陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-34

「プロメテウ―――ス!!」

「うるせぇ」

「ぐわぁ―――!」

 ガトーがシャヘルの蹴りを食らって軽く床を転がる。そのまま迷宮の壁まで到達し、壁にワンバウンドしてから地面に再び倒れる。それをシャヘルは足で踏み、身体の動きを止める。さりげなくスカートの下が見えない様に片手で抑えている辺り、流石の配慮……というべきなのか? エリザベートのパンチラっぷりを見る限り、あちらの貴族さんよりはずいぶんと淑女的だ。

 まあ、ともあれようやくガトーを確保する事に成功した。蹴りを食らったというのに目を回すだけで済ませているガトーが凄いのか、もしくはシャヘルが手加減したのかは知らないが、ガトーは傷の無いように見える。とりあえずガトーよ、元気か。


「小生お腹が減って動けぬぅ! それこそベルゼベブブの如くハングリー也ぃ! ところで岸波白野よ、汝銀シャリを奉納せよと我が神が仰っている気がする。もし銀シャリを持っているのであれば今すぐ奉納するのが良かろう―――あ、もちろん小生に」

『バッカじゃないのコイツ……空腹で倒れているの……』

 凛の呆れきった声が通信から響く。マジか、と確認の声を送ると、マジです、と桜の声が帰ってくる。マスター達のバイタル値をチェックしている桜がマジというのだからマジなのだろう。そして確認したところ、シャヘルの蹴り以外ではガトーはほとんど消耗していない。つまりなんだ。この男はエネミー相手に戦いながらここまで来たのか。

「いや、流石に戦うのはきついのでアンブッシュこれ基本である。ハヌマーンも魔王を討つ時に使用した正当な戦闘方法である」

 それにしたって貴様も人間やめてるな。正直人外枠はバゼットだけで十分だった。

「マスターもそんな事言えないんだがなあ……」

 ……そういえばシャヘルと一緒に戦って経験値を得ているので、シャヘルだけではなく、自分のレベルもシャヘルと共に上がっているのだ。シャヘルのレベルイコール私のレベル。つまり私も現在レベル20ぐらいなのだ。……うん、大丈夫大丈夫。まだ人類の範疇内。ガトーも人類の範疇内。これ以上議論の必要はなし。

『逃げましたね白野?』

 逃げてなんかないやい!

 とりあえず銀シャリは持っていない。だが購買部で大量の食糧は購入している―――というも、食事というものは体内で魔力へと変換されやすいからだ。ただ購買部の陳列商品は凄い偏っている。購買部ではおなじみのあんぱん、やきそばぱん、カレーパンは勿論そろっている。だがそれ以外は麻婆豆腐、麻婆茄子、麻婆丼、麻婆スープ、麻婆麻婆。等という意味不明を超えて、挑戦したくなるメニューで溢れている。これらのメニューを思いつく店長もアレだが、許可をだしたBBと、そしてやらせているスポンサーの頭の中は大丈夫なのだろうか。

 というか追いつめるならまず購買部を閉じろ。まずはそれからだ。

 ともあれ、お腹がすいて米がタベタイそうなのだ―――麻婆丼を取り出す。

「待て、流石の小生もここからの地獄めぐりは未だに準備が―――」

「食わせろシャヘル!」

「イエス、マム!」

「あ、光の神ちょっとそこタンマ―――」

 麻婆丼を手にしたシャヘルがそれをレンゲを使い、ガトーの口の中へと放り込んで行く。素早く口の中に投げ入れ、そして無理やり顎を動かさせて飲み込ませる姿は食事ではなく、ただの拷問だった。ガトーの口から時折悲鳴が聞こえたりするが、シャヘルは実にいい表情で麻婆丼の中身を全て、ガトーの口の中へと放り入れた。そして食べ終わった臥藤門司という男は―――倒れ、動かなくなった……。

 おかしい……。

『おかしいのはお前の頭だぁ―――!!』

 本日もシンジの声は絶叫が似合う。

「ま、待て、しょ、小生まだ死んでない、死んでない! 神の子の如く復活するぞ……!」

『チ』

「今誰か確実に舌打ちをしたように聞こえたのだが……?」

 確実に生徒会室の誰かが舌打ちした。一体臥藤が何をしたっていうのだ……。

「諸悪の根源が吐く言葉じゃねぇ」

 麻婆丼と言えば魔力が3割も回復する優秀なアイテムだ。それをガt-へと分けたのに感謝破されど、怒られる理由はない。故に反省も自重もない。……まあ、話はズレてしまったがガトーは何故こんな所にいるのだろうか。ちゃんと麻婆丼を間食し、胡坐を組む様に座る程度には体力の回復したガトーを見る。

「うん? 何か特別な理由が必要なのか? 小生は己の身を鍛えようとして迷宮へと踏み込んだだけだ。まあ、その結果隠れて、襲って、そして逃げ回ってお腹すいてぶっ倒れたなどとは笑い話にもならんがな!」

 エネミー相手に鍛錬をしようとするのだからキチガイの発想だ。駄目だこいつ。

『なんで勝算って言葉がないのかしら……』

「もちろんあるぞ?」

 心外だな、と言わんばかりの表情をガトーは浮かべ、笑顔と共に言葉を続ける。

「ただし”言い訳”と読むがな。勝算や見込みがなければ前に出ては行かぬか。少なくとも小生はそう思わぬ。進みたければ進めばよい。引きたければ引けばよい。本質を言葉で飾るのは美しく見えるかもしれぬが、小生はそういうかっては好まぬ故に前へ出ただけよ。まあ、今回で懲りたので早々迷宮へと潜る事はもうなかろうがな!」

 ガトーの意外な言葉に一瞬の沈黙、そして通信の向こうから再び声が聞こえてくる。

『ガトーの癖に……!』

『でも結果このざまッスよ。やっぱオッサンはオッサンという事でFAッス』

 まあ、そうなんだが、ともあれ、もう歩けるのかガトーは?

「小生か? 小生はここから一歩も動けん! これ以上の長いは迷惑なので帰りたい所だが生憎李動く事は出来ぬ―――故に運んでね!」

「最後だけ可愛く言ってもダメだなぁ!」

 シャヘルが蹴ってガトーを転がす。ぐわぁー、と少しだけ楽しそうな悲鳴を上げながらガトーが通路の端、入り口方向へと向かって転がって行く。まあ、ガトーを回収するつもり満々だったし、シャヘルにあの筋肉を触らせるわけにもいかない。蹴り転がしながら入り口まで運んでゆこう。

 突き当りで停止したガトーの体へと行こうとした瞬間、声が響く。

『―――問題外、マイナス80点です。センチネル権限を持って強制退去させます』

「ぬぅぉ!?」

 次の瞬間、ガトーは光、そして強制的に迷宮から排除された。その光景を数秒間眺めた後、迷宮の各所で障壁の解除される音が響く。今まで歩いた場所を記録しているマップを取り出し、確認してもそれが理解できる。

『採点終了しました。全障壁を解除します。一番奥で待っています』

 そしてラニの声が聞こえなくなる。横のシャヘルへと視線を向ければ、頭をコクリと頷いている。あぁ、解っている。ラニが待っている。

 ―――入り口近くのアイテムフォルダを回収してから行こう。

『やっぱ回収基本よねぇ、はくのん』





「お待ちしていました」

 迷宮の奥へと到着すると、そこは最初潜った時と同じ広場だった。再び拷問部屋の様な壁に囲まれ、正直そこまでいい気分はしない。まるで逃がさないかのように鉄格子が壁を覆い、余計に酷い光景となっている。そんな場所に、ラニとエリザベートは立っていた。シャヘルは何時でも戦えるように既に刃を握り、構えている。が……戦うだけではSGは入手できない。ラニに自由に喋らせる。

「採点結果は問題外の不合格です。なんですかこれは一体。貴女ならもっとうまくできたはずです」

 開幕からラニがキツイ事を言ってくれる。が、此処は腕を組んで断固反対する。それは違う。君が見ているのが岸波白野だ。何事も十全にこなせると思っているのであればそれは幻想だ。

「いいえ、それは違います。私なら貴女の力を十全に発揮できます。理解する事が出来ます。貴女には解っているはずです、私に従えば力を発揮できることが」

 ラニの言葉に返答しようとした瞬間、凛から通信が入る。それも無効に聞こえない様に、ボリュームを落とした通信だった。

『はくのん、とりあえずラニの言う事全部否定して。ここまで来ちゃえばもう解っているかもしれないけど―――』

 あぁ、もちろんわかっている。ラニの言葉を否定した瞬間、右手の五停心観はわずかにだが熱を主張している。だからラニへと答える―――それはない。

「本当に? 貴女は従う事で最大の力を発揮できるはずです」

 ないない。それはない。

「気持ちよくはないですか? 把握される事が、理解される事が」

 そんな事はない。悪いが、私は不良なのだ。

「だとしても、貴女は解るはずです、管理される事の良さが」

 管理。そう、管理。命令とはつまり管理であり、監視である。誰かを縛りたい。知りたい。理解したい。そうやって誰かを傍に置きたい。それは誰かを一方的に自分が理解して、そして運用することだ。決して縛る事ではないが―――それでもそれが一ポプ的な願いである事には変わりはない。そして、今のラニは暴走している。その思いを一方的にこっちへと押し付け、そして”できる事”と”理想”混合している。だからこそ否定しよう。

 私は私、私は岸波白野。それ以上の事は出来ないし、やる気もない。

「しかしっ!」

 いい加減それを抜き取って素直になろう。なずけるならそう―――【管理願望】だ。

「あっ……!」

 五停心観をラニへと向けた瞬間、凛に向けて繰り返されてきたプロセスが今度はラニへと向かって再び発動する。体は疾走し、そして軽やかに舞う。その手は真直ぐにラニの胸元へと伸び―――そしてSGを掴み、摘出する。

 瞬間、パリィ―――ンと音を鳴らして全てのシールドが砕ける……元々一つしかこのフロアには存在しないのだが。自身の秘密が摘出された光景をラニは驚愕と共に見つめ、そして口を動かす。

「ありえな―――」

 そこまで言葉を発してからラニの姿は凛の時の様に、砕け散る。ラニもまた凛と動揺、分身を使ってここに存在していただけに過ぎない。……これで残るのはエリザベートのみだが、

「私、一応約束は守る主義なのよね。今回は結構楽しかったし、我慢してあげるわ」

 尻尾を揺らしながらエリザベートが背中を向け、迷宮の奥へと消える。

 SGの取得と迷宮の攻略完了。しかし、

 ……濃かったなあ……。

 それが今回の階層を物語る一言だった。




 ガトーさんとの会話だけでほぼ半分という始末。ウルトラ求道僧ぱねぇ。
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| 断頭の剣鬼 | 23:54 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

初めまして、グレンと言います。
fate/EXTRA初期から読ませていただいてますが、感想投稿は初めてです。
CCC編の更新が停止してしまってますが、いつ頃再開されますか?
続きをとても楽しみにしてます!

| グレン | 2013/08/08 08:59 | URL | ≫ EDIT















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