陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第19話 騎士達の休日

「うおおおおおおおおお―――!!! や! す! み! だぁ―――!!!」

「五月蝿ぇタコ」

 ルシオがエリックの後頭部を叩き、その衝撃でエリックが前に倒れそうになる。が、大きく足を前に踏み出す事でエリックはそれを耐える。靴底が道路に勢い良く叩きつけられてパン、と大きな音を響かせながらすぐさまエリックが振り向く。


「少しぐらい自由を感じさせてくれたっていいじゃないか!?」

「五月蝿ぇ。黙れ。息を吸うな」

「予想外に酷い言葉のラッシュ……!」

「まぁ、無駄に酸素を消費してる事には全面的に同意だよね」

「タカヤサァーン!? マーシュ、マーシュは俺っちの味方だよなあ……?」

 巻き込まれたくなかったマーシュは全力で明後日の方向へと向き、自分に一切の味方がいない事を悟ったエリックは道路に膝を着いた。

「神は死んだ」

「お前も死ね」

「このうえ追撃とはこのエリックの目をしても見抜けなかったわ」

「茶番はいいからもうそろそろ動かない? いい加減周りの視線が痛くなってきたんだけど……」

 悪い悪い、と悪びれる事も無く立ち上がったエリックが元気良く体を伸ばす。先ほどまで呆れ顔だったルシオも何処か楽しそうな表情をしている。さて、とタカヤが言う。

「時間は有限だし、休暇は楽しまないとね」


                   ◆


 騎士ウィルフレッドと騎士クゥーニャが喧嘩を起こした。

 その発端は本当にどうしようもなくくだらない事で、考える事すらどうでもいいと思えるないようだ。しかし、重要性はその原因にではなく、二人の騎士が"喧嘩"したという事実にある。

 災害級の騎士二人が、だ。

 結果、喧嘩の仲裁に多くの騎士が犠牲になった。真っ先に仲裁にはいったシャッハは勿論、教官役の騎士レイド等の多くの騎士が犠牲になった。在籍騎士の多くを一日の間、行動不能に落とした恐怖の喧嘩は騎士カリムの怒りの鉄拳により幕を引いた。しかし、その被害により聖王教会の教官として動く事のできる騎士が全員倒れた。戦技教導官の資格を持っている管理局機動六課の騎士ヴィータに応援を要請する事も考えられたが、身内の恥を晒しすぎるので一瞬で却下された。

 結果、気合で復活する為に一日の休暇が決定された。

 人的被害にのみ止まったが、そのため一日の休暇を与えられた若い見習い騎士達は勿論困惑した。遠く家を離れてやってきている者だっているのだ。いきなり休暇を言い渡されたって困る。

 そんな中、マーシュ達同室の四人組は休暇の日、朝からミッドチルダへと出かけた。

 それはマーシュにとっては早すぎる休暇だが、エリック達にとっては聖王教会の外へ出られる初めての休暇だった。


                   ◆


「いやぁ、聖王教会から離れましてはるばるやってきましたよミッドチルダ! あぁ、ビル! 高層ビル! 車! そしてデパート! 聖王教会とは大きく変わって凄い文化的……!」

「そんな事を言ってるからルシオに言われるのに……」

「そっとしてあげようよ、マーシュが来たのは数週間前だけど、僕ら視点からすれば初めて聖王教会の外へ出られる休暇だし」

 苦笑しながら四人が進む道はミッドチルダの中でも特に商業や娯楽関連が集まった"サードアヴェニュー"と言う場所だ。比較的にミッドチルダの中心部に近いここにはデパートやゲームセンターなど、若者には楽しめる場所が多く存在する。前々から行きたいとこがあったと言うエリック先導の下、四人はサードアヴェニューの中を春の暖かい陽気を感じながら歩く。祝日や休日というわけでもないので、忙しく歩き回る人の姿があちらこちらに見える。

「うーん、人が多いなあ」

 それが、マーシュが初めて来たミッドチルダへの感想だった。

「そうか? 今日は少ない方だけど……って田舎の方から来たんだっけ」

「うん。まあ、普通に科学力とかは変わらないけど、こんな大きなビルやデパートは無いよ。こう、こんなに多くの店が並んでると直ぐに潰れたりしないのか、お客さんが本当に入ってるのかとか、いろいろと不思議に思うよ」

「ははは、ま、確かにそう思うよなあ」

 マーシュは第一世界の中でもかなり田舎の方の出身の為、ミッドチルダの様な大都市を訪れるのは今回が初めてだ。聖王教会へと行く為に一度ミッドチルダを通りはしたが、モノレールから降りる事はなかった。
そのため街中を歩くのは初めてで、見る光景の多くが新しかった。

「それで、どこへ向かってんだ?」

 その疑問にお調子者がすぐさま返答する。

「おう、まずは甘いもん食ってゲーセンだろ! 帰りにナンパしてカラオケ! そんな訳で雑誌でチェックしたお店へ向かってんだよ」

「なんか予想通りすぎてつまらない」

「捻りがねぇな」

「どうしてお前ら二人はそうセメントなのよ! 俺っち何時かガチで心折れんぞ! ていうかお前ら俺に対して一体何を期待してるんだよ!」

 エリックを玩具にしながら歩くルシオもタカヤも何処か慣れた様に見える。玩具にされたくないためにエリックの横に歩かず、タカヤ、つまりはエリックの位置から反対側を歩く。その事に再びエリックが落ち込むが、既にこの男のオーバーリアクションには二週間の生活でマーシュも慣れた。軽く受け流しながら進んで行くとやがて小さい店へ到着する。

 サードアヴェニューでも中心の方ではなく、小さい店が多く点在する部分。その一角に店内に入って購入するタイプの店ではなく、外に設置されたカウンターで注文するタイプの店がある。大きな看板は出ていないが、その前でエリックが停止する。

「じゃじゃーん。ここです! 何とここはかの時空管理局、伝説の三提督さえこっそりとお忍びで訪れるワッフルのお店! プレーンはもちろん、チョコ、バニラアイス、ハチミツ、メイプルシロップ、ほかにも用意されているトッピングはかなり多くバリエーション豊か! 素材から拘っているワッフルはそのまま食べてもほんのりとした甘みを持っていて美味しい! 食べれば絶対貴方も虜になっちゃう! メーガスのワッフル、私のオススメです、はい」

 サムズアップとテレビのコマーシャルでやりそうなセリフを喋りきったエリックは清々しい顔をしていた。しかしそのサムズアップは全員が共通としてみているだけでイラッ、と来る何かが存在した。故に三人が一斉にエリックに背を向ける。

「プレーンにメープル」

「うーん……じゃあ僕はこのバニラアイス乗せたので」

「俺はプレーンかな」

「クソ、何て世の中だ! 何で俺ばっかりこんな扱いをされるんだ! あ、チョコレートソースで」

 カウンターの向こうの店員にほしい物を全員が頼むとすぐさま向こう側から返事が返ってくる。カウンターの向こう側を覗けば店員が中でワッフルの作成を開始しているのが見える。既に用意された生地を型に流し込み、それを焼きながらトッピングの用意を進める。段々とだが店内から甘い香りが沸き立つ。

 数分後、全員が完成されたワッフルを受け取る。近くのベンチに座り受け取ったワッフルを食べる。

「ふわふわカリカリ甘くて―――うーん! デリシャス!」

「五月蝿ぇ」

「感想すら駄目なんですかルシオさん!? 俺の存在意義の約六割って芸ですよ!?」」

「うん。いらない六割だよね。今日から頑張って残りの四割で生きなよ」

 容赦のない言葉のボディブローがエリックに炸裂し、本人が崩れ落ちそうになるが、それを無視してマーシュもワッフルを食べる。確かにエリックが紹介し、思わず叫ぶのも解る。今まで食べてきたワッフルの中では一番美味しい物だと確信できていた。ただ惜しむべきは予算には限界があり、何枚も食べればそれだけで予算を使い切ってしまう事で、昼飯も食べられなくなってしまう事だ。色々行くべき場所があると発言している事から、エリックがそれなりに美味しいところへと連れて行ってくれると言う事は確信できている。

 名残惜しさを感じつつワッフルの最後の欠片を食べ終わり、周りを見る。マーシュ以外の三人も同時に食べ終わった所だった。

「今日はまだまだやることがあるぜい、さぁ、行こうか」

「仕切るなウゼェ」

「ねぇ、ルシオさんって俺っちになんか恨みあるの? 何か行動一つ一つ全部否定されている気がするよ」

 何時も通りだ、と思いながらマーシュは立ち上がる。訓練からの疲れを癒す為にも今日はしっかり休もう、と。


                   ◆


「……チ、外れか」

 鋼鉄の壁に囲まれたその部屋は惨状と言っていいほどに破壊の限りが尽くされていた。その中心に立つ赤毛の男―――ウィルフレッド・カーストの肩には二メートルはある巨大な鉄の塊が担がれていた。銃口、そして下部に巨大なブレードを装着している事からそれが何らかの兵器である事は窺えるが、とてもだが人が振り回すような大きさではない。持ち上げる事も使用する事も、人間が使用する事を前提にした兵器ではなかった。突き出されたブレードによって二メートルほどの長さになっていた兵器はそのブレードが収納される事により短くなる。しかし、それでもまだ一メートル半を優に超えるその兵器の大きさは異常だ。

「し、死神…、こ、殺さないでくれ、た、頼む! 私は悪くない! 何も悪くないんだ! 命令されてやっているだけなんだ!」

「ん? あぁ」

 ウィルフレッドが視線を下げると、そこには白衣に包まれた研究者がいた。その白衣は大量の血で赤く染まっている。恐怖に染まっている表情はウィルフレッドの顔と、そして部屋の隅で重なるように倒れる同じ白衣姿の同僚達を何度も何度も交互に見ている。

「そう言えばまだいたんだっけか」

「あ、あぁ! もう用はないんだろ? 聖王の聖遺物もDNAサンプルも返した!」

「聖王"様"だ」

 ウィルフレッドが足を持ち上げ、それで研究者の脛を力強く踏む。魔力によって強化された脚力はまるで抵抗を感じさせずに研究者の足を折る。変な方向へと曲がった足を掴み泣き叫ぶ研究者を感情のない目で見ながらウィルフレッドは兵器を持たない片手で頭を掻く。

「チ……」

 それは軽い舌打ちだった。

「まさかミッドに研究所があったとはな。灯台下暮らしってやつか。クソ面倒になってきたな」

 イラついてからウィルフレッドが更に足を踏みつけ、研究員の逆の足を踏み、砕く。今度は足の骨が折れるだけではなく千切れるように大量の血を飛ばす。悲鳴を上げながらのた打ち回る研究員の血が飛び、ウィルフレッドにかかりそうになるがそれは透明な膜によって阻まれる。そのまま研究員に近づくと片手で男を持ち上げる。

「おい」

「痛い痛い痛い! 助けて助けて助けてくれぇええ!!」

「おい、喋ったら助けてやる。聖王様のクローンは完成してたんだな?」

「あぁ、そうだ! 完成した! ここ数年で最高の結果だ! 魔力のレベルだってSだ! お願いだ、だから助けてくれ!」

「あいよ」

 ウィルフレッドが研究員を放り投げるとその頭を兵器で殴りつける。超重量の塊が叩きつけられ、研究員の頭が簡単に潰れる。

「お約束だけど痛みから解放してやったぞ。最初から皆殺しは決定してるから生き残れる訳がないだろう」

 何事もなかったかのように兵器を担ぎなおすと懐から手榴弾を取り出し、それを部屋から退出しながら後ろへと投げる。顔の横にホロウィンドウが出現するのと同時に背後で爆発が発生し、部屋から炎が噴出す。

『どうでしたか』

 そのホロウィンドウは"SOUND ONLY"と表示され、顔を映す事はない。その声にしたってボイスチェンジャーを使用したかのように特定できない物へと変わっていた。ただその下には"NO.1"と表示され、その通信が誰による物かを伝えていた。

「聖遺物とDNAの回収は完了した。それにしても休みの日に限って何時も仕事ばかり入りやがる。めんどくせぇ……」

『頼りにしてるのですからそう言わないでください。今日は不運だったと言う事で。それで、クローンの方はまた失敗でしたか?』

「いや、今回は成功だった」

『―――何と、それは喜ばしい事ですね』

「魔力レベルも高く、データを見る限りは完全な人間だ。聖王様現代に復活、って所か?」

『これで記憶の方も再現してくだされば文句なしですがね』

「聖王様の記憶データ自体がもう存在しないからな。"ゆりかご"でも見つけてそん中にコピーデータでも存在しない限り無理だろ」

『それは解っていますが、それでも教会の人間としては諦めたくない気持ちが大いにあるのですよ、ウィルフレッド』

 手榴弾を再び背後へ、今回は少し強く投擲される。落ちた場所で数秒後に爆破し、ウィルフレッドは施設の破壊を面倒そうに続ける。うんざりとした顔をしながら立ち止まると兵器を肩に当てるようにして構える。

「データを見たところ、大体五歳六歳ぐらいの女児、ヘテロクロミア等の身体的特徴も再現されている。"聖王の鎧"に関しては出力不足で発動できないらしい。ギリギリのところで勘付かれて生体ポッドごと逃げ出された。おそらく今頃ミッドの地下を別の研究所へと向けて進んでると思われる」

 ウィルフレッドが兵器を構える通路は長く続いている。だがその先、奥からは卵状の兵器、そして人の形をした兵器が向かってくるのが解る。ウィルフレッドは自らへと向かってくる脅威が見えるその瞬間も冷静なまま兵器を構えている。

『そうですか……女児ですか。うふふ。いや、別に他意はありませんよ? えぇ。そうですよ。えぇ。うふふ』

「総長、ロリコンは病気らしいぜ」

『これはロリコンではなく純粋に子供を愛しているだけです。えぇ。ウィルフレッド、絶対に保護してください。その際に管理局とぶつかる事があろうとも構いません。聖王教会に"御輿"は必要です。何が何でも確保して下さい」

「了解、給料分のお仕事をさせてもらいますよ―――!」

 最後の言葉を叫ぶようにして、ウィルフレッドが兵器に付いたトリガーを引く。音速の弾丸が兵器から吐き出され一瞬で敵を―――ガジェットを蜂の巣にしながら前に進む。

『えぇ、任せましたよ"蛇"』

 ホロウィンドウが消える。
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| 不良騎士道 | 13:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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