陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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第二話 冥き途での日々



 玖楼の存在が現れてから1ヶ月が経った。青年黒川玖楼は、

「4」

「5」

「6」

「ふむ……7」

「「「ダウト」」」

「何故分かったのかね?!」

 トランプでダウトに興じてた。四人の中央に溜まっていたカードの山を、リッチが骨の腕で纏めて集める。骸骨なために表情は一切分からないが、それでも若干不満げなのはわかる。
札が残り三枚から一気に十数枚へと上昇し、辺りを見回しながら一言。

「何故分かったのかね?」

「必要以上にカタカタしますからね」

「イカサマしてるから良く分かる」

「なんとなく……分かる」

「約一名自らの行いに弁解は?」

「なし!元々イカサマありのルールだしな!」

 玖楼がイカサマ発言をした瞬間、リッチがステッキを振るう。ステッキが振るわれると同時に辺りが若干暗くなり、玖楼やナベリウス、リタの周りに気配が増える。

「ならば配下だ」

「こんなところでスケルトン召還してるんじゃねぇーよ! イカサマじゃねぇよそれは! ただのズルだよズル! 堂々と召還しすぎだろ!」

 この上なく馴染んでいた。


                   ●


 1ヶ月と言う期間は黒川玖楼を新世界に馴染めさせるには十分すぎる時間であった。元々、黒川玖楼は自らを流されやすい、もしくは受け身なタイプだと己を説明する。

 そしてそれは間違ってはいない。

 基本的に玖楼は選択することを相手に任せその結果を受け入れることで、判断することを『楽』にしているのだ。

 良くも悪くも、玖楼と言う男は適応する。

 それは置いておこう。

 黒川のこの1ヶ月を短く説明するとすれば、勉強。訓練。お買い物。そして来客。

 この四つに分類されるとする。生きるためにも、そして生活するためにも、玖楼の冥き途での生活はまだまだ始まったばかりである。


                   ●


 生きる上で知識とは非常に大事なものである。冥き途から出ても衣玖宛もなく、帰る場所もない玖楼に世界の知識は不要だった。だが興味がないと言われればそれは嘘である。

 人間誰しも、好奇心が勝る。

 そのため、リッチからは軽い説明を受けていた。

「君の世界は私が知っているのよりも遥かに平和でうらやましいことだ。外を歩けば魔物が人を遅い、町では人が人を襲う。魔人が人を下に扱いそんな一位を神々が見守り加護を信仰の対価に与える」

 それがこの世界であった。

 そしてこの世界にいる限り、魔物との争いは『冥き途』に居ようがかわりはしない。幸い今まではリタやリッチがお守りをしてくれているが二人が飽きるのもそう遠くはない。故に、玖楼は早急に自衛の手段を手に入れる必要があった。

 そして1ヶ月と言う時間は玖楼にそれなりの変化を与えていた。

 冥き途、魔物と貸した亡者が寄って来にくい一角、……つまりは死者の門近くの陸地に対峙する姿がある。

 リッチと玖楼だ。

 リッチはいつもどおりの格好だが、玖楼は最初現れた格好のほかに、その手の中に中型の剣を握っていた。その握り方からしてまだまだ剣をかじり始めた程度の腕前とは分かるが、それとは別に体からは若干の覇気を感じられた。

 その傍で、居いつもどおり、リタとナベリウスが二人の姿を見る。その他にも、見慣れないメイド姿が居るが、それはさしたる問題ではなく、玖楼は集中する。

「では準備はいいかね?」

「うっす」

 簡単に答え剣を正面に構える。最初は変にネタを再現しようとして筋を痛めたり、派手に剣を振りすぎて筋肉痛になったりも下が、1ヶ月も経てば軽く分かる。と言ってもその1ヶ月前までは完全に一般人であったためにこうやって戦うことに違和感は拭えない。

「それでは本日は商会の提供で入ってきた武器を確かめるためにも、すこしハードにやるとするかね」

「マテ。そこは普通は『軽く』だろうが」

 だがそんな言葉をリッチを聞き入れず、ただ無情にもステッキが振るわれる。その動きと同時に砂のような陸地から骨の手が突き出される。他にも腐臭のような匂いを充満させながら腐った半身を地面から現す姿が出てくる。

「我配下のレベル40程度の集団だ」

 リッチの発言が終わる頃にはスケルトンと呼べる魔物とどう見てもゾンビの集団が玖楼の前に現れ、玖楼とリッチの間に壁を生み出す。玖楼の訓練はとても簡単なもの。

 リッチが玖楼の強さにあわせて使役した(調達はここ)死者を玖楼が倒す。リッチが用意する敵は常にアンデッド系だというのが若干玖楼のSAN値を削ってはいるが、常に玖楼よりはほんの少しだけ強い相手を用意されるために戦いがいはある。

 逆に言えば毎回超必死とも言える。

「がんばってくださーい!」

「がんばれ…………クロウ」

「いよっしゃぁー!」

「素直だね」

 がっくりと仕草をとるが、別段着にした風な感じを玖楼は受ける。基本的に、リッチも相手の様子を伺ったり気にすることのできるタイプではある。

 リタが言うには、『常識の外側(アウター)』に片足踏み込んでいる存在としてはかなり良心的で、かなり珍しいとも言っていた。そう言われれば他の『常識の外側』には会いたくない。

 そんな思考をリッチの杖の動きがかき消す。

 ゆっくりに見えた踏み込みの後に……飛び掛るようにゾンビが襲ってくる。その動きは映画などで見る足を引きずったような動きではなく猟犬を思わせるような鋭敏さである。それを認識しつつ玖楼が前へ踏み出す。

 剣の威力を確かめるように縦に、飛び掛ってくるゾンビに合わせる様に剣を振るう。ズパ、と綺麗な音を立ててゾンビが真っ二つに切れながら塵へと変わってゆく。基本的にリッチが使役したアンデッドは、滅ぼされても再利用が効くのだ。そのため、真っ二つに裂かれようがあのゾンビはリッチの意思次第では再び復活できる。

 余分な考えを再び振り払う。どうしてか考えがわき道にそれてしまう。そう思いつつも横へと体を動かし、再び一閃。その動作でゾンビがもう一体塵になって消える。

 だが次の瞬間左腕に熱いものを感じる。血だ。

 深くはないが、浅く、腕に引っかかれたような傷の痕が出来ている。そちらを見ればいつの間にか横へと回り込んだスケルトンがいた。白骨の体は重力に逆らうように不自然に繋がっておりリッチ以上にカタカタ音を鳴らして動いている。

 既にリッチで耐性の出来ていた玖楼には問題のない光景だった。

「邪魔、だ!」

 裏拳の様に剣を振り回しスケルトンの背中を砕くように剣を叩きつける。剣を振り回すこと自体は遠心力と勢いに任せるためにそこまで力は要らないが、体を止めるときには逆に力が少し多く必要である。

 それが面倒なため、

 スケルトンの体を背後から砕く感触と共に体をワルツのように踏み出しながら、最寄のスケルトンへと向けて剣を上へと持ち上げ縦一文字に振り下ろす。これならば力の消費は少なく、剣の動きを止めるのは地面であると。

 スケルトンが二体ほど崩れたところでゾンビをあわせて倒したリッチの配下が4体になる。

「ふむ、やはりこの程度ではもう相手にはならないか」

「いえ、十分俺の精神を」

「よし、ならば次だ」

「人の話を聞けよ。おい」

 リッチが新たにステッキを振るう。場に残っていた全てのゾンビとスケルトンが塵になり、それが集まってゆく。やがて、リッチの前で集まった塵一つのスケルトンを生み出す。

 今までのと違いがあるとすれば、それは骨が赤く、盾と剣を装備していたことである。

「すいません。どうみえても同格に見えません。と言うか俺を指差して笑ってるんだがコイツ。ねぇ殴っていい? 殴っていいよな? 殴らせてプリーズ」

「勝てればな」

「えっ」

「レベル50だ。行け」

「おい、ちょ―――」

 玖楼はその先を言うことはなかった。リッチが行けと言った瞬間、鋭い動きで一気に玖楼の懐へと潜り込む。同時に右腕についている盾……バックラーを殴るように突き出す。

 これは騎士とかが使っている技の中でも基本的な動きで、『バッシュ』と言われる技である。

 それを始めて見、そして受けたために対処もできず玖楼の肺から空気がたたき出され、大きく後方へと弾き飛ばされる。だが無様に尻から着地することはせずなんとか体を前へと倒し、剣を地面に刺しそれに寄りかかるように体を着地させる。

「「「ぉおー」」」

「げほっげほっ、他人事だなぁ!」

「槍で一撃ですから」

「魔法で…………簡単」

「強いやつはうらやましいなちくしょお!」

 剣を手に、再び赤いスケルトンへと向かって突っ込む。

「ぜぃっ!」

 軽い飛び上がりから上から叩きつけるように剣を下ろす。だがその動作をバックラーにより受け止められる。僅かに赤いスケルトンの体が軋むが、それだけだった。バックラーで剣を防いだまま、左手のカトラスで玖楼の胴目掛けて横薙ぎに払う。

 それを玖楼は受けた。

「根、性ォ」

 根性の一言で、赤いスケルトンの攻撃を耐え切る。スケルトンのカトラスは確かに錆の付いている古い武器ではあるが、それでも実力からして十分に、人一人を真っ二つにするには十分な得物である。それが成功しなかったのは単に玖楼の装備、つまりは彼が身につけている衣服に秘密がある。

 魔導皮膜。

 それは高位の魔術師にできる特殊な魔導処置であり、服や防具に魔法によって魔力のコーティングを施し素材とかは関係なくその耐久力防御力、あらゆる属性に対する耐性などを付与する魔法である。そのためその魔法が使える者は大変重要視されるのだが、ナベリウスもリッチもそう簡単に死んでは困ると言う考えで処置したものだ。

 現代火器で言えば、ショットガン程度なら完全に防げる代物だ。

 それを分かってか、カトラスの一撃が完全に体に沈むのを待ってから手を剣から放す。同時に放した手はカトラスを握るスケルトンの手首へと、そして足を蹴り上げる。目標はスケルトンの股関節。

 何回もスケルトンと戦えば理解する。弱点がどこかぐらい。そう言わんばかりにけりが真っ直ぐへと玖楼の狙った場所へと伸びて行き―――外れた。

「んな?!」

 カタカタカタ。

 そんな音を立てて玖楼の目の前でスケルトンが玖楼に掴まれた手首を残して全てが崩れる。スケルトンが崩れてたために玖楼の蹴りは命中する事無く空を蹴ったところで、骨が浮かび上がり再び人の形を取る。

 玖楼は蹴りぬいた形。

 赤いスケルトンはバックラーを付けた腕を引く形で静止。

「り、理不尽だぁー!」

 カタカタカタ。

 玖楼、ダメージをあまり与えられず敗北。


                   ●


「なにあれ反則臭いんだが……痛っっっ」

「は、は、は。まだまだだね、クロウ。まだ10レベル上の相手は無理か」

「普通に無理だろ! 脳みそ腐ってるだろお前?!」

「脳みそなどもうないよ」

「そういう意味じゃねぇよ!」

 戦闘が終わってすぐにスケルトンは還され、玖楼も治療を施される。基本的な玖楼の戦闘訓練とはこういう形である。一日の大体が暇であるリッチが使役した配下と戦い経験値を溜めてゆく。レベルも最初は眉唾物ではあったが確実に身体能力が上昇してるのを感じるため、そういうものなのだろうと、

 玖楼は深く考えることを思いっきり放棄していた。

 砂地に胡坐をかきながら座り込み剣を握り、それを戦闘を終始眺めていたメイドへと渡そうと、柄のほうを相手へ向ける。

「良く分からんが前使ってたやつよりは使いやすかった。バラバラにしようとしたら何故か骨を砕けたし前のよりは強かった……と思う」

「あ、それはとって置いて下さい。以外に人間のテスターってのは珍しいそうなので、それはお礼代わりに、だそうですので」

 それをメイドがやんわりと断る。とんがり耳に目まで隠す髪とメイド服。この姿は社則だそうで、個人的に社長に会ってみたいが、そうともいえずただ頷いて剣を横の地面にさす。

 異次元にしまう人外スキルを玖楼は習得してない。と言うよりしたくない。

「それでは『ゆりかごから墓場まで』のギュンギュスカー商会を是非ご贔屓にお願いしますね。お金のにおいする場所がある場所ならどこにでも我々は現れますから。次回は事前に連絡を入れますので~それでは~」

 ギュンギュスカー商会。人間にも魔人にも神をも商売相手にする凄まじい商会。数年に一度のペースで冥き途にも商売できていたが、偶然玖楼が現れた数日後に来たために玖楼と接触、そのままテスターやアイデアの提供をする関係となっている。

 ドリルについて説明した次の日に開発主任からメイドを通して大量の金貨を送られたのはまだ記憶に新しい。

 考えている間に言いたいことを言って消えて行くメイド。ちなみに会社が違うとかそんなことを考えてはいけない。いけないのだ。

「……あれ。気にしちゃいけないことが多いような気がする」

「どうしたのかね?」

「いや、なんでもない」

 気にしたところで何もできないのなら気にするだけ無駄だと言うことなのだ。剣を杖の代わりに立ち上がりながら額に付いていた汗をぬぐう。

 これで本日の訓練は終了と行かずに、このあともまたリッチに召還される配下と戦い、実践方式の戦闘によって経験と能力を鍛える。遊んでないときはこれが基本的な日常である。そして戦い終わった後は総じてそのまま反省会へと突入する。

 そんなわけで、

「それでは今回は何が悪かったと思う」

「あの赤い骸骨の動きが反則だったこと」

 スパンッ!

 いつの間にか背後に回りこんだリタが持っているハリセンによって頭をはたかれる。予想外の威力に後頭部がジンジンと痛みを訴えるが、それを飲み込む。

「んー。やっぱり火力不足?」

「いや、動きに無駄が多すぎることだ」

 どうやらまったく違ったようだ。

「そもそも動きが初心者丸出しなのだよ。1ヶ月でそこまで期待するのは酷かも知れぬが、王国の一般兵には勝てても近衛騎士クラスには圧敗するほどの弱さだぞ」

「最初の30レベは弱らせたのを俺がトドメを刺しただけだしな!」

 スパンッ!

「威張らないでください」

「すんません」

 ふたたびハリセンで叩かれ大人しくする。

 だが事実、初期の玖楼は酷かった。一撃喰らえばそれだけで血まみれの瀕死状態になりまさにヤ○チャ状態だったり、今では避けられるゾンビの攻撃もまったく避けられないほどの弱さ。リッチが適当に作り出した剣を握ろうとしたら1回ふっただけで重すぎて肩が脱臼。

 本当に酷かったのである。

 そのため一撃で倒せる状態にまでリタが追い込み、それに玖楼が止めを刺した。今居る死者の門前付近から移動すればはぐれ幽霊や怨霊の素靴となっているエリアに居るものは、今でも玖楼の二倍の強さを持っているために一人で戦える程度にレベルが上がるのは早かった。

 と言ってもレベルとかなんだか言われても未だしっくりこない。

 良くも悪くも玖楼は現代人である、と言うことなのだろう。

「まぁ、純粋な体術や剣術は仕方がないと言おう。この世界の住人ならだれもが小さい頃から見たりするが、クロウの言っていたような世界では剣を見たりしないのだろう。動きと言うものは一日や二日で身につくものではない。それこそ何度も何度も反復し覚えなくてはいけない。……だからと言って負けたことに対する免罪符にはならぬが」

「あ、やっぱりですか」

「そんなわけでそろそろクロウにも必殺技を覚えてもらおうと思う」

 どうしてそうなる。

「む、嫌そうな顔だな?」

「ぶっちゃけ厨二病は嫌です!剣振り回してるだけでも、ちょwwおまww痛ぇwwwな、状況なので技名前叫んだりする、痛い人たちの仲間入りは激しく嫌だ」

 スパンッ! かちこん! びりびりびり!

 今度はリタのハリセンだけではなく、リッチのステッキとナベリウスの電撃による攻撃まで襲ってくる。もちろんそれを避けたり防ぐ手立てはなく、大人しく体力を1だけ残して黒焦げになる。

 三人は明らかにオーバーキルの攻撃を放っているが、それを喰らっても玖楼は死なない。様子は明らかに瀕死だがそれでも死なない。玖楼と付き合って行く中で、どことなく加減を覚えたのだ。……といっても加減一つ間違えれば死んでしまうので、『手加減の指輪』と言う装備を付け、どんな攻撃をしても絶対体力が1だけ残ると言う状態にしてから、容赦なく攻撃するのが大半である。

 でなければ10回は軽く死んでいる。

 ため息を吐くようなそぶりを取りながらリッチがステッキを握りなおす。

「いいかね? 技を使えるのと使えないのでは戦闘による火力がまったく違うのだよ? 治療するときだって傷薬を使って治すのとそのまま放置して自然に治す、それぐらいの違いさ。どんなに剣の技術を鍛えてもそれは剣の技術であり、決して『技』として使える技術ではない」

「どっちも同じに見えるけどなぁ」

「それは初心者にありがちな意見ですよ」

 事実初心者なのだが、とは言わない。流石にふざけすぎたと反省しているため大人しく話に耳を傾ける。

「槍を効率的に振るうことと、槍をふるって斬撃を飛ばすと言うのは大きな違いですよね? 槍を無駄になく振るう事が決して槍から斬撃を飛ばすと言う行為についてプラスになると言うわけではありません。だからいくら武器の腕前を鍛えても武器の扱いはうまくなっても、それはそれだけ。別に武器で与える威力が飛躍的に上昇するわけじゃないんですよ。……と言っても剣技を教えられるような人はいないんですけどね」

 そう、何かをしようとしても結局はそこだ。真に効率を求めるなら剣をたしなむものに教えを請うのが一番なのだろうが、何故か冥き途から出させてもらえない玖楼では教えてもらえる人材と言うものがいない。

 リッチは魔術と死霊術。

 リタは槍術。

 ナベリウスは多くの魔法を習得している。

 が、初心者に扱いやすいと言う理由で始めた剣では師になれる相手が居ないのだ。こうなったら剣を捨てて槍を取りリタに教えてもらうと言うのも手だが……。

「そんなときこそギュンギュスカー商会!あなたの悩みをお金で解決しましょう!」

「おわっ?!」

 先ほど転移で消えたはずのメイドが再びすぐ傍に立っていた。ナベリウスとリッチは基本的に、感情や驚きと言った表情が見にくいが、少なくともリタは驚いたようで、玖楼はいきなりの接近に驚いたのは自分だけではないようだった。

 そんな周囲を他所に、メイドの手の中には古めかしい本が一冊握られていた。それを見せびらかしながらグイグイっと玖楼のほうへと寄ってゆく。それに対する玖楼の言は一つ。

「どっから沸いた」

「沸いたとはヒドイですねぇ。ギュンギュスカー商会社員たるもの、常に商売のチャンスを逃してはいけないと社則に乗ってますよ!」

 社則なら仕方がない……のか?

「それより今クロウ様は剣術書をお探しですよね? ですよね?だったらででーん! 東方の剣術に関して書かれている秘伝書ですよ秘伝書! 文字が読めなくて正直イラネーとか、そんな扱いをされていたものですがなんとなーく売りつけに来ましたよ!」

「色々と待てよ。オイ」

「さぁさぁ、そんなことを言わずにほらほら!」

 メイドが強引に秘伝書と言われたボロ本を玖楼へと押し付ける。それを玖楼が嫌な顔をしながら受け取るとニコニコ圧力をかけてくるメイドに負け表紙を見る。

そこには日本語で、

「……飛燕乃書? ……ぁ」

 読めちゃった。そう後悔したときには既に遅く、メイドが玖楼の腰についている全財産(雑魚退治で稼いだ)を、それをサイフごとひったくると中のお金を取り出し勘定し、玖楼の所持金の9割を懐へと収めて財布を返す。

「これで今月のノルマ達成!あ、それでは今後もギュンギュスカー商会をご贔屓に」

「もう使わねぇよ!!」

 消えて行くメイドの姿にそうとしか叫べない、玖楼であった。


名前:黒川玖楼
レベル:43
称号:修行中の異邦人
主武器:パラディウム
予備1:なし
予備2:なし
防具:
ドレスシャツ(魔導皮膜処置)
ダメージジーンズ(魔導皮膜処置)
スニーカー(魔導皮膜処置)
装備:なし
戦闘スキル:
必殺・飛燕―――RankF
必殺・我流―――RankF
中型剣  ―――RankE

HP:1/260
MP:0/0
TP:40/40
FS:25/50
攻撃力:113
攻撃回数:1
防御力:83
防御回数:10
魔法攻撃:0
魔法防御:70
肉体速度:15
精神速度:5
攻撃属性:万能
防御属性:万能

発動スキル:
努力家I―――戦闘経験地上昇
臆病  ―――回避率上昇
乗り気でない―――回避率上昇、戦意大幅低下



名前:リッチ
レベル:137
称号:若き不死王
主武器:ぼろぼろのステッキ
予備1:なし
予備2:なし
防具:ぼろぼろのマント
装備:手加減の指輪
戦闘スキル:
魔術・電撃―――RankC
魔術・強化―――RankD
魔術・純粋―――RankC
魔術・火炎―――RankB
魔術・暗黒―――RankB
魔術・死霊―――RankA
杖    ―――RankB


HP:2590/2590
MP:690/690
TP:10/10
FS:50/100
攻撃力:246
攻撃回数:25
防御力:140
防御回数:30
魔法攻撃:510
魔法防御:210
肉体速度:25
精神速度:40
攻撃属性:万能
防御属性:不死+

発動スキル:
霊体破壊I―――敵が『霊体』属性の場合攻撃力が上昇する
不死破壊I―――敵が『不死』属性の場合攻撃力が上昇する
暗黒の守護者I―――防具の属性に左右されずに常に『不死+』の防御属性になる
手加減―――攻撃時に常に発動し、相手のHPが必ず1残る
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| 神殺しで戦女神な物語 | 13:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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