陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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修剣士 ―――ウィーピング・レインズ

推奨BGM:Bottomless Pit


ざぁざぁと雨が降っている。

 いや、振っているという割には強い。どしゃぶりだ。今も強く雨が窓に叩きつけられ、轟音を奏でている。普通なら五月蠅いと思うこの音も、自分はそう嫌いなものではない。少なくとも昔からこういう雨の強すぎる日は特例としてギガスシダー伐採の作業を休むことができた、特別な日なのだ。だから少し不謹慎だと解りつつも、雨の日はそう嫌いでもなかった。ただこの学院へとやってきてから、雨の日はつまり屋内での修練を意味する。それは他の修剣士にとっても同じような状況となるのだ。……つまり非常に面倒なことながら、あの馬鹿と同じ空間で訓練する必要性が出てくるのだ。そしてそれは非常に我慢ならない事だ。というよりも、アレがいる間は訓練にすらならない。だからこういう雨の日は限ってやることは変わらない。

 自分に与えられた部屋、その部屋のソファの上に座りながら青薔薇の剣を磨く。

 この不思議な材質で生み出された剣が本当に磨く事が必要なのかどうかは怪しい。窓を開いて青薔薇の剣の天命値を見たとしよう―――その数字は握ったその最初の日から1たりとも減ってはいない。傷つくどころか劣化の気配すら見せない芸術だった。いやもしこれが芸術的だとすればこれは間違いなく至高であり、完成品としてしかるべきだ。だがこれは兵器、戦い、命を奪うための道具だ。そこに芸術性は生まれてはならない。だが、この刃を見ているとそれを忘れる。そしてこれを磨く事は一種の瞑想だと思っている。

 ……この刃は鏡だ。


 そう、鏡。このどこまでも青く、透き通り、そして光を溜め込む様な美しさの剣。青薔薇の細工が施された神器。これは自らの心を映し出す鏡だと思っている。最初は意味の分からなかった精神修行も回数を重ねれば理解できるし、更に回数を重ねれば慣れる。そしてそこから更に回数を重ねればもはや習慣で、そこからは趣味の領域に入ってくる。キリトは趣味にまではしなくていいと言っていたが、こうやって刃をみがき、それに映る自分を見るたびに思う。

 ―――なんて、汚いんだ。

 汚れている。自分はおそらく、キリトが思っている以上に自己中心的で傲慢な人間だ。この刃を磨くたびに自分の醜さを自覚させられる。ユージオ、ルーリッド村のユージオ。木こりとして生まれ、木こりとして死ぬはずだった少年。それも今では世界一の剣士を決めるための大会の有力候補となっている。―――だがそれは自分の力ではない。一時は消えていた幼馴染、キリトが戻ってきてからこそ起きた事だ。そこにマサキがいた事も忘れない。完全に消えてしまった彼がどこへ行ったのか、その消息もかなり悩むところだ。だが、それをどうでもよく感じている自分がいる。

 なんて、浅ましい。

 気づけばひたすら力を求めている自分だけがいる。正直な話、マサキの事も少しだけだが、大丈夫だ、僕よりも強い、心配する必要はない―――そう思って忘れようとしている自分がいる事に納得している。判断するだけならそれはそれで正しいのだ。彼は自分よりも遥かに強い。だから心配する事すらおこがましいのに、心の中でそれは絶対に違うと断定している自分もいる。だから、こうやって剣を磨き、刃の映る己を見る時間は貴重だと思う。

 ……僕は、どこへ行くんだろう。

 それは小さな不安だ。いや、自分がキリトに連れられた確実にセントラルカセドラルへ、アリスの下へと向かって進んでいる事に間違いはない。だがこの行進自体が”上手くいきすぎている”用に感じられてしまって、どうしようもなく不安しか感じられない。キリトへそんな事を伝えても、キリトは抗えないとしか答え、口を閉ざす。だから解らない。僕はどうなっているんだ。僕は何処へ向かっているんだ。僕は―――僕は―――いったいなんなんだ。

 一体なんなんだ、僕は。

 疑問に答えは生まれない。ルーリッドのユージオなのか、上級修剣士のユージオなのか、キリトの引き立て役のユージオなのか、もしくは……何物でもない、ただのユージオなのか。解らない、何もかも、自分の本当に知りたい事だけは、その答えが得られない。その事実に毎回落胆し、そして頭の外へ追い出そうとし、そして彼を見る。

 近くのベッドの上で寝転がりながら黒い剣を磨くキリトの姿。その姿は丁寧にやっている自分とは対照的で非常にぞんざい、というよりも適当だ。ただ磨いているのは確かで、キリトが握る黒い剣には一切の汚れも曇りもない。真面目にやっているこっちがばかばかしくなるような態度だ。だがキリトの完璧超人っぷりは今に始まった事ではない。そのうちに”心意のちょっとした応用で”とか言って何でもできてしまいそうな気がする。いや、それはそれで怖いのだが。

「なあ、キリト」

「んぁー?」

 ものすごくやる気のない声が帰ってくる。だがそれでも視線は此方へと向いている。だから、と、前から思っていた事を口に出す事にする。

「それ、いい加減名前付けないの?」

「これか?」

 そう言ってキリトは握っている剣を見せる。それはギガスシダーの枝を元に作られた剣だ。ギガスシダーが何百何千年と食い続けてきた恵みを受けた一番太く、一番硬い枝。それを削って研いで生まれた剣。鍛冶師のカインによると、それは剣の形となった時点で自然とそれ以上傷つける事が出来なくなったと聞く。まるで最初から剣の形として生み出されるのを待っていたかのような、というのがカインの言葉。それを黙って聞いていたキリトは何も言わず、感謝の言葉を告げて振るっていた。

「そうだなぁ、コイツに名前はまだないよ」

「黒いの、とかソレ、じゃちょっと可哀想なんじゃないか?」

「ま、今はそれでいいんだよ。こいつが振るわれるのももう少し先の事だろうし。それに―――本当にコイツの力が必要になったら名前は生まれてくるさ。運命の車輪を回すのは俺達じゃなくて、何時だって俺達を見下している神様連中の仕事だ。俺達は回される車輪の上で必死に足掻いて足掻いて、そして落ちるその時まで走り続けるだけなんだ。だから心配はいらない。”ソレ”が”そう”であるように、これも”そういうモノ”なんだよ、ユージオ」

「ごめん、言っている事が全く理解できない」

「ま、だろうな」

 そう言ってキリトは苦笑すると、真剣な表情を見せる。

「 ……俺も偶に正気かそうなのか解らなくなってくるよ、ユージオ。運命とか、神様とか、魔人とか、フラクトライト、STL、永劫破壊、聖遺物―――どれもこれも意味が解らない事ばかりだよユージオ。ほんと、俺は何のために生まれてきて何でこんな所にいるんだろうな。真剣に全部考えようとすると発狂しちゃいそうで、あぁ、今も本当に俺が正気なのかどうなのか全くわからないや……ははは……」

「キリ……ト……?」

 キリトの不安定な姿に思わず心が揺さぶられる。言っている意味の大半は解らないが、それでもキリトの見せる陰鬱な姿は此方の心を揺さぶるには十分すぎる姿だった。ただキリトが見せるその姿も一瞬のものだ。数瞬後には頭を横へ振り、何時も通りのキリトがそこに吐いた。ただ少し前まで見せていたキリトのあの姿は、どうしようもなく忘れられそうにない。

「あー、止め止め! テンション下がってきた!」

 そう言うとキリトはベッドから飛び降りて窓を開ける。もt論雨は強く振っているので、窓から大粒の雨が入り込んでくる。

「ちょ、キリト!」

「ちょっとコンビニに行ってくる」

「コンビニってなんだよ!? どこなんだよそれ!? というか衝動に任せて行動しないで―――!」

 ヒャッホー、という奇声を上げながらキリトは開け放った窓から外へと飛び出していった。その現場へと素早く走り寄り、雨が本格的に床を濡らす前に窓を閉める。だがそれだけでも既に雨水は入り込んでいる。おかげでびっしょりと顔は濡れてしまった。キリトめ、帰ってきたらふかせてやる―――と思ったが、このまま放置していたら床の天命値が水のせいで減って行ってしまう。確かキリトはこれを腐るというんだったか、ともあれ、拭くのであれば早めにしなくてはならない。

 どうにかしよう、そう思った時、扉は叩かれた。時間を思い出しながら確認すれば、既に四時半ごろを過ぎている。ティーゼとロニエが掃除の為にやってくる時間は大きく過ぎている。少々心配も下が、どうやら到着した様子だった。そう思い扉を開けると、

 目の前に立っていたのは違う少女だった。ロニエともティーゼともにつかない焦女、だが彼女の事は二人から聞いている。

「あ、あの……ここはユージオ上級修剣士殿の部屋で宜しいのでしょうか……?」

「君は―――フレニーカだね?」

「は、はい」

 フレニーカ、あの”馬鹿”の傍付だ。非常に不幸な事だと思うし、同情もする。ただそれに関しては自分とキリトで策を打ってあるのだ。教員へ待遇に関しての書類とフレニーカの不満、それを送る事によって発言力の低下を嫌がるあの馬鹿を抑え込むことができる筈なのだ。それでもだめだった場合はキリトが最終手段を取ると言っていたが、それに関してはこっちはまだ知らされていない。ただ安心してもいい状況のはずだが、

「ティーゼ達に何か頼まれたのかい?」

 彼女がここへ来たのはティーゼ達の代理だろうと思って話しかけた所で、違和感に気づく。

 ……妙に憔悴している?

 フレニーカの様子が妙に憔悴しているように見えている。いや、明らかに声を荒げて空気を求めている。尋常じゃない様子に、ティーゼ達に何かがあった事を悟る、そしてそれを理解するのと同時にフレニーカの肩を優しく、なるべく気をつけて掴む。

「ゆっくりでいい、―――ティーゼ達に何があった」

「あ、あの、その、実はライオネル上級修剣士殿に最近―――」

 あぁ、なるほど。―――あの馬鹿が―――!

 そこまで話を聞けば解る。大体理解できた。あの馬鹿はそれでもフレニーカへのハラスメントを止めなかったのだ。いや、止めなかったのではない。わざと続けていたのだ。目的はこっちではなく、元からティーゼやロニエの方だったのだ。

「ティーゼ達が向かったのは何時!?」

「え、何で……いえ、大体三時ぐらい―――」

「クソ!」

 青薔薇の剣を投げ、それを壁に突き刺す。すぐ横でフレニーカが小さな悲鳴を上げるが、あの宝剣を持ち出している所を見られた方がヤバイので、丁寧に億時間もないから壁に突き刺させておく。

 走る。

 フレニーカの頭を軽く飛び越え、そのまま一気に上の回へと走り上がる。周りの視線が合ったとしても、それを気にする余裕はない。いや、体裁とかを気にする必要はない。余裕もない。だからあらゆる物理的障害を全て回避し、全速力で目的地へ、ライオネル上級修剣士の部屋へと向かう。

 そして到着し―――

「っぁ!」

 目の痛みを無視して扉を蹴り破る。

 痛い。が、まだ無視できる痛みだ。蹴破った扉の向こう側で声と気配がする。募るばかりの焦燥感を抑え込みながら蹴破った扉の向こう側―――そこに見えたのは五つの姿だった。

 ライオネルとその腰ぎんちゃく二人。

 そして―――蹂躙され、衣服を剥ぎ取られた二人の少女の姿だった。

「ラ、イ、オ、ネェェェ―――ル!!」

 殺意が体の底から溢れ出す。腰に差してある刃へと手が伸びる。瞬間、激痛が右目を襲う。全身の動きを一瞬で抑え込む様に発生した痛みは想像を絶する、だが、それよりも目の前の外道に対する怒りと殺意が先走る。右目から視界が消えるのを知覚するのと同時に、

 刃を抜き放たれ、

 鮮血が舞った。




 質問があったので、CCCはモチベーションが高まったらこーしんしますよ。でも基本断頭以外は更新超適当なので、そこは覚えていてね! あとそこ、誤字に関しては報告されない限り直す気ないので気になったら報告しよう。報告しないで楽しむ奴が多すぎるんだけどな 

( ゚д゚)、ペッ 貴様らなに誤字でにやにやしやがってんだ。

 ともあれ、もう少しで始まりますよー。チキチキ、セントラルカセドラル攻略マラソン
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| 断頭の剣鬼 | 13:08 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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| | 2013/08/11 16:41 | |

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| | 2013/08/11 16:47 | |















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