陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第20話 見習い騎士と逃走劇

「―――休暇が一転して凄い事になったなぁ」

「すいません……」

「いやぁ、謝らなくていいよ。お兄さんたちも可愛い幼女を放り出す事はできないから。ほら、YESロリータ、NOタッチの精神だよ」

「YESロリータ? NOタッチ」

「おい、エリック。クタバレよ。お前人に何を教えてやがる」

「またこうやってルシオは俺っちを苛める……!」

「そうやってふざけるのもいいけど一番働いてる僕に対して労いの言葉は?」


 タカヤが後ろを向き、大きくバックステップを取りながら弓に魔力の矢を番える。ただその魔力の矢はただ魔力で出来ているわけではなく、もう一段階魔力によるコーティングがなされている。一度に五本のコーティングされた矢を生み出し、それを後方、迫ってくる群に向けて一息で放つ。五本の矢は全て違う軌道を持って飛翔し、―――そして追手であるガジェットを破壊する。

 しかし、五体減った所で問題は解決しない。

 まだガジェットは大量に残っている。着地したタカヤはすぐさま前を向き、走り出す。

「いやぁ、これはキリがないね。うーん、魔力もつかな?」

「チィ、デカブツも来たか」

 ルシオが呟いた瞬間、巨大な騎士型のガジェットが出現する。それはホテル・アグスタにてウィルフレッドとなのはがリミッターをかけた状態で戦った相手だ。それは虚空から本体の表面を僅かに揺らめかせながら、出現する。それは光学迷彩の切れた証。だがそれを待つことはないと、私服姿のルシオが肩に背負っていた大剣型のアームドデバイス"エッケザックス"を振るう。同時に赤毛の、バリアジャケット姿で槍を持つ少年―――エリオも前に出る。

「エッケザックス」

「ストラーダ!」

『Demolish』

『Sonic Move』

 ルシオが正面から大剣を振り上げるのに対して、エリオの姿は即座に消える。 エッケザックスに込められた魔力が正面から騎士人形を叩くのと同時に背後へと回りこんだエリオの一撃が炸裂する。その両撃は撃破を狙う物ではなく、騎士人形の足と足元を砕く勢いを持って放たれる。その思惑は成功し、ルシオのエッケザックスが片足首から先を破壊するのと同時に背後からエリオの放つ一撃が騎士人形のバランスを崩す。完全破壊は出来ないが、それでも逃げるだけの時間を一団に与える。

「ガキは無事かマーシュ」

 マーシュの腕の中には小さな少女が抱えられていた。年齢で言えば五歳、六歳ほどの小さな少女。エリックにより簡易的な治療を受けた少女はしかしマーシュの腕の中で力なく眠っていた。

「あぁ、問題ないけど早く医者に見せたい」

 両腕で軽い少女の体を持ち上げるマーシュに向かって背の低い、桃色の髪の少女が言う。

「隊長達が私達と合流しようと何とか地下水路に入りました。ティアナさんとスバルさん……私達の仲間が一番近くまで来てます!」

「騎士ウィルフレッドも近くまで来ていたから合流しようとしてるぜ。ただ、向こうは妨害が酷いらしい」

 一度も動きを止める事無く、六人はミッドチルダの地下を走る。

「とりあえず、まずは合流してこの子を何とかするぞ!」

 倒れた騎士人形が起き上がり、追いかけてくる前に六人は更に奥へと歩みを進める。

 平和な休暇が乱されるようになった発端は実に三十分前の出来事。


                   ◆


「負けた―――!」

「一々顔に出すからバレるんだよ」

「解ってるけど俺っち、そういうの隠すの苦手なのよ……」

「じゃあカードゲームはやるなよ」

「それでも勝ちたいんだ……!」

「かっこつけてるけど全然駄目だからね?」

 体を伸ばしながらゲームセンターから出る。初めてゲームセンターで遊んだマーシュとしては予想以上にお金を使ってしまい、少々驚いた。話に聞いていたがここまで楽しいとは思わなかったのだ。実家から仕送りがないため、持っているお金はマーシュがアルバイトで溜めたお金だ。その大半が家に入っていたが、月に少しずつだけ溜めていたお金をもう既に半分も使用してしまった。

 とはいえ、最初からそう多くあったわけではないのであるが。

 ゲームセンターから出てきて時間を確認すればもう直ぐで十二時になるところだった。

「んにゃ、そろそろメシの時間とすっか」

「こんな時間に行くってことは何かオススメの店でもあるの?」

「おぉ、あるぜあるぜ!」

 エリックが懐から雑誌を取り出す。かなりボロボロになっていることから結構使っている事が解る。

「この少し先にある"ラグシャラ"ってデパートの七階にあるレストランは美味くて安いってことで有名だぜ。この時間に行けばまだ席に余裕があるはずだぜ」

「こういうことに無駄に情熱を注ぐぐらいならもう少しその精神をどうにかできないのかな」

「お前ぇらの今日のセメントっぷりが酷すぎてそろそろ辛いんですが」

 もう慣れたこの掛け合いをしながらエリックは再び先頭に立つと歩き始める。

「実は路地裏通ればショートカットになるんだなー」

 そう言ってエリックがゲームセンターの横の路地裏に立つ。その行動を見て三人が一斉に溜息を吐く。おそらくだがゲームセンターや最初に食べたワッフルも、効率良く回れるように計算して組んだプランなのだろう。マーシュもこの二週間の生活で、エリックの無駄な事に対してへの執着心と言うか、行動力の高い男だと言うことは完全に理解していた。だから最近よく笑うようになった事を認識しつつ、エリックを追って"サードアヴェニュー"の路地裏に入る。

 そこで、路地裏の向こう側にいる年齢十歳九歳ぐらいの少年と少女を見る。赤毛の少年は何処か焦ったような表情をしており、桃色の髪の少女はどこか良く解らない、と言った様子で路地裏の逆側にいる。だが彼らの事情はマーシュ達には関係ない。そう思い路地裏の逆側へと歩き出した瞬間に、

 マンホールの蓋が動いた。

「ありゃ?」

 エリックが声を漏らすのと同時にマンホールの蓋が開き、そこから小さな手が現れる。そこから現れたのはボロ布に体を覆った、金髪の幼女だった。本来ならエリックが歓喜しそうな状況だが、出て来たその姿は酷くぼろぼろで、とてもだがまともな状態には見えない。すぐさまその場にいた全員が幼女へと向かって走り出す。一番最初にたどり着いたエリックがマンホールから半分出たところで力尽きた幼女を引き上げ、自分のジャケットを敷いてからその上に乗せる。

「少年と少女は知り合いか?」

「いえ、しかしなんだか何かを引きずる音が聞こえたので気になりまして。あ、申し送れました」

 赤毛の少年がリストウォッチ型の端末らしき物からIDを表示させる。そこには"時空管理局本局古代遺物管理部機動六課所属"と書かれている。

「エリオ・モンディアル三等陸士です!」

「お、同じくキャロ・ル・ルシエです!」

 上官でもないのに敬礼するエリオとキャロという二人の存在は何処か微笑ましかった。が、ルシオはそれを無視するように質問し続ける。

「管理局か。上司に連絡は入れたか」

「あ、す、すいません! 今連絡を入れます」

 エリオがすぐさま上司か部隊長に連絡を入れ始めるその間に、幼女の事が不安なのかキャロが幼女に手を当てているエリックに近づく。

「あの……」

「んー、ちょっと診断したけどこりゃあ衰弱と疲労で倒れてるからそんな問題はないよ。所々怪我してるけどこっちは傷つけられたんじゃなくて引きずった感じやね。足の裏が結構傷ついてるし、かなりの距離を歩いたのかも」

「あ、安心してね? こいつ頭は狂ってるけど治療はちゃんとしてくれるから」

「褒めるか貶すかどっちかにしてください。リアクションに困る」

「そっちなのか……」

「え、えーと」

 キャロが困ったような表情を浮かべるのでマーシュが動く。

「つまり心配しなくても大丈夫、だってことだよ」

「おい、見ろよ。マーシュが点数稼ぎ始めたぜ」

「そろそろ俺もタカヤやルシオ側に回るべきなのかな」

 不謹慎かもしれないが、緊張感が漂っていた空間に笑うだけの余裕が少し現れる。緊張で完全にガチガチになるよりはいいとマーシュは思う。僅かな余裕の中、エリオが戻ってくる。

「今連絡を取り終わりました。今此方へと向けてヘリで向かってくるそうです」

「ヘリ!? うわぁ、エリオ君達は結構凄い部隊に所属してるんだな。一人の少女を保護する為にヘリなんて移動手段用意する部隊なんて聞いたことがないや」

「え、あ、はい」

「……エリック」

「あいあい、応急処置は終わらせたぜい」

「なら行くぞ」

 ルシオがもう用はないとばかりに幼女に背を向ける。薄情かもしれないが、自分達はあくまでも休暇に来ていて管理局とは関係がない。ヘリを動かす事のできるほどの部隊だったらそれなりの人間が所属しているだろうし、それはこの二人にしたって言える事だ。なにやらエリオの方は隠しているような気配がするが、それを追求するのは自分達の領分ではないとマーシュ達は理解していた。

「お仕事頑張ってねエリオ君キャロちゃん」

「また運があったら会おうね」

「はい!」

「協力有り難うございました!」

 本来なら止めて事情聴取でもすべきなのだろうが……それを忘れているのなら止まる必要もないだろう。 そういう判断からルシオを先頭に素早く路地裏から脱出しようとした瞬間―――ルシオが飛ぶ。

「―――ッラァ!」

 ルシオが飛んだ方向は路地裏の出口とは真逆の方向、エリオとキャロの背後。二人を飛び越すようにして放った蹴りは透明な"何か"に接触、衝撃を生み出してルシオを弾く。ルシオが地面に着地するのと同時に胸から下げられたペンダントを握る。

「セットアップ、エッケザックス」

 ルシオの声に反応するようにペンダントが、待機状態のデバイスが本来の姿である大剣の形状を取る。私服姿のまま、ルシオが大剣を構える。

「な!?」

 ルシオの行動に驚愕する中、ルシオが攻撃を放った所の空間が揺らぎ、隠れていた透明な存在が出現する。それは機械だった。明らかに合法とは言いがたい姿をした、騎士を思わせるような巨大な機械。それが巨大な質量を誇る剣を持って、バランスを整えなおしていた。

「ガジェット!? まさかもうレリックの反応を追ったの?」

「ティアナさんもスバルさんもまだなのに」

 驚愕する中でエリオとキャロは騎士人形に反応を示していた。そしてガジェットとレリックという言葉。騎士人形がこの二人か管理局の敵である事が理解できた。しかしデバイスなしでとはいえルシオの一撃を喰らっても壊れない敵。エリオとキャロの細身で敵う相手だとはとてもだが思えない。

「抱えて逃げるか!」

 マーシュが叫ぶが、即座に否定の声が来る。

「どうやら逃がす気はないみたいだよ?」

 タカヤの声がする方向、逆側に視線を向ければそちらにもルシオが蹴った"ガジェット"と全く同じ姿をしたものがいた。出口が二つしか存在しない路地裏からは逃れる事ができない。なんらかの異常を察知して管理局員が来たとしても、一番早く到着できるのはヘリで急行している部隊だろう。この場は自分でどうにかして潜り抜けるしかない、とマーシュが判断する。

「―――セットアップ、ストラーダ!」

「セットアップ! ケリュケイオン!」

 背後で戦闘態勢として、バリアジャケットを二人が展開するのを確認できる。名付きのデバイスということは個人用のデバイス。ますますを持ってどこか凄い部隊の所属だろう、と思っている時にマーシュに何かが投げつけられる。

 それは茶糸のオープンフィンガーグローブだった。

 投げた本人であるエリックを見ると、本人はメイスを持っていた。マーシュの視線に気がつきウィンクを送ってくる。

「いやぁ、待機状態のデバイス、ほら、良く路地裏でチンピラに絡まれている美少女を助けるってシチュエーション。一度でいいからそういうのに遭遇してみたいからデバイスガメてきたんだけどなぁ……」

「うん。激しくツッコミどころが多いから後でシスターシャッハに突き出すことで許そうか」

「それ処刑! 俺っち処刑されてる!」

 笑いながら答えるタカヤの手の中には既に弓のデバイスが展開されている。マーシュも素早くグローブ型のデバイスを装着すると、それを起動させ―――透明なバリアジャケットを展開する。四人全員が自分で記憶している透明なバリアジャケット術式を使用する辺り、この四人は大いにあの破天荒な騎士に影響されているな、とマーシュが思う。

「見習い騎士四人に子供二人か。厳しいな」

 ルシオの言葉は客観的に状況を判断したものだった。

「時間を稼ぐ事ができれば隊の皆が合流してくれます。隊長達なら……」

「なら逃げるか。マーシュ、ガキを拾っとけ」

「あぁ」

 おそらく唯一無手で、そして素早く動ける人物としてピックアップされたのだろう。他の面々が牽制している間に未だ目を閉じている幼女を持ち上げると、予想外の体の軽さにマーシュが驚く。だからと言って状況は好転しない。騎士人形もいい加減痺れを切らして襲ってきてもおかしくない。

「上か?」

「いえ、街中に出たら逆に被害が増えますから―――」

「―――下か、マーシュ、練習中のアレをやれ」

「了解!」

 幼女を持ち上げたまま、マーシュの足に込められるだけの魔力が込められて行く。それを教わった風に制御しつつ、放出する先を調整し、

「覇王裂震―――」

 地面を勢い良く踏みつける。マンホールのすぐそばと言うこともあり、構造的に他の部分よりも薄い地表は砕け、路地裏の大地全体に亀裂が生まれる。その亀裂に足が引っかかり、騎士人形がバランスを崩し、僅かにだが揺れる。

「マンホールを通って逃げるぞ!」

「はい!」

「休暇が何だか刺激的になってきたぜ」

 その隙にルシオが開いているマンホールに飛び込む。続いてエリオが飛び込み、そして幼女を抱えたマーシュが飛び込む。

 こうやって、見習い達と訓練生達の逃走は開始された。
スポンサーサイト

| 不良騎士道 | 13:38 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://tenzodogeza.blog.fc2.com/tb.php/42-e3768b30

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。