陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-15

 拷問室へと続く道を少しさかのぼり、別の道へと分岐してゆく事で、迷宮の一層、その一番奥を目指して道を進む。迷宮自体がそうなのか、もしくはここがまだ一層目だからだろうか、意外と終わりは近くに見えた。そう長くもない通路を歩いて抜ければ、少しだけ広いエリア、夕陽の浮かぶ地平線の見える広場へとやってくる。

 その中央には背の向けた遠坂凛の姿がある。その様子から、彼女が此方に気づいていないことは明白だった。シャヘルが音を殺し、静かに此方へとアイコンタクトを送り、念話で意志を伝えてくる。

『五停心観が真に隙間を見つける術式ならその隙間を此方で”理解”する必要があるはずだ―――存分にコミュ力を発揮してやれ。聖杯戦争で一番重要なのはコミュ力だ』

 との事らしい。わざと足音を大きく立てながらそのエリアへと踏み込むと、凛が驚いた表情を向けながら口を開く。


「はくの―――岸波さん!」

 凛が訂正する様に此方の名前を言い直す。その顔はまるで湿原を漏らしたかのような表情だ。そしてそれは正しい。なぜなら露骨なまでにネコアルクとシャヘルがいい笑顔を浮かべている。エリアの隅っこまで二人は移動すると、スクラムを組み、ひそひそと聞こえる声で喋りはじめる。

「にゃにゃにゃ? 今たしかにはくのんといいかけましたよね奥さん」

「えぇ、今完全にはくのんって言いかけましたわよね」 

「見ましたか奥さん!」

「えぇ、見ましたわよ―――あのラブラブ光線」

「いやぁ、モテますねぇ―――はっくのん!」

「モテるわねぇ―――はっくのん!」

 スクラム組んでいる二人に必殺のコードキャスト・物理を叩き込んで床から落ちそうな所まで追い込む。いいから落ちろ貴様ら。アリーナの床の淵から落ちそうになっているシャヘルの顔面に蹴りを食らわせる。もう既にネコの方が下へと落ちて行ったが、不思議と数分後には帰ってきそうな予感がする。とりあえず最後に蹴りを食らわせてから笑顔で凛に手を向け、こんにちわ、と挨拶しておく。

「よ、予想よりもはるかにバイオレンスね……!」

 あれ、おかしい。ここはにこやかに接触した私に対して凛が友好的に接触するはずなのだが。

『その前の茶番がいけなかったのではないでしょうか?』

 茶番とは何事だバゼット。ともあれ、少しだけ警戒しながら凛と話そうと思い、口を開こうとし、凛はハっとした表情で此方を見る。

「そ、そうだった、私達今的だったんだわ、あまりにも異常事態だったから軽く忘れてたわ!」

 凛がそう言うと、漢書は手を振る。それは確実に召喚に行う動作だった。そして凛がその動作を始めた瞬間、シャヘルはい㏍に飛び上がってエリアの中央手前、此方を庇うような位置に着地する。ふざける時はふざけていても、戦闘となればちゃんと役目を果たしに戻ってくるのが彼女らしいと思う。何時も通り刃を右に、逆手で握りながら構え、相対する。

 そうして凛が召喚したのはランサー―――ではなくエネミーだった。

「な、なによ!」

 いや、ここはランサーを召喚すべき所だろう。それなのに凛が召喚したのは少しだけ強そうな、というだけのエネミーだった形状は今までの球体型とも盾のもと違い、鳥形のエネミーだが……そもそもそういう問題ではなく、ランサーと比べるにはあまりにもお粗末すぎる相手だ。その存在に対して無言でいるしかなかった。ただそれが我慢できなかったのか、凛は顔を赤くする。

「ちょ、ちょっと! 勘違いしないでよね! 別にはく―――岸波さんの為にこのエネミーを用意したわけじゃないんだからね! 力失ってて可哀想だなぁ、とか丁度いいレベルの相手がいなくて大変そうだなぁ、とかこれっぽっちも思ってないんだからね! ふんっ!」

 凛はエネミーと台詞を残して転移し、姿を消す。この光景、少し困った様に腕を組んで、首をひねる。

 うむ、なんというか。

『流石遠坂女子。殺生ですら見事としか認めざるを得ないレベルであるな』

『むしろアレは隠す気があるのか? 秘密は秘密ではあるが公然の秘密だったぞ―――教科書のお手本に乗せたい伝統芸能レベルだ』

 ガトーとユリウスの言いたい事は解る。凛の最初の秘密はもう既に見えている。

『そうなのですか? 私には騎士道に乗っ取った見事な行動だと思ったのですか』

『むしろアレだけみても解らないのかよお前。あとで漫画のデータをいくらかサルベージしてくるからそれで勉強しろよ』

『む、貸してくれるのであれば仕方がありませんが読むしかありませんね。シンジには一応感謝しておきましょう』

『なんでガウェインまで俺に対してセメントなんだよ!!』

 シンジに対して風当りが強い生徒会の様子を見て、実に平常運転堕なぁ、等と呟きながら目の前の敵を見る。凛が此方に合わせて組んだエネミープrグラムだ。少しだけ他のエネミーよりは強いだろうが、所詮ただのエネミープログラムだ。私とシャヘルの敵にはならないだろう。魂の通ってない人形に苦戦する理由はない。

 ―――これを倒し、奥までのマップを完成させてアイテムを回収したら凛を追いかけよう。

「マップの完成とアイテム回収はいる辺り我がマスターは真面目よなぁ」

 そう言って既に攻撃に動き出しているシャヘルも十分に真面目だと思う。さあ、とっとと終わらせて追いかけよう。

「あれ、リンもう帰っちゃった?」

 ただし壁を這い上がってきたネコを蹴り落とす方針で。





 凛の反応を追いかけて来た道をたどって戻って行く。来るときにはなかったものが首に巻かれている。鳳凰のマフラー―――回復の魔術を使用可能にしてくれる一番簡単で、珍しくもない礼装。それが迷宮の奥のアイテムフォルダに保存されていた。迷わずそれを首に巻いて装備して心の壁まで戻ってくると、

 そこには悪魔のような姿のランサーと、一人の少女がいた。少女は非常に恐怖しており、動けなく、そしてランサーは上から睨むように少女の姿を視線だけで止めていた。

「あ、あ、あぁ……」

「もしかして逃げられるとでも思っていたの? 馬鹿ね。私から逃げられる可能性なんて本当に万に一つの可能性しか残されていないのに」

「い、いやぁ―――」

「さ、拷問室へと主d利なさい。貴女の血液で午後は湯あみでもするわ」

 悲鳴を上げながら少女の姿は消え、彼女の姿が消えるのと同時に壁の前まで到着する。タッチの差で彼女を救う事は出来なかった。その事を歯痒く思いながらも到着と同時にシャヘル共々戦闘態勢に入る為、構える。

「あら、子リスじゃない」

 ランサーはこちらを見ると意外なものを見つけた、ような表情を浮かべて出迎えてくれる。だがその手に持っているマイクの様な槍、その凶器の存在が決して友好的ではないと証明している。凛を追いかけてランサーと遭遇してしまったのは純粋に運が悪い。流石幸運Eのシャヘルがいるだけはある。

「殴るぞお前」

 不幸枠のランサーでさえ幸運Dはあるのに幸運Eなんて全く見ないので一度はネタにしないと怒られる気がするので。……ともかく、目の前のランサーは敵であり、間違いなく強敵だ―――それも相対した事の無いタイプの。今まで槍のような得物を握った敵と戦った事はない気がするが、さて。どうなるのだろうか。

「あら、やる気満々じゃない? 可愛いだけじゃ世の中駄目よね。そこらへん貴女いい感じよ。やる気がみなぎってビンビンと来ているわね。ふーん、見た感じ子リスも、そっちの狐も結構、私好みの可愛い子じゃない。いいわよ貴女達? 特別に私が可愛がってあげてもいいわよ」

『ガタッ』

『レオ、シンジ、ガウェイン、ガトー、座ってろ』

「反応するやつ多すぎだろ」

『馬鹿ですねえ―――百合が嫌いな男なんていないんですよ』

 生徒会の男どもは一回殴られろ。あ、いや、もちろんユリウス抜きで。ユリウスだけが【癒しなので、貴方はそのままでいてください。いや、ほんとマジで。

「うん?」

 と、そこでランサーが首をかしげる。

「あれ? たしかリンが”はくのんは私の胃ない所で手を出すな”って言ってなかったかしら? そもそもはくのんって何よ。人なの? おかしなの? あだ名なの? 場所なの!? なによ! 意味わからない! あー! もう、イライラする! 頭が痛いのよぉ―――!!」

 今までは理性的な面を見せていたランサーが急に苛々した様子を見せたと思ったら、急激に狂気を見せる。その表情は間違いなくあの拷問部屋、あの地獄を生み出すような存在が持ち得る不逞の狂気だ。このランサーは間違いなくスキルとしてではなく、存在として狂っている。そして、その狂気は此方へと向けられている。直感的に感じ取る、

 来る、と。

「あぁ、もう! なんでもいいわよ! 貴女達をとりあえず血祭りに上げればこの痛みも晴れるわよね……!」

「狂っている、が、さて……原因はどうかねぇ」

 そう言いながらシャヘルは既に構えの体勢を取っている。狂気を見せる瞳をランサーはシャヘルへと向け、そしてしっかりと睨む。瞬間、

 一瞬でランサーの槍がシャヘルの懐へと潜りこんでいた。早い、等というレベルではない。今まで相手にしてきたエネミーの速度と比べて次元が違う。速度のランクが圧倒的に違いすぎるのだ。自転車でオートバイの相手をしているような、そんな絶対的差を相手にするような状況。シャヘルの喉元に迫った刃に対して、取れる行動は一つのみ。

「時を刻め……!」

 ランサーというサーヴァントは最速である。シャヘルの敏捷はレbルが足りず、未だにEであるのに対し、この悪魔の様なランサーの敏捷は間違いなくB、もしくはAある。それに通常の方法で追いつけるわけがない。だとすれば後はスキルを使って追いつくほかがない。だがそれにしたって魔力の限界はある。それでも出し惜しみできる状況ではない。

「少々悪辣にやらせてもらうぞ!」

 ランサーの一撃を紙一重で回避したシャヘルはランサーの背後に出現していた。その両手には得物の存在はなく。すぐ横の床に突き刺さっていた。その意図は此方へと伝わってくる。だからこそ更に魔力放出で遠慮なくぶっ放せと指示し、シャヘルの力を増させる。

「る、ぁ―――!」

「ちょ」

 シャヘルが掴んだのはランサーの尻尾だった。尻尾を握り体を回転させ、魔力放出でそれを加速させるように強化してから跳び上がり、横の回転を縦の回転へと変化させ―――全力でアリーナの床へと叩きつける。

「ッハァ―――!」

 全ての動作に魔力放出を使用し、光をばらまきながら行った行動―――それは全くと言っていいほどランサーに通じてなかった。

「少し痛かったわよ」

「ッ!」

 ランサーの筋力も、もちろんシャヘルをはるかに超える。魔力放出を使用したとしてもせめて1ランク程度のブーストぐらいにしかならない。ブーストできたとしてもDだ。それではAやBでステータスが構成されている超二級サーヴァントに通じる筈がない。床に叩きつけられる瞬間、槍を床に突き刺したランサーはその一撃で衝撃を大きく殺している。叩きつけられるのと同時に尻尾を唸らせ、シャヘルの拘束から抜け出す。

 そして、そのまま尻尾を振るい、シャヘルを弾き飛ばす。

『パンモロですよガウェイン! パンモロ!』

「誰か生徒会長を黙らせろやぁ―――!!」

 吹き飛ばされながらシャヘルが叫び、空中で回転しながら体勢を整え直す。その瞬間にはランサーが槍を手に、一瞬で加速と刺突を行ってくる。その攻撃は一点に集中し、貫通とリーチに長けた動きだ。―――槍相手に戦うのは初めてだが、得物を見ればその動きは予測できる。ここは防御という手を一切取らず、最小限の動きで避け、被害を減らす。

「そんなの常識でしょ!?」

 体全体を伸ばすような一撃を繰り出した後、槍を薙ぎ払う様に動かす。刺突から薙ぎ払いへのモーションが見えない程早く、回避する事が出来ず、シャヘルのわき腹に突き刺さる様に薙ぎ払いが刺さり、

「頭が痛いのよぉ―――!!」

 そのまま槍に横腹を殴打された状態で振り回され、放り投げられる。シャヘルの体が何度か床にバウンドしながら此方へと転がってくるのが見える。たまらずシャヘルの名を叫び、そしてそのHPを確認する。

 たった二発で、シャヘルのHPは残り一桁までに落ちていた。

 ―――明らかに自分の指示のミスだ。

 今までのふざけた雰囲気を完全に消し去り、鳳凰のマフラーを通して回復用のコードキャストを発動させる。それが完全回復とまではいかぬも、シャヘルに構えるだけの余裕は与えられた。戦えるかどうかの確認をする必要はない。舐めていたわけではないが、こうやって相手から攻撃を受けて気づく。自分は未熟であり、そして足りない。忘れてしまって、足りなくなっている。

 が、

 今のは見た。

 感じた。

 そして、覚えた。

 ―――次はもうない。

 二度と受けない事を誓いながら構え直す。

「いい声で鳴きなさいよ……!」

 槍を振るい、ランサーが襲い掛かってくる。

 彼女をどう突破するか―――ここが正念場だ。




 前半ギャグ、後半シリアル? やっと悪魔ランサー1回目ですね。SG1は次回で。
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| 断頭の剣鬼 | 11:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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