陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第22話 見習い騎士と獣機戦


 グループは四と五の二グループに分断された。ケンタウロス型ガジェットを相手にするのがルシオ、エリック、エリオ、そしてティアナの四人。ケルベロス型ガジェットの相手をするのがスバル、ギンガ、キャロ、タカヤ、そしてマーシュ。結果として頭脳派のティアナとタカヤが分かれたのは幸運だった。とはいえ、事態が好転するわけではない。二グループの間に分断させるように割り込んだ二機のガジェットはそのまま集団を引き離すように距離を縮め、後退させる。

「あ」


「何よ」

 唐突にエリックが声を出す。それに反応したティアナが顔をケンタウロスに向けたまま続きを催促する。

「俺達のってガメてきた訓連用デバイスだからそこまで耐久力ないんだよね☆」

「血祭り」

「ついに一言だけで処刑宣言されてしまった……!」

「……スバルを相手するよりも疲れそうね」

「え、ティアって私をそんな風に見てたの!?」

 何気に聴覚が鋭いのかスバルはそれなりに離れたティアナの呟きを拾って驚愕の表情を浮かべる。しかしティアナはそれに対してうんざりとした表情を浮かべる。

「ギンガさん」

「こっちはこっちで倒すから、そっちは」

「了解しました……私がこっちの指揮をとるけど問題ない?」

 ティアナの言葉はルシオに向けられていた。その言葉にルシオは背後にぶら下げるように片手でエッケザックスを構えたまま、頷く。その視線は片時も巨大なケンタウロスから離れていない。明らかに目の前の存在を、脅威を自分の敵として認識し、その相対に"喜び"を感じている。その姿を見て、この男はシグナムと気が合いそうだなぁ、と少しだけ思考を逸らし……集中する。

「戦種と魔導師ランクを教えてもらっていいかしら」

「戦種は近代ベルカ式大剣使い。火力型で速さよりも重さを優先してる。陸戦A+だ」

「戦種は近代ベルカ式。騎士、っつーよりはモンクやビショップに近いぜ。殴るのもいけるけど基本的に要塞型。でも使ってるデバイスがデバイスなだけにあんまり過信したくないなぁ、って俺っち思ってたり。あ、あと俺っちは陸戦B+な」

「……凄い、二人とも僕達よりランクが高い」

 エリックはニヤ、と笑みを浮かべる。メイスを握っていない方の腕でサムズアップをエリオへ向ける。

「そりゃあ俺達は騎士見習いだぜ? 支援型でも、最低AAはないとベルカの騎士としては聖王教会には認識されないのよ。それ以外にも信仰心のチェックや教養のチェックも入るけど、基本的にめっちゃ強くないと駄目なんよ」

 意外と厳しい騎士の基準にティアナは驚きつつ、銃を構え、頭の中で戦術を練る。普段はエリオとスバルを前に、ティアナ自身とキャロを後ろに下げて援護と指示を出しているが今回はメンバーが違う。エリオはいるがスバルとキャロの代わりにルシオとエリックと言う強力なフロント二人を使う事ができる。キャロの補助魔法を使ってAMFを無効化するのが基本戦術だったために、戦い方を大幅に見直さなくてはならない。面倒だと思う一方、何時も同じ四人としてしかチームを組んでいない事に気づかされる。

「……新鮮ね」

 若干不謹慎かもしれないが、何時もと違う状況、全く知らない人物と組んで一緒に戦うと言うのも悪くはないかもしれない。少なくともこういう機会は将来多くあるだろう、とティアナは思う。故にここで知らない人物の実力と動かし方を把握し、次回へと繋げるように精進しなくては目指す先も目指せない、と。

 ティアナが分析する。

 ―――相手の姿は人馬一体のケンタウロス。初撃の突進は分断する為の攻撃だとしたら中々優秀なAIをつんでいる。ガジェットなのだからAMFは所持しているとして考え、なのはに前教わった人型ガジェットは魔力の使用も出来たから魔法に使用をされる事も考える。弱点は下半身が馬の事からおそらく前方以外への動きが鈍い事。なら、とるべき手段は―――

「―――頼むわよ!」

「了解しました!」

「頼まれても叩き斬ることしか出来ん」

「またルシオはかっこつけやがって……ニャンコ好きなくせに……!」

「お前から斬る」

 僅かな不安と共に、ティアナの指揮の下で戦いが始まる。


                   ◆


「3、2、1―――」

「行くよ―――覇王、裂震!」

 マーシュが勢い良く大地を踏みつける。その腕の中に抱かれていた幼女の姿はなく、それは後方でキャロに守られている。その横のタカヤが弓を構え見渡す戦場の中、大地を伝わって広がる亀裂がケルベロスの足へと届く。が、それが届く直前でケルベロスが動く。亀裂を飛び越すような動きで、大地を踏みつけたマーシュへと向かって一直線に向かってくる。それは明らかにマーシュが攻撃を放ち硬直しているという事実を認識しての攻撃だった。しかし、その戦場にはマーシュ以外の存在がいる。

「ナックル―――」

「―――ダスター―――」

 青と紫、二色が高速で接近する。

 ローラーブーツで得た加速を持って一気に跳躍し、そしてリボルバーナックルに魔力が圧縮される。上体から拳にいたるまでが魔力により強化されるその一撃はAMFによる減衰が存在していたとしても凶悪な威力を誇る。特に幼女の護衛を始める前、キャロの補助魔法によってAMF無効化の効果を得た二人の一撃は本来のそれと遜色ない。故に飛び上がり、マーシュを狙おうと接近したケルベロスはその左右の頭を同時に青と紫の姉妹に打撃される。

「おおぉぉお―――!」

 咆哮を上げる青、スバルが空中で打撃でケルベロスが後方へと吹き飛ぶ。紫、ギンガもその動きを妹と全く同じ形で行い、左右同時の打撃でケルベロスが吹き飛ぶ。その動きは後方へと向かって。が、吹き飛ばされる空中で六つの目がマーシュ、スバル、ギンガを同時に捉える。

「あまり効いてないようだね」

 タカヤが言葉を発した瞬間ケルベロスの口からそれぞれ違う物が吐き出される。スバルに炎、マーシュに氷、そしてギンガへと向かって雷が。三属性の同時使用は今までの魔法ではほぼ確認された事のない、超高等技術。それを行ったケルベロスの技術の高さが窺える攻撃に、反応したタカヤが片手を振るう。

 瞬間、地獄の番犬の息を防ぐ壁が出現する。

 ミッドチルダではまず見ることのない"符"、それが三人の前に出現し簡易防護として三人を脅威から守る。そのままの動きで指を弦へと持って行き高速で矢を三つ放つ。それらは全て攻撃を放つケルベロスの口へと疾駆し、息を切り裂いて衝突する。しかしケルベロスは何事もなかったかのように着地し、再び戦場を六つの目で把握する。タカヤの矢は僅かなAMFの影響力とケルベロスの息によって大きく減衰してしまい、威力を失っていたのだ。

「リボルバーキャノン!」

 届かなかったダメージの分を生めるためにもと、スバルが一気に踏み出す。動きと共に腕のナックルから空薬莢が一つ排出され、カートリッジを使用した事を示す。そのまま踏み込みからナックルスピナーの衝撃波をナックルに纏わせケルベロスを中央の頭、顎を下から突き上げるように打撃する。流石に衝撃が凄まじいのか、ガジェットⅢ型でさえ一撃で破壊する拳を受けてケルベロスの頭が上へと向けて大きくかち上げられる。

 だがそれはあくまでも中央の頭のみに限る話だ。

 左右の頭が技後硬直のスバルの体を狙い、同時に噛み付く。

「スバル!」

 両腕を噛み付かれたスバルの姿に一瞬でギンガが接近する。

「このっ―――!」

 一瞬で接近したギンガがナックルスピナーによる螺旋の動きを加えた打撃を右の頭に繰り出す。浸透勁、一種の防御を無効とする一撃を受け、ケルベロスは噛み付いていたスバルの片腕を離す。が、まだもう片方でスバルに噛み付いたままスバルを振り回す。

 その動きをみて、マーシュはケルベロスの腹の下に潜り込む。

 スバルを助け出すのではなく、出来た隙を逃さない動き。

 ―――倒す為には時には非情にならなくてはならない。

 それは圧倒的に"足りない"マーシュが教えられた言葉で、この状況に必要な行動だと判断した。足りないのであれば足りる何かで補わないといけない。そしてこの動きは決して裏切りではなく、短い間だが仲間として行動しているスバルが抜け出せると信じての行動だ。マーシュは自身にそう言い聞かせながらそう多くはない魔力を練り上げながら下半身を強く地面に固定し、ケルベロスの腹を目がけ下から天に向かうような掌打を放つ。

「覇王天烈掌」

 二週間の間に覚えた技の中でも今一使いどころが良く解らなかった技だったが、この場でそれがマーシュを助けた。腹から魔力の篭った、装甲を貫く掌撃を受けたケルベロスが大きく上へと吹き飛ばされる。掌撃の瞬間にその反動でまだ未熟なマーシュの体が軽い悲鳴を上げるが、掌を通してマーシュには確かな"破壊"が感じられた。再び空中へと浮き上がるケルベロスと未だ噛み付かれたスバルに対してタカヤの矢が一条の光となって接近する。

 それは一撃ではなく、数十本の矢を時間をかけて束ね、そして放つ一撃。

 サイズに変更はないが込められた魔力はカートリッジを使用した場合に発動する強力な魔法とかわりはない。カートリッジの使用が出来ない弓型のデバイスでその奥義を発動させる為に時間をかけて練り上げられた光は一直線にケルベロスの足元へと向かい―――

 ―――空中で九十度方向を変えてスバルを噛むケルベロスの首を貫く。

 瞬間弱くなったケルベロスの噛み付きにスバルが誰よりも早く反応する。

「良くもやったな!」

 スバルのナックルから何本ものカートリッジがその怒りを象徴するかのように排出される。強化された筋力を持って弱ったケルベロスの口を無理矢理こじ開けるとそれを片手と足で支えたまま、右手を引けるだけ引く。

「一、撃、必っ倒ォ!」

 魔力を増大させたナックルから魔力を放出させながらケルベロスの口の奥へと拳を突き込む。

「ディバイン、バスタァ―――!!」

 零距離から放たれた射撃魔法が拳撃と合わさりケルベロスの頭を完全に吹き飛ばす。爆発と共に退避するスバルの体には食い込んだ金属の牙による裂傷が存在し、血が流れている。だがそれを気にする事無くスバルは構えつつ下がる。その足元にはウィングロードが出現し、下がるスバルを着地させる。

 その横に新たなウィングロードが出現し、ギンガをケルベロスにまで運ぶ。

「よくも妹を苛めてくれたわね……!」

 そう言うギンガのナックルからもカートリッジが排出される。高濃度の魔力がギンガの両腕に宿り、両の拳が打撃に動く。だがケルベロスも明確な脅威の為に迎撃の動きを取る。正面から迫るギンガに対し、左前足での迎撃を選ぶ。

 ギンガの拳の振り下ろしと左前足の斬撃が衝突し、互いに打ち払いあう。

 だがその瞬間もローラーブーツは動きを止めずにギンガの体を前に動かし続ける。そのまま打ち下ろしに使った腕を放置し、もう片腕での打ち上げを繰り出す。

「っはぁあああああ!」

 防御破壊と打撃を繰り出す事を目的とした二連撃がケルベロスの右頭に炸裂し、その頭を大きく歪ませる。その頭の歪みは大きく、その凶悪な息も牙も完全に封じ込めていた。

 だからこそ最後の頭が、中央の頭が動く。

 氷の息がかなり接近したギンガの体に向かって放たれる。正面からいきなり現れる脅威に対して防御を展開することもできず、受けるかに見えた。

 が、

「我が求めるは、戒める物、捕らえる物。言の葉に答えよ、鋼鉄の縛鎖。錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」

 錬鉄の鎖がケルベロスの動きを捕縛し、そしてその体を戒める。その動きで大きくケルベロスの頭を傾かせ、違う方向へと攻撃を吐かせる。

「空間跳躍―――」

 同時に十数の矢がケルベロスの体を支える間接に、多方向から突き刺さる。タカヤによって放たれた矢は全て魔力で生成されど、それでも消える事無く刺さったまま残留し続ける。その目的は間接の隙間を埋め、動きを阻害する事。そして最後の一撃へと繋げる事。

 重力に従い落ちて行くケルベロスの体。

 その先には先ほどから一歩も動かずずっと魔力と力を溜め続けているマーシュの姿があった。上から落ちてくるケルベロスへと最後の一撃を放つ為に、一歩後ろへ下がり震脚を持って足先から力を練り上げ、それをまだ未熟な技術を持って拳へと伝える。

「覇王―――」

 落ちてくるケルベロスへと向かって、タイミングを合わせて直打を放つ。

「―――断空拳!」

 タイミングを合わせて放った必殺の拳はマーシュの制御を超え、マーシュ自身を後ろへと吹き飛ばす。

「うぉ!?」

が、その凄まじい奥義はケルベロスの超重量の体を吹き飛ばし、広間の壁に叩きつける。反動から吹き飛んだマーシュは床から立ち上がり、構えなおす。

 同時にもう一つ衝撃が広間に広がる。

 そちらの方へと視線を向ければボロボロになり、両腕を失ったケンタウロスが壁に叩きつけられていた。

「―――私達の勝ちね」

 誰かが呟いたその言葉のあとに、広間に動きが現れる。
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| 不良騎士道 | 13:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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