陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-18

 マイルームから踏み出し、窓の外を見る。やはりこの校舎では時間の経過が発生しないらしい―――空は依然と変わらず赤い夕陽の世界のままだった。その事を少し寂しく思いながらも一歩前へと踏み出せば、後ろからシャヘルが追いついてくる。たった一日なのに、その頭の上の珍妙なネコクリーチャーの姿にも慣れてしまったと思う。とりあえずは、挨拶と本日の方針のためにも生徒会室へと向かう。

「……」

「……」

 生徒会室へと向かう廊下の途中にもNPCはいるが、此方を見ると露骨に視線を逸らし、口を閉じる。解っていた事だが、どうやら完全には歓迎されていないらしい。仲良くできない事を少し寂しく思いながらも、後ろにサーヴァントを引き連れ、生徒会室の扉を開ける。そこにはレオとガウェインの姿しかなかった。とりあえずおはよう、と挨拶をしながら片手をあげてボディランゲージで元気をします。


「はい、おはようございます白野。表情を見るにどうやらよく眠れたそうですね」

 最初は三人で川の字という状況故に戸惑いもしたが、別段何か特別な事が起こる訳でもない。温度も適温だし、朝ごはんも美味しかったし、非常に目覚めのいい朝だと判断する。

「それはいい事です」

 レオはそう言って微笑んでから一旦言葉を区切り、部屋を見渡す。

「見ての通りバゼットさん―――あ、もう面倒なので呼び捨てでいいですよね、皆。ともあれ兄さんとバゼットには別件で少々動いてもらっているのでしばらくは生徒会室に居ません。桜は一旦保健室で治療薬の整理などを行っています。次に生徒会室に戻ってくる頃には支給品の用意も完了していると思います。用事があるようであれば直接探してください。ガトーに関してはトイレ掃除をしに行ってもらいました」

 憐れシンジ、お前の名前が語られる事はなかった。

「本日は特に議論することもないのでそのまま迷宮の探索を進めてください。常に校舎とはホットラインがつながっているのでバックアップに関してはご心配なく。あ、あとこれを……ガウェイン」

 レオはガウェインにメモリーチップの様なものを渡し、ガウェインは入り口付近にいる此方へと歩き、手を差し出し、メモリーを渡してくる。それを受けとり、内容を確認する前にレオがその中身をバラしてくる。

「それはガウェインの戦闘スキルのデータです」

 あまりの驚きにチップを手から落とす。それを素早く後ろからシャヘルが尻尾を伸ばし、ぽふん、と音を立てながらキャッチする。尻尾を持ち上げ、此方の手の位置まで戻ってきたのを掴み、ごめんと謝りながらそれを握る。しかしちょっと待て。ガウェインの攻撃スキルのデータとはいったいどういう事だ。

「レディ、貴女のサーヴァントははっきり言って弱体化で非常に弱くなっています。それこそユリウスやミス・バゼットにと戦えば負ける程に。それぐらい弱体化しているのは貴女の表の聖杯戦争と何ら変わりありませんが―――問題はクラスがない事にあります。”英霊”という形で召喚されるために弱体化されるだけではなく、クラスによる補正を失っているため、クラススキルとクラスによるステータス補正、そしてクラスによって制限解除されるスキルの習得が行えなくなっています」

「ぶっちゃけマゾ縛りここに極まりってレベルですね!」

「少しは言葉を選べよ少年」

 自分が知っているレオのキャラじゃないなぁ、等と思いながらもこれはこれでいい感じではないか、と思う自分がいる。ともあれ、自分の持っているペナルティは把握した。問題は大きく分けて三つで、クラススキル、クラス補正、そして習得制限緩和。この三つが正しく機能していないのがシャヘルの現状なのだ。

「はい、ですのでそれに対しする抜け穴を用意しました」

 それがガウェインのデータだとレオは主張する。これが一体どういう風に役に立つかは自分には良く解らない。

「僕の方でシャヘルとの相性がいいスキルを幾つかピックアップしました。上手くいけばそのスキルを直接覚えさせることもできるでしょう。本当に応急処置レベルの行動ですが、何もしない事よりは少しでも手札を増やす方がマシでしょう」

 その行動はガウェインの手札を此方へと開示する事に等しい行動だが―――本当にいいのだろうか?

「構いません―――僕は第七回戦を貴女と正々堂々と、何も隠すことなく相対します。故に僕に隠すべきところは何もない。なぜなら僕の騎士は最強です。恥ずべき点は料理と食べ物に関する感性以外には存在しないんですから」

「あぁ、うん。やっぱり山盛りマッシュでポテトは許されないのか。俺っでも許せないしな、俺」

 ガウェインはその言葉にショックを受けた様子でいるようだ。

「何故ですレオ、シャヘル! もう一度私をキッチンに立たせてくれれば今度こそ満足いく山盛りマッシュドポテトを用意すると約束します! 昼間にやれば三倍ですよ三倍!」

「ガウェイン、今度の休み、お前とユリウスに俺が本当の料理ってものを教えてやるよ。だから、な? 聖剣握って包丁握るの止めようぜ?」

「それを私の挑戦へと受け取りました」

「少しは自重覚えろよ脳筋セイバー」

「お前もにゃー」

 この旧校舎にいるサーヴァントはとりあえず全員自重を覚えた方がいい。もちろんキアラのアンデルセンを含んで。お前ら全員いっぺん辞書で自重の意味を調べて、それを実践しろと言いたい。もお、する訳はないし、反省する気も皆無なので言うだけ無駄だ。とりあえずこのデータをどうするべきなのだが、

「あ、漫才終わりました? では購買と階段の間にある扉を知っていますか? あそこを抜けた先に心強い味方がいますので、データを渡せばシャヘルへとスキルをインストールできるはずです。僕らは以上です。では今回の迷宮も前回同様一筋縄ではいかないでしょうが、貴女の事を信じています」

 面と向かって信じていると言われたのであれば、期待に応えるしかない。無駄なライバル意識を発揮しているシャヘルをガウェインの前から引きはがし、襟首を掴んで生徒会室から出る。賑やかなの事は悪くはない。

 悪くはない。





「グッドモーニング。今日も月海原学園旧指定制服は君の事を待っているぞ」

 麻婆を食いながら背後にセーラー服を飾っている言峰が購買のカウンターの向こう側から挨拶してくる。今日もナイススマイルの言峰神父だが、少し気になった。言峰は一体どこで寝ているのだろうか。やはり他のマスター達同様マイルームを所持しているのだろうか?

「いや、我々NPCにそこまでの権限は与えられていない。すぐそこに職員室があるであろう? そこが我々の住処となっている。NPCらしく非常に質素で私の麻婆を抜けば何もない部屋だ。何、食べたくなったらいつでも遊びに来るといい」

「麻婆部屋とかどう足掻いても邪悪よね」

「間違いなく邪教の一種だよな。俺を信仰するのとほぼ同じレベルの」

 何故麻婆のレベルまで自分を落とした我がサーヴァントよ。

「それで、どうかね? ウィンドウショッピングを楽しむかね? 私の貯金箱に貢献するかね? 何か欲しいものがあるのであれば懐と相談して購入するがいい。何、商品は何時であれ需要と供給、欲しいものが現れればすぐに消えるぞ」

「消えるのかよ!」

 ツッコミどころしかこの神父には存在しない。いや、正しくは元神父だ。現店長だ。しかし言峰店長よ、神父ではなく購買で店長として働いているのであればカソックではなくエプロンの一つでもつけなくていいのだろうか。ほら、何事も形から入るというのが正しいのではなかろうか。

「ほう、確かにそれは一言あるな。―――なるほど。期待していろ、その期待は絶対に裏切らないと約束しよう」

 激しく嫌な予感しかしない。この元神父現店長、絶対に予想外の攻め口を思いついているに違いない。これは明日、裸エプロンの言峰が購買に立っていると予想した。軽いテロになるが、これも一発ネタの為だカオスとギャグが渦巻いているこの月海原旧校舎でなら絶対にやってくれるに違いないという期待を込めて、敬礼をしておく。目的は購買ではなく、

 その横にある扉だ。

 階段の下にあり、隠れるように存在する扉は普通に利用している分には決して気づく事の無い扉だろう。何せ陰に隠れていて見る事が難しいのだ。意識して探さなければ見つけられるはずはない。言峰にさようならを告げながら、目の前の扉に手をかけ、一気に開ける。

 ―――その向こう側は別世界だった。

 上下左右、全くの装飾も設定もされていない、むき出しの電子空間。半透明の壁と床があるだけの空間、その周りには旧校舎を構成する数式が見えている。ただその奥、ポツンと椅子が置かれており、

「いらっしゃーい」

 青いジーンズに白いシャツという非常にラフな恰好をした女性が一人だけ座っていた。その人物は忘れる筈も見間違えるはずもない。強烈すぎる姉妹の片割れを忘れる筈がない。蒼崎青子がそこにはいた。姉である蒼崎橙子の姿が見えないのがいささか不思議だが、それでも青子の姿が見えるのは心強い。

「ちーっす青子ー。橙子死んだー?」

 シャヘルが前へ歩き出しながら物凄い物騒な事を言うが、恐ろしい事に青子は笑顔で頭を振った。

「くたばったわよー。ま、死んだところで体が一つ減るだけだからねー。姉貴からすりゃあまたアクセスすればいいってだけだし。あ、ちなみに私は物理的に表から裏までぶち抜いただけだから。いやぁ、ホント便利よね、魔法って」

「私もコイツも規格外だけど絶対に正しい魔法の使い方してないと思う」

 ……青子の姉に対する死生観はこう、何やら歪んだものを感じるが、同時に信頼も感じる。ただ死んでほしいだけではなく……こう……言葉としては表現できない何かがある。まあ、そこに首を突っ込むほど自分は野暮ではない。この何か意味を知ってそうな二匹に青子に関しては任せる。

「そうそう、気楽に行きましょ? どうせ夢の中だから、起きたらすべて消えるのよ、短くてもそれなりに楽しい時間を過ごしましょ?」

 言っている意味は良く解らないが、とりあえず青子がレオの言う協力者なのだろう。生徒会室で貰ってきたデータを青子へと渡すと、ホロボードを出現させる。

「んじゃ軽いチュートリアル……する必要もないわね? こうやって知り合いからデータ貰ってきたら使える形でインストールしてあげるから、そこの邪神が”無銘”である間は使えるわよ。クラス取得したらシラネ。勝手にしてー」

「うわぁ、激しくテキトー」

「だけどブルーらしいわよねー」

 うんうん、と頷いて納得する。

「ははは、それほどでもないわよ。さ、真ん中に立って。さっさとデータをインストールしちゃうから」

「あいよ」

 シャヘルの頭からネコアルクが飛び降り、シャヘルが部屋の中央へと移動する。既にホロボードを操作していた青子が操作を終えると、シャヘルが八角形のウォールに囲まれ、その姿が浮かんでゆき、光に包まれる。

「今回取得できるのはガウェインが好んでよく使ってる”忠義の剣閃”ってスキルだけど……まあ、忠義ってガラでもないし、多少変化して取得すると思うわ。シンプルに炎を纏った一撃だったのも属性的な影響で炎だったから、光とか、そっち系に変わるんじゃないかしら? まあ、そこらへんは実戦でおいおいとして―――」

 音を鳴らさずホロボードでの入力を終わらすと、浮かび上がったシャヘルの姿は一瞬光り―――その次の瞬間には終わっていた。着地したシャヘルは体を軽く動かし、

「ま、スキル一つ増えた程度じゃレベルの差はどうにもならんがな!!」

「薙ぎ払えー!」

 好意を台無しする言葉を吐いてから、青子の手から放たれたビームに飲まれた。




 断頭CCC特別ゲストその1。青子さん。スヴィアブレイクスライダーでぶち抜いてやってきました。
 理由:楽しそう。

 来る途中でもちろん姉をビームに飲み込んで吹き飛ばしました(
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| 断頭の剣鬼 | 21:06 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

HAHAHA何を言ってるんだいはくのん、ムーンセルの辞書に自重という文字はあるけど読めないんだぜ。

まあぶっちゃけキャストオフやナインテイルじゃないだけましだよなー。

| hunting ground | 2013/06/17 22:03 | URL | ≫ EDIT















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