陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-16

「―――!」

 ランサーとシャヘルの実力は目に見えて解る。力、速度、耐久においてシャヘルは全てで劣っている。だが一つだけ、シャヘルとランサーの間で、シャヘルがアドバンテージを持っているものがある。そしてそれがこの瞬間、何よりも輝いて戦況をただ押し込まれるだけの状態の一歩手前、崖の淵にぶら下がるような感覚の、危ない綱渡りを許していた。

 ランサーの高速の刺突をスウェーで交わした瞬間、横へ逃れた体を打ち払うために槍が薙ぎ払われる。だがその動きは既にみている。早く、鋭い薙ぎ払いは到底避けられるものではないが、軽い。刺突から繰り出しているために体は伸びきっている。最初から耐える事を前提で受け止めれば―――受けられない訳ではない。


「グルゥっ!」

 接触の瞬間に魔力放出で槍に対して衝撃を送り込み、威力を殺し、自分から槍の方へと体を動かす。ランサーに対して槍を振る為の距離を与えない。力を込めにくい様にそのまま槍に体を押し付け、一気に前進する。ギザギザに装飾されている槍のせいもあって、前進しながらも腕に裂傷が増える。それを無視しつつ前進するシャヘルがその瞬間まで仕舞っていた得物を再び取り出し、最小限の動きで叩き込みに行く。

 それをランサーは力技で強引に崩しに行く。純粋に腕力だけで技巧に対して優位を得る。本来技術というものは弱者が強者を倒すために存在するものだ。そしてこの状況における構図は正しい―――それでも純粋に、ランサーとの実力差が多すぎる。そしてシャヘル自身のペナルティが多すぎる。純然たる力の差はどうともならないと昔、誰かが言った。それはまさしくこの状況で、

「その程度なの?」

「ちっ!」

 強引にシャヘルを吹き飛ばすと、尻尾を鞭のように振るい、一気にその体を弾き飛ばす。が、その動きは既に見えている。魔力放出の指示も、防御の指示も既にできている。故にダメージは最小限で済む。残り少ない魔力で回復用のコードキャストを発動させ、シャヘルのHPを回復させる。完全回復はするが―――これでも焼け石に水だろう。相手が本気を出したとすれば、一撃で終わらされる可能性が高い。

 相手の慢心によってこっちは生きながらえているのだ。

 シャヘルは掌から着地すると刃を逆手ではなく、両手で握り、右肩に担ぐように刃を構える。見たこともない構えだが、その構えの意図は取れる。そのまま、不動の状態で此方と、そしてランサーの動きを待っている。

 戦闘の間にぽっかりと開いた間。その時に、ランサーは笑みを浮かべ、笑い声を上げる。

「なにそれ、ほんとダメダメじゃない! それで主神に対して戦争を仕掛けた神って本当なの? まるで形無しよね」

「言ってくれるなぁ……」

 シャヘルの声は少しだけだが悔しそうな響きがある。そしてそれを聞いてランサーは気をよくしたのか、体をリズミカルに揺らしながら槍を縦に、石突を床に当てる。嗜虐的な笑みをこちらへと向けるその様子からは狂気がだいぶ抜けきっている。と、それを目にし、僅かにだが頬を吊りあがらせるシャヘルの顔が一瞬だけ見えた。次の瞬間には得物を床に刺し、それを杖の様にして支える彼女の姿があった。

「うわ、エゲツな」

 何時の間に背後からネコの声が聞こえるが、どうやら激しい戦闘に備えてシャヘルから避難していたらしい。……まあ、シャヘルのやりたい事は大体わかるし、たぶん有効なので好きにやらせる。何かあのピンク、頭の悪い気配がするし。

「え、なに? もうダウンなの? ホント情けないわねぇ!」

「……ちっ、流石に強いなぁー」

 激しく棒読みなのだが、ランサーは調子に乗っているせいかそれが演技だと全く気付いてはいない。というか気づく気配がない。

「ま、仕方がないわよね、私強いし? 超アイドルだし? ヤノーシュ系拷問アイドルだし?」

 ヤノーシュ……ハンガリーにたしかそんな地名があったはず。拷問、ヤノーシュ、ハンガリー、竜。これだけキーワードがあればあとは生徒会の方で真名の特定はしてくれるだろう。流石シャヘル、転んでもただでは起きない。しかしヤノーシュ系拷問アイドルとはいったいなんなんだ。新しすぎてファンがいなさそう。シャヘルが横目で此方をチラチラ見ている。これはアレか。私にも参加しろという合図なのだろうか。

「今はくのんのコミュ力が試されている時よ……!」

 見ていろよネコよ。この岸波白野、容赦せん。

 とりあえず露骨に疲れた、辛い、という感じにはぁはぁ息を切らせながら両膝に手を突く。

「ら、ランサー……凄くアイドルで、何て強敵……一体何者なんだ……!」

『流石に露骨すぎるだろそれ!!』

「知りたい? 知りたい? 知りたい!? じゃあ教えちゃいましょう!」

『敵が流石にチョロすぎるだろぉ―――!?』

 シンジの絶叫が端末から響いてくるが、ランサーは愉悦の表情に浸っていて全く気付かない。はくのん覚えた。このタイプの精神汚染系アイドルはおだてていれば御しやすい、と。少しだけダークサイドに目覚めそうな気もするが、まあ、気にしない。ありがとうランサー。ありがとう。

「うん? なんで感謝してるの? 何か良く解らないけどもっと崇めなさい子リス。このエリ―――」

「―――ストォォォォップ―――!!!」

 流石に真名を言いかけたランサーをどこからともなく現れた凛が強制的に止める。いきなり現れた凛は登場と同時にランサーの頭を全力で叩くと、鋭い口調でランサーに怒なり始める。

「あんた何!? なに真名バラそうとしてんの!? 調子に乗ったら真名バラすのアンタ!? そこの不良品やどっかの壊れ騎士とは違ってちゃんとクラスを名乗る意味があるんだからクラスで名乗りなさいよ、名前じゃなくて!」

「非常に遺憾である」

『訴訟』

 駄サーヴァント勢は是非とも黙っていてほしい。

 と、登場した凛がランサーとの怒鳴りあいをはじめ、凛が両手で頭を抑える。どうやらランサーの行動は発言でもわかる様に完全な独断専行であったようだ。となれば、この状況は凛にとっても不本意なはずだ。

「というか真名に関するヒント出してないでしょうね……?」

 凛がランサーに顔を寄せながら、睨む付けると、流石にランサーも焦ったのか一歩後ろに身を引き、首をかしげる。

「え、えーと、どうだったかしら……?」

『あ、真名に関してはほぼ特定しました。いやぁ、ハンガリーで拷問と言ったらねぇ……?』

「しっかりバレてるじゃないこのアホ―――!!」

 そりゃあ凛も絶叫したくなる、と納得して頷く。凛が良くランサーの事を御しているように見えていたが、アレはたまたま運が良かっただけだったようだ。このランサーはサーヴァントの中でもかなりの曲者、絶対に単独行動や好きにさせてはいけないタイプ。

 つまり利用すれば此方側にとって有利になるタイプのサーヴァントと見た……!

「はくのん……邪悪な顔をしてるぜ……」

 五月蠅いネコ。だが、この方向性は良い。何か凛も珍しく凄くチョロイ空気を出しているし、ここはシャヘルの作戦に乗ろう。なるべく無害そうで、若干助けを求めるような表情を作り、それを凛に向ける。ランサーに対して真名へのヒントに関する事を怒り、怒鳴っていた凛は此方の事を見て、両手を腰に当てながら少しだけ、言いよどむ。

「な、なによその表情」

 もう少し純粋無垢な表情を作って、それで凛を無言で見つめてみる。

「そ、そんな顔をしたって無駄なのよ! いい? 私は敵なのよ、敵! こ、ここを通りたいのなら私を倒すしきゃないの!」

『いい感じです先輩! もう少しで心の隙間を……というかもう完全に見え見えですので何とか引っ張り出してください!』

 知ってた。桜も結構はっちゃけてるなぁ、等と思いつつこの余裕が月海原生徒会らしいのだろうと納得し、もう少しだけ凛を見つめる。視線に負けた凛が半歩だけ後ろに下がり、

「べ、別にはくの―――岸波さんの事を心配しているわけじゃないんだからね! 早く校舎へと戻りなさいよ!」

 見事だ凛―――教科書に乗せていいレベルの【ツンデレ】だ。

 凛の秘密とも言えない秘密、それを自覚した瞬間、五停心観のプログラムが体内で起動を始める。右手が熱い。体が勝手に立ち上がる。五停心観が右手を通して発動し、凛へと効果が突き刺さる。いきなりの事態に凛は驚愕し、そして胸を抑える。

「なにこれ、体が、あっ―――!」

 胸から桜色の様な球体が浮かび上がる。一瞬であれが心の淀み、隙間、秘密を物理的に摘出したものだと理解する。アレが、

「アレが【ツンデレ】……!」

『せめて【テンプレーション】にしてあげようよぉ!』

 体は五停心観によって勝手に最適な行動に移されている。体は軽やかに疾走し、そして跳躍する。五停心観の効果が突き刺さった凛は抗う事が出来ずに一瞬だけ体を白く染め上げられ―――五停心観の稼働している右手が凛の胸に突き刺さる。

 だがそれも一瞬。

 凛から摘出された【テンプレーション】はデータとして手に握られていた。凛の横を抜ける様に着地し、桜の花びらを散らしながらデータを握りつぶす。五停心観プログラムの前半分の稼働は完了し、掌握されたデータは生徒会室の桜へと転送される。

『シークレットガーデン、SGの取得確認、解除します―――!』

 桜の声と共に迷宮の通路を塞いでいた壁に罅が走る。あそこまで解析不能、解除不能と言われていた迷宮の壁は凛の秘密を鍵として解除され、破壊された。その瞬間、

「よっ」

 一瞬でシャヘルが跳躍しながら此方の体を抱き攫い、ランサーと凛から距離を取ってくれる。戦闘するには十分なスペースを取ると、シャヘルは刃を構え、此方も戦闘できるように構えながら凛の姿を見る。

「嘘!?」

 凛の体は透けはじめ、今にも消えそうな様子を見せていた。その姿に驚き、思わず足を前に踏み出そうとするが、それをシャヘルの片手が動きを制し、止めてくる。

「Fake」

 は? と首をかしげながら何の事かと問えば、凛が驚愕した声で言葉を漏らす。

「嘘……分身が維持できない? ちょっと待ちなさいよ、基本的に無敵なはずのアバターがこんなになるなんて……!」

 凛が顔を持ち上げ、此方を睨み、口を開け、

「はくのん、貴方何を―――」

 そこまで行ったところで凛の姿が砕けた。それと同時にシャヘルが腕を下げる。

「ありゃあ分身体だ。遠坂凛の本体自体はたぶんもっと深い位置にあるから、罪悪感を感じる必要はないぞ」

 完全ではないが、それでもそれを聞いて少しは安心する。と、そこで安堵の息を吐き出そうとして動きを止める。そうだ、まだ敵は一人残っている。だからこそシャヘルは一歩も動いていないのだった。

 ゆっくりと視線をランサーへと向け―――。




 更新遅れて申し訳ない系。だからカオス増やした系。これで原作にry
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| 断頭の剣鬼 | 23:38 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

更新お疲れ様です。
たった一日遅れただけでこのカオス。
もしも一週間遅れたらどうなるのでしょうか。

| 黒羽鴉 | 2013/06/15 13:47 | URL |















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