陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-10

 サクラ迷宮。

 そこの調査を行うためにも旧校舎の一階へと階段を使って降りると、誰もいなかった購買に人が増えていた。端末を取り出して確かめれば、聖杯戦争中に走って集めまくったPPTが大量に存在していた。残念ながらアイテムの方は完全にロストしているようだが、買い物には困らないはずだ。迷宮へと潜る前に消費アイテムを補充、というか購入しておけば探索がグっと楽になるはずなのは経験上知っている。だからこそ購買を覗いた時、予想外の人物の姿に驚愕せざるを得なかった。

「いらっしゃい」

 無駄にいい声で購買のカウンターの向こう側に立っていたのはカソック姿の中年の男だった。黒いカソック姿は忘れる筈もない、あるNPCのトレードマークというべき服装だ。何故お前がここにいる、という意味を込めてNPCに―――言峰綺礼神父へと向ける。


「何やら私に対する不満の視線を感じるのだが……なに、そう気にする事ではない。この旧校舎へと一部のNPCが連れてこられた時に、私もここへと連れてこられたというだけだ。ここまで多くの連れて来られたNPCを見ているのだ。その中に私が混じっていても不思議はあるまい?」

 そう言って言峰は後ろに振り替えると、購買の奥に置いてあったエプロンを取り出し、それを装着し始め、そしてチン、と音を鳴らしたレンジを開いた。その中から言峰は麻婆豆腐を取り出し、アツアツのそれを此方へと向けてくる。

「食べるかね?」

 そういう問題ではない。

「とか言いながら貴女のマスター普通にあのマグマ食ってるわよ」

「よう食うわアレ」

 復活のネコアルク。なにやらガトーから逃げ回っている気配がする。と、そうじゃなくて―――何故言峰が購買のオジサンをやっているのだろうかお前のロールはもっと違うものではなかっただろうか。

「何、他のNPCと一緒でロールの書き換えが発生していただけだ。聖杯戦争の監督NPCから月の裏側の購買の店員へと。私自身ロールとしてはさほどアクティブではなかったのでな、もっと出番の増えるこのポジションは悪くはない。それに私は少々凝り性でな、やるからには最強の店員を目指すつもりでいる」

 そう言って言峰は購買のカウンターの下に手を伸ばすと、そこから女性ものの制服を取り出す。といっても月の表側で来ていたものではなく、裏側で来ている黒いセーラー服だ。それを見て思う。

 そう言えば桜だけは表側の制服だったなぁ、と。

「今君は間桐桜のみが表側の聖杯戦争の服装のままだと思った」

 ―――すげぇ。

「いや、顔に出るんだよ白野は」

 うっさい黙れ。

「今なら1万サクラメントで売ろう」

 買―――え? サクラメント?

 何だそれは、と言峰に問うと、答えを返して来たのはシャヘルの方だった。ポケットの中から何らかのデータと思わしきものを取り出すと、それを此方の端末へと入れてくる。

「サクラメントはこの月の裏側における構成リソースの名称で、そして通貨代わりのもんだよ。サクラ迷宮に徘徊しているエネミーも大体サクラメントでボディが更生されているから砕けばサクラメントとして入手できるはずだ。まあ、一番重要なリソースらしくてな、ここでのPPTは紙屑の様なものなんだ」

 ガタ、と音を立てて崩れ落ちる。あの聖杯戦争で走り回った気がする時間はなんだったのだろうか……。三十万。三十万PPTだ。それだけの大金がこの端末の中には存在する。それが紙屑だと言われると正直心が折れそうになる。

「変換するかね? 現在の変換レートは100:1でPPT100に対して1サクラメントだ」

 凄い法外なレートな気もするが、言峰に従う以外に方法はない。現在の全財産である30万PPTを全てサクラメントへと変換する。それを受け取った言峰は笑顔で受け応える。

「―――温めますか?」

 この購買大丈夫なの? という妙な不安が浮かび上がってきた。





 校庭に出ると、そこには一本の桜の木があった。校庭に腰を下ろして此方の様子を興味深そうに眺めるNPCの姿をとりあえず無視し、桜の木の前まで足を進める。シャヘルは横に立ち腕を組み、デフォルメ姿のネコアルクはそんなシャヘルの頭にしがみ付いている。とりあえず最後に聞いておくだけ聞いておくが、どこまでついてくる気なのだろうか。

「あぁ、私? 私ってほら、フレーム貸してるじゃない。あんまし私離れ過ぎると有効範囲外になっちゃうから」

 なるほど。離れないのではなく、離れられないの違いだったのか。それは済まない。今日の探索が終わったらネコアルクの為に猫まんまでも用意しよう、猫のソウルフードらしい。

「私、猫なのは見た目だけで精霊種なんだけど……」

 そんな風に戯れていると、生徒会室の方から通信が入る。端末を通してレオの声が聞こえる。

『聞こえますか岸波さん? エクセレント! それではサクラ迷宮の入り口を開きます』

 レオがそう告げるのと同時に桜の木が鳴動する。小刻みに震えた、そう思った次の瞬間には桜の木は大きく動き―――持ち上がった。その下からはエレベーターが出現し、ここがサクラ迷宮の入り口であることを理解させられた。しかし、桜の木の下から行けるからサクラ迷宮というネーミングセンスは少々安直ではないだろうか。

『言いたい事があるなら聞きますよ?』

 なにやら不穏な気配。これはさっさとサクラ迷宮に入るのが吉と見た。

 シャヘルとその頭に乗るネコアルクを背後に連れながらエレベーターへと乗り込む。

 こうやってエレベーターに乗り込む感じは懐かしいと感じると同時に、激しく嫌な予感しか与えない。何やら、自分はエレベーターに関してはトラウマがあるらしい。

 エレベーターが目的地へと運んでくれる短い時間、……シャヘルの服の裾を掴んで目を閉じながら過ごす。

 ……シャヘルからの苦笑が聞こえた、そんな気がした。





『―――バイタル値正常。空間の固定完了。安定しています』

『実にグッドですサクラ。生徒会室からバイタルと周りを常にモニターしています。どうですか岸波さん?』

 少し息苦しい感じはするが、それ以外は大丈夫、と答えながら周りの光景を見る。

 そこは夕陽に染められた廃墟だった。

 水面から突き出るビルや建造物は美しいが、人の命を感じさせない廃墟だった。建築様式はスペイン的な意図を感じる、夕陽に染まる色と非常にマッチし、美しく光景を染め上げている。エレベーターの出口からこうやって迷宮へと続く通路で実に楽しい時間を過ごさせてもらった。が、階段が途切れてデータ的な床が平面に広がっていると、ここがサクラ迷宮の中だという事を認識させられる。

『ソナーによってこの構造体の階層は全六階層で構成されている事を確認できました』

 ならここがサクラ迷宮の第一層目となるのか。と、若干オレンジ色に染まりつつある風景を眺めながら思う。色合い的には白と夕陽のオレンジをベースとした空間だが、奥の方から隠せもしない”何か”の気配を感じつつある。

『これより先はサクラ迷宮にアリーナ同様”エネミー”と呼ばれる敵性プログラムの存在を確認できます。今の所、生身で勝負して倒せるのはバゼットさんぐらいです。あの人少しおかしいんじゃないですかね。兄さんやガトーさんでもエネミーは一体ぐらいが限界なのに、サーヴァントの支援があるとはいえ、一人でサクサク破壊して進んでいましたよ』

 恐るべしバゼット・フラガ・マクレミッツ。アレが英霊に近いレベルへと到達した人類の実力なのだろうか。まあ、そんな風に戦うだけの技量も力量も自分にはない。できる事と言えば―――。

「おうさ」

 キィン、と音を鳴らして巨大な得物が床に突き刺さる。二メートル程の巨大な、黒の大太刀。その刃は布や符が張られてあるが、圧倒的存在感をアピールしている。これこそシャヘルの得物なのだが―――此方もシャヘル同様姿が大きく変わっている。

「俺の武器ってのは俺の肉体と完全に融合している。俺の肉であり、俺の固有結界を物質化させたようなもんだ。俺の姿が変わったり、何らかの影響を受けてればそりゃこいつにも反映されるさ。分身の様なもんだし」

 との事だ。シャヘルの体の一部である以上、彼女がそれを十全に使う事は疑いようがない。

 現在シャヘルの出来る事は攻撃スキル一つ、瞬間的身体強化用スキルの魔力放出、そして逃走用の仕切り直し。この三つしか戦闘に使えるものはなく、これをなんとかやりくりしながらこの構造体を抜けなくてはならない。自分の唯一の特技にして特徴……それは、確か指示だ。一度見た動きは忘れない。一度受けた奥義はもう受けない。二度目はない。少しずつ前進し、そして確実に勝利を掴む。その為の指示を出すのが自分の役割り……だったと思う。

「そこに適切な支援をする……という所もあるが、今日はハードにやっても困るだけだろう。礼装とかの事はまた明日だ。今は軽く探索しよう。ほら、、いい所にそこにエネミーがいる」

 そう言ってシャヘルは大太刀を構える。右手で刃を逆手に構え、明らかに身長以上の長さの刃を後ろへ引く様に、やや前に傾くような姿勢、飛び出す様に構える。

『大丈夫ですか岸波さん? もちろん戦い方を―――』

「大丈夫! そして”さん”はいらない! 白野って呼んで!」

 ―――仲間なんだし。

「よし、行くのよシャヘル号!」

「お前、頭の上から振り落とすぞ」

 ネコアルクを頭の上に乗せたシャヘルが大きなジャンプで、正面にある噴水を大きく飛び越える。その姿を追いかける様に走り、噴水を超えた向こう側で、球体状のエネミーの姿を発見する。記憶を確かめる―――思い出そうとし―――そして思い出す。アリーナに出現するタイプのエネミーで、最も基本的な姿で、最も単調なAIを組み込まれているエネミーだ。

 その動きを観察する。エネミーと相対する様に刃を逆手に構え、左腕を盾の様に構えるシャヘルの姿の向こう側。そこにいる存在がどんな動きをしてきたか。どんな動きをするか想像し―――。

「シャヘル!」

「おう!」

 シャエルが飛び出す。素早くエネミーに接近し、左手でエネミーを殴りつける。体を大きく振り、攻撃を叩き込もうとするエネミーに今度は蹴りを叩き込み、そしてそれでも体を振るうエネミーに蹴りあげた足を落とす事で踵落としを食らわせる。エネミーの体が床へと叩きつけられ、跳ねる。

「えくすとらたーん、なんつってなっ!」

 左ストレート、右膝と叩き込み、ストンピングで相手を床に押さえてから刃をエネミーの体を貫通する様に突き刺す。それ以上耐えられないエネミーは崩壊し、バラバラにほどけてゆく。

『……白野、崩壊するそれを回収してください。それが月の裏側の通貨となるサクラメントです』

 早速名前で呼んでくれているレオの事を若干新鮮に思いながらも、エネミーの残りカスであるサクラメントを回収する。これを一万ほど貯めれば桜の分の制服を購入できるのか―――今の一回で溜まった分が百程度である辺り、かなり高い買い物になるらしい。

『しかしマーベラスです白野、初戦で完全に相手のAI行動を見切って的確な指示を送りましたね、これは実に期待できそうです』

 あの体を見れば大振りな攻撃しか繰り出させなさそうな事は目に見えているので、パスを通じて攻撃を潰す様にシャヘルに指示を飛ばしただけなのだが。

『それで十分なのですよ。貴女には明らかに観察に関する才能が有ります。相手の心を知る、相手の動きを知る、それは紛れもなく貴女だけが持つ素晴らしい宝物です』

 そんな風に表現されると実に恥ずかしい。

 ―――ところで。

 その頭の上の猫は口を押えてどうしているのだろうか。

「動いたり止まったりが激しすぎて少し気持ち悪い……戦闘中は頭にしがみ付くの止めるわ……」

 駄目だこいつ。真祖とか原初の一とはなんだったのだろうか……。




 相変わらずカオスなCCC。こいつ裏から本気で脱出する気はあるのだろうか。シャヘルはバゼットと一緒に軽く入り口付近を探索したのでちょいレベルあがってます。まだ完全に月の裏側のカオスの住人共はできっていません。

 宇宙戦艦とかタバコのお姉さんとか増える予定なので、相手側も脱落サバはドンドンだそうかと。

 収拾はつくのだろうか……ギャグ的に。
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| 断頭の剣鬼 | 15:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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