陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

CCC-6

 少しずつ意識が覚醒し、手足に力が宿って行く。体の感覚が前進へと張り巡らされて行く。今度こそ夢の中ではなく、ちゃんとした現実に自分が存在することを認識する。曖昧だった虚空の世界はもうない。目を開け、起き上がろうとする。

「待ってください! 長い間体が硬直していたのですぐに動かすのは少々辛いはずです。バイタルを此方でチェックしていますので、ゆっくりとやってみてください」

 解った、と小さくつぶやき、少しずつ目を開ける事から始める。まず目に入ってきたのは夕陽の赤さだった。覚える眩しさに一瞬目を閉じるが、慣れなくてはいけないものであると認識し、少しずつ、ゆっくりとだが目を開いて行く。同時に手足に伸びる感覚が真実であることを確かめる様にうごかす。


 数分間手足を調べる様に動かしてから、それを全身へとうごかし、何とか体を動かす事が出来る。ベッドに腰掛ける様にして座り、ようやくまともに機能する目を見れば、データを広げた、白衣姿の女性が見える。紫色の髪の持ち主、彼女の名前は―――間桐桜、健康管理AIだったはずだ。

「大丈夫そうですね、サーヴァントさんが定期的に体をほぐすためのマッサージや、関節を曲げて硬直の負担を減らしてくれましたから少しは楽なはずなんですけど」

 実際、体はそこまで辛くはない。というかシャヘルのやつはそんな技能を持っていたのか。あやつの生前が少々気になってくる。

 ……気になる?

 何か軽い違和感を覚えるが、とりあえず立ち上がり―――。

『―――サクラ、岸波さんが起きたと聞きましたが本当ですか?』

 聞きなれた若い声が響く。その音源を追手視線を持ち上げれば、部屋の、保健室に内蔵されたスピーカーから音が出ているようだった。今更ながらこの部屋の内装に気づく。木造建築の、古い校舎のスタイルに見える。明らかに自分の知っている保健室とは違う。あそこはこんな古い建物ではなかった。スピーカーの声の主が答えてくれると信じて、耳を傾ける。

『起きたのなら生徒会室へと来てくれますか岸波さん? 疑問はそこで答えられます』

「駄目です、それは許可できません。先輩は起きたばかりで体が弱っています。その中、無茶をさせるのは許可できません!」

 桜のその声に、スピーカーの主は反応し、答える。

『それは無駄というものですよ。僕らの知っている岸波白野という人物は決して歩みを止めない人です。止めたとしても勝手に出歩いて調べるに決まっているではないですか』

 謎の信頼感。良く解ったな、と軽く褒める。解らない事は自分の足で追って見つける。それが岸波白野という人間のスタイルであり誇りだ。自分の足で前進する事しか知らないのでそれだけに関しては自信がある。故に、桜にはすまないが、生徒会室へと向かう事とする。何せ、体は問題なく動くのだ。

 そう言って立ち上がる姿を桜に見せると、桜はあきれた表情と困ったような表情、それを半々にして混ぜたような、そんな表情を浮かべ、しょうがないですね、先輩は、と言葉を漏らして溜息を吐く。

「仕方がりません。許可をしますが……無理をしちゃ駄目ですよ?」

 それはもちろんわかっていると答えると、スピーカーから再び声が響く。

『生徒会室へと来る前に校舎を散策する事をお勧めします。此方で話を進める前に自分で回って調べた方が何事も安心できるでしょう。生徒会室は校舎二階の上がってすぐ左側にある廊下の一つ目の扉です。一つ目の扉ですよ? ぜえっ帯に間違えないでくださいね?』

 それはフリで言っているのだろうかこの王子様は。

 ともあれ、体は問題なく動くので、保健室の主である桜に頭を下げて世話になったと礼を言う。それを桜はAIですから、と受け入れながら話を続ける。

「先輩、貴女のサーヴァントが二階右側、の一年生・二年生教室で待っています。身を削ってまで先輩の事を助けに来たサーヴァントです」

 ―――知っている。彼の苛烈すぎる存在を忘れるわけがない。サーヴァントフレームがどうとか、悲鳴を上げていた気がするが、ちゃんと苦労した分を値切らアなくてはならない。生徒会室へと向かう前にシャヘルと会って、合流するべきだろう。

「先輩」

 桜が此方を呼んでから言いよどむ。若干困った、そんな様子を浮かべてからこっちへと話しを向けてくる。

「その……先輩のサーヴァントさんはその……会っても驚かないで上げてくださいね?」

 桜がどんな意味でそれを言っているのかはわからないが、相棒の帰還に驚く事はないだろう。受け入れ、迎えるだけだ。そんなわけでちょっとサーヴァントの面を拝みに行ってくる、と桜に言うと、少し頬を引くつかせながら送り出してくれた。





 保健室から出ても、やはり感じるのは夕陽の赤さだった。意外と校舎内には存在する人物が多く感じる。いや、その存在をよく観察すれば解る。校内に多く存在するのはマスターではなく、NPCだ。彼らが古いセーラーや学ラン姿で木造の古いタッチの校舎内に存在している。そして、そこでやっと自分の姿にも気づく。

 ブレザーからセーラー服姿へと自分の姿が変わっている事を。確か自分の着ていた服はもっと違うものだったはずだ。何時の間にか着替えさせられていたのだろうか―――桜かサーヴァントに。もし後者だとしたら少々お話しする内容が増える事となる。

 廊下を進んで会談へと向かおうとすれば誰もいない購買部の姿が目に移る。ここは後で誰か来るのだろうか、等と思いつつ階段を上り、二階へと上がる。此方も様子は一階のそれと変わりはしない。赤い夕陽が差し込んでくる、木造の校舎だ。左へ進めば生徒会室、右へと進めば教室だったか。生徒会室へと行く前に合流しておく必要がある。

 右側へと進み、教室の前に立つ。

 扉に触れようとして、動きが止まる。この先に自分の唯一無二の相棒がいると思うと少々緊張する。だが、変わらぬ彼の存在を祝福すべきなのだ。

 扉を開けて、教室の中に入る。

 夕陽によって赤く染まる教室の中、その奥には一つの姿があった。その髪の色、形、姿には覚えがある。だから声をかける。

「シャ……ヘ……る……?」

「よぉ、寝坊助」

 その姿は自分の予想していた姿と大きく違っていた。

 まず第一に、”彼”ではなく”彼女”であった。

 服装も赤い衣も黒いスラックスもシャツもなく、首のマフラーはそのまま、腰回りが繋がっていない上下セパレートのミニスカートの和服様な、中華の様な服装に彼女は身を包んでいた。深いスリットは大胆に腿を露出し、神秘的ながら大胆なイメージのある服装だと思う。所々存在する拘束的デザインや美しい刺繍、足首についている鎖だけのついた足枷などが若干蠱惑的な雰囲気を作っている。実によく似合っている。よく似合ってはいるのだ。だが問題はその衣装が似合っている事ではない。

「男じゃなかったっけ」

「あぁ、やっぱり突っ込まれるか」

 ”耳”と”尻尾”をピクピクさせながら彼、彼女は答えていた。その様子は実に困ったような様子であり、彼……彼女らしからぬ姿だと思う。昔、一度だけこの姿を見た事があるような気がする。服装は違っていたが、何か、非常に困った結果、こんな姿を強制させられていた時期があったはずだ。しかし耳と尻尾とは実にあざとい―――前もこれ言わなかったっけ。

「まあ、率直に言おうか、。この姿は力を使い果たした代償というか、対価だよ」

 それはどういう意味だろうか。シャヘルにそれを聞くと、サヘルは困った様子を再び浮かべ、周りの机を堕化して、椅子を二つ引っ張ってくる。とりあえず座れという指示なので、椅子に座ると、対面する様にシャヘルが椅子に座る。

「とりあえず……まあ……俺は一度敗北しちゃってるわけなんだよ」

「……」

 その言葉に何も言い返せない。この空間、この場所の意味は良く解らないが、此処へ来たという事は何者かに敗北し、落とされたという事だ。正規の聖杯戦争にこんなイベントは存在しないはずだ。だから彼女は言っている。自分が敗北した結果こうなってしまったと。

「生徒会室の少年王があとで説明してくれると思うけどよ、ここは月の裏側で、俺達はそこに存在した者に奇襲を受けて此方へ連れてこられた……まずはこれだけ、オーケイ?」

 その記憶が全く見当たらないのでオーケイとは言えないが、状況は飲み込んでいる。つまり、此処は正規の舞台ではないと。

「そ。そして全てのマスターは奇襲を受けて月の裏側へ。一部の強力なサーヴァントはマスターを追って月の裏側へと向かったんだが……」

 そこでシャヘルは一旦言いよどみ、腕を組む。

「黒幕は予想以上に白野の事を警戒している様子でな、俺とお前に対するプロテクトだけは異常に強固だったんだよ。”404光年回廊”に匹敵するもんじゃないけど、それでも一流ハッカーでは解析すれば発狂する様なものを持って俺とお前を分断し、封印しようとしたんだよ」

 故に、

「宝具とスキルを使って強引に打ち破ってきた。一時的に本来の力を解放して、空間に穴をあけて抜けてきたんだが、それだけでは駄目でなぁ……表側での協力者に頼んでもらったんだ。借りがあったしな」

 その協力者はだれか、と問うと、

「はいはーい! 私ですよー!」

 どどん、というエフェクトと共に1頭身のクリーチャーが出現していた。なんというか、非常にどこかで見た事のある姿だ。金髪、寸胴、パッチリとした目。棒の様な手足。そのクリーチャーはジャンプして飛び上がると、シャヘルの頭に着地する。

「はーい! 来世で会う予定だったんだけど意外と速かったわね来世!」

「来世じゃねぇよ」

 何やら親しそうな二人の様子に若干困惑しつつ、その生物がなんであるかを彼女に問う。帰ってくる返事は予想外過ぎた。

「アルクェイド」

 激しくどこかで聞いた事のある名前だ。思い出せはしないが、どこかで聞いたことのある名前だという事は理解できる。

「まあ、今は彼女が誰であるかは思い出す必要はないさ。アルクェイドがムーンセルという場においては非常に有益な存在であるという事、そして彼女の助力を得てムーンセルの表側から裏側まで次元をぶち抜いて進む出来るだけのパワーが確保できたことを理解しておいてくれればいい」

「正直起こされる予定はなかったんだけどねー。ノックが強すぎて起きちゃったわよ」

 コンコンと頭を叩くデフォルメアルクェイドの姿を見て、そんな恐ろしい生物だったのか、と軽く戦慄していると、疑問に思う。ムーンセルの内部をぶち抜いてやってくるほどのパワーを持っているのであれば、この状況は何だろうか。それだけの力があれば元の舞台へと戻れたのではないだろうか?

「それだ」

 と、彼女は腕を組む。胸を両腕で支えるようにし、足を組む。

「こっち側へと来てボディの方を確保するだけで限界だったんだよ。そもそも魔力の供給が男壊れていないから、魔力以外のソースを使って宝具を使わざるを得なかったんだよ」

 そう言えばそうだ。宝具とは神秘の塊、英霊の象徴。それを使用するには莫大な魔力を要するはずだ。となれば、魔力の代わりに彼女は―――。

「―――サーヴァントフレームを削った」

 サーヴァントフレーム。

「簡単に言ってしまえば”骨”だ。肉体を構成するリソースでは数十秒しか持たないからな。だからより密度のある、デカイデータが必要だったから。だから俺の骨組みに使用されるフレームを燃料に宝具を使い続けた結果、少々身を削り過ぎた」

「仕方がないから私のフレームを貸してあげてるのよ。うらぐぁじゃあ私無力だし」

 そう言ってアルクェイドが頭の上をペシペシと叩く。それに対して恩義を感じているのか、シャヘルは何も言わずに腕を組み、さて、と言葉を漏らして此方を見る。

「マスター・白野。ここが一番大事な話だが―――」

 シャヘルはそこで一旦区切り、

「―――俺のクラスはなんだ」

 ―――あれ?

 おかしい。当たり前のはずの名が呼び出せない。おかしい。シャヘルという名は覚えているのに、肝心のクラスが、そしてあの名が思い出せない。違う。自分はもっと違う名前で呼んでいたはずだ。そしてそれを信頼の証だと認識していた。おかしい、絶対に忘れる様なものではないはずなのに―――!

「落ち着け。だが、そうか。まあ、これで納得できた」

 妙に納得した様子でシャヘルはそう言うと、

「俺がクラスを無くしたのもこの姿になってのも忘れてしまったからか」

 少しだけ、隠せない悲しみの色がその声にはあった。それも一瞬だけ。その色は直ぐに消える。そして、それを問う事が自分には出来なかった。

「まあ、簡単に説明するとだな? 此方側へ来るとき、俺は少々身を削ってフレームを分けてもらっている状態だ。通常であればそのまま元に姿を取り戻すだろう。だけどな、此方へ来るときに少々攻撃を受けていて、この拘束服に」

 袖を見せたりし、スカートを掴んでシャヘルはアピールしてくる。

「レベルをリセットされた。それだけならまだいい。だが俺はマスターとはかなり密接な関係によって形作られているサーヴァントだ。マスターが俺を忘れちゃったら―――俺も自分を忘れてしまう。自分がどのクラスだったのかを忘れてしまう」

 私が忘れたから。

 シャヘルも本来の姿に戻れず、姿を忘れてしまった。

「アルクェイドのフレームを使ってるから女性型に姿が固定されているだけで、いなかったらどんなふうになってたか、ゾっとするな」

「とりあえずSAチェック必要よね」

 SANチェックが必要なサーヴァントとか死ぬほど嫌だ。ここは拝んででもアルクェイドに感謝すべきなのだろう。

 だが、そうか。

 ―――私が、忘れてしまったから―――。

「そう、悲観するものじゃない。クラスの恩恵は受けられないし、スキルはレベルアップで習得できないし、拘束服から現状着替える事は不可能、宝具も封印! この程度だったらまだまだ、まあ……なんとかなるといいなぁ……」

 なんだそれ。

 急いで端末を取り出し、ステータスを確認する。レベルを確認する。スキルを確認する。

 ―――軽く頭を抱える。

「ドヤァ」

「ドヤァ」

 この猫と狐のドヤ顔はどうにかならないのか……!





 そんなわけで月の裏側へようこそ。アルクェイドがネコアルク化したりと早速原作乖離激しいですがカオスはまだ始まったばかり。真の英雄は目で殺すらしいです。何時も通りTSしたりで、楽しそうな人生ですが、まあ、いわゆるピンチですね。

 どうでもいいけどもう一度いいます。

 短編、外伝はモチベーション補給。てんぞーのエネルギー補給装置。趣味しかありませんので(

以下、ステータス。



CCC現在ステータス。





クラス:無銘
真名:シャヘル
マスター:岸波白野
属性:混沌・善
レベル:8
筋力:E
敏捷:E
耐久:E
魔力:E
幸運:E

スキル

仕切り直しA+
 どのような状況からも離脱を可能とする。
 使用回数の設定されているスキルの使用状況をリセットする。
 シャヘルのこれはほとんど経験から来る結果である。
無銘EX
 このサーヴァントは本来存在するはずのクラスがなくなっている。
 故にクラスは存在せず、それによる恩恵も受けれず、スキルも習得できない。
 限りなく素に近いベースの形へとサーヴァントを引き落とす。
 しかし、それは同時に何にも染まるということの証でもある。
永劫破壊EX
 魂の渇望を力へと変える禁呪。流出の領域へと至った証。
 シャヘルの渇望力により変換は上限に達するのだが、
 クラスが存在しない為、スキルの恩恵を受ける事が出来ない。
 ただ、渇望の副産物として魔力放出(光)をA+ランクとして使用できる。
スポンサーサイト

| 断頭の剣鬼 | 14:51 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

 お久しぶりですてんぞー様。
 いや、久々に見にくれば、相変わらずの更新速度と内容のカオスさに手を叩いてしまうほどですw
 具体的には、“月の裏側"と書いて“カオス"と読みそうな勢いがww
 はくのんがどう迷走していくのかが楽しみで仕方ないです(>_<)

| tonton | 2013/06/03 17:53 | URL | ≫ EDIT

やっぱりTSしたか。

| イーヴル | 2013/06/03 18:18 | URL | ≫ EDIT

TSいいですね。メイドにすればよかったのに

| glass | 2013/06/03 19:16 | URL |

やっぱ狐っ娘なアスはイイ・・・!

| 断章の接合者 | 2013/06/04 06:29 | URL | ≫ EDIT

狐耳アスアス&アルクinネコアルクだと……!?
なんという誰得。

| アルフィード | 2013/06/04 06:59 | URL | ≫ EDIT

クラス消滅、だと…。だが待ってほしい
これ実はセイバー→無名→セイヴァーという強化フラグではなかろうか

そしてまさかのネコアルクに牛乳吹いた

| 偏人 | 2013/06/04 20:33 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://tenzodogeza.blog.fc2.com/tb.php/406-a831bf9b

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。