陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-13

 生徒会室へ戻ってから数分後、殺生院キアラが生徒会室へと戻ってくる。シャヘルは今回も霊体化し、姿を消す。霊体化をせずにいられるこの校舎は酷くストレスフリーで爽快な気分だと言っていただけに、キアラを前にするだけ霊体化するシャヘルの姿は実に新鮮だ。何せ、あの性格だ。あの性格で逃げるという選択肢を選ぶ所など見た事がない。何が悪いのかは自分には良く解らないが、誰かしろ苦手なタイプと言うのは持っている。アルクェイドのガトー然り、シャヘルの場合はキアラという事だったのだろう。

 椅子に座っていると、やってきたキアラは生徒会室に入り、入り口の扉の前で立つと、そこで一礼し、動きを止める。それ以上踏み込まないのは、ボディランゲージとして”これ以上は踏み込めない”という事の証明なのだろう。殺生院キアラは求められない限り積極的な支援行動は行わない。必要に駆られた時でしか手を貸さない、というのが彼女のスタンスだ。


 まあ、目をハートにしてキアラを見つめるシンジを現実に引き戻す為に山盛りマッシュドポテトをレオが召喚し、シンジが阿鼻叫喚の声を漏らし始めたところでキアラの説明は始まる。どうでもいいがシンジ、この生徒会に関わっていたら近いうちに精神崩壊を起こさないだろうか。

「先ほど説明しましたように、あの壁はただのシールドではなく、心で御座います。少女の、乙女の心。それを物理的にシールドとして使用している術、プログラムです。人の心を学ぶために聖杯戦争を始めたムーンセル、そのAIでは絶対に解析の出来ないシールドです」

「そんな……」

 桜は告げられた言葉に驚くが、逆にレオは納得していた。

「おそらく知識としては理解しておりましたが、実際に見た事も経験した事がない、故に確信に至れなかったということでしょうか?」

 なるほど、と言葉を漏らしながら腕を組み、

「たしかにそういう事なら解析できなかったのもうなずけます。僕も決して万能というわけではありませんし、心理学に関しては学んだだけですからね。ここら辺が個人的な課題でしょうか。ともあれ、貴女がそうおっしゃるからには手段はあるのでしょう?」

「えぇ」

 キアラは頷き、

「アレは乙女の心です。であればアレをどうするかなど簡単な事で、暴くのです」

「暴く?」

 バゼットの問い返した事にキアラは頷き、

「―――心を」

 キアラはその説明を始める。

「アレは結局のところ心という不安定でありながら強固な人間の心理をプロテクトを使用しているものです。故に他人による心の動きなどに関しては非常に脆い部分があります。構造上”心をさらけ出している”という形はとらずにはいられません。故に心を、秘密を暴くのです。そしてその心の、秘密を理解します。遠坂凛という少女の秘密を暴き、さらけ出し、それを突きつけ、見せる事で―――」

「壊せる、という事ですか。なるほど、確かにこれは私の専門外ですね。心で他人と相対する等という真似はとてもですが真似できるものではありません」

 バゼットはそう言ってイヤリングを軽く弄り、申し訳なさそうな表情を浮かべる。確かにバゼットは人間関係でそこまで得意であるようには見えない。だからと言って自分がそこまで得意だとは思わないが。

『黙ってろこの一級フラグ建築士』

 霊体化されたサーヴァントからこの仕打ちである。酷い。

「では、あの壁を突破するための方法を譲渡いたします」

「と、言いますと既に手段は確保しているという事ですね?」

「えぇ」

 キアラは優雅に微笑み、頷くと解説を進める。

「まずは遠坂凛という少女の心の隙間を見つけなければありません。迷宮に壁として出現しているのであれば確実に遠坂凛という少女の心がさらけ出されていますそれを見つけ、さらけ出すためのプログラム……今回は特別に五停心観術式の亜流、その詠天流版をお譲り致します」

 何やら一度に難しい単語がいっぱい出てきた。ちょっと困るが、キアラは微笑んでくれる。

「そう難しくも特別なプログラムではありません。単純に心の隙間を見つけ、本人も意識していない心の淀みを摘出するものです」

 なるほど、そうやって凛の心を暴け、という事か。所でゴジョウシンカンって何なんだろうか。

「それは煩悩を断つ初歩的な瞑想法である」

 その問いに答えたのは以外にもガトーだった。

「不浄観、慈悲観、因縁観、貝分別観、数息観の五つを指すことだ。仏教を知らなければ知る事はなかろう、そこらへんの宗教に関する知識は小生に任せよ」

 意外や意外、という程でもないだろう。ガトー・モンジという男は確かごった煮宗教家で、その人生のほとんどを神の追及に費やしたはずだ。だとすればこれぐらい知っててもおかしくはない。が、それでもこんな事を知っているのは純粋に驚きだ。意外と博識なのかもしれない、ガトーは。

「フハハハハ! 崇めよ! 小生の心はガンジスに漂う洗濯物の如く也ィ!」

「それって流されてるし見つけにくいだけじゃん!! ダメじゃん! もう少し見つけやすくしようよぉ!」

 お疲れ様シンジ君。君の存在はこの生徒会に必要不可欠だが―――そろそろ死にそうな顔をしているので流石に次回は休ませよう。……心なしか少し楽しそうな顔をしているのが気になるところだが。

「五停心観は医療用ソフトだと思いください。五停心観で患部を摘出する……アレが真に心の壁であれば、秘密を突きつける事で守る意義は消えてしまう筈です。そうなれば確実に消える筈です」

 なるほど。であれば早速五停心観をインストールするべきだろう。これが心を知る為のプログラムというのであれば―――これは遠坂凛の変貌を知る為の武器にもなる。だとすれば断らない理由がない。

「解りました。では五停心観はインストールが必要なプログラムです。これから直截な体内へとインストールします」

「―――待ってください!」

 突然、桜が大声で自分の存在を主張する。

「そんな大層な術式を先輩の構造体にインストールしようとすれば確実に過負荷がかかります! 外付けのソフトウェアである場合ならここは先輩に無理してもらうよりは私にインストールした方がいいはずです! それにここでは一時的にムーンセルのルールから逃れる事も出来ますので―――」

 驚いた。本当に驚いた。桜の主張は、”危ない可能性があるからインストールは自分にしろ”という話なのだ。AIはこんな風に自己主張する存在だと聞いたkとないし、見たこともない。いや、桜というAIの少女が他のAIよりも何倍も人間らしいとは思っていたが、此処まで主張するとは思わなかった。

『―――』

 シャヘル……?

 相棒たるサーヴァントからの返事はない。ただ、何かを感じるような気配はある。だがそれだけだ。それしか気配を漏らさず、キアラは桜に問いかける―――何故。

「……そ、それは……私が健康管理のAIで……ッ、聖杯戦争以外でマスターに危ない事をさせるわけにはいかないからです」

 桜は何か、若干詰まりながらも答え、キアラは笑顔で答える。

「なるほど、安心しましたが―――駄目ですね。感情を読み取れるのは人間だけです。桜さんでは観測は可能でも真に理解する事はできません。それに向き合うのは岸波さんでしょう? だとすれば彼女以外にお渡しする相手がいません」

 キアラの返答は完璧なもので、桜が口をはさみこむ余地はない。桜はそれをゆっくりと飲み込み、そして頷く。それは桜がこの行動を認めるという合図であり、他にも反対するマスターはいない。これで自分がインストールする事となるのは決定だった。初めての経験になると思うが、問題はないだろう。椅子から立ち上がり、キアラの前に立つ。頷き、此方の準備は完了している事を伝える。

「では、気を楽にして目を瞑ってください。五停心観をお譲り致します」

 解った。そう伝えて目を閉じ、体から力を抜く。これで本当にあのシールドを突破できるのであれば、少しぐらいの負荷、問題はない。だから言われた通りに待機し―――。

「―――んっ」

 キアラが此方に絡みついて唇を押し当てていた。

「!?」

 顔を赤くして驚愕する桜。

「岸波ィ―――!!!」

 シンジの魂の絶叫。

「ちょ!? おま、白野ォ―――!! 痴女だぁ―――!!」

 思わず登場してしまったシャヘル。助けろください。

「な、何をしているんだ貴様ら!?」

 珍しく本気で混乱しているユリウス。

「録画! 録画の準備ですよ兄さん! ガウェイン!! こんなこと僕でも予想外です! いやあ、いいですねぇこれ!」

「カメラは常にここにありますレオ!! それにしても何とも大胆で見事な……ガラティーンの代わりにカメラを装備しておく選択肢は正しかった……!」

 そしてこの主従は絶対に殴る。特にそこの騎士。お前は絶対に泣かす。

「あの動き、手つき、実に慣れているにゃあ……」

「うむ、実に見事なお手前であるな」

 そのネコと坊主も殺す。馬鹿主従とは別ベクトルで殺す。名に冷静に分析してるんだよ。

「あ、あまり非生産的なのは良くないと思います!」

 バゼットは意外と初心だった。

 いや、そんな状況ではない。何とか抜け出そうともがいてみるが、まるで石造の様にキアラは此方に絡みつき、そして体を離さない。それより―――!

「……! !!! ……! ―――! ―――! ……!?」

「あ、ちょっと待てよマスターの顔がヤバイ! 色んな意味でヤバイ!」

「んっ」

 たっぷり数十秒間キアラにキスを押し付けられ、ようやく解放される。解放と同時に倒れそうになる体をシャヘルに抱きとめられ、そのまま顔を胸に埋める。私穢されちゃったよシャヘル……!

「泣け、今は泣くんだ、お前は全力で泣いていい……!」

 それとは対照的に超笑顔のキアラは満足そうな表情だった。

「お待たせしました。五停心観、無事にインストール完了しました」

「まるで水を得た魚のような表情、さっきは見事と言ったが少し怖くなってきた。小生ちょっとトイレタイムである」

 そのままガトーは逃げた。だがその代わりにレオはビデオカメラをしまい、ガウェインも見事なオテマエです等と言いながらお辞儀をしている。こいつ等だけは一回は泣かさないと駄目らしい。ユリウスを通して嫌いな食べ物でも教えてもらって密かに復讐を計画しよう。

「抵抗するので失敗しそうになりましたが、何とかインストールする事に成功しました」

 そのやりきったような笑顔が憎い。殴りたいその笑顔。

「さて、五停心観だけでは摘出するだけです。今度はそれをシールドへと転送して壁を解く為のプログラムが必要になりますが、此方は桜さんの領分となります。機能拡張のスペースがあるとさっきはおっしゃってましたね?」

 桜は頷く。

「それが皆さんの為になるのであれば可能です」

「では五停心観のおおもとの術式を貴女に組み込みます。これによって貴女と岸波さんの二人で五停心観のプログラムをフルに活用できます―――いいですね?」

 キアラの問いに対してはい、と桜は頷き答えると、キアラは扉へと向かう。

「流石にここでは貴女の方が恥ずかしいでしょう。保健室の方へと……」

「あ、はい、では皆さん!」

 桜はキアラと共に生徒会室から出て行った。何とか立ち上がり、椅子を杖代わりに体を立てる。キアラと桜のいなくなった生徒会室はかなり静かになっている。

 ―――さて。

「駄目ですよレディ・岸波。同じ女性でしょうが流石にそれはデリカシーに欠けるかと」

「まだ何もしてないのに……!」

「あ、僕そろそろ廊下に戻るから―――」

「―――追加のマッシュドポテトはまだありますよ?」

 シンジが絶望の表情と共に崩れ落ちた。それをレオは愉悦の表情と共に眺めてからおや、と声を漏らす。

「さて、少々紅茶を飲みすぎたようですね。少しお手洗いへ―――」

「何を言っているのですかレオナルド。貴方はここ数時間水分の接種をしていないじゃないですか……」

 呆れた様子でバゼットがそんな事を告げると、レオはしまった、何て表情を浮かべる。そういえばバゼットもギリギリ女だったと。しかし、レオの目は死んでいない。

「あ、実は本を図書館に返し忘れたので―――」

「―――では主の為の雑務は私がこなしましょう」

 ガウェインが笑顔でレオの手元から本を抜き取り、生徒会室の出口へと向かう。しかし、呆れの声とともにその本を奪うのはユリウスだった。絶望する太陽の騎士と少年王を差し置いて本を持ったまま扉へと向かい、

「お前らはここにいろ。俺が様子を見てくる」

 堂々と覗き宣言を行った。この瞬間、バゼット以外の生徒会メンバーのユリウス株が確実にカンストした。ガウェインは笑顔を取り戻し、希望に満ちた目をユリウスへと向ける。

「ユリウス、あとでこっそりと内容の方をお願いします。もしかしてレオには過激すぎる可能性もありますので、その場合は私がある程度フィルターしますので内容を全て……!」

「あ、ズルイ! 兄さんと僕ほぼ同い年ですよ! ですからフィルターなし、フィルターなしで! あ、でも8歳児はR指定なのでアウトですね」

「お前らそんなに僕を苛めて楽しいのかよぉ―――!!」

 レオがなにやらあの麻婆店員と同じ方向性に目覚めつつあるような気配がするが、それを新・レオとして受け入れる準備は此方にある―――犠牲になるのはシンジだけだし。ともあれ、ユリウスの勇気には感服だ。流石我が心の友ユリウス、実に男らしい。

「何を言っている貴様ら、俺は本当に確認するだけだぞ。というか、予め宣言しておくが、俺がいる間は不埒な真似をさせんぞ。そこらへん、覚悟しておけ」

「そんなぁ……」

「ユリウス貴様ぁ……!」

 ハーウェイ財団チームが非常にカオスなのだが、こいつらは日ごろからこんなペースだったのだろうか。だとしたらユリウスの苦労が目に浮かんでくる。ところで私からユリウスへの好感度も今の話でだだ下がりである。君にはがっかりだよ。

「貴様ら……!」

 ユリウスが呆れたような表情を浮かべながら生徒会室を出てゆく。今から生徒会室を出て行っても確実にユリウスに泊められるだろう―――もう機会はつぶれてしまったのだ。おのれ鋼の風紀委員長め。

「ところで」

 と、バゼットがあきれた様子で此方を見ながら口を開く。

「止めなくてよかったのですか?」

 何を、と言おうとして足りない存在を二匹ほど思い出す。

 ―――シャヘルとネコアルク。

 あの獣形が揃って生徒会室にいない。だがずっと扉は見張っていたはずだ。

「先ほど窓を開けて、壁伝いに降りて行きましたよ」

 もうあの駄サーヴァント勢には感服するしかなかった。その執念、実に見事……!

「だからと言ってガウェイン、貴方まで壁を利用しようとしないでください」

「くっ!」

 何時の間にか窓まで移動していたガウェインが窓のふちに足をかけていた。

 流石英霊。

 どいつもこいつも常識が通じない。そう感じる一瞬だった。
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| 断頭の剣鬼 | 10:40 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

 はくのんとキアラとのシーンがついにと思っていたら、それを払拭するくらい生徒会室がカオスだった件ww
 今日も生徒会は平和ダナァー(棒

| tonton | 2013/06/11 16:05 | URL | ≫ EDIT

ああ、もう、本当に。
皆そろいもそろって壊れてますねぇ。(白目

| 黒羽鴉 | 2013/06/11 20:52 | URL |

そろそろメルト戦でのワカメ防壁がマッシュポテト防壁に変わりそうな予感。
それとレオとガウェインを泣かせるならば、ユリウスカレーと言峰麻婆を押しますぜ。

| 裸エプロン閣下 | 2013/06/11 20:57 | URL |

おかしい。こんなにカオスなのに原作からキャラが乖離していない…

| アルフィード | 2013/06/11 21:34 | URL |















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