陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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解放 ―――イン・ザ・ダーク

推奨BGM:Unus Mundus


 深い闇の中を沈んで行く。体が重力に引っ張られて行くようにどんどん下へと向かって沈んで行く。背中から落ちてゆくこの深い闇の中、これが一瞬で現実ではない事を悟る。ここは違う。どこか違う。それを本能と、そして直感が告げていた。ただ怖い。恐怖しか感じられない。ここがどこかわからないが本能的恐怖しかこの状況ん委は感じられなかった。体は少しだけだが震え、そして歯は震えと共にカチカチと音を鳴らす。絶対的存在に睨まれている。見られている。常に監視されている。そんな考えが自分の脳を貫く。自分の挙動を一部も逃すことなく見つめられているように思える。


 ここはどこなんだろうか、と思考が生まれる。限りなく全てが鈍化されて行く世界の中で、思考だけは絶えることなく続いていた。それだけは絶えてはいけないと誰かに言われているような気がして。思考だけは流し続けろと誰かに教わった事を思い出して。だから考える事だけは絶対にやめない。故に思考する―――これは夢なんだろうと。理解できることを理解する。それはとても大事な事だ。理解できることをしようとせず、そのまま破滅する人間はいる……というのが相棒の言葉だ。だから自分の心に刻み込む。ここは夢だ。僕は沈んでなんかいない。ここは決して地獄の底ではない。

 そう理解した瞬間、世界は少しずつ形を変えてゆく。闇しかなかった世界に少しずつだが光が満ちはじめる。下から、背中を照らす様に光が生まれる。愛と優しさで溢れる光、弱々しくも世界を照らそうとする光だ。それが背中から落ち続ける自分の体に少しずつだが、だが確実に力を満たしてくれている。わずかだが、体を動かす事が出来るようになってくる。その力を受けて無限に落下し続ける体を何とか引っ繰り返し、視線を下へと向ける。闇の底には光が見える。底へと向かってゆく自分は間違いなく到達するだろう。そして、底へと近づくにつれて光は少しずつ強くなってくる。まるで歓迎する様に光は此方の全身を包み込み、そして抱きしめてくれる。夢の中で見る不思議な現象であるというのに、不思議と不信感も違和感もなく―――ただ抱く感情は懐かしさだ。何故だろう。知っている、様に思える。この光を自分は生まれる前から知っている様に感じる。

「―――■■■■■■■■」


 声が聞こえた気がした。だがまるで違う言語のようで。その言葉の意味は理解できない。ただそれは深い情念のこもった言葉だった。言葉は理解できなくともその声には深い意味があると悟る。まるでかすれた金属の様な声だが、それは自分にとっては不思議と心地の良いものだった。だからそれを耳にしながら、段々と水底へと落ちてゆく。ただ夢の流れに身を任せ、落下を続ける。

 そして、到着する。

 もうそこは海ではなかった。見えるのは視界が許す限りの黄昏の色と白い砂と、そして黄昏に染まった大きな水の塊。それが砂浜であり、海であると気づくには少しだけ時間がかかった。苗ならこんな光景、自分は一度たりとも見た事がないからだ。砂浜も、海も、本やキリトを通して知識だけとして知っているものだ。何せ―――この世界に海なんて存在しないからだ。だからこれが海だと理解するのに時間はかかった。夢の世界であるとはいえ、それを初めて目撃し―――感動するには十分すぎる程美しく、そして幻想的な風景だった。

「―――」

 そこに誰かが現れる。視線を其方へと向ける。そこには”誰か”がいた。だが見えない。いや、見えてはいるのだがチャンネルが会わない。まるで陽炎のように揺らめいているよう思えれば闇の様に黒く塗りつぶされているようで、霧のように向こう側が透けて見えている。ただ理解できるのは”理解できない”という事と、そしてこの存在を正しく見る事が出来ないという事だけだった。だが声の主がこの存在であると直感する。この人物がこの夢の王。この黄昏色の浜辺の主。ここに存在し、何かを待ち望んでいるという事だけは理解した。ただそれがなんなのかは解らない。sおもそも意志を通う事が可能かさえ不明だ。ただ夢の主と対面し、そしてその姿を眺める。交わす言葉はなく、静かな時だけが流れてゆく。だが不思議と嫌悪感はない。あの光同様、そこには懐かしさしか存在しない。

 不意に、影が口を開く。

「―――時よ止まれ、君は何よりも美しいから」

 理解できる言語だった。それは不思議と自分の心奥底へと刻まれた。これだけは忘れてはならない。これは根幹だ。自分にとってhア信念に匹敵する程の大事な言葉―――いや、これは自分の願いだ、そう理解した。そしてそれを理解した直後、その姿は薄れ、掠れ、そして消えゆく。それ以上言葉を残すことなく姿を消す。

 次の瞬間、黄昏の世界は砕け散った。

 再び夢の世界へと放り出され、身体が落下が始まる。ただそれは名が続かない。急速な意識の浮上を感じるからだ。だがその中で、どこか、呟くような声がするのを感じ取る。

「―――努々忘れるてはいかぬよ。渇望を。己の生まれた意味を。腕の場所を」

 夢の終わり。



                           ◆


「っ!」

 目が覚める。体を持ち上げる。洗い息を吐き出しながら上半身を持ち上げる。そうやって自分の心を落ち着ける。先ほどまで見ていた夢の内容は―――覚えている。忘れてはいない。そこに現実の様にこびりついて放してくれない。まるで誰かに本の内容を直接頭の中へと叩き込まれたような感覚だ―――気持ちが悪い。顔を両手で覆うとして、じゃり、と音が鳴るのを確認して自分の姿を見る。その両手には鎖がつながられ、そして服装は簡素なものに変わっていた。足を確認すれば足にも鎖は巻かれ、そしてそれは壁に繋がられていた。壁も完全に石造り、窓はなく、そして扉は鉄でできている。自分の体はシンプルなつくりのベッドの上で、それが全てだった。あぁ、そうか、と声を零して自分の状況を理解する。

「僕達……掴まったんだ」

 禁忌目録を破って、逃げようとして、そして学院長に掴まったのだ。あの圧倒的実力、元整合騎士と言われても絶対に疑わないどころか、アレなら闇の国の魔王達とも戦えるんではないかと疑う。キリトを一撃で倒したという事実はあまりにも衝撃的過ぎた。ベッドから降りようと体を動かせばじゃりじゃり、と鎖が音を鳴らす。これは精神的にクルなぁ、と呟きながら動く。だが鎖はそんなに長くはなく、扉まで移動しようとしているとそこまで動く事が出来ず、半分の距離で鎖は伸びきった状態になる。なるほど、かなり徹底していると解る。

「はぁ……」

 小さく溜息を零しながら部屋を見渡す。見た所石造りの牢屋だが―――罅や傷の一切は見かけない。それもそうだ。禁忌目録は破れないのに、破った事のある人物なんて聞いたこともないのに、牢屋が傷ついているわけがない。誰かが使用したことあるわけがない。―――僕とキリトで初使用なんじゃないだろうか、この牢屋は。どうしようもない考えが脳に浮かび上がり、溜息と共に洗い流す。しょうもない事を考えて何をしているのだ。状況はめちゃくちゃ酷いのだから、もっと別の事を考えなくてはいけないだろう。

 もはや見る事の出来ない片目を抑えて、やはりそこには何もない事を理解してから再び、牢屋にキリトがいない事を確認する。ならキリトは別の牢屋にいる筈だ。それが近い事を祈って、少しだけ大きな声を出す。

「……キリト……?」

 名前を口に出して反応を待つ。一秒、二病と経過し、そして―――、

「やっほ―――! あー、暇で死ぬかと思った。脱獄しようぜユージオー」

 キリトはキリトだった。めちゃくちゃブレない。激しくブレない。何時も通りの声に物凄く安心する。ほ、と息を吐いて友人の無事を確認すると安心感が生まれてくる。キリトがいるのであれば話は違う。あの滅茶苦茶な力でここから脱獄する事は簡単だろう―――そう簡単に思ってしまっている自分に少しだけ恐ろしさを感じなくもないが。仕方がない。そう、最初から自分はアリスを探しに来たのだ。だったらこうなってしまえば半分自暴自棄だ。やれる所までやるしかない。ということで、キリトに脱出を頼もうとした矢先、

「ユージオ、お前扉ぶちやぶれね?」

「キリトみたいに人間やめてないんだから僕にそれができるわけないでしょ。それよりもキリトが先に扉ぶち破ってよ。その方が楽でしょ」

 呆れつつキリトに先に助けてくれるように頼むが、キリトはそれをあっさりと無理、と否定する。何事だ、と思ってキリトに話を進めるように促すと、キリトは苦笑と少しだけ困った様子を声に色として混ぜて話す。

「―――手が炭になったままで何ももてねぇや」

「キリト!? 大丈夫なのか!?」

 たぶん、いや、確実に主犯は学院長。あの逃走を試みた時に―――。

「大丈夫。たぶんエレオノーレさんがやったんだと思う。直そうとしても全く治らないや」

 キリトが治らないというのだからなんらかの処置が施されているのだろう、キリトが治療できない様に。そうなるとここでの難易度は一気に変わってくる。ここからの脱出のハードルが一気に跳ね上がる。キリトの力を使えばここから脱出する事は難しくはないが、それがないとなると脱出は絶望的だ。

「ま、軽く気配探った感じ看守はいないっぽいし、雑談したりも出来るし―――十分教える時間もあるだろう」

 そういえば先ほどから声を置きくして会話しているのに誰から横y来が入らない。というとこの牢屋には自分たち以外には誰もいないのだろう。そうとなれば、キリトがすることは―――。

「―――ユージオ、脱出するためにお前に心意を教えるぜ。何、大丈夫。ツンデレスナイパー焦女にもできたんだ。お前にできない理由はないさ」

「ごめん、一気に不安になった」

 はたしてここから無事に脱出する事は出来るのだろうか。


                           ◆


「―――失礼します」

 頭を下げて隊舎に入る。そこには探していた人物がいた。礼儀として腕を胸に当て、一礼する。その動作を相手は静かに受け入れて此方へと視線を向ける。それが相手にとって此方の話を受け入れてくれる動作だと理解しつつ、口を開く。

「禁忌目録を破った者がいると聞き及びました」

「あぁ、そうだな―――ここ数年で三人だ。お前が撃退した一人、そして学院生を斬り殺した二人で三人だ。はっきり言って歴史上ここまで禁忌目録に逆らえた存在はいない。近年の闇の勢力の活性化と合わせて異常な状況だ」

 その言葉につばを飲み込む。思い出すのは数年前、此処まで踏み込んできた自分に斬りかかってきた相手だ。途中までは殺す気で襲い掛かってきたのは覚えている。だが最後の方が少しだけ、動きがおかしかったように感じる。ともあれ、相手は確実に禁忌目録を破っていたと思われる行動を複数取っていた。今回の件同様、かなり重要な話だ。

「闇の勢力に呼応し、禁忌目録を破るものが現れているのでしょうか」

「そうとも取れるし、そうとも取れない。確実な事は確証を得てからしか話す事は許されない。ただ現実問題として異常な事態であることに間違いはない。そしてどちらも厄介な事案だ。その二つを結びつける何かが見つかるまでは繋がっているとは言えないが―――勘としては何かある、と言えるだろう。お前にもそれなりの頑張ってもらう、期待しているぞ?」

「ハッ!」

 応答し、そして質問する。

「―――ベルクーリ殿、掴まった者達はどうなる予定なのでしょうか」

 さてな、とベルクーリは答え。

「―――気になるか? ま、十中八九お前の様に儀式を経て整合騎士となるだろう。何せどちらも学院史上最強候補と呼ばれるだけの剣士だったらしいからな。その場合はお前の後輩だ。しっかりと面倒を見てやれよ―――アリス」

「了解しました」

 ―――セントラルカセドラルを中心に、何か、何かが始まるのを感じていた。
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| 断頭の剣鬼 | 11:06 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ユージオの刹那フラグ?
けどここではシャヘルと融合したんじゃなかったか。
あといよいよユージオが人間を辞めるときがきたか

| シオウ | 2013/09/01 13:14 | URL | ≫ EDIT

”ツンデレスナイパー焦女”って、キリトさんェ・・・。
本人が知ったら、消し炭にされまっせ・・・。

ユージオのフラクトライトは・・・いや、なんでもない。

| 断章の接合者 | 2013/09/01 15:12 | URL | ≫ EDIT

 更新お疲れ様です。
 ついに物語が動き始めましたね。
 
 ユージオが見た黄昏の夢は後にどのような事態を引き起こすのでしょうか。そしてユージオは無事に中二病を発症できるのか。

| 黒羽鴉 | 2013/09/10 01:28 | URL |















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