陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第21話 見習い騎士と逃走続く

 六人がひたすらミッドの地下を駆け抜ける。その背後から追いかけるガジェットの数は時が経つほどに数を増やし、中々面倒な事となってきている。一体一体は強くなくとも、十数機と集めればAMFも強固さを増し、更に侵略されにくい存在となってしまう。やがてそれは背後からだけではなく、前方からも挟み撃つ存在として現れる。

 前方と後方、両方から迫る脅威に対して、一向は一度も動きを止めない。


「猛きその身に、力を与える祈りの光を―――ブーストアップ・ストライクパワー! 我が乞うは、清銀の剣。騎士の刃に、祝福の光をエンチャント・フィールドインベイド!」

 エリオ、そしてルシオの体にキャロによる魔法の援護が入る。筋力、そしてAMFの無力化。キャロの放つまだ未熟な補助だが確実に戦闘を有利に導く補助魔法がかかった瞬間、二人が前方の敵へと向かって一気に接近する。エリオの槍に雷光が纏い、ルシオの剣に炎が纏う。二人が狙うのは必要最低限の破壊。必要以上の攻撃は足を止め、ロスとなる。一番の目的は合流し戦力を強化する事でガジェットを撃破し、幼女を保護する事だ。

「バースト!」

「ッセア!」

 同時に振られた得物により炎と雷光が混ざり、ガジェットを焼き払う。それは魔力の変換資質により生まれた炎と雷。AMFでは減退がし難く、そしてキャロの補助により凶悪な威力を誇ったままガジェットを爆砕させて行く。ガジェットの群を真正面から破壊しながら進むアタッカー二人の直ぐ後ろを幼女を抱えるマーシュが抜け、そして二人を護衛するようにバックにエリック、タカヤ、そしてキャラがつく。

「次の角を右です!」

 キャロのナビゲーションに従いガジェットの群を突破した所で十字路を右に曲がる。魔力による身体強化のおかげで疲労は体にたまりにくいが、それでもこのまま続けばいずれ倒れてしまう事は明白だった。

 それでも、六人は前に進む。

「次の十字路でティアナさんとスバルさんと合流できそうです!」

「部隊の仲間だっけ? 僕らの上司はどうしてんだよ」

「聞いてみる?」

 涼しい笑顔を浮かべながらタカヤが片手を操作する虚空にホロウィンドウが現れる。≪SOUND ONLY≫表示だが、その向こう側から凄まじい爆発音と銃声が連続して響き、金属のひしゃげる音さえも聞こえる。端的にいえば物凄い激戦、戦争と言っても過言ではない音が聞こえている。

『ん? あ!? お前何勝手に通信繋げてんだよ! は、お茶目? デバイスのクセに変なことを覚えやがって……! あとでお前塩水につけてやる! 俺がもし黒歴史ソング歌ってたらどうするんだよ! 世の中の美女が俺に惚れちまうだろうが! あ、お前ら待ってろよ? 今大先輩が真・ミッド無双しながらそっち行くから。これで二百コンボ達成! さあ、目指せ真のミッド無双! 今宵の俺は鉄屑(予定)に飢えているぞ―――!!』

「もういい……消せ……」

 片手で頭を抑えながら走るルシオが呟く。エリオとキャロに関しては何処かエキセントリックすぎるウィルフレッドの声に苦笑を浮かべるだけだった。マーシュも聞こえた内容に対して苦笑いし、

「エリオ君達の上司は……その、普通?」

「普通です」

 即答が帰ってきた。それにエリックがそうかぁ、と呟き、

「地雷引いてるのは俺っち達だけかぁ……」

「本人が聞いたら烈火のごとく怒るから黙ろうな? あと一番同調してるのは君だから、それを言う資格はないよ? あとテンション上がり過ぎじゃないかなぁ、あれ」

「マーシュ殴り飛ばすのに飽きたんだろ」

「才能がなくてすみませんね!」

「な、何か皆さん余裕がありますね」

 エリオの少し引きつった声にエリックがメイスを握らない方の手を持ち上げ、サムズアップを向ける。

「"汝常に心に余裕を持つべし"騎士の心得だぜぇ。緊張するのも悪くないけど、常に余裕を持って相対することで視野を狭めないようにするんよ」

「お前は頭に蛆を飼い過ぎだがな」

「ルシオさん今日は一段と酷くありません!?」

 ルシオが一段と強く踏み込み前方へと大剣を薙ぎ払うと炎が生まれる。その炎が波となって地下通路を突き進み、光学迷彩を持っている敵も持ってない敵も燃やして行く。それは威力も密度も低い一撃だが、狭い範囲で透明な敵に対する索敵としては有効な手段だ。持っているものの中から選択するのは最小限の労力で、最大の効果を齎す手段を。今までの活躍を見ると確かに、見習い最強。今すぐ騎士になっても問題ないと感じるような、強さを持つ人物だとマーシュは思う。そのルシオが今日初めてのニヤリとした笑みを浮かべ、

「俺も、少しだけ気分がいいからな」

「やだ、イケメンスマイル濡れるッ!」

「まずエリックから排除しないかな」

「マーシュさぁーん!?」

「ふふふ」

「ははは、皆さん容赦ないですね」

 ある程度の余裕を保ちながら機動六課と聖王教会の協力チームは最初の合流地点にまで進んで行く。


                   ◆


『Accel Shooter』

『Plasma Lancer』

 黄色と桃色、二種類の魔力弾が空中から放たれ、空を飛ぶ機械の群を撃ち抜く。一つで数体を破壊するように突き抜ける魔力弾の威力はAMFに阻まれど、それでも僅かにしか減退しないほどの魔力が込められている。ガジェットを塵芥の如く薙ぎ払い破壊するその姿は圧巻であり、そして強者の姿であろう。

 だが、それを成す高町なのはにも、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンにも余裕はなかった。その表情には手段を選ばない相手に対する憤りがあった。

「確かに、足止めを考えるとこれがベストだね」

「うん。私達が"見過ごせない"事を理解して利用してきている」

 なのはとフェイトの視線は眼下の光景へと向けられている。そこには炎と破壊の痕がミッドチルダの都内でありながら見られる。新たに出現したガジェットがなのはとフェイトの近くまでやって来ると急降下を始め、彼女たちの射程距離内に収まりつつ、これ見よがしに街の破壊を開始する。

「シュート」

 なのはの手の動きで魔力弾が発射され、ガジェットを貫いていく。そしてガジェットが一際大きな爆炎を巻き起こす。その爆発は純粋に動力による爆破だけではなく、何らかの起爆剤がつまれている事が解る。

 自爆テロ。

 無人機による自爆テロ、しかもなのはとフェイトの見える範囲でワザと行うそれは明らかになのはとフェイトを挑発する意図を持っている。無視して他の管理局員に任せれば収拾は付くだろう。が、その代わりにその間、多くのガジェットが市街地で自爆し、爆発を巻き起こす。多くの人がその爆発に巻き込まれて死ぬだろう。そしてなのはとフェイトはそれを許容する事は決して出来ない。スカリエッティの生産力は不明ながら、物量に任せた戦いができる事からそれなりの高さがあると判断できる。そんな物量がひたすら目の前で自爆テロを行うのを止める。

 立場と気質を利用した最悪の足止めだった。

 何より、ワザとなのは達だけではなく一般人からも見える範囲でやる、と言うのが実にいやらしいやり方だ。

 だからと言って、なのはにもフェイトにもできるのはガジェットが地上につく前に破壊する事だけだ。

「なのは、先に行って。ここは私一人で何とかしてみる」

「フェイトちゃん?」

 フェイトと背中を合わせるなのはがフェイトの言葉に頷く。

「いや、うん。解った。フェイトちゃんがそういうのなら、信じてるよ」

「任せて」

 フェイトの背からはなれ、なのはの足元のアクセルフィンがその大きさを僅かながら増す。フェイト、そして連れてきたヘリを置きなのはが地上へと向かって加速する。

 その向かう先は、自分の教え子の下だ。


                   ◆


 もう何十機目か解らないガジェットが破壊される。残骸を踏み潰しながら進む集団の前にまた新たなガジェットが出現する。またか、とそんな思いがよぎるのと同時に新たに現れたガジェットの姿は今までよりも巨大な物であると確認する。

「ガジェットⅢ型!」

「意外とバリエーションが多いなあ……」

 巨大なガジェットの数は全部で三体。それが通路を阻むようにして出現している。横を通り抜ける広さはなく、上を越えるしたって隙間がない。通る為に撃破が必須であるこの状況で、やはりルシオとエリオが前に出る。キャロによって強化された能力はそのままに、一瞬でガジェットⅢ型に突進すると得物を振るう。

 が、ルシオのその一撃はベルトの様なアームに防がれる。

 エリオはそれを解っていた様にワンテンポずらしてからストラーダを振るう。ワンテンポずらした事によりガジェットのアームを回避し、その装甲に槍を振るう。その一撃は破壊するまでには至らないがガジェットの装甲に亀裂を生む。

「気をつけてください、ガジェットⅢ型は重装甲型でAIもⅠ型よりも高性能です!!」

「そういうのは先に言うんだよ」

『Load Cartridge』

 ベルトと拮抗していた大剣を振るい、残ったもう一体のアームでの攻撃を避けながらカートリッジがエッケザックスから排出される。同時にエッケザックスに込められた魔力が倍増する。後方から迫るガジェットの牽制と足止めにタカヤが背後へと向かって矢を放つ中、何者をも恐れぬようにルシオが踏み出す。

「これしか知らん。圧倒させてもらう」

『Demolish』

 再びエッケザックスが振るわれる。同時に襲ってくる二本のベルトアームを上からエッケザックスを叩きつけるようにし、その瞬間魔法が発動する。魔力の放出先を狭め、威力と速度を極限にまで高めた衝撃がベルトアームを粉砕し、真正面からガジェットⅢ型を砕きながら両断する。エリオもベルトアームを回避してから雷を纏ったストラーダを自身が生み出した亀裂に突き刺し、そこから内部へと直接電気を流しこむ。ガジェットⅢ型では許容できない電気が流し込まれ、回路がオーバーフローを起こし破壊される。

 エリオとルシオの動きがその瞬間完全に停止する。攻撃できない二人に対して唯一残された一機のガジェットⅢ型はプログラムに従い、相手を破壊しようとする。

『Bash』

 が、それを阻むようにエリックが前に出る。ガジェットⅢ型の砲口が光り、そこから質量兵器の閃光が現れた瞬間、既に前に出ていたエリックが魔法によってその光を打撃する。打撃された光は鏡に反射されるように弾かれ、違う方向へと飛び散る。裏拳のように殴りつけた左手はそのまま、右手で握るメイスを振り上げてから振り下ろす。大きすぎるその巨体を殴り倒す事はできないが、魔力の込められた打撃はそれが訓練用のデバイスといえどもその実力を持って大きな破壊を巻き起こす。エリックのメイスによる振り下ろしは命中した箇所から大きくガジェットⅢ型の体を抉り、内部機構を晒す様に外装を剥がす。

「リボルバーシュ―――ト!!」

 ガジェットⅢ型を背後から破壊する衝撃が発生する。

 ガジェットⅢ型の前面と背面、その両方から衝撃を受け姿が大きく歪み、そして爆砕する。完全に動かなくなったガジェットの残骸の向こう側に三つの姿が見える。それは今までの様なガジェットの姿ではなく、人だ。それもバリアジャケットに身を包んだ少女が三人、そこに現れた。

「時空管理局本局、古代遺物管理部機動六課所属のティアナ・ランスター二等陸士と同所属のスバル・ナカジマ二等陸士です」

 オレンジ色の髪の少女が自らと青髪のボーイッシュな少女を示し、最後に紫色の長髪の少女が前に出る。

「時空管理局陸上警備隊第108部隊のギンガ・ナカジマ陸曹です。そちらの方々が協力者の方々ですね?」

 ギンガと名乗った少女が三人の中のリーダー格の様だと教会組は判断する。エリオとキャロが喜ぶような顔を浮かべるが、それを遮るようにルシオが頷き前に出る。この四人組でリーダー格と言えば確実にルシオだ。

「聖王教会所属の見習い騎士だ」

「話はエリオの方から窺っています。休暇の所ご協力いただきありがとうございます。この場で解放する事が出来ないので戦力として此方に組み込ませていただきますが、宜しいでしょうか」

「一々綺麗な口調にする必要はない。自由に使え。文句は言わん」

「うわ、コイツ美人さんに対して何て事を! 何て事を! これは後で超兄貴に報告だな!」

「その言い方は激しく誤解を招くからやめた方がいいよ……ともあれ、そちらの指揮に従いますのでご自由に我々を使ってください」

「了解しました―――気軽にギンガと呼んでくさいね」

「うおおおおおおお!! ギンガさ―――」

「五月蝿ぇ」

 首を掴みルシオがエリックを持ち上げると、その体を激しく揺らしながらその口を黙らせる。僅かに笑い声が上がるが、一番真剣な表情のティアナと言う名の少女が銃を構えながら少し前へ進む。

「この先に広間があるからそこで篭城するわよ。出入り口は二つしかないしある程度自由に動けるわ」

「なら急ごう、正直この子をこのまま運び続けるのは結構心苦しい」

 背後から追い上げてくるガジェットを確認し、ティアナとタカヤが射撃によって牽制し、それを最後尾に一気に地下通路を駆け抜ける。ティアナ、スバル、ギンガ。この三人が来るまでにガジェットを倒しながら進んできたのか、ティアナの示した広間までは一切のガジェットが存在しない。そのため今まで合ったような妨害もなく、全速力で地下通路を駆け抜け、一気に広間までへの道を抜ける。

 全員が地下通路を走り抜け広間へと到達した瞬間、背後の扉と前方に存在する扉が勢い良く閉められロックされる。

「閉じ込められた?」

「違う、誘い込まれたんだ!」

 マーシュがそう叫んだ瞬間に広間の中の空間が一瞬だけ揺れ、光学迷彩に隠されていた存在が僅かにだが浮かび上がってくる。それは一機ではなく二機。まだ全貌を明かしていないそれは集団に向けて突進を放ってくる。

「避けろ!」

 集団が二つに分かれるように避けた直後、二つの集団を割るように一機目、そして二機目が立ちふさがる。突進を放ってきた一機目の大きさは初めて見た人型ガジェットとそう変化はない。ただ、その下半身は人型のそれではなく。馬の姿となっている。片手に巨大な剣を一本ずつ握る姿は空想上の生物、"ケンタウロス"に酷似した物がある。そしてもう一機、こちらは完全に人の姿をしていなかった。大きさはもう一機と変わらないが、こちらは三つ首の犬、地獄の番犬"ケルベロス"を思わせる姿をしていた。

 メタリック色の体が、それが敵だと何よりも主張していた。

「……えー。逃げ回ってたらラスボスが待ち伏せとかなにこれクソゲー。これってイベント的に負けイベだからソッコで死んでいんじゃね?」

「はいそこ! 不吉な事を言わない! 分断されちゃったけど―――」

「時間を稼げればなのはさん達が来てくれる筈ね」

「それまでは何とか……いえ、倒しましょう」

「うん!」

 その言葉に管理局サイドは援軍に対して自信があるのか、瞬く間にやる気を取り戻す。が、見習い騎士サイドは自分たちの援軍を思い出し―――

「―――自力で切り抜けるぞ……!」

「あんなナンパ師が来てもなぁ」

「一応強いには強いんだけどなぁ」

「信用がなさ過ぎるぜ」

「あんた達の上司って一体なんなのよ……」

 分断された二組は管理局、見習い騎士、完全に混合したグループだが幸い誰もが戦える。
分断。囮。足止め。謎の少女。そして若きエース。

 ミッド地下の激闘、それを飾る戦いが始まる。
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| 不良騎士道 | 13:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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