陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-30

 寝起きだが、少し体がだるく感じる。……いや、気が重いというべきなのだろう。

 数時間前……いや、昨日のBBチャンネルとかいう珍妙な回線ジャックのせいでラニが敵側にいると知ってから気が重くてしょうがない。凛に続きラニと、自分の友人に当たる人物をピックアップしてくるBBの性根の悪さはもはや筆舌しがたい。ともあれ、凛を解放してこれで一歩進んだと思えば今度はラニが敵として立ちはだかった―――おそらくリンと同じく、洗脳されている状態で。凛によれば洗脳されていると感じず、自分の意志で立ちはだかっていると感じるらしいので非常に厄介だ。

 ともあれ、やる事は一つしかない。今日も今日で、迷宮を突破するしかない。

 ベッドから起き上がり、着替え終わると端末にピピピ、と音が鳴る。朝食を作ろうと台所へと向かうシャヘルの姿を無視し、端末の通信ボタンを入れる。その向こう側から聞こえたのは意外にもユリウスの声だった。

『昨日は大変だったな。よく眠れたか? なら早く生徒会室へと来い、仕事だ』


 それでユリウスからの通信が終わる。早く来い、というには急ぐ必要があるのだろう。ともなれば朝食を取る時間はなさそうだ―――まあ、ムーンセルからエネルギーは供給されていないので食事は元々必要ないのだが、精神的な安定を保つために食べている。

「しかしユリウスが気遣うような言葉を言うようになるとは、はてさて、時の流れとは面白いものだ」

 エプロンを装備しかけていたシャヘルはそんな事を両手を腰に当てながら言う。こいつもエプロン姿がえらい様になっているが、このサーヴァントは料理する事に躊躇や戸惑いを覚えないのだろうか? そんな事を質問すると、シャヘルはち、ち、ち、と人差し指を振りながら否定する。

「俺達サーヴァントはムーンセルによって再現された英霊であり、神霊であるんだぜ? そりゃあ人格や趣味趣向ってもんがあらぁな。軍人タイプだったら嫌がるかもしれないけど、俺の様にフランクなやつは結構どうでもいいと思うぞ? 凛辺り、合理的な判断するマスターだったら”効率がいい”って意味で料理させたりするかもな」

 まあ、普通に受け入れてしまっていたが、シャヘル側に問題がないのであれば、此方から言う言葉はない。今日は無理そうだが、明日の朝ごはんには期待しよう、何せ昼食が存在せず、夕食もほぼ疲れからまだ一回も食べる事はないのだ。朝ごはん、食べたい。

 しかし、

「なにやってんの」

「んにゃ?」

 ベッドの上で背中を向けているネコアルクにへと視線を向ける。その手の中に握られているのは、

「焼き魚食べてるのに決まっているじゃない。適当に拾ってきたデータでこの体構成してるんだけど、みょーにネコっぽい修正が強くでてるのよね。あー、焼き魚うめぇー」

 とりあえずネコアルクを窓の外へ全力でシュートしながら、生徒会室へと向かう事とする。





「おはようございます白野、ガトーが迷宮に挑戦しました」

 聞きたくなかった……!

 生徒会室に入るのと同時に告げられるレオからの驚愕の新事実に頭を抱える。ガトー、臥藤門司。本人が自分で求道僧等と名乗っているが、多くの宗教の門徒を叩き―――そして、なんだっけか。それ以上に何かを知っていた気がするが思い出せない。今知っているのは臥藤門司という男は非常にカオスで、バイタリティ溢れており、バゼットと殺人じゃんけんができる程度には実力がある存在という事だが、

「ガトーの実力に関しては此方でも把握しています。数値的なレベルで表示すれば20、25程度です。人間としては十分に達人の領域に踏み込んでいますね」

「やだ、俺とほぼ同じレベル。サーヴァントなのに今までアレに負けてたと思うと泣きたくなってくる」

 まあまあ、とガウェインがシャヘルの方を叩いて慰めている。確かにガトーにレベルで負けているとか屈辱の何物でもない。

「あ、ちなみにシンジのレベルは5ですので」

「なんでそこで僕のレベルを言うんだよぉ―――!!」

 生徒会室の扉を勢いよくあけたシンジがそんな事を叫びながら登場する。激しく息を荒くしている辺り、廊下から走ってここまでやってきたのだろう。ユリウスがシンジへと視線を向け、

「廊下で走ってはいかんぞ」

「ツッコム所そこかよ!」

 シンジが膝を追って床に手を付ける。本日もお疲れ様、とシンジへと告げるとシャヘルとガウェインがシンジの腕を両脇から押さえ、持ち上げ、そして椅子の一つに座らせる。流石レオ、見事ばっくれようとしていたシンジを釣り上げて捕まえた。一切のサポートをシンジはしていないらしいが、いて困るものではない。むしろ大事なツッコミ係として確保しておかなくてはならない。ナイスプレーレオ会長。

「ありがとうございます白野、いやぁ、今日もいい一日になりそうですね!」

「あんたら毎回こんな事をしてたの……?」

「えぇ、まあ……大体こんな感じです」

 凛の呆れた呟きに反応したのはバゼットで、そこで生徒会室に凛の姿が増えている事に気づく。空席だった所に座り、ホロウィンドウとホロボードを出現させている凛は自分の行動を一切隠すことなく晒しながら、作業を一旦止めて此方へと視線を向けてくる。その服装は自分の知っている赤い私服姿ではなく、今の自分や桜と同じ、月海原旧女子制服、つまりあの黒いセーラー服姿となっている。うむ、この姿の凛も実にいい。似合っていると思う。

「そう? そう言われると悪くはないし着替えたかいがあったわね。改めておはよう”はくのん”、さ、馬鹿が迷宮に潜っちゃったから助けなくちゃね」

 あぁ、そう言えばそうだった。馬鹿(ガトー)が一人で迷宮へと潜ったのだった。あのごった煮宗教家無事なのか?

「無事化どうか、と問われれば少し怪しい所ですね。レベルを20と表現していますが、それでもガトーはサーヴァントではなく人間です。サーヴァントのレベル20と人間でのレベル20は基準が全く違います。それでも、ガトー程修練を積んでいるものであればエネミーを撃破できる実力はあると思ってください。ですが……」

 それでも限界はある、という事だろう。となると今すぐにでも迷宮へと行くべきなのだろう。

「えぇ、しかし若干面倒な話でもあります。階層が深くなったことにより此方からの干渉が聞きにくくなってきたのを確認できるほか、ガトーの正確な位置を把握できません。前回の様な出来事がある以上、強制転移もあまりしたくはありませんので、ガトーを見つけたら引きずって連れて帰ってくる必要があります。バゼットかガウェインを出したい所ではありますが……」

 視線がバゼットへと向く。おそらく現状、ガウェインの次に戦力になる人物なのだが、バゼットはすみませんと答えて頭を横に振る。

「礼装作成の都合上、もうしばらくはこの校舎から離れる事はできません。BBを見て礼装の作成は必須だと確信しましたので、しばらくは完全に力になれないと思ってください」

 と、謝る。対BB用の切り札の用意がバゼットにはあるらしい。それの準備で旧校舎を離れられないのというのであれば仕方がない。ガウェインもレオがなにやらこそこそ作業をしているために動かせないらしいし、これはやはり自分が回収していったん戻る流れなのだろうか? こんな状況、サーヴァントが後一体いれば楽になるのだが……。

「いますよサーヴァント?」

 桜の言葉に生徒会室が凍る。

「……え?」

「え、いや、ジナコ・カリギリさんがサーヴァントを所持していますよ?」

『ぶっ』

 急に生徒会室にジナコが何かを吐き出したかのような声が響く。そう言えばジナコは生徒会の行動はモニターだけならする、と言っていたはずだ。ともなればこれは、

『ちょ、ちょちょちょちょちょっと何を言っているか解らないッスねぇ……』

『声が震えているぞジナコ』

『なんでそこで声をだすんスかぁ―――!!』

 何やらジナコの汚部屋でサーヴァントを交えたコントが開始したようだ。レオへと視線を向ければゴーサインを出している。

「さ、ニートに居場所はないって事を証明するのよはくのん!」

『鬼畜がいるッスよ!』

 凛の言葉に応える様に生徒会室からでて一階へと向かう。生徒会室から出る時、桜が首をかしげて失敗したのかを悩んでいた様だが、そこは心配しなくていいのではないだろうか。グッジョブ桜、実にグッジョブ。

 少しだけ駆け足で一階の廊下奥へと向かう途中、購買に何やら見慣れぬ姿が一瞬見えた気もしたが、それを無視して、一階廊下奥、ジナコのいる部屋へと到着する。まずはコンコン、とノックをしてジナコの存在を確かめる。

「い、いないッスよー!」

「いるな」

「ボケさえ許さないんッスか……!」

 どちらかというとボケで許せる範疇を超えている、というのが正しい。流石にジナコがそのままジナコのみであれば問題はなかった。問題なのはジナコがサーヴァントを隠し持っていた事なのだ。せめて、最初からサーヴァントを所持している事を教えて、それでいて協力しないのであればキアラと同じスタンスで問題はなかったのだ。つまりこれはジナコの逃れたい心が生んだ大きなミスであり、契約違反。

「契約なんかしてないッスよ!」

「今作った」

『いやぁ、白野、全部終わったら西欧財閥に来ませんか? 素質はあると思うんですが』

 いや、聖杯戦争終わったらぼっち確定だからスカウトは無理だろ。

 ともあれ扉に手を付け、開けようとするが―――やはり鍵がかかっている。その構造を軽く端末でスキャニングすれば、何重にもロックとプロテクトが書けられており、解除するのは非常に面倒な仕様になっている。めんどくさい。非常にめんどくさい。

「フハハハハ! ジナコさん特性ニートシールドを―――」

「あ、俺バグ技とか裏ワザ使ってショートカットする派なんで」

 シャヘルがグーパンで扉を殴って粉々に破壊した。そのまま破片を退けながら部屋の中に入り、シャヘルと共にサムズアップを奥のジナコへと向ける。

「ちーっす、借金取りです」

「もうツッコミ所が多すぎてツッコム余裕がないッスよ! なんスかバグ技裏ワザ派って! ただの力技じゃないッスか! というかなんで借金取り!? あと凄い躊躇なく扉壊したッスね!? ぐわー! ジナコさんの聖域がリア充のオーラに当てられるッス―――!!」

 リア充がこのムーンセルにいるものか―――何せここは電子空間なのだから! ともあれ、ジナコが己の聖域と呼ぶこの空間への侵入は完了した。実にいい笑顔を浮かべているシャヘルへサムズアップを向けてから、ジナコの回収を命じる。さあ、我々と来るのだジナコ・カリギリよ。貴様には相応しい死が待っている。

「殺す事確定ッスかぁ―――!?」

 ぎゃあぎゃあ騒ぐジナコの姿を見て思う。

「―――楽しそうだなあ」

「楽しくねぇッスよ! 何を、どこを見て楽しく見えるんスか!?」

 全体的に楽しそうな気配がしている、というだけである。ともあれ、シャヘルは命令を忠実に実行しようとして、動きを止める。次の瞬間、虚空から新たな姿が出現する。

「―――確かにだらしがなく、どうしようもない人物ではあるが、それでも俺の主だ。意志を尊重させてくれはしないか」

 装飾を多く施された服装をしている青年だった。白髪に、白い肌。不健康そうに見えるが、明らかにこの存在は人間と一線を、いや、次元を超える存在だ。見れば解る、このサーヴァントは他の英霊とは格が違う。サーヴァントとしても、英霊としても迷うことなくトップクラス、あのガウェインとほぼ同格、もしくはガウェインよりも上の格の存在だった。

『……なんと』

 それを一瞬で見抜いたのは自分だけではなく、レオも同じらしい。

「あ、勝手に出てこないでくださいッスよカルナ!」

 ―――カルナ、ジナコはクラス名ではなくいきなり真名をバラしてきた。それは明らかに不注意とかではなく、注意する必要がないという事の証。このマスターは元から戦う、協力という事を頭の外へと叩きだしているのだ。

「マハーバーラタの英雄カルナ、施しの英雄か。何時も通りインドの神話や英雄は頭がおかしいなあ……」

「お前にそう言われるとは心外だな、光の神。多くを失っても真に重要なものだけは絶対に逃さぬその狂気とも取れる信念、感服する他ないな。だが貴様にもあるはずだ、譲れぬものと貫きとおす事の意味を。我が言葉が届くのであれば今日は矛を引いて欲しい」

「ぬぐぅ……」

 カルナの言葉にシャヘルが顔を歪める。少しだけ悔しそうに、そしてそこから諦めと呆れの表情になる。それを此方へと向ける。

「ムリムリムリ。勝てない。実力でも舌戦でも無理。ああ言われちゃあ勝てない」

 何やら良く解らないが、あの短い会話の中でシャヘルは完全敗北したらしい。完全に帰還ムードが漂っている。まあ、ジナコは説得無理そうだし、無理やり……もサーヴァントが強すぎて無理っぽい。ともなれば、あきらめてガトーを引きずって帰るしか手段はなくなった。溜息を吐いて、あの筋肉の塊を運ばなきゃいけないのか、と軽く絶望感に浸っていると白髪の英雄、カルナが話しかけてくる。

「すまない……が、ジナコはこう見えて寂しがり屋だ。暇な時があったら遊びに来てほしい。それぐらいであれば邪見にはしないだろう」

「ちょ、何を言ってるんスか!?」

 カルナへと非難の言葉を投げつけるジナコの姿に苦笑すると、生徒会室からの連絡が入る。これ以上議論することもないのでこのまま迷宮へと向かってくれ、と。ともなればやる事は何時も通り、

 備えて、潜って、そして見つける。それだけだ。




 カルナさん初登場、そしておや……? 購買部の様子が……? 相変わらずガトーは脳みそまで筋肉ですねー。イベントの順番が前後してたりしてますが、仕様ですので注意を。
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| 断頭の剣鬼 | 15:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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