陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第23話 見習い騎士と続獣機戦

「頼むわよ」

「美少女に頼まれた! 美少女頼まれた! フゥハハァー!」

「こいつうぜぇ」


 ティアナの声にエリックが今までにないほどの気合を見せる。メイスを片手に誰よりも前へ、双剣のケンタウロスの前に出る。その動きは左腕を盾にし左半身からスライドするような動きで、メイスは右腕でダラリと下げるように構えている。今まで四人の動きを待っていたケンタウロスが、動き出したまだ若きエース達に対して右の剣で薙ぎ払う。

「ヒューッ!」

『Bash』

 見た目一メートル半はある鉄塊をエリックが衝突の瞬間に左拳の甲で殴りつける。本来は盾か小型のバックラーで受けるのが望ましい攻撃に対して、一極集中型のプロテクションとプロテクションの爆破。二つを接触と同時に行う事により攻撃の威力を落とし、それを弾く。見習い騎士の中で誰よりも防御に優れたエリックの動き。防御による攻撃で片方の鉄塊が動きを止め、軽く弾かれる。これがこの巨大な鉄塊を操るケンタウロスでなければその衝撃で体を吹き飛ばせていた。

 だから、逆の手の鉄塊が振るわれる。

 エリックが右の剣を抑えたのに対して、左の剣に反応したのはルシオだった。薙ぎ払いの動きに対してルシオも片手で大剣を握り、

「ふんっ!」

 それを上段から魔力によって強化された腕を持って振り下ろす。

 勢いと重量のあった敵の剣はルシオに落されるように地面に叩きつけられる。それでもなお止まらない剣の勢いは地面を抉りながら足元からの攻撃を狙う。だが、それは飛び越すことで簡単に回避できる。ルシオもエリックもその攻撃をあっさりと飛び越すことで回避するのと同時、黄色の閃光が動く。

『Stahlmesser』

「一閃必中―――」

 エリオだ。エリックとルシオが止めた両腕の動きのおかげでケンタウロスの体が完全に停止する。カートリッジを使用し強化されたストラーダには魔力刃と電撃が纏われており、機械に突き刺せば致命の一撃となるものが完成している。既にティアナの指示の下二人が前面で抑えている間に横へと回りこんだエリオが加速、一気に前に進む。その向かう先は一つ。ケンタウロスの心臓部分を破壊する勢いで。

 キャロの支援なしでは完全に完成とは言えないその奥義を、

 ケンタウロスは動かずに防ぐ。

「―――クッ」

 エリオの直進を阻んだのは一枚のシールドだった。三角形の魔法陣がそれをベルカ式の防御だと言うことを表している。範囲は狭いが、ミッド式よりは防御力の高い、騎士向けで1対1に有用な魔法だ。空中で突きを放つ姿勢で固まっていたエリオがストラーダを大きく振るいシールドを殴る事で反動をつくり、後ろへと飛ぶ。

「クロスミラージュ……―――ファントムブレイザー」

 三人が戦場でケンタウロスの相手をしている間にティアナ最大の魔法が完成する。元よりティアナは連携なんて一切気にしていなかった。なぜなら半分が初めて会う人間で構成されている中、連携なんてものは不可能だ。出来るのはティアナとエリオ、ルシオとエリック。良く知るもの同士での連携程度だ。だからあえて連携はせず、自分がこの場で最高だと思う個人プレーに任せる。あとは周りを妨害しないように意識した動きを作る。それだけがティアナの指示だった。

 司令塔としては完全に個人の判断に丸投げした行動だが、それは間違ってはいない。

 何より戦闘能力を完全に、そして正しく把握できてない人物を使って戦う事など天才でもなければ難しいのだ。
故にティアナは三人の特性だけを把握していた。

 エリックは防御が固い。確実に前で防御に入る。

 ルシオは一撃が強い。正面から優先して戦う。

 エリオは小回りが利いて素早い。彼には適度な指示を飛ばせる。

 その結果、初撃は完全に三人に任せて自分は今出せる最大の一撃を放つ。それがティアナの結論だった。故にカートリッジを四本使用し、AMFの中でも威力を落とさず放てる最大の一撃、前線から一歩離れた距離から強力な遠距離狙撃魔法を打ち込む。

「シュ―――ト!」

 本来は長距離から発動するそれは中距離から放たれる事によって魔力の大気分散を起こさず、高い威力を持って真っ直ぐ突き進む。狙撃用レーザー魔法がAMFを突き破り―――ケンタウロスがシールドを生み出す。

 だが、そのシールドをファントムブレイザーは貫通する。

 シールド一枚で防御するには強すぎるカートリッジ使用の魔法。それが命中する事を確信していたティアナだが次の瞬間、予想外の光景に裏切られる。

「なっ!?」

 ケンタウロスの体に届こうとしていた魔法は届くその前に、シールドによって阻まれたのだ。しかも今度は一枚ではなく、数枚で。一枚で守りきれぬのであれば二枚。二枚で守りきれぬのであれば三枚で。ファントムブレイザーがシールドを破壊して突き進む度に新たなシールドが出現し、ファントムブレイザーの威力を減退させる。同時にAMFの中に魔法が突入した事によりその存在自体が消えて行く。

 やがて、ケンタウロスに届く頃には放った時の威力は残されていなかった。

「シールドの多重展開って結構高等技能なんだけどなぁ」

 エリックの声を無視し、痺れを切らしたケンタウロスが剣を振り上げる。その剣はただの剣ではなく、その内側にも外側にも魔力が込められており、叩きつければ破壊だけでは済まないほどの威力が備わっている事は一目瞭然だ。その動きを前にエリックがシールドを展開する。

 一枚ではなく五枚同時に。

「俺っちでもこれぐらいがまだ限界だったりー」

「防げなかったら殺す」

「俺っちに味方はいないのか……!」

 声はふざけているが、エリックの表情は真剣そのものだった。次の瞬間振り下ろされた剣に対して足を強く踏み込み、重ねたシールドをもって頭上からの振り下ろしに耐える。振り下ろされた剣がエリックの強固なシールドに触れた瞬間シールドが外側へ向ける爆発を接触のたびに繰り返し、剣の威力を減衰させる。連続して発生するシールドの接触と爆破。それを持ってエリックへと届く頃には剣はその動きを止めていた。

 が、次の瞬間には地面に叩きつけられる。

「アホが……!」

 剣の中に込められた魔力は決して衝撃波を撃ちだすためでも剣の硬度を上げる為でもない。それはエリックの防御に対して剣が動きを止めた場合、魔力を放出する事で擬似的なブースト加速を得る為の魔力だった。制動からトップスピードへの加速は流石に攻撃を止めたばかりのエリックには反応できず、体が床に叩きつけられる。

 が、その瞬間を二人の騎士が見逃さない。

「紫電―――」

「フラム―――」

 炎の変換資質と雷の変換資質。変換資質を通して魔力の変換を行う事で通常の数倍の効率で属性を攻撃に付与する事ができる。エリオ、そしてルシオが自らの変換資質能力を駆使し得物にそれぞれの属性を乗せる。そこに魔力を練り混ぜ、威力を極悪な物としてゆく。さらにはルシオのデバイス、エッケザックスからカートリッジが二本排出される。

「―――一閃」

「―――バスター」

 挟撃する様に紫電と烈火の一撃が炸裂する。ケンタウロスが即座に反応しシールドを生み出し防御に移る。

 が、

「クロスファイアシュ―――ト!」

 二つの極大の一撃が命中する前に、出現するシールドを破るようにカートリッジによる強化が施された誘導弾が炸裂する。誘導弾数発と引き換えにシールドが破壊されると新たなシールドが出現する。が、それすら砕いてティアナは二人への道を生み出す。

 それを許そうとせずケンタウロスは、まだ空いている片手を剣と共に一番近いルシオへと向けて振るう。

 それをシールドが阻む。剣によって叩き潰されたエリックが自身に回復魔法をかけてすぐさま復活し、防御したのだ。

 ケンタウロスの側面から二種の攻撃が叩き込まれる。寸での所で剣を手放す事で腕を軽くしたケンタウロスは腕に魔力を通し、それで防御に入る。

「ッハァァア!」

「邪魔だ」

 が、エリオとルシオの攻撃は強く、その防御を上回って破壊する。ルシオの一撃が食い込んだところから腕は燃え爆ぜ、エリオの一撃を受けた所からは雷光が輝き爆ぜる。衝撃と共にケンタウロスは大きく四脚を動かし後ろへと動く。剣を握る両腕は破壊され、もう剣は握る事ができない。

 その代わりにと、大きく前足が、前身が持ち上がる。なくなった両腕の変わりに武器として選ばれたのは前足。
持ち上げられた前足は魔力が込められるとそのまま勢い良く床へと叩きつけられる。

 その動きで床が砕かれ、津波が発生する。水のではなく、砕かれた床の石と土のつぶての波だが、人間が巻き込まれればひとたまりもない威力を有した波。

 それが中央から割れる。

「往生際が悪い」

 割れた波の間をルシオが疾駆する。一直線に、何にも阻まれることなく最速でケンタウロスへと到達する。その腕に握られているエッケザックスは既にカートリッジが排出されており、

『Demolish』

 エッケザックスが振るわれる。防御のシールドが入るがそれを砕きながらエッケザックスの刀身がケンタウロスの体に叩き込まれる。魔力と物理的衝撃、二つの衝撃が合わさった一撃はケンタウロスの同体に叩き込まれた瞬間ケンタウロスの全身を貫いてその体を吹き飛ばす。

 轟音と共に二つの衝撃が部屋に走る。

 ケルベロスとケンタウロス。二つの新型ガジェットが壁に叩きつけられ、破壊された衝撃だった。

「―――私達の勝ちね」

 ティアナがその光景を見て、静かに勝利を宣言した。


                   ◆


「ふむ、中々面白いね」

 その戦闘をモニター越しに終始眺めていた男が呟く。その視線はモニターの向こう側に見える男女の集まりに向いている。

「スペック的には圧倒していたのだが、何が悪かったのかね? あぁ、そうか。自重しなくてはならないから機能の大半を使えないのが悪かったのか。なるほど、どうりで負けるはずだ。いやはや、しかし、面白い。実に面白い。やはり優秀な人間に育てられるとこうも優秀な魔導師が生まれるのか。幸い此方にも数名優秀なのがいるし、これは頼むべきだろうか」

 唸りながらモニターを見続ける紫髪の男―――ジェイル・スカリエッティは自身の最新作が破壊されたという事実の前に改善点を考えるだけで、特に問題を問題として捉えてなかった。むしろ欠点が存在する事を楽しみ、相手をすることを楽しんでいるようだった。そんなスカリエッティの横にホロウィンドウが出現する。

「ドクター」

「おや、ウーノ。どうしたんだい?」

「このままで宜しいのでしょうか?」

「何がだい?」

「逃げられてしまうかと」

 無表情ながら計画の心配をしてくるウーノの存在にスカリエッティは軽く笑った。

「いや、アレでいい」

「了解しました」

 スカリエッティにはスカリエッティの思惑がある、それだけを理解したウーノがホロウィンドウを消す。彼女にとってスカリエッティこそが至上であり唯一。故にそれ以上思考する必要はないのだ。

 だが、

「"ただの人形に意味はない"だったか、それはそうだ。ウーノがもう少し疑問を持ってくれたら楽しいのだがね」

 そう呟くスカリエッティに背後から声が投げかけられる。

「ならばそう命令すればよかろう」

 スカリエッティは背後を見ない。その存在が誰かを知っているから、そしてモニターから目を離すのが勿体無いから。背中を後ろの存在へと向けたままスカリエッティは答える。

「それではつまらないのだよ。自発的に考えて行動してくれなくては困る。命令して覚えてもらっては人形ごっこと変わらないよ」

「ふ、人形は一生人形だ。外的要因がなければ変化はしない」

「おやおや、君は強力してくれないのかい」

「興味がないな」

 そうかい。そう答えたスカリエッティはその人物に対してさほど興味がないのかモニター前のパネルを操作する。そのパネルにはガジェットから送られてくる映像データが映されており、広間で戦っていた若いエース達のほかにも空で戦うフェイト・テスタロッサや、地下を進む二人の魔導師が映されている。

「良いのか?」

「何がだね?」

「合流されるぞ」

 スカリエッティの映すスクリーンの中、地下を突き進む魔導師たちは襲い掛かってくるガジェットを全て破壊し、目的地へと近づいている。その速度はかなりのもので合流するまでそう時間がかかりはしないだろう。

「ふむ、確かに問題だね。合流を演出しないと舞台監督としては失敗だ」

 呆れるような溜息がスカリエッティの背後で発され、気配が消える。再びひとりだけとなったモニタールームでスカリエッティはパネルを操作すると破壊されたばかりのガジェットと、それと同型のガジェットにアクセスする。その表情は楽しそうで、玩具で遊ぶような子供のそれだった。

「さて、"欲望のままに生きる"だったね。その言葉はとても魅力的だよ」

 パネルを操作し、アクセスし、それを転送する。

「とりあえず―――もう四体ほど追加するか」

 ガジェット獣型。

 既に量産体制は完了していた。
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| 不良騎士道 | 14:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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