陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

プロローグ ―――ポイゾニング・ミー・リトル・バイ・リトル

「いやぁ、演武は強敵でしたねぇ……」

「マジでやったんだキリト……」

 それはもちろんやったに決まっている。心意さんマジ心意さんと言うべきなのか、ちょっと気会いだせばできるんじゃないかと思った幻影での演武が見事成功。理想の動きを完全に演じてくれるのでもちろん審査は合格、最高得点を取得する事に成功した。ユージオもかなり高得点で審査を通過したが、流石にズルを見た後なので練習の時と比べて何か呆れたな感じが演武からは感じれた。まあ、事実を知っているのがユージオだけに仕方がない。俺はこんな不真面目な人間なのだ。諦めて受け入れろ。


「もう諦めてるから安心して。キリトが不真面目と好奇心、あと悪戯の塊という事は昔から知ってたから……認めたくないけど」

「認めなくちゃ駄目だよユージオ君」

「ごめん、顔を殴っていいかな」

 ははは、と笑い声を零す居ながらユージオからじりじり距離を取る。今のユージオなんだか冗談が通じん刺そうな気配がするのであまり遊ぶのはよろしくないのかもしれない。まあ、半年の付け焼刃でユージオが高得点を取れる程度の大会なのだ。ここに出場している選手たちのレベルは解り切った事だ。それを伝えたところでどうにかなる訳でもない。腰から釣り下げたこの耐火用のレンタルの剣を振れる―――確かめた剣の刃はつぶれてなく、容易に人を殺せる凶器だ。

 たしか禁じられている事の一つに殺生の禁止が存在していたはずだが、この世界は特性上”事故”での死を許容してしまうなど、抜け道も存在していたはずだ。いや、フラクトライトの自立を目指すうえでわざと間接的殺人や抜け穴を作っているのかもしれない。この世界の開発者は間違いなく性根が腐ってるかひねくれている。

 とりあえず剣を抜く。控室へとやって来てから既に五分が経過している。外では観客の感性が上がったり、時折静かになったりと、何らかのパフォーマンスか、演武の続きが行われているのかもしれないが、そちらに興味はない。重要なのはこの対界が二ブロックに分かれている事実であり、自分とユージオが図ったかのように別のブロックに割り振られた事だ。まあ、図ったもなにも、そんな特定の組織と敵対関係にある訳ではないのだが。

 とりあえず真剣の刃の鋭さを軽く確かめながら、ユージオを試してみる。

「一対一の時は?」

「最小の動きで最速で動く」

「目くらましは?」

「上等、視界を奪うのは頭のいい手段」

「強い敵がいたら」

「マッハで逃げよう」

「うむ、宜しい」

「最後だけ何か釈然としないんだよなあ……キリト戦ってたし」

「そりゃあ俺が強くてお前が弱いからだよ」

「結局そこにいきつくんだよねぇ……」

 まあ、仕方がないと言えば仕方がない。ユージオは一応人間で、そこから一歩踏み外したのが俺なわけで、そこから踏み外すには並大抵の経験や出来事では無理なのだ。人をいっぱい殺すとか、悟るとか、そういう話ではなく、ただ強くなるわけでもない。そこらへん、自分でも良く解らない事だが。

 ―――外から歓声と、そしてトランペットの音が聞こえる。近くの通路から人が出てくる。

「えー、それでは第一試合を始めます。AブロックとBブロックを同時に進めますので、Bブロックの方は―――」

 いよいよ試合の時間となったようだ。ユージオへと向けば、演武前の様な不安は存在しない様に見える。もはやユージオに見えるのは―――。

「決戦で」

「決戦で」

 両の掌を叩きあい、互いに健闘を祈る。ユージオと自分が戦う事が出来るのは、両ブロックの決勝戦で優勝した後、その後に行われる決戦でのみ戦える。そして、その舞台に立てる者だけが学園へのキップを手にすることができる。故に、そこに立つ二人とは俺とユージオでしかならない。だからここで俺達は負けるはずがないと、そう確信して分かれる。

 別れは一時のもの。次に会う時は。




 舞台の上に立って、刃を抜く。そこは二つあるステージの内の一つだ。スッ腰離れた位置にあるもう一つのステージを見れば、既にBブロックの試合が進行している。視線を戻して前へと向けば、自分の対戦相手が存在する。第一回戦。ここがスタートで、相手の力量を測るには丁度いい。すぐ近くに審判がいるのを確認しながらも、目の前の青年―――風貌はどうでもいい、敵へと向けて言葉を放つ。

「さて、ま、軽く準備運動させてもらうぜ?」

「……」

 相手は何も言い返さないが、明らかに此方を見下すような視線を向けてくる。まあ、元々他人を見下したり無視したりどうでもよく思ったりするような人間の多い世界だ。こういう試合の前にする煽り文化がないのは仕方がないと思う―――ゲーセンでカクゲーする時は必ずやるもんなんだが、それがないのはちょっとだけさびしい。

 審判も空気を読んだのか、最低限の前置きだけを置いて試合の開始を告げる。やはり、

「ヘイ、カモーン。先手は譲ってやるよ」

 一手目は挑発。刃を肩に乗せ、開いている左手でクイクイ、と来るように指図する。その成果、それとも元々そういう性格なのかはわからないが、相手は此方の挑発を聞き、凄まじい速度で踏み込んでくる。洗練された動きだとは思う。演武でやっていた型、それを見事に維持しながら踏み込み、刃を振るってくる。田舎の大会という話だったが、やはり学園入学のための登竜門だ。そこそこレベルの高い人間が出場しているのだろうが、

「いけるな」

 弱すぎる。正樹と比べて、あのデータがバグってるとしか評価できないゴブリンと比べて、明らかに弱い。弱すぎる。いや、自分が強すぎるだけなのだ。―――いけない、自分の思考が強さに浸りかけている。この世界は厄介だ。いや、ここ半年が厄介なのだ。少しでも意識していないと自然に相手と自分を比べる事ばかりを考えてしまう。誰が強い。誰が秀でている。俺の方が上だ。強さによる差別と格差を意識してしまう。

「悪いな」

 すれ違いざまに刃を一閃し、相手の手を浅くだが切りつける。相手の斬撃を全て回避してから軽く繰り出すその一撃は、相手の利き手を封じる行動であり、綺麗に決まったそれは手から血を流させる。致死量の傷でなければ、殺意のない剣であれば傷つけられる。そんな簡単な動きで相手は刃を落とし、俺は勝利を掴む―――実に味気ない。

「これで一回戦突破かあ……」

 味気ないと感じ、ステージから降りる為に敵に背を向ける。審判は此方の勝利を宣言し、次の試合の準備が始まる。この程度の敵であれば油断しなければユージオでも余裕だ。いや、ユージオが油断するはずはない。アレは油断なんかできない。モチベーションの時点で何か違う。他の凡俗、一般人とは違う心構えを持っている。

「ま、サクサク進めますか」

 背後で剣と剣のぶつかる音を聞きながら控室に入る。ユージオはBブロック選手なのでまた別の控室へと押し込まれているはずだ。こういう暇な時間は雑談して潰すものだが、ユージオがいないとなると黙って過ごすしかない。控室に到着し、周りの選手からのピリピリとして雰囲気と嫌な視線に晒されながらも、どこか安全地帯を探そうと部屋の中を見回そうとして―――見かける。

「ッ!?」

 一瞬、一瞬だけだが、どこかで見た事のある姿を目撃する。白い髪に不健康そうな色の肌、そして針金の様に細い男。それがついさっき、控え室から出て行くのを目撃する。

「もしかして……!」

 正樹からの手紙で戒、螢、ベアトリスのソックリさん、もしくは記憶を封じてダイブ中の本人を目撃していると聞いている。もしかして、もしかしてシュピーネなのかもしれない。そんな期待を持って控室から飛び出す。

「おい!」

 控室から飛び出そうとしたところで、衛兵が止めようとする。素早くポケットの中に手を突っ込み、銀貨を三枚ほど取り出し、それを衛兵へと投げる。

「俺は何も見ていない」

「やっぱり世の中金だな!」

 世界の真理を再認識しながら。大会の会場内を走る。あの後ろ姿は間違いなくシュピーネのものだった。シュピーネのはずなのだ、何度もラースに出入りしてた自分があの人の背中を見間違えるはずはないのだが、

「……いないなぁ……」

 常識的に考えて、歩いて出て行った人を走って追いかけたのに、見つけられないとかホラーでしかあいか、隠れられたかのどちらかだ。あまり控室から離れるのは好ましくないし、シュピーネの事を追いかけるのは諦め、控室の入り口へと戻る。手の平の中で三枚の銀貨をじゃらじゃらさせている衛兵にもう一枚銀貨を投げる。

「さっき白髪で肌色の悪いやつがここから出て行ったよな? どこに行ったとか、誰だったとか知らないか?」

 銀貨を四枚も貰った衛兵は少し、調子の良さそうな声で返事をしてくれる。

「おぉ、服装的に多分大会のスタッフだ。まあ、知った顔じゃないが……なんだ、知り合いか?」

「たぶんな。長い間連絡の取れなかったやつなんだ」

「へぇ」

 興味なさげに応える衛兵は露骨に手の中の銀貨をこすり合わせ、音を鳴らしている。……正直な所、このお金は一部正樹から送られていたもので、出来たらもう少しためておきたかったものだが……少し、呆れながらも銀貨を一枚追加する。

「暇な時間に探しておいてやるよ」

「おう、ありがとう。おかげで大会に集中できそうだよ」

「はは、最低でも銀貨五枚分の動きはして見せるから期待してろよ」

 衛兵にシュピーネの事は任して、再び控室の中へと戻って行く。相変わらず皮膚に突き刺さるこの敵意の視線と、そしてピリピリとして敵意で満ちた空気。この連中は少しは楽しむという事が出来ないのか、と若干呆れつつも―――結局のところ、全てなぎ倒して先へ進む事しか考えない自分も同族なのだろうと、

「らしくないなぁ……」

 ―――少しずつ、ゆっくりと染められてゆく自分を認識させられた。




教授がレポート9ページ要求してきた。それように資料60ページも。全部英文(´・ω・`)
スポンサーサイト

| 断頭の剣鬼 | 23:58 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

キリキリ、順調に汚染が進んでるヨー!?

英文レポート9ページは強敵ですねェ・・・。

| 断章の接合者 | 2013/06/17 07:09 | URL | ≫ EDIT

衛兵ェ……欲望に忠実すぎだろオマエw

| 裸エプロン閣下 | 2013/06/17 07:29 | URL |

やっぱ世の中金だなwww


欲望に忠実な衛兵は、好きだぜ♪

| Poh | 2013/06/17 19:24 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://tenzodogeza.blog.fc2.com/tb.php/419-c5a07b08

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。