陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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修剣士 ―――ナイト・アフター・ナイト

推奨BGM:Unus Mundus
*1推奨BGM:Bottomless Pit


 ティーゼに相談された事だ。それを後回しにする理由はなく、素早く行動に移る。上級修剣士は基本的に自習にて修練を積む為、フラフラとしていて昼間の内は捕まえる事が難しい。必然的に、相手を訪ねる事が出来るのは夜中になってくる。夜中であれば確実に相手が寮内にいる事が解るからだ。だからこそキリトを連れて二人で夜中、ライオネル上級修剣士を問いただしに行こうと話を持ちかけた。

 が、

 ”あ、攻略系の仕事があるんで俺はパスで”

 等という意味不明な事を言ってキリトは一緒に来ることを拒否した。何時も通り平気な顔で校則違反をし、校舎の外へと一瞬で出て行った。相変わらず自由な奴だとは思ったが、曲った事が嫌いな奴でもあると思った。だからこそ、キリトがこういう事に関して関わらず、どこかへと向かったのは予想外だった。予想外過ぎて、少しだけ寂しかった。何故手伝ってくれないか、という言葉をその時は飲み込んだ。キリトは確かに相棒ではあるが、1から10までは常に一緒にやる必要はないのだ。キリトにはキリトの事情があり、すべきことがある、だから責める事は出来ない。できないが―――それでも、飛びついてくると思ったので少々失望したところはある。


 ともあれ、キリトに頼る事が出来ない現状、一人でライオネルの所へと向かわなくてはならない。まあ、相手はそこまで凄い人物でもない。が、問題は問題だ。それなりの覚悟を持って、なるべく気負わずにライオネルの部屋の前に立つ。軽く咳払いをして立つ扉の前で、目を閉じて部屋の向こう側に感じる気配は三つ。ライオネルと、彼のお気に入りの二人だろう。……一応部屋の中で襲われた場合を考えておく。ありえない話だが、好ましくない相手と相対する時は、常に戦うという選択肢を頭に入れておけ、というのがキリトの談だ。その意味も必要性も良く解らない。だがとりあえず、腰に剣を帯刀しておくことに越した事はない。それが自分の自信を保たせるものであると認識しておく。

 消灯時間一時間前、確実にライオネルがいると解っているタイミングで彼の部屋の扉を叩く。扉の向こう側から聞こえていた軽い喧騒がなくなる。

「宵時に失礼しますリオネル修剣士。少々お話が合り、少しばかり時間を割けないかと思いまして」

 屑相手にはそれなりに上手く言葉を使ったのではないかと思う。本当ならこんな風に喋る事も嫌なのだが、相手を上手く乗せて言質を引き出さなくてはならない。とすれば、此方は下手にでて、相手の油断を引き出す事しかできない。……まあ、威圧して脅した方が早いんじゃないのか? 何て考えが脳に一瞬浮かんできたのは某黒の剣士の教育方針のたまものだと思っておく。

「―――無礼な!! 貴様ライオネル殿を何だと心得る!? このような宵時に来るのであれば―――」

 酷く癇に障る声だと思う。そして実に面倒なやつだ。ライオネルの腰ぎんちゃくその1。大した実力もないのにライオネルに取り入る事でその権力の一部の力を振るっている。そしてそれが自分のものだと勘違いしている。上級修剣士となっている以上、一定以上の実力はあるに違いない。だがそれは明らかに上級修剣士の中でも下位に属するものだ。取るに足らない雑魚だ。

「良い、良いではないか。ユージオ修剣士殿が珍しく訪ねたいと言っているのであるからここは同じ上級修剣士として訪問を認めるべきではないのかね?」

「……失礼します」

 ……上から目線だな。

 そう思う。今の一言には色々とライオネル側の思想が見て取れる発言だった。一に同じ上州修剣士、という発言はまずライオネルがこの学院における自分とライオネルの位階は同じであることを主張している。貴様と俺の間では剣士としては何も変わらないと。そして次に認めるべきではないのかね、という発言が存在としてライオネルの方が上だという事を発言している。認める、という事は上位の者が下位の者に許しを与える行為でもある。つまりライオネルはこう主張している―――俺とお前は学生としては同位の存在かもしれない、だが存在としては俺はお前の上に立っているぞ、と。

 意地汚い。

 ここではそんなもの飾りにしかならないのに、お前は対抗試合でも家柄とかくだらないものを振るって戦うつもりなのか? と問いただしたくなる。そんな無意味な虚栄を張るから弱い。本当に強い存在がどんな存在なのか、自分は目で見て、経験して、そしてともに時間を過ごしてきた。だから彼らのくだらない努力が笑えてくる。それを見せない様にしながら、部屋の中へと入り、見る。

 やはりと言うべきか、ヒャの中にいるのはライオネルと、そして彼の腰ぎんちゃくの二人だった。ただ少々気になるのはライオネルが此方を見てにやにやと笑みを浮かべていた事だった。それは、

 ……確信?

 そう、何かを確信したかのような表情だった。自分が何のためにここへ来たのか、それを悟っているような顔だ。おそらく、確実に”黒”だ。こいつはティーゼの言っているフレニーカという少女へのハラスメント行為を行っていた。いや、行っている。そしてそれを自覚しているから勝利の核心をしている。こいつはそれを逆手にとって此方を追いつめるつもりだ、と。

「ライオネル修剣士、話によれば貴方は世話役としてついた傍付に対して少々不適切な指示を出しているという事を聞きました。その事に関して少々話を聞かせていただきたいのですが宜しいでしょうか?」

 その言葉に反応するのはライオネルではなく、周りにいた二人だ。此方の言い方は簡単に説明すれば”善と悪”という区別ではかれる。この場合、自分が規律のサイドとしてライオネルの問題を確かめに来た、というスタンスだ必然的にライオネルが問題を起こした悪のサイドとして処理される。それに対して怒りを二人は抱いている。

 あと敬意とか別にないんでさりげなく”殿”を外しておく。

 だがそれを口にする前に、ライオネルは手を横へと伸ばす。

「良いではないか? あー、それよりユージオ修剣士殿? その話は一体誰から聞いたのかね?」

 ここで一瞬ティーゼの名を出していいのか迷うが、ロニエもティーゼもちゃんとした証人だ―――だが、名を出さない方がいいだろう。この場合、彼らの牙が彼女たちにまで届く場合がある。だからあえてぼかしつつ、

「それに関してはフレニーカ修剣士の友人から話を聞いたものです。それに関しては少々込み入った部分を聞きまして、ほぼ確実なものではないかと思います」

「ほう―――つまり直接聞いたものではない、と」

 まるで此方の首を取ったかのようにライオネルが言葉を飛ばしてくる。その声に熱がこもっているのが容易に解る。そしてライオネルの真意を悟る。あぁ、なるほど、と。

「それは少々不敬ではないのかねユージオ修剣士殿? 私は自分の傍付が”一切の文句を言っていない”事を理解しているし、把握している。であれば、彼女が”文句を言う事はありえない”話なのだ。一体誰の話を信じてこんな行動へと出たのかは解らないが、直接私の傍付から話を聞いたわけでもないのに軽薄な行動ではなかったのだろうか? これに関しては私が教師に対して話を通してもおかしくはないぞ」

 ―――元からフレニーカは此方を釣りあげるための餌だったのだ。フレニーカという餌を通して友達を、いや、ティーゼとロニエが同室だと知って利用した。確実に慕われている僕とキリトが食いついてくるという事を理解して。予想外に悪知恵が回る奴だと理解した。そして剣の世界ではどうしようもない技能だとも。こいつの目的は最初から一つだけだ。

「ですが」

 ニンマリとライオネルは笑みを浮かべる。

「私にも貴族として、それなりに慈悲深い心を持っています。下民の間違いを一つ一つ罰していたのでは日が暮れてしまいます。どれだけ不敬であろうとも、今は貴族ではなく同じ上級修剣士としてこの学び舎で剣を共に磨く仲です」

 欲も心に思っていない言葉を吐けるものだと思う。それに興奮からか、大分取り繕い忘れている。貴族として、と宣言したのに貴族ではなく学生として、と宣言している。そして下民とさりげなく此方に対する本音も漏らしている。面倒で、癪に障るが、頭のいい奴だと思う。

 さて、どうするべきか。

「ここでユージオ修剣士殿がそれなりの誠意を此方に対して見せるのであれば私としても先ほどの事に関しては忘れなくもありません。さて、どうしますかユージオ修剣士殿?」

 ここで頭を下げるのは簡単だ。だがその、確実に問題になる。なぜならこれは後を引くからだ。ここで自分が頭を下げて謝ればライオネルは調子に乗り、この手段が通じるという事を覚えてしまう。だがそれはいけない。何せ、ライオネルを調子付かせたら確実に被害が増えるからだ。結局の所この男には誇りはなく、あるのはガキの様なプライドなのだ。そしてそれがこの男を形作っているからうんざりする。だからどうするべきか。ここで自分が教師に報告されれば間違いなく次の試験や心象に対して響くものがある。それは確実に自分とキリトの目的を邪魔する事になる。

 なら、

「―――おーっす」*1

 そんな気の抜けた声がする。しかもそれは自分の後方ではなく、前方から聞こえる。位置としてはライオネルの背後だ。そしてそこで見える光景に駆るく絶句する。その様子を見て、ライオネルらも後ろへと振り返る。そして同じく目の当たりにした光景に絶句する。

「き、き、貴様は……!」

「ちーっす、キリト君でーす」

 キリトだった。お得意の窓からの侵入。だがここは三階なのだ。二階までだったらまだ理解できるだろうが、三階の窓まで跳び移ってきたのだ、この馬鹿は。得意気な表情を浮かべながらキリトはワンクションでライオネルを飛び越え、此方の横へと着地する。常識的に考えてありえない。今のキリトのワンアクションにどれだけの校則違反があったのだと思う。相変わらずめちゃくちゃだ。だからこそこんな不名誉な称号をつけられてしまうのだ。

「―――化け物」

 それが誰の漏らした言葉かは解らない。が、キリトという存在を説明する上ではこれ以上なく適切過ぎる言葉だ。だgそれすらもかすむ存在がいる事をキリトは示唆している。それは一体どこの修羅の国を離しているのだろうか。

 だが、まあ、

 キリトの存在はこの状況、かなり心強い。彼が現れてくれたことに感謝している。その表情を見るに、たぶんこの状況を把握しているのだろう。その手段は解らないが。

「き、キリト修剣士殿」

「おう、俺だぜ」

 ライオネルでさえ、キリトと直接対面するとこういう風にすくみ上る。僕の前ではあれだけ饒舌だった彼の弁舌も、キリトの登場とともに完全に姿を消した。今、ライオネル達が思い出しているのは恐怖だけだろう。前にキリトによって徹底的に折られ、そして植え付けられた恐怖。それが彼らを襲っているのだ。それでも、

「わ、私は間違った事を言っていない」

 ライオネルは言った。

「私がフレニーカに対して不適切な命令を出したなんて証拠はない! 故にそこの田舎者の府警は変わらず、乗り込んできた貴様もそうだ!!」

 恐怖心から取り繕う事も出来なくなっていたライオネル。だがその姿にキリトは笑みを浮かべる。

「あー、駄目だなぁ、ライオネル君。いいか? ―――いいか? 女の子知う生き物はとても繊細で傷つきやすいんだ。ものすごく狂暴でがさつに見えても、その内心は乙女チックな事になっているんだ。だから彼女たちを泣かしちゃいけないぜ。どっかの首切りマシーンが言ってたぜ? 美少女は世界の宝だって。ちなみにアイツは天然派で俺はヤンデレ派な。愛が重い所がいい」

 お前は一体何を言ってるんだ。そんな視線が部屋全体から注がれる。その視線を受けてキリトは咳払いする。

「えーと、フレニーカがセクハラされている証拠だっけ? ほら」

 そう言ってキリトは一枚の手紙を取り出し、それをライオネルへと投げつけた。それを受け取ったライオネルは素早くつかみ、その内容を顔色を青ざめさせながら確認してゆく。

「な、な、なっ、これは……!」

「世の中顔だよな! 顔の差って大事だよなー。ほら、どこかじゃ顔の差で負けて死んだやつがいるらしいし」

 そう言ってキリトは笑みを浮かべながら宣言する。

「フレニーカ本人のサイン入りでされた事の内容だ。動かぬ証拠、ってやつだぜ? いやぁ、口説き落とすのに時間がかかったわ。ハハ、帰ったらアスナに殺される」

 笑顔から一点、顔を俯かせているキリトの姿は無視し、内心キリトの手腕に舌を巻く。見事としか言いようがない。たぶん話を聞いてからフレニーカ本人から内容を聞き出す為に色々としていたのだろう。そして今、その内容を持ってくる為の準備の為に外へと出ていたのだ。

「で、どうだ? 何かユージオに土下座要求してたっぽいけど、これ、どっちが頭を地面にこすり付けるべきか変わったんじゃないかなぁ―――あ、いいよ? 俺結構慈悲深いから。基本的に此方の条件を飲み込んでさえくれればなーにも覚えてないから。うん、俺って本当に優しいなあー」

 もうこうなってしまえば完全にキリトの独壇場だ。

 ライオネルの羞恥と怒りに歪む顔を見ながら、この状況は確実に終わりを迎えていた。

 ……今回も、キリトに助けられなかったらまた失敗してたな、という自覚を胸に。




 顔の差で死んだ原作のシュピーネさん! 顔は大事ですよ!!

 そんなわけで攻略組のキリトさん、証言引き出す為に正妻に制裁される覚悟で攻略する。
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| 断頭の剣鬼 | 13:30 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

・・・イケメンだとしてもシュピーネさん敗北の未来は覆らないわけだが。
もっとも、イケメンなシュピーネさんはシュピーネさんじゃないですけど。

| 断章の接合者 | 2013/08/05 06:41 | URL | ≫ EDIT















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