陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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修剣士 ―――アラウンド・アス

推奨BGM:Burlesque


 ゆっくりと、目を開く。素早く起きるのが何時もの事なのだろうが―――起きる前に手を額に当て、顔を半分隠す様にして天井を睨む。

「……もう、二年か」

 二年。この世界へとやってきて二年。得るものが多く、そして失うものも多い二年だった。だがまだ大丈夫。狂ってはいない。俺はまだ狂ってはいない。まだ理性をギリギリの位置で保っている。絶対に”ああいう風”にはならない。ならない、なりたくない。ギリ、と強く歯の奥を噛む。流石に二年間もここにいれば段々と自分が汚染されて行くのは解る。その度に昔を思い出し、そして昔の自分であろうとして、何とか理性の淵に留まっている。

 ……さて、後どれだけ持つやら。


 二年間の間にどれだけ自分は変わったのだろうか。二年間の間にどれだけ変わらずにいられただろうか。ここで折れるわけにはいかない。ここから現実世界へと戻る為でもある。アスナに合いたいという気持ちはあるが、同時にユージオの献身に報いるべきだという思いもある。ユージオは間違いなく本気でアリスを求めている。それが己の為か、アリスの為なのか、それを判断する事は今の俺には出来ない。それぐらいには汚染されてしまった。が、解っている。ここで自分が変わってしまってはユージオに示しがつかない。俺はユージオの知る最強の剣士”キリト”としてユージオの為にも君臨し続けなければならない。

「ふぅ……」

 軽く深呼吸を繰り返し、精神を落ち着かせる。体を持ち上げて、ベッドの上で軽く座禅を組む。昔、まだ剣道をやっていたころの話だ。剣道をやっていた時に祖父には色々とやらされた―――その中にはこういう瞑想とかも入っていたのも思い出す。だkらそのまねごとをする。ベッドの上で座禅を組んで目を閉じる。ゆっくりと深呼吸を繰り返し、嫌な考えを頭から追い出す。焦る必要はない。そう、焦る理由はないのだ。SAOの時とは違い、此方の時は加速している。肉体のタイムリミットが来るのはまだまだ先の話だ。このまま堅実にやれば、確実に俺もユージオも他の上級修剣士を倒し、学園代表の座を勝ち取ることはできる。あとは俺がどれだけ耐えられるかが問題が―――それも問題ない。我慢強さには昔から定評があるし。

 と、そこでコンコンと、木のドアに響く音がする。体勢はそのまま、口を開く。

「鍵はついてないぞ。起きている入ってきていいぞー」

「失礼します」

 扉を開けて部屋の中に入ってきたのは傍付というか、世話役というか、ともあれ自分の世話を焼く様に任命された修剣士のロニエだった。黒髪に青い瞳、まだ発展途上というべきか、体格はまだ出来上がってないように見える。特に目を見張る何かがあるというわけではないが、この世界において彼女とティーゼは自分の目利き上、最も”まとも”な二人だった。少なくとも自分が知る普通に最も近い。だからこそ修剣士がつくとき、選んだのは彼女であり、ユージオにもティーゼを進めた。ここら辺の判断は全く間違ってはいないと思っている。

「なにをやっているんですか?」

 此方の姿を見て、ロニエは部屋に入ってきた足を半ばで止めている。此方を見て様子を見ている。あぁ、確かに精神修行とかは見た事がないなぁ、と呟きながら視線をロニエへと向ける。

「精神修行のひとつだよ。煩悩とか嫌な事とか感情とか、そういうのを一旦引っ込ませる感じの。心を落ち着かせる修行。これが剣を握っている間も出来れば状況に頭を悩まされることもなく集中できたり、挑発に引っかからなくなったりするもんなんだよなぁ」

「聞いたことがないですねけど、それ私でもできますか……?」

「言っておくけど一日や二日程度ではできないぜ? ユージオでさえ完全に慣れるには半年必要だったんだからな。ま、やりたいのなら止めないぜ。イメージとして楽なのは炎の中にポイ、っと色々ぶち込んで行くイメージだ。どうだ?」

「ちょっとやってみますね」

 ベッドの上からロニエが目を閉じて集中する様子を見る。そのまま数秒間目を閉じるが、次第にむむむ、等と言ったりコアが段々と赤くなってくるのが見えている。

「おーい、息を止めなくてもいいんだぞー」

「ぷっはぁー! そうなら早く言ってくださいよ!」

「いや、むしろ何で息を止めてると思ったんだよ」

 だって、とロニエは言う。

「上級修剣士殿、先ほど精神修行? をしていた時はものすごく静かで落ち着いた感じで、まるで石がベッドの上に乗っかっているような様子でしたよ」

「いや、まだその領域には程遠いよ」

 ガチでその領域に至れていそうなのは自分が知っている中ではほんの数人ぐらいだ。具体的には某一撃必殺の人とか。某お茶の間の代表格とか。某獣殿は最初からあきらめてヒャッハーしている様に思えるんだけどどうなんだろうか。まあ、今はいない人の話をしても意味はあるまい。

「まあ、かなり練習の必要があるけど個人的にはかなり有効だと思うよ」

 少なくとも、自分の精神を保つ上ではかなり有効だ。ともあれ、ロニエがやってきたのだ。ともなれば、

「朝食の時間か」

「あ、はい。その間にベッドを干したりしますので」

「あぁ、そっちのテーブルに乗っているの蜂蜜パイだから、終わったらティーゼと一緒にもって茶っていいよ。結構いっぱいあるから他の子とも分けたりしてもいいから」

「はい! あ、ありがとうございます! 規則違反とかこの際目を瞑ります!」

「宜しい」

 ロニエにベッドの事は任せるとし、靴を履いたら部屋から出る。基本的に変えの服は少ないので、一々着替える必要はない。部屋から出たところで再び軽く体を伸ばすと、横の部屋の扉からユージオが出てくるのが見える。片手を上げて挨拶をする。

「おはよー」

「おはようキリト。どうする?」

「どうすっかねぇ。まあ、選択肢なんてないんだけどね」

「あはは、そうだね……」

 ユージオと並び、上級修剣士用の寮の食堂へと向かう。十二人しかいないクセに両自体は広く、そして数階建てで、食堂まで完備と来ている。本当に最高の剣士を育てるための最高の環境、という感じだが―――個人的には金の使いすぎではないか、とも思う。いや、だって明らかに別の所に使えるだろ、と言いたい。

「それともなんだ、外へ食べに行くか?」

「流石に僕にはそれは無理だよキリト……」

 ははは、とユージオは苦笑するが、自分の中ではほんの少しだけ、落胆があった。やはりシステムというべきか、プログラムの壁は高い。ユージオは未だに規則を一つも破る事は出来ていない。そしてその兆候も見せていない。その事実に対しては落胆するほかがない。いや、勝手な期待であり、理想の押しつけである事も自覚している。だがユージオであれば、必ずこの壁を貫けるはずなのだが……いや、まあ、焦る必要はないか。

 ユージオと共に並び、一階にある食堂へと向かう。その間にユージオと他愛のない話をする。昨夜の勉強はどうだった、とか今日は天気がいいとか、今日こそは俺から一本取って見せる等、そういう会話で軽く移動の時間を潰す。だが食堂自体そう遠くもないのですぐに到着する。そして、食堂で屁と到着するのと同時に人の姿を見る。

 そこには三人ほど、上級修剣士姿があった。此方の姿を確認すると露骨に舌打ちをし、視線を向けないようにする。

 ……まあ、俺がいる間は関わってこないだろう。

「さーて今日の朝ごはんはな、に、か、なっ!」

「キリトってホントごはんの時に元気になるよね……」

「うん? 食事は大事だぞ? 特に朝食なんてその日一日の元気の源だから。こればかりはしっかり食べなきゃ駄目だよ」

「それ以上に食べるって事が好きでしょキリト」

「あ、解る?」

「解りやすすぎるよ……」

 別のテーブル感じる侮蔑の視線を受け流しながらカウンターまで行き、食堂の管理人から二人分の朝食を貰う。トレイに乗せてそれを近くのテーブルに運ぶと、椅子に座り、ユージオと向かい合って食べ始める。それと同時に別のテーブルで食べていた連中が、

「行こうぜ」

「あぁ、こんなやつらと一緒だったら田舎臭くなっちまう」

 そう言って小さい声でぶつぶつと言葉を漏らしながら去って行く。その姿を軽く眺め、

「ちっさいなぁ。気に入らないなら大声で気に入らないって言えばいいのに―――去年の様に徹底的にはっ倒して泣かすのに」

「そ、その話は止めようよ」

 ユージオの頬が若干引きつっている。まあ、それも仕方がない話だ。あのれんちゅっはいわゆる帰属という存在で、金持ちグループ―――派閥とか、そういうものだ。そしてそういう連中には必然的に同族には仲間意識を持ち、それから外れる存在を嫌う。だからルーリッドなんて田舎からやってきた俺とユージオの事をものすごく嫌う彼らはまあ、陰湿な手で攻めてくる。

 悪評を流したり、植えた花を踏み潰したり、貴様は中学校の学生か、等と言いたくなるような頭の悪さだった。これが俺一人に降りかかるものであるならば良かったが、ユージオまで巻き込んでいる……というよりはユージオがメインターゲットだったのが非常に宜しくない。話が長引く前に信用の出来る教師に協力してもらい、

 多くの修剣士の前で三対一で俺が圧倒した。

 技と相手に打てる手を全て撃たせ、それを全て潰し、その上で一撃で全員を気絶させた。心の中に恐怖と勝てないという確信を叩き込んで、逆らう気概を完全に砕いたはずなのだが、上級修剣士に昇格し、再び無駄な心を取り直してしまったらしい。前みたいな陰湿なイジメを見る事はないが、此方を遠巻きに罵るぐらいの心は取り直している。これはアレだろうか、

「再び真・キリト無双を披露する日が近いのだろうか」

「やめて。やめて。やめてください」

「冗談、冗談だってば」

 ユージオが真顔で懇願してくるので苦笑しながら朝食を手に取る。それに、

「そうホイホイとベアトリスだって協力してくれないってば。ベアトリスだって何か害になるような行動があった場合じゃなければ中立的立場からは動けないって言ってたじゃん。だからあちらが何らかの行動を此方に対して行ってこない限りは何もしないよ。うん、何かしてこない限りは。ちょっと待て、その理論だと挑発して殴りかかってきたら何かできるんじゃないか? よっしゃ、今からちょっと挑発してくる」

「やめてよ! 問題起こして退学になったらどうするんだよ!?」

 まあまあ、とユージオをなだめる。もちろん九割方冗談の話だ。だが此方は何としても、手段を選ばずに学園代表になってそしてセントラルカセドラルへと向かわなくてはならない。アリスがそこにいるのは八割確定とし、これはおそらく勘の領域だが―――正樹もそこにいるような気がする。本当にこれは勘の領域だ。そしてこんな時こそ既知感でも来ればいいのに、と思ってしまう。いや、そんな便利なものでもないし、経験しているからこそあの酷さは解っている。そして解っているからこそそう思えてしまう自分のばかばかしさが恨めしい。そういうレベルのものではなかろうに、と。

「ま、大丈夫だよユージオ。向こうから何かしてこない限りは俺も何もしてこないよ。平和な学園生活を態々台無しにする必要もないしな」

「本当だね? 本当だよね?」

「お前なんで二回も確認してくるんだよ……」

「キリト流に言わせれば”大事な事なので二回言いました”ってやつだよ。でもこれあまり意味が解らないんだけど。なんで大事な事だから二回言うの?」

 あー、と声を漏らす。ネットでのネタをまさか解説する必要があるとは。

「つまり二回言う事でコミカルに大事な事を主張しているんだ。二回も言うと少し笑えるし、それだけ強調されるだろ? だから二回も言うんだよ」

「なるほどなぁ……今度ティーゼにも教えてあげよう」

 とりあえず適当に解説してしまったが、これはラタな話術として普及してしまうのだろうか。や、ありえないのだろうけどそれはそれで恐ろしい考えだ。……他にもネット系のスラングやらネタをユージオへと教えるべきなのだろうか。こう、無垢な少女にポルノを教える様な背徳感がぞくぞくと……。

「キリト、今物凄く邪悪な顔をしてるよ」

「え、マジで?」

 顔をパシパシと叩いて表情を戻す。いかんいかん、”おれのかんがえたひどいゆーじお”という意味不明な計画が発足する所だった。……まあ、冗談は置いておいて、

「実技に関しては心配いらないし、やっぱ部屋に戻って今日も勉強かなぁ……」

「キリト、実技はぶっちぎって過去最高って言われてるのに筆記は苦手だからねぇ……」

「本当にヤバイ時は無敵に心意さんに頑張ってもらうんだけどね」

「その感動も苦労も全てぶち壊しにするような発言止めてくれないかなぁ」

 ユージオの発言に少しだけ笑い、そして朝食を食べ終わる。ここ一年の何時も通りの光景。トレイを持って、それを返却しながら、ユージオへと視線を向ける。

「で、どうする? する事が無きゃ勉強に付き合ってほしいけど」

「いや、僕はこれから剣の練習するから……キリトに勝てるようにならなきゃいけないしね」

「挑戦ならいつでも受けとるぜ?」

「うん―――そのうち、絶対に勝つよ」

 ユージオと笑みを向けあい、軽く手を叩きあう。ここで解れるが、心は常に近い位置にある。それだけ、間違いはない。





 いよいよ、というか大分進んできましたねー。セントラルカセドラル攻略も見えてきました。
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| 断頭の剣鬼 | 13:06 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

真・キリト無双
見てみたいZE☆
あの、某三兄弟+ニート
は、今頃どうしてるだろうか?

| Poh | 2013/07/14 13:31 | URL | ≫ EDIT















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