陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-25

「カッー! ペッ! ペッ!」

「うわぁ、露骨に嫌な顔をしてる……」

「あらら……」

 場所は変わり、再び第三層、遠坂凛の巨大ウォールの前、そこにいるのは自分とシャヘル、そしてアルクェイドだけではなく、殺生院キアラの姿があった。校舎で協力を求めた所、直接手伝うわけではない為ギリギリセーフのラインらしく、快く仕事を引き受けてくれた。どうやら五停心観の様な特殊な術式を使うらしく、レオや桜ではどうしても出来ない事らしい。あの無敵超人でさえできないという事は非常に驚きだが、この場合はキアラがいて非常に助かる。

 だから、

 いい加減協力者に対してそう言う態度を取る事を止めてくれないだろうか、シャヘルさんよ。


「あぁ!?」

 シャヘルは若干キレ気味に背中をキアラへと向け、顔を見せない。何が何でも極力キアラへと関わろうとはしないようだ。アルクェイドもどうやらシャヘル側らしく、無言でシャヘルの頭の上でだらけている。この二人、一体キアラのどこをそこまで嫌っているのか良く解らない。

「お前にゃあ難しい話かもしれんけどよ、その女の本性は醜悪極まりないぞ白野。腐る。腐るぞそいつは。”女”であること以前にそいつは毒の塊の様なもんだ。近くにいるやつをゆっくりゆっくり汚染して気づいた時にはどうしようもなく手遅れだ。ほんと、覚者様はよく煩悩を振り払ったものだ。この俺自ら賛辞を送ってやろう」

 覚者? 賛辞? ……また何やら意味不明な事を口走っている気がしないでもない。ともあれ、キアラに対して失礼なのでキアラへと頭を下げて謝る。此方のサーヴァントが失礼な事ばかりを言ってすまないと。

「いえいえ、お気になさらずに」

「あぁ、そうだ。気にしなくていいぞ。そいつは何一つ間違っている事は言ってないからな。女である上に生きているから腐る事は必須だ。俺からもアドバイスしてやろう―――近づくな、と。関わり過ぎるとこの毒婦の様になるぞ」

 マスターに対して強烈な毒を吐きながらキャスターのサーヴァント、アンデルセンが出現した。アンデルセンの出現を見たシャヘルはやっとキアラの方向へと視線を向け、口を開く。

「第一マーラを好む奴なんてそれこそ破滅願望を持ったような阿呆だけだろ。お前は良くそんなマスターで我慢できるなあ。俺だったら真っ先にムーンセルにチェンジを頼むぞ。というかムーンセルさんの相性診断はどうした。働いているのかこれ?」

「むしろ働いた方だろ。俺以外のサーヴァントだったらここまではついてこないだろう。ま、それもかなり我慢している方だがな。しかし貴様のマスターも実に難儀な事だな……何せ唯一の相棒が特大の地雷と来る。呪い(ヤンデレ)系の需要は少ないだろうに」

「シャヘル!」

「アンデルセン!」

 共に言いたい放題のサーヴァントをしかりつけると、アンデルセンもシャヘルもふん、と言葉を吐いて姿を消す。この二人、何やらすごく相性がいいような、ものすごく悪いような、そんな気がすると。りあえずキアラに謝り、謝れると、話を進める。

「ではお覚悟の方は出来ていましょうか?一度はいれば終わるまで脱出方法するはありません。それこそ仕切り直しを使用しての脱出は不可能です」

 そこは問題ない。アイテムフォルダの回収も、補給も礼装の装備もすべて完了している。これ以上なく万全の状態だ。バゼットから軽いルーン魔術の手ほどきも受けて、戦闘面での心配は能力の差以外には存在していないものだと思う。

「解りました。ならば私も己の役割を果たす事と致しましょう。そこで力を抜いて立ってください」

 シールドの前まで移動したキアラが壁の前に立ち、壁に背を向けて術式を起動させる。エリアの中央に立っている此方の体がキアラの術によって干渉されるのを感じる。間接的にパスを通して、サーヴァントにまで同じ術の影響を与えながら、キアラを少しずつ浮かび上がり、

「―――」

 次の瞬間、体は弾け、一瞬の意識の空白が生まれ―――





 ―――落ちていた。

 ひたすら落ちていた。

 落ちて、落ちて、落ちて行く。

 黒い空間、時折見えるデジタルな記号やイメージ、それに囲まれながらひたすらこの黒い空間を落ちてゆく、唐突に始まったそれは驚きしかなくて、

「にゃああああああああ―――!?」

 悲鳴を上げる事でしか反応できなかった。

「落ち着けよマスター」

 横へと視線を向ければ共に落ちているシャヘルの姿があった。その頭の上にはアルクェイドが両手足を使って、全力で頭にしがみ付いている。デフォルメ姿も相まって中々可愛らしい光景だが、二人とも焦っている様子はない。どうやらこの光景を受け入れているようだ。そんな二人の様子を見ていると、少し心に余裕が出てくる。

「落ち着いたか? 今は心の中へ落ちて行っているんだ。あの壁は凛の心の壁だ……そんな中へと侵入すれば心の中へ侵入するのと一緒だ。ほら、良く耳を澄ませ。聞こえてくるはずだぞ」

 シャヘルが左側へと回り込み、此方の姿勢を整える為に左手を掴んでくる。その手を掴み返しながら、シャヘルに言われた通りに耳を澄ませてみる。焦っていて、聞こえなかった言葉が少しずつだが、だが段々と鮮明に聞こえてくる。

『―――嫌なのよ』

 それは凛の声だった。

『嫌なの! 私を勝手に枠組みにはめないで! テンプレって何よ、、私を貴方達の勝手な解釈や都合のいい形にしないで! 私は私、自分らしくしていたいだけなんだから』

 それは凛の心の声、まぎれもない本音だった。

『なに? 私がいけないの? お金を愛しちゃいけないの? 好きにふるまっちゃいけないの? というか解りなさいよ! アレも、 これも、 それも全部全部貴女の為にやっているんだから! それが解ったのなら黙って解ってよ!』

 凛の叫び声に答える―――流石にそれには異議を申し立てさせてほしい。理由も説明もなく何かを誰かの為にやる。聞こえはいいが、それは結局身勝手な行動であり、周りには理解されない事なのだ。どう足掻いても独りよがりの自己満足という結果しか生み出せないのだ。だからそれには賛同できない。しかし【テンプレーション】は意外と凛の心に対して負荷をかけているようだった。露骨なSGだったが―――。

「いや、だからこそそう言うもんだろ。人間という生き物は見えるものこそを嫌悪するんだよ。見えなけりゃあ嫌う理由もないだろ? 凛の【テンプレーション】は露骨な上に周りからツンデレツンデレって言われりゃあそりゃあ嫌にもなるさ。自覚症状がある分、嫌悪ってやつは抱きやすいものさ」

「まあ、それでもツンデレっぷりは改善しないのが凛らしさよねー」

 結局心の問題は自己の問題。どうにかするのもしないのも自分次第。

 それを理解したところで体は更に深みへと落ちてゆく。

 下へ、下へ、凛の心の奥深く―――その根幹へ。

 そうやって落ち続ける姿はやがて到着する。凛の奥底、戦闘用にできた舞台へ。まるでステージの様な場所だった。周囲には宝石の様なものがキラキラと浮かび上がり、空間を飾っている。落ちていたあの黒い空間よりははるかに明るく、飾られていた場所だった。”心の贅肉”と言う言葉を使っていた凛の割には、そこそこ飾られている空間なのかは皮肉なのだろうか。着地と同時にシャヘルがアルクェイドを頭の上に乗せたまま前に立つ。

 その反対側にはランサー……いや、エリザベート・バートリーと遠坂凛の姿があった。

「そう、来たのね。私の心に踏み込んで」

 淡々と、凛は此方を見ながらそう告げてくる。そう、これは心を暴く行為だ。凛の心へと入り込み、その心を勝手に覗き、蹂躙し、そして制圧する行動。だがそれでも、今の凛には荒療治が必要に見える。だとすればこの岸波白野、容赦はせん。凛が白目になるまでその心を蹂躙してくれる。

「なにをするつもりよ!? ……ったく、ほんと変わらないわね。諦めない事といい、どこまでも突き進んでくる事といい、放っておくと一番危ないタイプよね、貴女は。だからこそ私もこうやって追い込まれちゃってるんだけど……今回だけはマジでガチで行くわよ」

 それは解っている。だがどうしても解せない事がある。とすれば凛には答えてもらいたい事があるのだ。

「私にそれに応えるメリットはないわよね?」

「あら、余裕がないのかしらリン? 面白そうじゃない。答えてあげなさいよ」

 即座に切って捨てようとした凛をエリザベートが援護をしてくれた。流石にサーヴァントのご機嫌を取らないといけないのか、凛は露骨に溜息を吐いてから解った、と答えてくる。返答をエ得た事で踏み込む。質問は実に簡単な事だ。何故こんな事を行ったのか。何故月の裏側へ、何故校舎へ、何故迷宮を。SGを調べて暴けたのは凛自身の情報だけだ。凛を知る上では非常に重要な事ばかりだが、現状に関するヒントは一つも増えていない。だから教えてほしい。何故こんな事をしたのか。

「え、なに? そんな事が聞きたいの? じゃあ教えてあげる―――それが必要だったからよ」

 解っていたが、凛は真面目に答えるつもりはない。

「えぇ、そうよ。私は真面目に答えるつもりはないよ。だって私は女王様、この月の裏側の支配者。貴方達をここへと連れ込んだ張本人。だから崇めなさい、叫びなさい、私を月の女王として!」

 得意げに胸を張る凛。その光景を見て思う。

「―――自分で女王様って言ってて恥ずかしくないんです?」

「鬼か貴様ぁ―――!!」

 凛が頭を押さえながら叫ぶ。実にいい絶叫っぷりだった。

「なによそれ!? ここは女王様って呼ぶところでしょ!? というかこっちが主張しているんだから一回ぐらいそう呼んでくれたっていいじゃない!?」

 微妙に涙をためながら紅潮した様子で凛は叫んでいた。どこからともなくアルクェイドはスルメイカを取り出し、シャヘルの頭の上で食っていた。

「スルメイカうめぇ」

「暇なのと、何かギャグ時空が進行しているのは解るけど俺の頭の上で食うなよ」

「はーい」

 ぐぬぬ、と声を零している凛と比べて我がサーヴァントたちは実にマイペースで素晴らしい、と思ったところで、構える。凛からの敵意が此方へと突き刺さるように向かってくる。今のが凛の中での最後の会話のつもりだったのだろう。

「もういいわ、やってしまいなさい、ランサー!」

「ふふ、任せなさいリン。さ、行くわよ子リスと蒼いの。私が勝ったらたっぷり可愛がってあげる」

 マイクスタンドの様な槍をランサーは取り出し、体を揺らしながら構えてくる―――その動きには前回との違いはない。内心笑みを浮かべるのと同時に、シャヘルが大太刀を取り出し、それを逆手で構える。

「さて、手札もないし今回はダーティーにやらせてもらおう」

 逆手で刃を構えた状態でシャヘルはそう言い、構えている。相変わらず頭の引っ付いているアルクェイドの存在はこの際無視し、思考のスイッチを完全に戦闘用のそれへと切り替える。バゼットに貰った手袋に魔力を通し、魔術を使用待機状態へと持って行く。

 ―――ここで負けるわけにはいかな。

「シャヘル!」

「ランサー!」

 名を叫ぶのと同時に、両者が疾走し、ぶつかった。




 まさか戦闘開始前で1話分埋まるとは思わなかった。戦闘は次回に持ち越しですねー。ネコアルクに出番はあるのだろうか……。

 そしてハーメルンで執筆中のお隣さんがついにCCCに突入しましたね! 洗脳した身としては実に嬉しい事だったり。
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| 断頭の剣鬼 | 10:20 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

引きずりこまーれ、洗脳さーれ、オメメグルグル(
番外編の方が楽しいからしょうがないんだよね!
さて隠しボスはまだですかねぇ(

| お隣さん | 2013/06/25 11:08 | URL |

あなたを犯人です!

| hunting ground | 2013/06/26 15:52 | URL | ≫ EDIT















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