陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-21

「ばたんきゅぅー……」

「うわぁ……」

 思わずそんな声が漏れる。サクラ迷宮の床に倒れている姿はシャヘルのものだ。しかもただ倒れているだけではない。黒焦げだ。服も、身体も、髪も、全部炎で焼かれてギャグ漫画の様に焦げている。おそらくムーンセルの中だからこそ表現の出来るタッチだ、これは。今でも体から煙を出しながら倒れるシャヘルは時折体をピクピクさせている。HPを確認すれば1ドットだけがギリギリで残っている状態で、データとして確認すればHPは1として表示されている。


「やっぱり円卓の騎士は頭がおかしい」

 ネコアルクに概ね同意である。敏捷E相手に高敏捷を全力で稼働させて、追いついてきたところに必殺の開幕ガラティーン。鬼畜とか容赦がないとか慢心しないとか、そういうレベルじゃない。お前それは普通ありえないだろうというレベルの圧倒的暴挙だった。仮にも迷宮探索係に必殺の宝具、しかもHP1残す様に調整して峰うちです! とか宣言するのはないだろう。おい。

 しかもサイフの中身をすべて持っていかれた。

「太陽の騎士許すまじ」

『その前に迷宮攻略の為にお金を出したはずがサクラの制服になった話があるんですけど』

「いやぁ、レオ様の懐は宇宙の如く広いですねぇ……」

「こいつ力に屈したぞ……」

 シャヘルがそんな事を言いながら立ち上がる。体がこげこげだったのは立ち上がった一瞬で完全に消え去っている。データ上はまだ瀕死で、かすり傷で儲ければその瞬間に死ねるほどの重症だ。だがすぐそこには回復の泉がある。シャヘルがそこに近づき、噴水から水を飲めばそれでシャヘルは完全に回復した。

 ……まあ、ガウェインもこれがあったからこそ開幕ガラティーン等という暴挙に出たのだろう。

 ともあれ、シャヘルは完全回復して、ガラティーンの瞬間にシャヘルを盾にしたネコアルクはシャヘルに捕獲され、手の中でグニグニと体を引っ張られたり捻られたりしている。当然の罰だと思いながらも、シャヘルを後ろに連れながら前へと進めば噴水の設置されている短い通路を抜け、前と同じ構造のエリアへと出る。少し進んだ先にSGによる解除できる壁が見える。だから、

「ちょっと!」

 遠坂凛が出現した。もちろんというべきか、ご立腹だ。腹を立てた様子で腰に手を当てて、前のめりに此方を睨んでくる。

「何よ! 折角設置してあげた私の優しさが解らないっての!?」

 パチ、と指を鳴らすと再びエネミーが出現する。デザインは先ほど倒した奴と全く同じ姿だ。だがそれが放つプレッシャーは前のエネミーよりもさらに鋭く、そして重厚なプレッシャーを放ってきている。明らかに前に凛が召喚した個体よりも凶悪な個体だ。それを召喚し、凛は得意そうな表情をしている。

「じゃ」

 再びパチ、と指を鳴らす。それと共に入金ターミナルが出現する。もはや其方へと視線を向ける必要はない。ここへ来て凛は圧倒的な愚行を犯している。それを伝えるためにも、凛の話に付き合うことなく、パスを通してシャヘルへと闘志を伝える。それに応え、シャヘルが大太刀を両手でつかみ、右肩に抱える様に、やや前傾に構える。

「入金よろ―――」

 魔力をシャヘルへと送り込んだ瞬間、魔力放出によって一時的にDクラス相当の速度を持って、一気にエネミーへと接近する。

「話しは最後まで聞きなさいよ!!」

 だが聞かない。

 凛が横へと飛んで避けるのを見ながら、笑みを浮かべているのを見る。

「いいわよ! そんなに死にたいなら死んじゃえばいいのよ! 言っておくけどそれは同じようでも中身は前のより15レベルも上なんだからね!!」

 それはいい事を聞いた。

「ハッ」

 獣の様な笑みを浮かべたシャヘルよりも、相手の方が動きが早い。だがその動きは前の、先ほどの門番と全く一緒だ。実に凛らしくないプログラミング―――私と、そしてシャヘルに対して同じ動きを使用してくる等愚の骨頂。魔術師としての才能がないのは百も承知。ハッカーとしても最低。

 だが、だからこそ、忘れない、あきらめない、負けない、折れない。

 一度見たら―――絶対に覚える。

 どこか、何時か、岸波白野が戦いに対して誓った事だ。

 敵は素早く接近して、シャヘルよりも早く攻撃を叩き込んでくる。だが此方の一手目は防御。素早い動きという事は必然的に軽い。これが熟練の武芸者であれば話は別だが、エネミーごときにこの絶対の法則は崩せない。足の枷で防御した瞬間、相手の攻撃を蹴りで弾き飛ばし、シャヘルがカウンターの要領で兜割を叩き込む。威力は低い。だがそのままシャヘルへと再び魔力を送ることで、

「絶命しろ」

 習得したばかりのスキルによる、剣が変化し、そして光の斬撃が質量と共に深く、頭にめり込む。そのまま剣とエネミーの床へと叩きつけ、更に魔力を吸い上げてシャヘルの姿が消える。移動も攻撃も一瞬。

「ぶっ殺―――したぁっ!」

 背後からすれ違う様に一閃。一瞬で無防備だった首の裏から頭を刎ね飛ばす。断頭の必殺効果が発動し、それでエネミーは絶命し、そして経験値の塊となって此方を祝福する。温い。実に生ぬるい。

「出直せ。レベルが違う。筋力が高い。早い。強い魔術が撃てる? ハ、舐めてくれるな。バージョンアップした程度の木偶で俺も白野も止められるとでも思ってるのか? 腐ったか凛」

 シャヘルが此方の前へと戻り、大太刀の姿へと戻った得物を手の中で回転させてから床へと突き刺し、それを宣言した。その様子を見て、一瞬だけ静寂が訪れる。生徒会からの通信が来ない辺り、どうやら自分は期待通りの働きをしているようだ。

『いえ……流石に予想以上の活躍です』

 そうなのか? だとしたら光栄だ。

 少年王の想像を超えた三流魔術師。中々に素敵な響きではないか。

「そこに神を使役する、ってつけてもいいんだぜ?」

「あ、そこに精霊も追加で」

 じゃあ三流魔術師と愉快な仲間たちで。

『愉快なのはお前の頭の中だぁ―――!!』

 今日もシンジのツッコミは実に冴えている。いい事だ。

「―――ちょっと甘く見過ぎてたわね」

 遠坂凛はこの惨状に対して怒りを見せていなかった。逆に腕を組み、冷静になっていた。その目はふざけた色が完全に抜けていた。それを見て一瞬で理解する―――なるほど、確かに彼女は遠坂凛なのだと。これが凛の分身、SGを大きく反映したものだとしても、その本質は決して変わらないのだ。だから彼女は明確な敵意を持ってこっちを睨んでいる。

「いいわ。ナメてたのは素直に認めるわ。だからこっからは油断も慢心もなしよ。本気で潰してあげる。ランサーがすっごい散財するから正直サクラメントが貰えないのはすっっっっっごく残念だけど、まあそこは仕方がないと思って斬り捨てるわ」

 そう言って凛は手の中に宝石を握りこむと、口を開ける。彼女は間違いなくランサーを呼ぶつもりだ。だとすれば丁度いい。二度目は絶対に負けないと此方は決めているのだ。一回目の敗走の屈辱はここで清算させてもらうとする。

「きなさい、ランサー!」

 凛が叫び、ランサーを召喚するために呼ぶ。

 だが。

「……」

「……」

「……」

「……こないわねー」

 ネコアルクが後ろ側で暇そうに床の上をゴロゴロ転がっている。その姿を軽く無視しつつ、構えているが、ランサーの姿はない。

「ちょ、ちょっと待った。……ランサー?」

 凛が少しだけ焦った様子で背中を向けてランサーの名前を呼ぶと、

『―――あ、リン? 私風呂の時は何に対しても応じないって言ってたわよね? そんなわけで私行かないから』

「……」

 今、確実に凛は白目をむいていると確信できる。絶対に乙女にあるまじきショッキングな表情を浮かべていたと確信できる。背中しか見えないが、何故かその表情が鮮明に思い浮かべる……!

 凛、可哀想な子。

 と、凛が此方へとゆっくり振り返る。少し困った様子で、此方を見ると、

「……新しいエネミー用意するから少し待っててくれないかしら」

「だが駄目だ金の亡者―――いや、【拝金主義者】め!」

「ちょ!?」

 これ以上ないチャンス。凛が振り返った瞬間、凛の登場から既に全開状態だった右手の五停心観プログラムを起動させる。一層目の時同様、再び凛は白く染まり、胸から秘密が、SGが出現してくるのが見える。体がプログラムに従い勝手に動き始め、一瞬の跳躍と交差、

 体が自分の思い通りに動かせるようになるころには、SG2の取得は終わっていた。

 ―――【拝金主義者】、即ち金に執着する存在の事。金を集め、使う事ではなく、金を集める事に執着すること事態を示している。これもまた、凛の一部。

『SG取得確認……行きます!!』

 桜の宣言と同時に迷宮奥のシールドが破壊され、迷宮の道が開ける。

「くっ……!」

 したやられた、そんな表情を浮かべながら凛は顔を持ち上げる。

「まあ、いいわ。まだあと一層―――」

 凛はそれ以上言葉を続ける事無く、その体が砕け散った。元々、凛という少女は自分の友だったと思う。いや、たぶんそのはずだ。彼女へと向けている思いの中には間違いなく友情があるのだから。だから、彼女がああやって砕ける姿を見るのは正直、あまり楽しくはない。

「その割には結構楽しそうな顔をしているわよ。特に宣言した時とか」

 ゴロゴロ転がっている猫に蹴りを入れ、迷宮の端っこから落とす。

『お疲れ様です白野。本日の探索は終わりですが―――えぇ、借金返済プランについて校舎に戻ってきたらしましょうか』

「俺達の戦いはこれからだ!」

 真のラスボスは校舎にいた。……が、まあ、なんだかんだでサクラ迷宮も割とチョロイ凛のおかげで攻略完了だ。校舎に戻って、レオの悪乗りに付き合ったら寝て休んで、そして起きたら朝食を食べて挨拶をして、準備を整えて―――

 そして、ハッピーエンドの為に、また頑張ろう。




 ガウェインさんの行動
 行動に出る→迷宮を敏捷ステの限界で走る→白野シャヘル発見→到着と同時にガラティーン→サイフ取って帰還

 実に外道である。

 あ、あとあんけぇいとは此方です。
 あんけぇいと
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| 断頭の剣鬼 | 23:57 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

神速ガラティーンとかww
そこはせめてなぶる程度にしとけよww

| 裸エプロン閣下 | 2013/06/21 13:38 | URL |

よくよく見れば五停心観が左手じゃなくて右手になってるのね

| | 2013/06/21 21:57 | URL | ≫ EDIT















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