陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-7

 頭を抱えるしかない現状だが、完全に詰んでいる訳ではない。少なくともシャヘルがいる。彼、いや、今しばらくの間は彼女なのだが、彼女がいる間は何とかなる。そんな気がする。なぜなら私達の聖杯戦争はいつもこんな調子で劣勢の連続だったはずだ。

「諦めないわねぇ」

「だろ?」

 デフォルメのアルクェイド―――その猫っぽい姿からネコアルクと命名しよう、彼女は相変わらずシャヘルの頭の上に乗っかっている。どうやらそこを定位置として見定めたらしい。ぽんぽんと頭を叩きながらそんな事を伝えている。なんか本来のナマモノはもっと異次元的生物な気がする。というか、そういう問題ではない。

 シャヘルへと向き直る。教室から出たとこはいい。クラスがなくなってしまったので真名で呼べと言われて真名で呼んでもいる。そこまではいい。霊体化して姿を隠さないのは流石に開き直り過ぎではないのだろうか?


「ん? あぁこの校舎にいるマスターで俺の真名を知らないやつはいないぞ。だから今更取り繕ったって遅い。それに一部のサーヴァントの様に真名バレしていた方が実力の発揮できるタイプだしな、俺は。どっかの目ビーム英雄みたいだな!」

 目ビーム英雄の内容がかなり気になるが、既に真名バレしているのか―――これは胃が痛い。

「感謝しろよ? マスターの精神サルベージの時に術を貸してもらったり、トレーニングを手伝ってもらったり、協力してもらっているんだからな」

 なるほど、借りをたくさん作ってしまっているのか。

「ま、一宿一飯以上の恩を受けちまっているんだ。それはしっかりと変えそう。タダほど安いものはないというからな。信頼は金よりも思いのさ」

 そう言ってシャヘルは此方を真直ぐ見て、笑みを向けてくる。実に嬉しそうに此方の事を見ている。こんな状況でも笑っていられるのだから、その心の強さが実に羨ましく思える。

 ともあれ、レオには借りの件に関しても此方から色々と感謝の言葉を入れなくてはならないようだ。生徒会室は直ぐそこなので、十数歩歩いたら到着してしまう。この先に少年王がいると思うと若干緊張してしまう。生唾を飲み込みながら、右手で生徒会室の扉をノックする。

「どうぞお入りください」

 扉を開けて生徒会室に入る。そこは予想よりも広い空間だった。

 中央に長方形のテーブルを一つ、本棚やプロジェクター、ホワイトボードを置き、一番奥の席にレオは座っており―――。

 ―――エプロン姿のガウェインとオタマを握ったユリウスの姿が部屋の一番奥にあった。

「はくのんはくのん、白目。女の子が軽々と白目見せちゃいけないよ」

 妙に女子力の高いやつは黙ってろ。

「辛辣ねー」

 猫も黙ってろ。―――久しぶりレオ、とりあえず君の従者たちは何をやっているんだ……?

「お久しぶりです岸波さん。いえ、せっかく復活したのですからここは記念に復活パーティーをしようと思って兄さんとガウェインに料理を任せたんですが駄目ですね! 今後一切ガウェインに握らせる刃物は聖剣に限定します。あ、兄さんはカレーを作り続けてください。たぶん暗殺用に使えますからそれ」

 レオが壊れた。レオが、少年王が、壊れた……!

「ハンカチ使う?」

 いらない。というかなんだこれ。なんだこの惨状。ガウェインのエプロン姿が。妙にマッチングしちゃっているせいで何故か妙に納得してしまいそうだが、英霊に料理とか何をさせているんだこいつ。

「とか言いつつ朝食は俺が当番」

 それに関しては何も言えない。

「何を言っているんですかレオ! 舌がおかしくなってしまったのですか!? 最高級の食材を使って作った三倍山盛りマッシュドポテト! 彼の王であれば喜んで平らげたでしょう!」

「ガウェインは生前良い主君に恵まれたのでしょうが、この校舎では僕が方ですのでアウトです。そういうわけでガウェインは今後一切キッチンに立たないでください。というかマッシュドポテトだけ持ってきてこれがパーティー料理とか狂気の沙汰ですね!」

 レオの言っている事は間違いがない。間違いはないが―――なんか激しく間違っている感が強い。何故だか聖杯戦争の出来事はよく思い出せない。目の前の少年と会った事がある、という記憶は存在する。だけどその時のレオはこんなキャラじゃなかったはずだ。

「―――えぇ、つまりはそう言う事です」

 レオは此方のつぶやきを拾い、言葉を繋げてくる。

「つまり僕たちは本来の記憶を失っているという事です」

 レオはテーブルの一番奥の席で、エプロンとオタマの従者たちを無視し、話を進める。心なしかユリウスが少しだけ寂しそうな気もするが、触れてやらないのが人情だと思うので、なるべく無視してレオへと集中する。

「僕が確認できるマスターで確認したところ、誰もが月の表側、正規の聖杯戦争舞台での記憶を失っています。誰と戦ったか。何回戦だったのか。そんな風に記憶を失い、敵味方が誰だったのか、聖杯戦争以前か、己のサーヴァント以外では確証が出来ないのが現状です」

 腕を組む。―――なるほど。この違和感が解った。

 レオが此方へと本来向ける筈の敵意が一切存在しないのだ。あの少年が王が衆目の前に立つ威圧感、カリスマ、そういったプレッシャーが存在しない。完全な味方として此方の存在を受け入れている。

「えぇ、僕は現状、マスターは敵対するべきではないと思っています。ともに力を合わせ、この月の裏側から脱出する方法を探すべきだと、そう思っています」

 レオはテーブルに肘を乗せ、腕を組むとそう言った。それはつまり―――。

「えぇ」

 レオは頷き、

「月海原学園裏生徒会の発足をここに宣言します」

「おまえが予想斜め上だよ!!」

「パーフェクト! 流石岸波さん、見事なツッコミですね!」

「あらやだ、貴女のマスターツッコミ師扱いされてるわよ」

「シリアスさんが窓からフライアウェイしてるからしょーがない」

 そこのケモ系は黙って援護して欲しい。このシリアスが死に絶えたギャグ空間に私一人でツッコミを入れろと申すか。そんな無謀な事はしたくないので援護射撃をはやく。プリーズ。

「このシャヘル、人一倍神にすがる人間を蹴落とすのが趣味ッ!!」

 このサーヴァントのアライメント実は混沌・善ではなく、混沌・悪ではないかと疑う時がたまにだが存在する。

「まあ、生徒会というのはあくまで名称ですよ。変な同盟などを名乗るよりは気持ちが軽いでしょうし、僕としてはまともな学生生活を味わった事はありませんからね―――少しでもその気分を味わってみたかったんですよ。まあ、完全に趣味の話になってしまうんですがそこらへんは。ともあれ、僕を会長に、兄さんを副会長に、そしてガウェインを書記に任命します。頑張ってください、岸波庶務」

 どうやらレオとは月の表側へと戻る前に一回、拳で話し合わないといけないらしい。

「まあ、落ち着けよマスター。それより話を切り出すって事は大体案は出来上がっているんだろ?」

「えぇ、もちろんです」

 レオは頷くと、ユリウスの方へと向く。レオの視線を受けて頷いたユリウスは此方へとやってくると、何かを差し出してくる。

「この旧校舎のデータだ。マイルームはまだ完成してないから後になるが、この旧校舎にいる人物、NPCやマスター、俺の方で集めたデータだ。お前なら無駄にしないと信じている」

「―――」

 今、何か、ユリウスがありえない事を言った。確実に、表側の聖杯戦争では絶対に見る事の出来なかった事のはずだ。具体的にそれがなんなのかは解らない。ただ心が、これは本来ありえない事だ、と伝えてきてくれている事だけは解った。

「……どうした、俺の顔に何かついているのか」

 少しどもりながらも、なんでもないと告げると、片手にオタマを持ったままユリウスが下がって行く。あぁ解った。たぶんオタマを持っている姿がありえなく感じたのだろう。あのファッションセンスでオタマはないわ。

「あ、ユリウスが項垂れた」

「兄さんへのダメージは無視しますが、この月の裏側からの脱出を試みるのであれば、僕たちの力だけでは色々と辛いものがあります。僕たち以外にもこの月の裏側には数人のマスターが存在します。何とか彼らの協力をお願いします。その間に僕は次の一手を進めていますので」

 レオがそう言ってくる。そんな姿は、やはり命令を出したりする立場として、非常に慣れているものがある―――レオの指示で動ける安心感は凄いある。敵とした時は恐ろしいだろうが、味方であればここまでとよりになる存在も中々いないだろうと思う。頷き、レオに応える。

「脱出までは同盟ということで―――頑張ってください、岸波さん」

 レオの言葉を受けながら生徒会室の外へと出る。窓から差し込む夕日が赤い事に変わりはないが、近くの窓には見慣れた青髪の青年が立っているのが見える。いや、正確に言えば青年に見えるだけだ―――その姿がアバターだけであることを、記憶の何かが訴えている。彼も聖杯戦争でのマスターであることを覚えているし、ユリウスからもらった端末のデータにも出ている。声をかけようとして、手を伸ばそうとした瞬間、シャヘルに手を掴まれる。

「おいおいマスターよ、ここは普通に話しかけても駄目だろ……」

 えっ。

「そうね。ここはもっと面白おかしくネタに走らなきゃ……」

 このケモ系共は月の裏側へとやって来てからエライハッチャケているが、具体的にはどんな事をするつもりなのだろうか。

「後ろから抱きついて耳に息を吹きかけるとか」

「パンツを引き摺り下ろすとか?」

「やめてよぉ! お前ら声が大きいから聞こえてるんだよ! なんだよその中学生男子のノリは! イタズラにするにしたってもうちょっと平和的なのがあるだろ! ほら、わき腹を突くとかさ!」

「みみっちぃ……」

 露骨に溜息をついて駄目だこいつ、的な目で蔑まれているのは―――間桐慎二。ユリウスのデータを確認すれば驚く事に八歳だと表示されている。見た目は弄れるとして、シンジの発言を見るにどう見ても八歳の知力とは思えない。まるで見た目通りの様に思える。

「へぇ、岸波はそこらへん解ってるじゃん。流石僕の友人のロールを与えられただけはあるな」

「と、ぼっちは申しております」

「やめたげてよぉ!」

 シンジが両耳を押さえて聞こえまいとする様子をシャヘルとネコアルクは楽しんでいる。このサーヴァント共、実に外道である。だが、なんかそうだ。このシンジのいたぶられる姿、愉悦っぽい何かに目覚めそうだ。

「く、クソ! 生徒会に参加してやろうかと一瞬思ったけどやっぱやめた! どう考えてもお前らにずっと弄られ続けるだけじゃないか!」

 なんとなくシンジの言った事が真実に見えるので何も言い返せない。とりあえずサーヴァント共々黙ってうつむく。

「え、、なに? そこはそんなことないよって否定する場所だよ? なに、生徒会室ってそんな魔窟なの? 僕そんな魔窟に誘われかけてたの?」

 というか此方から話を切り出す前からシンジが内容を知っている風に話している感じ、どうやら生徒会室の様子を覗き見していたらしい。そして覗き見しているのであれば解るはずだ―――あの生徒会室はそんな生ぬるい場所ではないと。

「ごめん、僕ちょっと用事を思い出した」

「シャヘル」

「ういーっす」

「は、放せ―――! いやだ―――! 死にたくな―――い!!」

 シャヘルがシンジを後ろから羽交い絞めにし、体を掴むと、そのままシンジをずるずると引っ張って生徒会室へと連れて行った。生徒会室から数秒間シンジの悲鳴が聞こえたりするが、それもたったの数秒だ。数秒後には完全な平和が戻り、生徒会室からいい笑顔のシャヘルが帰ってくる。腕で額の汗を拭うようなアクションを取ると、

「―――さあ、次の獲物はどいつだ」

「そういうミッションじゃないから」

 敵だったはずの者が味方になったりしているこの状況―――すこしははっちゃけたくなるぐらいに気持ちが軽くなるのは仕方がない事だと思うが、お前ら暴れすぎだ。少し自重しろ。

 まだマスターが数人校舎内にいると思うと若干憂鬱になる。




アレ、CCCってこんな話だったっけ。
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| 断頭の剣鬼 | 10:34 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

概ね原作通りというのが、CCCの壊れっぷりを如実にあらわしてるなぁ。
ニコ動でアンドリュー・スプーンって人がUPしてる生徒会シリーズに近いノリかもしれませんね。

| イーヴル | 2013/06/04 15:09 | URL | ≫ EDIT

おかしい……原作とほぼ変わらないと感じてしまう。
嗚呼、やはりCCCは原作自体が壊れていたのですか。

シンジ君はこのまま生徒会に(強制的に)入りそうですね。
いじられキャラ兼貴重な突っ込み役で。

| 黒羽鴉 | 2013/06/04 22:32 | URL |

イエス、CCCはこんなお話でした。(目をぐるぐる)
あとはカワカミンと土下座があれば完ぺきです。(おい)

| アルフィード | 2013/06/05 06:53 | URL |















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