろから飛び出しながら放つ。高威力のソードスキルは血色のエフェクトをまき散らしながら狙い澄ましたかのようにジューダスの体に吸い込まれ、命中する。軽い驚きがジューダスの顔に浮かべられている。が、上位系のソードスキルは硬直時間が設定されている。

 コンマ一秒でさえ明確な隙となるこの戦闘で、硬直時間は止まっている事にも等しい。

 ナハトがそれを逃すわけもなく、吹き飛ばされたジューダスを見る事もなくデスサイズを―――逆手剣を振るう。特異な得物はリーチが短く接近しなければうまく扱うことはできないが、その使用に長けたナハトは流れる様に、しかし荒々しい動きでキリトを殺しにかかる。

「ッ!」

 そのブロックに俺が入る。受け止めるナハトの剣から凄まじい衝撃が生じる。常識を超えた腕力に体が吹き飛ばされそうになるのを堪えながらも、両手で大太刀を握り、押さえつけることで吹き飛ばされるのを防ぐ。

 そして凶器が迫る。

 それはまるでショットガンを撃たれたような状況だった。ジューダスが吹き飛ばされつつも両手で投げナイフを大量に投擲する。その数は両手の指では足りず、卓越した技巧で一気に投擲されるナイフは三十を超える。そして、その一撃一撃がキリトのヴォーパルストライクに匹敵するだけの威力を持っていることが一瞬で理解できる。もし、一発でも喰らえば、その衝撃に流されて残りもくらってしまう。それだけは直感的に判断できる。だが点や線ではなく、面を意識して放たれたナイフの群は避けようもない。

 迷うことなくうキリトを蹴り飛ばす。

 キリトも迷うことなく再度のヴォーパルストライクを此方の体に繰り出す。

「っぐ」

「くっ」

 抗わずに攻撃を受けた結果、パーティー保護機能のおかげで同士討ちは発生しないが、それでも掌撃のあまり吹き飛ばされる。それこそナイフの群を避けられる程度には。吹き飛びながらも空中で姿勢を整え、木を足場にして―――前に跳ぶ。

「ギロチンに注ごう飲み物を―――」

 意識がさらに鋭敏化される。神経の情報伝達が高速化される。

 見えるジューダスとナハトの体力は一ドットも削れていない。削れるかさえ怪しい。だが、それでも、

「解っててもやらなきゃいけない事があるんだよ……!」

 ここ数か月、自分は微温湯に浸かっていた。何も事件のない、拍子抜けのする日々だ。牙が抜けていくのが解った。剣が鈍くなっていくのが解った。どうしようもなく安らいでいる自分がいた。許せない。安らぎを感じてしまった自分が許せない。また一人、知り合いを失って―――再び最初の糞の様な気分を味わえた。にくしみは思い出せた。その点には感謝している。だけどな、

「俺も、お前らも生まれてきたのが間違いだったんだ」

 殺しを楽しむようなやつや、人間の理の範疇を超えた存在とか、悲劇のヒロイン気取ってる殺人鬼も―――全員生まれてきたのが間違いだ。俺も、お前らも全員消えるべきなんだ。あぁ、どうせ俺も最後は消えるんだ。だからさ、

「消えろ―――」

 思いを込めて振るわれた刃は初めてナハトの刃を弾くだけの力を得た。それはただ単純に技術や力が勝ったわけではなく、得物に聖遺物の特性を引き出すことに成功したからだ。だからといって、

「まだだ、まだ温い。温すぎるぞ兄弟。その程度じゃあ俺には届かないぞ」

 無頼の一撃が迫る。マキナと同じく洗練され、戦闘で最適化を施された戦士の一撃だ。食らえば属性は違えど必滅は免れない。だが卓越した戦闘経験と技量が回避を許さない。

「おぉ―――!」

 だから得物をを振るう。正面から打ち合わせる以外に死を回避する方法はない。たとえ、その結果、

「っぐ、チィ」

 絶対力で押し負けると解っていてもぶつけ合うしか方法はないのだ。

「ギロチンの乾きを癒す為……!」

 更に同調を深める。聖遺物の特性、そして力が引き出される。

『負けないで、負けないで……!』

 喜んで力を差し出してくる魔女の助けを、一定だけ許して使用する。全て使えばまだ戦いも楽になるだろうが、それだけは自分の心が許さない。新鮮な憎悪を補給できたことで心は再び憎しみを纏えている。だから、

「死ね―――!」

 再び殺す動きに入ったナハトに刹那遅れて刃を振るうのと同時に、体に溜め込んだ殺意の全てを放出する。今まで隠していた殺気の全てを開放し、ナハトを完全に殺意で押しつぶす。ほんの刹那、ナハトの剣が鈍る。それを好機に首を跳ね飛ばしに―――

「殺意も生温いんだよ!」

 殺意を受け、初めてナハトが表情らしい表情を見せる。それは歓喜の表情だった。殺意をぶつけられているという状況が何よりも喜ばしいようで、その言葉は今までの心証を塗りつぶすような荒々しさを持っていた。

「殺意ってのはこういうもんだ……!」

「っな!?」

 一瞬で自分が放った殺意をナハトが更なる殺意で塗りつぶす。自分が放った殺意とはまた別次元での殺意だ。それこそ世界の悪の全てに対して殺意を抱いてもあまりあるほどの殺意だった。剣筋を隠すだけでは飽き足らず、常人では受けた瞬間に心臓発作を起こして死んでしまう程の殺意が暴風として襲いかかってきた。その中に立っているだけで体力を奪う殺意はライフバーを削らずに、魂を抉りに来ていた。

『アス!』

「黙ってろ……!」

 殺意に隠れてナハトの剣筋が読めない。そしてそれに対抗すべく溜め込んだ殺意を吐き出し続けるが、それも颶風を少し緩和する程度で無効化するには至らない。全ての一撃に全力を込めて、

「欲しいのは血、血、血……!」

 刹那を刻むごとに前の自分を超えるしか生き延びる方法はない。

「いい感じに人を外れているな! それでこそ兄弟だ」

「兄弟兄弟うっせぇ! 俺の兄弟は一人だけだよ馬鹿! アホ! 死ね! カス!」

 ガキの様な罵倒を飛ばしでもないと精神がやられてしまう。それだけナハトの殺意は凶悪だ。剣を振るい、それをぶつけあう度に少しずつ押し込まれ、ナハトの斬撃が少しずつ体の端に掠り始める。刃が体に触れる度に切られた個所を熱い感触が抜ける。痛み、そして確実に命が削られている感覚だ。

「ほら、さっきまでの威勢はどうした! 武器が泣いてるぞ!」

「っがぁ」

 得物を握らない左腕でのボディブローを食らい、体が吹き飛ばされる。痛みを口から漏らさない様に耐えながら吹き飛ばされていると、ナハトの左腕の袖口から何かが現れるのが見える。

「さあ、どうする?」

 銀の閃光が迫る。


                           ◆


 吹き飛ばされ、まずしたことはインベントリの確認だった。状況次第では必要になるかもしれないものの存在を確実に確認しておき、

「ほらほら、まだまだ行くよ」

 ナイフが再び迫ってくる。

「ッフ!」

 剣を目の前で円を描くように高速で回転させる。まるでプロペラの様に高速回転させるスキルは防御系ソードスキルだ。目の前から迫ってくるナイフが回転する剣に命中し、弾かれながら違った方向へ飛んで行く。ナイフを防いだ瞬間に防御を解除するが、

 次の瞬間、横にジューダスがいた。両腕にはナイフが何本も握られており、こっちに向かって飛び込むような姿勢で存在した。ゆっくりと空中で姿勢を整え、来ると理解した瞬間、

「っぐぁ―――」

 ジューダスの蹴りに吹き飛ばされる。

 痛い。

 さっきもそうだが、痛みを感じる。

 アインクラッドに痛みを再生するプログラムはない。だからこそ安心して戦闘ができるのだ。なのに、目の前の存在はそのルールは超越している。いや、超越しているのはステータスもそうだ。明らかにプレイヤーのそれではない。それこそ本当にチートか、もしくは―――

「考えている暇があるほど余裕なのかい?」

 吹き飛んだ体に追撃するように連続でナイフが飛んでくる。確かに考えるほどの暇はない。考えることは多々あるが、

「勝って喋らせればいい―――」

「―――へぇ」

 そう、勝てばいいのだ。勝利すれば話を聞くこともできる。正直勝てるイメージはわかないが、

「サイアスと組んで―――負ける気もしないんだよ」

 今まで袂を別っていたけど、一度ぶつかったからこそ解るし、理解もできる。こいつになら背中を何の心配もなしに預けられるというのは。アイツも頑張っているのに俺だけ努力しないのは卑怯だ。もっと必死に、この瞬間、刹那に、前の俺を超え続ける―――。

 追撃のナイフの動きを目で追う。

 凄まじい。

 速度だけではなく、その軌道、量、そして威力。どれをもってしても凄まじいとしか評価ができない。だからといって負けたくない。相手が強いから。ステータスがシステムを超越してるから。そんなことを理由にして逃げたくないし負けたくもない。勝つって決めたし仇を討つって決めた。正直人を殺したのはさっきが初めてで―――怖かった。

 それでも、

「おおおぉぉ―――」

 ナイフ一本一本の動きを完全に把握し―――見切る。

 ナイフとナイフの間の隙間を見て、理解し、どこに体を通せるかを覚え、頭の中でルートを構築する。道がない場合は硬直のない下位ソードスキルを使ってナイフの軌道をズラす。それを考慮に入れてコンマ以下の時間でルートを生み出し、

 実践する。

「は、ははは、君も大概クレイジーだね。いいよ、それは凄くいい。”ノれる”感じだ」

 言葉に耳は貸さない。ほんの少しでも集中力を切らせばその瞬間動けなくなる。いや、減速した時点で殺される。だから動きを止めず、常に加速しながら一気にジューダスに接近する。こいつらの正体がどうであろうと、

「捕まえる……!」

「殺す、ってぐらいには言えないと無理だぜ」

 絶対に罪を償わせる。

 ナイフを抜けてジュダースに接近する。一瞬で接近し、剣を振るう。が、やはりジューダスはそれが鈍いと言わんばかりに軽い動作で回避する。

「人間としては意外と粘るよね、君」

 人間。

 その言葉に軽い引っ掛かりを覚える。が、それを考えるよりも早くジューダスがナイフを突き出してくる。到底回避のできる速度ではないそれは防御するしかなく、振り出した剣を無理やり引っ張り戻す事で柄だけ、ナイフの前に持ってくることに成功する。

「かぁ―――」

 が、それだけでナイフの一撃は止められない。そのまま柄ごと喉に押し込まれる。喉を中心に圧迫されるような痛みを覚え、吐き気がしてくるが、そんなものに浸っていたら確実に死ぬ。だから、考えるよりも早く、反射的に袖口の中に隠していた投擲ナイフを振り上げて、

 それをジューダスの眼球目掛けて振り下ろす。

「ヒューッ!」

 挑発するような口調と共にジューダスは素早く繰り出した一撃を回避したが、それと同時に追撃を放ち体を蹴り飛ばす。体が吹き飛ばされながらもジューダスから視線を逸らさない。笑みを浮かべたまま、ジューダスはナイフを捨てて懐に手を伸ばす。

「ま、正直ここまで持つとは思わなかったよ―――」

 懐から銀色の塊が抜かれる。

 その存在に驚愕する。

 銃だ。

 ソードアート・オンラインに銃という存在はありえない。データとして存在しないはずなのに―――。

 だが、ジューダスはそれを一切気にすることなく、

「そんじゃ、ま―――レスト・イン・ピース」

 マズルフラッシュと共に数十発の弾丸が迫る。


                           ◆


 あるいは普通なら圧倒的脅威の前に屈するだろう。人間という種はどこか流されやすく、固定概念というものを持っている。強いものには勝てない。それは誰もが共通として持っている認識だ。だからといってそれに縛られ続ける必要はない。常に前に進み続けたのは固定概念を壊してきた存在だ。だから、

 背中をぶつけあいながらも、俺とキリトは動きを止めない。

 キリトは迫る暴威の前でインベントリを操作し、俺は、

「血、血、血、血が欲しい―――ギロチンに注ごう飲み物を」

 歌う。呪われた歌を。体の内、奥底で待っていたと言わんばかりに魔女が喜ぶ。もっと、もっと使ってほしいと。遠慮はいらない。都合のいい女でいてあげるから。だから私を使って。ささやきかけてくる魔女の誘惑に―――抗い、使う。

 使うんじゃねえ、使ってやるんだよ……!

「ギロチンの乾きを癒す為―――欲しいのは血、血、血」

 歌も、インベントリの操作も、それこそ時間がかかる動作であるはずなのに、何故かそれは時間がゆがめられたかのように迫る暴威よりも早く完了していた。羅刹の刀身が軽い血色に染まるのと同時に、キリトの片手に光るものが生まれる。

 キリトと場所を入れ替えながら、互いに必殺を繰り出す。

「活動―――罪姫・正義の柱」
(アッシャー―――マルグリット・ボワ・ジュティス)

「二刀流―――デッドリー・シンズ」

 不可視の斬撃が連続で放たれ魔弾を切り払い、二刀の連撃が銀色の蛇―――鎖を叩き落とす。背中を合わせ、はさまれるようにジューダスとナハトと対峙する。

「……お互いに切り札があったようだな」

「だな」

 場所は主戦場から若干離れている。ここならば見られる心配もない。だから使用の制限を課す必要もない。改めて互いに構え直すと、ジューダスが銃を向け、ナハトが鎖を腕に巻きつける。ここからは完全に出し惜しみのない全力の勝負になる。これで死中に活を見いだせなければ―――死ぬのが確定するだけだ。

 だから互いに詮索はせずに、

「フォローは期待するなよ」

「俺も自分の事でいっぱいいっぱいだから気にすんな」

 銃で軽くクイクイ、っとジェスチャーしてくるジューダスは確実に挑発している。声も姿も仕草もウザい。だから、

「行くぞぉ……!」

「第二ラウンドだ、カモーン」

 奥の手を残さない第二幕が始まる。
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| 断頭の剣鬼 | 11:27 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ジューダス自重しろwwwwwwwwww
なにこのチート。

| ろくぞー | 2012/08/08 11:37 | URL |

マリィ可愛い。
もう一度言おう、マリィ可愛い。

| 空 | 2012/08/08 12:14 | URL |

剣鬼様成長中
ところで通常の活動と詠唱版活動の違いてなんぞ

| ぜんら | 2012/08/08 13:36 | URL |

うん。一つ言うなら――
ゲームマスター仕事しろ(笑)
ココニバグ発生してますよー(爆)
いや、無茶も承知だけどね。
なにこのSAO、ここだけ無法地帯なんですけど(汗
まともなプレイヤーはキリキリのみ、それ以外のプレイヤーは抵抗すらできんだろうけど(笑)

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2012/08/08 19:08 | URL | ≫ EDIT















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