陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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四話



 もう二度と思い出したくはない放尿事件。それを乗り越えたところでぬれた股間を吹かないといけないわけで、それを丁寧にやってくれた看護師に対する羞恥の心がさらに強くなる。正直この病院には二度と来たくはない。早く一人でも動けるようになりたいと思いつつ、リハビリがあるのだから当分それは無理なのだろうな、とあきらめる。パンティを履きなおしたところで、尿瓶をしまい、そして扉が開く。

 入ってきたのは医者だったが、

「邪魔するぞ」

「失礼します」

 一緒に見た事のない二人組も入ってきた。一人は小さい少女だ。長い金髪にゴスロリの服装はまるで生きている人形を見るような美しさの少女だった。そしてもう一人は―――緑髪で、メイド服らしき服を着たロボットだった。一見人間のようだとだまされそうになったが、関節がどうしようもなく機械であることを主張していた。そのための露出の少ないメイド服なのかもしれない。どちらも見た目、かなり異常なコンビだ。

 って、待てよ、さっき保護者に―――。

「マルグリットさん」

 医者が説明か挨拶か、何かをしようと名前を呼ぶが、

「おい、こっちを見ろ」

 背の低い少女に呼ばれ、そっちに視線を向ける。

「私の目を見ろ」

 少女の割には大きな態度と成熟した知性を感じさせる。もしかして実は少しだけロリで中身は……とちょっと的はずれな事を考えつつも視線を少女へ向ける。何やら数秒間此方の目をじっくり見つめてくるが、何やら満足した様子で頭を頷かせる。何が何だか解らないが、話はまとまったようだ。

「あぁ、間違いない、マルグリット・ブルイユだ。私が保障しよう。おい、マルグリット。私を覚えているか」

 聞かれたので頭を横に振って答えとする。そのことにまぁ、そうだろうな、とつぶやいたのが聞こえた気がする。

「私の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、エヴァンジェリンと呼べ。私が身元受取人だ」

 なんだか銃っぽい名前をしている、と思ったのは本人の名誉のために黙っておこう。ともあれ、どうやらこの人形にしか見えない少女が身元引受人らしい。今更ながら自分がいわゆる憑依TSというすっごい思春期の少年の妄想めいた事態に陥っているが。

「先、生」

「なにかなマルグリットさん?」

「……子供、じゃ、ないんですか……?」

「え」

 医者がそこで少し困った様子を浮かべる。そのリアクションに対して首をかしげる。

「え、だって、子供……?」

 何度もエヴァンジェリンを見るが、医者は何か問題があるのかとでも言うような顔だ。おかしい。こんな幼女が身元受取人なはずがない。そしてロボ人間が実用化されているのもよく考えればオーバーテクノロジーだ。こんなことは本来ありえない。それを伝えるためにも口を開けようとするが、

「茶々丸、連れて帰るぞ」

「はい」

 いつの間にか茶々丸と呼ばれたロボが車椅子を用意していた。それに乗せて帰るつもりなのだろう―――って、

「ま、待って、どこに、行くの?」

「ん? 私の家だ」

「親、は?」

「いるわけないだろう……ってお前には記憶がなかったんだなそう言えば。同情する必要はないぞ」

 申し訳ない気分になる。同情するなと言われても、いきなり重い話を教えられてどうにかできる人間ではない。少しダウンな気分になる。

「あぁ、もう。茶々丸。こいつを運べ」

「了解しました。―――失礼します」

「え、あ、きゃっ」

 反射的に女の子らしい声が漏れてしまった。精神は肉体に影響を受けると聞いたが、若干それが早すぎやしないだろうか。いや、あの試練を乗り越えてしまったのがいけないのだろう。ともかく、茶々丸のマシンパワーが凄まじいのか、簡単にお姫様抱っこで持ち上げられる。そのまま車いすへと運ばれるが、不思議と駆動音も聞こえなく、ハイスペックさを見せつけられる結果となった。そのまま車椅子に座らせられると、布を膝の上にかけられる。

 ……あ、なるほど、パンツが見えないようにか。

 やっぱり男とは違うところを気にする生き物だな、とどこか現実逃避めいた事を考える。後ろを茶々丸が車椅子のハンドルを握り、車椅子の横にエヴァンジェリンが立つ。

「支払いの方はジジイが済ませてあるはずだ」

「あ、それはもうご心配なく」

 医者たちは何も心配しない様子で俺を送り出すつもりだ。

 え、ちょ、待ってよ。検査は? リハビリは?

 常識的行動の一切がない。不思議なことに、そのことに対して一切の疑問を持っていない。エヴァンジェリンも、茶々丸も迷うことなく部屋から退出する。

 部屋から出たところでエヴァンジェリンが口を開く。

「そんなに心配するな―――お前が忘れているだけだ」

 何かものすっごい不安になるような言葉とともに車椅子に乗ってどなどなー。
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