陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-19

 チェックポイントから再び迷宮へと忍び込む。だが今度到着するのは一層目ではなく、二層目だ。一層目と変わらない夕陽に染まった建物の世界に足を踏み入れる。そこにいるのは自分と、シャヘルと、そしてデフォルメアルクェイドの三人だけで、時折遠くから聞こえる羽の羽ばたきがエネミーの存在がいるという事を主張している。

「愛しき人に勝利と光を」

 迷宮に到着と同時にシャヘルがそんな事を言うが、気持ちの切り替えと発破のつもりなのだろう、素直に今の言葉には笑わず、気合を入れ直す。遠坂凛がどんなちょろい人物であれ、迷宮の攻略は確実に命のかかわるものだ。ここから先はシャヘルに己の命を任せる事となるのだ。

『聞こえますか先輩?』


 一歩目を踏み出そうとしたところで端末から声が聞こえてくる。この旧校舎において自分を先輩、等と酔狂な呼び方をする人物は一人しかいない。つまりは間桐桜の事だ。

『ソナーを放った結果、前方に人体に該当する構造体の確認をできました。おそらく遠坂凛のものと思われます。戦闘する可能性が高いのでお気を付けください』

 となれば戦闘の準備だけはしておくべきなのかもしれない。軽く自分のアイテムフォルダの中身を確認し、所有回復アイテムがどれだけあるかを確認し、首に巻いた鳳凰のマフラーをもうちょっとだけきつく締める。この礼装と回復アイテムだけが今の所の回復手段で、迷宮から出たら魔力が回復する事を考えるのであれば、積極的に礼装での回復を多用したい。―――まあ、無傷での勝利が理想的ではあるのだが。

 ともあれ、止まっているわけにはいかない。進もう。

 シャヘルを後ろに連れながら、確かめるように前へと進む。一層目と二層目を繋ぐ階段の下から十数歩歩けば少し大きめの広場に出る。左へと道が分かれるその広場の奥、補給用の噴水が置いてある通路の前に、その赤い少女の姿はあった。遠坂凛、自分が一層目で秘密を暴き、撃破した少女だ。背中を向けていた凛は此方の気配に気づいたのか、あるいは迷宮に踏み込んだ時から既に察知していたのか、此方が広場の中央に出るのと同時に振り替える。

「あら、いらっしゃい。本当ならここで追い返してやるところだけど、とりあえず歓迎しておくわ」

 笑顔でニコニコと凛がそう言ってくる。その態度は明らかに一つ前の層、【テンプレーション】を秘密としていた遠坂凛とは違うリアクションだ。ピピ、と端末が再び音を鳴らす。

『おそらくですがミス・遠坂は分身毎に違う秘密を持っているのでしょう。それぞれが違う秘密を持って別々の心の壁を作る。強固でありながら違いを作って、確実に此方の足を止めに来ていますね』

 という事は、前の層で得た凛の情報は全くの意味をなさないという事になるのではなかろうか? ……いや、それは違う。【テンプレーション】は間違いなく凛の一部であり、全体を通してみると解る、彼女の持つ資質の一部だ。それが答えでなくとも、アレは公然の秘密―――即ち彼女が持っている側面の一部にして、他のベースに違いない。そう思い、凛に視線を向ける。が、不思議な事に凛はニコニコと笑みを浮かべている。

「いいわよ? そうやって敵意むき出しにしても」

 凛の発言は意味が良く解らない―――

「うんうん、やっぱ時代はエコよね。何でもかんでもスマートにやらなくちゃいけないと思うのよね、これが。有効活用は大事って話。だから―――」

 凛が手を振ると、巨大なウシ型エネミーが凛の横に出現する。そのエネミーから感じる力は今まで接触してきたどのエネミーよりも強大で、凶悪な気配だった。その気配に若干気圧されながらも、しっかりと凛を睨む。

「貴女の力を有効活用してあげる」

 笑みを浮かべた凛が再び腕を振る。今度は何が現れるのか、そう思い身構えた瞬間―――左側に出現したのはターミナルだった。

「そう、時代はエコ―――そして金よ! 金! この世界はそれで回っているの、お金さえあれば大抵のものは手に入るわ―――そう、勝利とかもね。そんなわけで恐れ戦きなさい、この遠坂・マネー・イズ・パワー・システムに!! あ、以下T・M・I・P・Sで」

「……」

「……」

『……』

『あ、兄さん? お茶をお願いします。えぇ、ちょっと眠気を払いたいので濃いめので。どうやら夢を見ていたようですので眠気覚ましに、えぇ』

『俺、あんな遠坂は見たくなかったよ……』

『うわぁ、ひたすら頭ワリィッスねー』

 どうやら生徒会もだいぶ賑わってきた様子。おそらく生徒会に全員そろっているのではないだろうか? まあ、十中八九ジナコはあのニート部屋からの観察だろうが。さて、今夜の夕ご飯はどうしようかシャヘル? 昨日は和食だったので、今夜はちょっとアジアンテイストな物に挑戦しても悪くはないと思う。ナシゴレンとかはどうだろうか? 夕ご飯にしては少々軽すぎか?

「現実と戦いましょうよ」

 ネコアルクに諭された。急に人生が嫌になってきた。

「遠坂! マネー! イズ! パワー! システム!」

 ない胸を張りながら凛が機械を主張し、ない胸を張りながら笑顔で説明する。

「そこに入金したのを確認したら私の方で操作してこのエネミーのレベルを思いっきり下げてあげるわ。具体的に言うと上の層の丸いエネミーぐらいには。今の貴方達ならおそらく一撃で破壊可能でしょうね」

 凛の笑みの理由が解った。此方から金を巻き上げ、収入を得る事が嬉しいのだ、この女は。

『完全に搾取側の考えですね、ミス・遠坂のこれは。惜しむべきは彼女が此方側ではなくレジスタンス側の存在という事でしょうか。ともあれ白野、そのエネミーとの戦闘は極力避けてください。バゼットやガウェインならともかく、今の白野とシャヘルにはかなり辛い相手です。無駄な消耗を避けるためにも個人的には入金の方をお勧めします』

「うんうん、いい事を言うじゃないレオ。……ま、たったの一万サクラメントだから、頑張って集めて回ってね―――」

 ちょっと待て、今凛は凄い金額のサクラメントを要求しなかっただろうか?

 そんな事を問う事が出来る前に、凛は門番にエネミーを放置し、姿を消してしまった。金と緑色のウシ型エネミーはそこから動く気配がない。おそらく接近さえしなければ反応しないタイプのエネミーなのだろう。……しかし、今のシャヘルよりもレベルの高い相手であることに間違いはない。一万サクラメントか。どうするべきなのだろうか、これは。

 と、入金ターミナルの背後にアイテムフォルダがチラリと見えた。それをまずは軍資金にしようと回収へと向かい、開け―――そしてしかし、中身が空っぽだった。

『うわぁ、遠坂の奴性格が悪いな』

『明らかに見えるところに設置して、中身を空っぽにしておく……あからさまな挑発だな』

『直ぐ近くに下り坂を感知しました。その先はエネミーが多数に沸いている狩場となっているようです』

『おそらくリンからの指図なのでしょう。そこで狩り、サクラメントを貯め、入金しろと。酷いマッチポンプを見ました』

 本当にこれはひどい。金の亡者遠坂凛ここに極まれり。これはもう次のSGも完全に見えた。というかここまで露骨でいいのかSGよ。上の層の【テンプレーション】もそうだったが、全くと言っていいほど隠す気がないぞこいつ。若干頭が痛くなって頭を抱える。一万サクラメントは大金だ。稼ぐにしたって相当エネミーを狩る必要が出てくる。それ以外の方法であれば―――。

「借金位かしらねぇ。そんな事してくれる奴がいる場合だけど」

 ……それはなんというか、非常に怖いものだが、

「他人の金に頼ろう!!」

「清々しい程の笑顔だなぁおい」

 そんなわけでリターンクリスタルを取り出し、それを発動させる。





 まず最初に頼ったのはキアラだった。その理由は一番簡単で、ただ単に入り口の一番近くにいるからだった。故に廊下の奥、暇そうにしているキアラとアンデルセンを訪ねる。

「あら? お姉さんに何かご用でしょうか」

 そう言って首をかしげるキアラに対して、先へ進む為のサクラメントを貰いに来たというが、それをアンデルセンは鼻で笑う。

「ハ、貴様、そもそもこの女が金を持っているように見えるか?」

「ですよねー」

「若干傷ついたのですが」

 お前のおっぱいの大きさにこっちは精神的ダメージ食らっているのでイコールという事で終了。





「金出せよニート」

「どこの借金取りッスか!?」

 第二に頼ったのはジナコだった。このニート、何やら言峰の話では結構な頻度で購買へお菓子の購入をしに来ているらしい。ならばサクラメントが余っているという事実で、それを迷宮攻略の為に、そして何より私の懐を守るために強奪しに来るのは正しいはずだ。

「借りてすらいない! 強奪! 強奪ッスよ! というかお菓子用のサクラメントしかないのでもってるの100サクラメントぐらいッスよ!?」

 さ、次へ進もうか。

「露骨に見下されたぁー!?」

 ニートの部屋の扉を開ける事無くその場から退散する。





 借金旅その三、バゼット。

 生徒会室に戻ると既にバゼットがそこにいた。遠くでレオがこっちを見てにこにこしているが、本能がアレと関わってはならないと告げているので全力でスルーしている。とりあえず、バゼットにあまりのサクラメントはないのかと質問するが、

「すみません、私も”フラガラック”のストック作成用にサクラメントを使用していますので、渡せる分はないんです。此方側へと落とされたときにフラガラックを全て没収されてしまったようで、一から全てを作成しているために更に量が必要でして、逆に欲しいぐらいなんです」

 苦笑しているバゼットだが、どうやら彼女も実はかなり大変そうな様子だ。では、と壁際で腕を組んでいるガトーを見る。その視線を受けて、ガトーは笑みを浮かべた。

「小生、一文無しである!! 朝餉も夕餉もユリウス殿のオゴリである!!」

「最悪だよこいつ」

 サーヴァントの声が揃った瞬間だった。あのガウェインをしても呆れた表情を浮かべている。そのガウェインの横にいるレオの事は全力でスルーし、ホワイトボード横のユリウスを見る。ユリウスは呆れた表情で溜息を吐き、

「済まないがこれが俺の全財産だ」

 そう言って投げ渡してきたのは―――600サクラメントだった。

「少なくて悪いが、俺には個人資産というものがない。己の身のみで稼いできたそれが本当の全財産だ―――好きに使え」

 この金の重みが凄すぎて逆に使えなくなった。ユリウスから受け取ったサクラメントは友情の証として大切なものフォルダに追加しておく。―――重要度は凛のSGよりも上の設定で。

「白野ー?」

 仕方がない、此処はお金を借りるのは諦めるしかない。やはり狩りでどうにかして稼ぐしか方法はないようだ。

「はくのんさーん?」

 まあ、元から一万と言う大金を借りること自体が無謀だったのだ。これを教訓に―――。

「あ、手が滑って10万サクラメントが……」

「何なりとお申し付けください」

「こう言っては何ですが、レディも中々に金の亡者ですね」

 もはや凛のSGは周知の事実だった。次に会う時が実に楽しみである。

 仕方がなく、レオの前へとやってくる。生徒会の生徒会長にしてこの旧校舎の支配者、そしてたぶんラスボスのレオ会長。この少年は10万サクラメントをぽんと投げるだけの財力がある。故に、ここまで来たらもうプライドとかどうでもいい。

「お金ください!」

 土下座してお金を借りる事にする。ついでにネコアルクも引っ張って一緒に土下座させる。

「ちょ、な、なんで私まで―――!?」

 だが問答無用。金の為ならプライドを捨てるのが岸波白野の流儀。

「絶対迷走してる……!」

 早く頭を下げろよ光の神、等と思っていると端末から音が鳴る。顔を上げれば、そこに笑顔のレオが存在する。

「10万サクラメントの送金完了しました。攻略を頑張ってください白野」

「レオ生徒会長……」

 桜がレオの善意に軽く感動したが、

「―――あ、利子はトイチなので」

 その一言で生徒会室にいる全てが凍った。




 月の裏側は今日も頭がおかしいなあ(褒め言葉。

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| 断頭の剣鬼 | 11:51 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

原作よりも高いとか酷い
そして忘れられるシンジェ……

でもぶっちゃけ無課金で倒せますよね(

| 六腑 | 2013/06/18 13:41 | URL |

一万だと制服買えねえ……。
つーか二層でそんなに稼げるかよw
悪質なサラ金業者の回し者みたいだなww

あと、遠坂マネーイズパワーシステムですぜー、と言ってみる。

| 裸エプロン閣下 | 2013/06/18 16:34 | URL |

俺の時、ひたすらレベル上げて無課金で倒したっけなぁ。
その手の行為にかける手間暇は惜しまない主義なんで。

| イーヴル | 2013/06/18 21:56 | URL | ≫ EDIT

馬鹿な! てんぞーさんならもっとすごい土下座で魅せてくれると思ったのに! ただの土下座だと……!?

| アルフィード | 2013/06/19 00:58 | URL | ≫ EDIT

どこまで行っても遠坂は遠坂でした

というより適当に戦っても勝てるんだよね

| おk | 2013/06/19 08:15 | URL |

面倒くさくて金払った記憶がある・・・。
自鯖キャス狐だもん、しかたないよね!?

| 断章の接合者 | 2013/06/19 12:20 | URL | ≫ EDIT















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