陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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エピローグ ―――アンド・ソー・ウォット

推奨BGM:Unus Mundus
*1推奨BGM:Kirschwasser


「さて―――」

 そう、ラインハルトは口を開いて説明しようとした。だが、そこまでが限界だった。さっきからいい加減にしてほしい。なるほど、考えもしないスケールでの話というのは重々承知した。自分はかなり頭のいい方だと思っていたが、それもどうやらこの場においては違うようだった。正直に話そう。

 フラクトライトとか、政府とか、出自とか、ずっと計画されてたとか―――それらは一切関係ない。というか欠片も興味を持てない。持たない。だってそれは他人の都合、他人の理論だ。今更それを自分に対して持ち出されても”あぁ、そうですか。つらかったでしょうね”としか言いようのない。


 ―――おそらく、確実に、私は壊れている。

 SAOという世界で殺人を目にし、許容し、それで進み、キリトに依存した。だからそれ以外に対する関心は少ない。まだ常人の範囲だ。完全に彼らの余蘊井逸脱しているわけでもない。だがそれでも、自分と関係の無い所の話を持ち出されても困る。実感が湧く湧かない以前にジャンル違いだ。

 そう、ジャンル違い。

 そういう話を私にすること自体が間違い。大体ここへ来たのに、その目的を果たせていない。

 治療の施されたてでもまだ痛みは感じる。近くの応急箱から取り出された包帯を巻いた手はかなり痛々しい。が、今更その程度の痛みで止まる程ヤワではない。立ち上がると、言葉を続けようとしていたラインハルトの口が止まる。それを好機と取る。自分の座っていた椅子の背もたれを掴み、手にずっしりと来る重みのある椅子を両手で持ち上げる。

「結城さん!?」

 凜子の言葉を聞こえないふりし―――それを全力で菊岡の顔面に叩きつける。

 流石にラインハルトに叩きつける程無謀ではない。一応最低限の敵は選ぶ。

「ごぷっ」

 鈍い音を顔から発しながら、流石の菊岡も耐え切れずに後ろへと向かって倒れる。床に倒れるのと同時に頭を床に打ち付け、またもや鈍い音を響かせ、そして頭を押さえる。どうやらそこそこいたかっららしい。足が折れて使い物にならなくなった椅子を捨てるのと同時に、その惨状を見てラインハルトが大笑いし始める。それも無視し、指を突きつける。

「どうでもいいのよ、そう言う事は。波旬とか。神とか。新たな世界とか、正直私のスケールを超えちゃってほんとジャンル違い。話す相手も内容も間違えている。いい? ―――私が知りたいのはそんなどうでもいい話じゃないの。どうしてそうなったとか、どんな役割とかじゃなくて、そういうのはどうでもいいの。”何時”帰ってくるのか、そして”何を”させたいのか。それをキッチリ答えてくれないかしら」

 妙に難しい事を要ったりしてはぐらかすのはいい加減にしろ。言外にそう伝える。もうだます騙さないの問題ではなく、此方は限界にきているのだ。

 ―――救世主ごっこはそっちで勝手にやれ。巻き込むな。

「あぁ、解った」

 ラインハルトが応えようと口を開く。だが彼が言葉を歯っす前に、部屋の奥の扉が開く。

「待って」

 扉の向こう側から現れたのはよく知る人物で、久しく見ていなかった彼女の姿だ。他の者達同様急に姿が見えなくなり、心配もしたのだが―――。

「お願い」

 彼女は部屋の中に入ると、頭を下げて申し訳なさそうな声で言った。

「―――彼を、助けて」

 マルグリット・ブルイユの姿がそこにあった。





*1


 ―――午後に感じる風は気持ちのいいものがある。

 特に、それが労働の対価であれば。

 一日の労働を終えて牧場の一角、草地の上に倒れれば街では絶対に経験する事の無い安らぎがそこにはある。青い草の匂い、動物たちの泣き声、そして肌を優しく撫でる風。ここには車のクラクションが聞こえなければ、排気ガスによって汚染された、少し濁った空がない。一々人をせっついてくる義妹もいない。あぁ、素晴らしい。なんてすばらしいのだろうか。

「もう俺一生農民でいいよ」

「そんな事を言わないでよキリト……」

「おー、もう大丈夫なのか?」

「お、おー……」

 顔から大地に倒れている姿はユージオ、現在の我が相棒の姿。ゼェハァしていた息もしばらく倒れて休息を取っていた事からだいぶ回復している。手から青薔薇の剣を話さないのは素直にいい点だと評価する。握っている限りはまだ闘争心があるという事であり、自分はまだいけるという証でもある。だからユージオが息を整えた事を合図だと理解して、立ち上がる。余った木材でつくらせてもらった木剣を手に握る。材質的にも存在的にもユージオが握る青薔薇の剣の数段どころか十数倍は劣るこの剣でさえ、心意という力を込めて使えば瞬く間に名剣に匹敵する得物となる。

 それで自分の肩を軽く叩きつつ、ユージオへと向く。ユージオが青薔薇の剣を支えに立ち上がり、再び剣を構えるのは数秒後の出来事だ。構えはスタンダードな片手剣での構え……ではない。青薔薇の剣はユージオにはまだ重い得物だ。それを片手で握る事なんてできるわけがない。日々ユージオに剣を教えて体を鍛えてはいるが、それでも片手で握れるのは短い間だけの話。ここまで疲労していれば片手で握る事など不可能だ。故にユージオは両手で片手圏を握り、構えている。どこかの型、というわけではない。構えに特に意味なんかない。意味なんていらない。構えは自分が一番構え安いのがベスト、というのが長年の生活からの判断であり、それをユージオにも伝えてある。だから両手で柄を握り、正面へと構える、剣道の中段の構えの様な姿勢、それがユージオにとっての構えの姿なのだろう。此方は変わらない。アインクラッドの頃からずっと続けているスタイル。右手で握る刃をだら、っと垂らすような無形の構え。システムアシストの都合上これが一番楽だったのだが―――それがここまでしみついた結果、自分の構えとして固定された。

 構えてから、開いている片手をユージオへとむけ、指をくいくい、とうごかす。本当に軽い挑発だ。最初の頃は面白い様にユージオが引っ掛かったものだが、

「いや、何度も経験していればもう引っかからないよ」

「詰まんないなぁ」

「そのたび木刀に叩かれて痛い思いをする僕の気持ちにもなってくれないかなぁ!」

 やだよ。それ以上に十分痛い思いをしたし。

 何て言葉は口に出さず、不敵な笑みを浮かべて見下す様な視線を送る事にする。……それでもユージオは呼吸を整えながら真剣に構え、此方の隙を窺っている。まず最初に行うのは精神修行。と言っても自分もそこらへんプロフェッショナルではないので、出来るのは見よう見まねや思い付きの事。とりあえずは挑発に乗らない程度の我慢強さがあれば、ある程度冷静な思考を保っていられると思う。だからこれが我慢できているのならいい。ならば、今度は一番の問題だ。

「よっ」

「ッ!」

 軽く踏み込み、上段から木刀を振り下ろす。それなりの速さを持った一撃。それを冷静に視線で追いながらユージオは木刀を剣で防ぐ。そのまま刃を押し付け、ユージオを押し込みながら左手で拳を振るう。まっすぐ、ユージオの顔面を狙って突き出す。

「っと!」

 ユージオはそれを必死に頭を動かす事で回避する。そして同時に後ろへと一歩下がる。

「一度防戦に入ると盾の無い片手剣ではアドバンテージが取りにくいぞ」

「だから多少強引でも攻めろ、でしょっ!」

「そうそう」

 後ろへとユージオが一歩下がった瞬間、ユージオは清らかな動きで滑り込んでくる。今度は木刀の下を皆具る様にしてよく見知った動きに入る。何百回もアインクラッドでは使用し、世話になった攻撃スキル。≪スラント≫、基本中の基本のソードスキルを模倣した動きをユージオは繰り出してくる。それを俺はもちろん知っている。だからこそ木刀で受け止める事なんてせずに、必要最低限の動きで回避する事を選択する。

「でもっ!」

 そのままユージオは更に踏み込み、次の模倣ソードスキルを放ってくる。アインクラッド流と偽って教えているのは、片手剣のソードスキル。その中でも比較的使いやすいのを低レベルの殻順にユージオへと教え込んでいる。だがユージオの学習能力、いや、彼が見せる才能は頭のおかしいレベル、といっても過言ではない。一度教えれば形としては大体覚える。何度か反復すれば完全に型として習得する。そうやってユージオは俺すら超える剣術の才能を見せている。これで俺と同等の身体能力を発揮できれば、将来的には完全に俺を凌駕する剣士になる事が目に見えている。いや、俺が知ること全てを教えれば間違いなく技術においては俺を凌駕する。それを確信するだけの才能をユージオに見出した。

 まったく、何故こうも自分の周りには才能あふれる者ばかりで溢れているのだろう。

 ともあれ―――それもあっさりと見切る。身体能力の差を考慮しても、ユージオはまだまだという領域だ。まだ剣を握って数週間。そんなヒヨッコに負ける程この数年の地獄は安くない。経験。圧倒的経験に自分の実力は裏付けされている。そしてそれは才能何かではそう簡単には追いつけない。ユージオが才能を持っていようとも、此処に到達するには殺したり殺されたり、そういう修羅の世界へと踏み込む必要がある。

 ……踏み込まない事が最良の人生ではあるのだが。

 ここまで来たら人を斬らない可能性がなくなる事なんてはないだろう。今、央都で別行動中の正樹の活躍に応えるためにも、今のうちにできる事は全てやってしまう。

 連続で放ってくるユージオの攻撃を軽いスウェーとダッキングで回避するまだまだだ。ユージオの剣は確かに重い。思いが強く込められているのは良く解る。形もしっかりとしているが、矢はいr所詮はそこまでだ。同じ、実戦経験の無い相手と戦えば圧勝できるレベルなのが幸いだ。

 ユージオが体力を切らしているのは理解している。それでもユージオの型を見る為に、反撃することなく、避ける事にだけ集中する。こうやって疲れている時こそが一番形が綺麗に見えてくる―――練習した時間だけは裏切らない。いい言葉だと思う。

「はい、終了」

「あいたっ!?」

 だが連携ができるかと問われれば、否。技と技の間に無駄な空白が存在している。自分にっては狙ってください、と言わんばかりの隙間だ。その瞬間に木刀でユージオの頭を軽く叩き、訓練の終了を告げる。今度こそ、ユージオは青薔薇の剣を草地に刺し、そして仰向けに倒れる。

「あ―――! キリトが倒せないよ!」

「剣を始めたばかりのヒヨッコに負けてたまるか」

「そう言われても、最低でもキリトぐらい強くならないと―――」

 ならないと整合騎士には勝てない。ユージオは先の言葉を言わずとも、言いたかった言葉は解る。あの洞窟で戦っていたゴブリン、アレレベルの猛者と整合騎士達はほぼ毎日戦っているのだ。となれば、アレを倒せた自分や正樹レベルに最低でも登り詰めないといけない。そんな考えがあるのだろう。まあ、個人t系にもユージオが強くなってくれるのは嬉しいだけではなく、楽しみでもあるが。

「さて」

 空を見上げる。段々と夕日の色に染まりつつある世界。電子の様で本物の様な世界。

 ―――さて。

 言葉を呟く。何となく、漠然とした予感だが―――ここに来た意味をユージオを鍛えている内に理解し始めた。なんとなく、本当になんとなく。だが、たぶん間違ってはいないはずだ。毎回そんなノリで、そんな事をしてきたのだから。

「……キリト? どうしたんだい?」

 仰向けに寝転がっていたユージオが視線だけを此方へと向けてくるので、肩を揺らして答える。

「いつだって馬鹿を殴るのは俺の役目なんだろうな、って」

 全く持って、主人公の人生は辛いものだ。




┏(┏ ∴)┓出番なんてなかった。

 はい、というわけで不完全燃焼ながらここで一旦章を区切り、次からはキリトさんの出番となります。原作でいう剣術大会ですね。ユージオ君がいい感じに成長してきた、そんな所から。のんびりゆっくりすすめますねー。

 しかし、ニートは何処にいるのだろうか。
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| 断頭の剣鬼 | 18:19 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

いろいろ言いたいことはありますが、とりあえず一言。


菊岡ザマァwww

| 断章の接合者 | 2013/06/02 18:28 | URL |

波旬キャンセルに利用された菊岡ェ
まあ今いってもわからんだろうし。

次回からのキリト編も期待。

| シオウ | 2013/06/02 18:57 | URL | ≫ EDIT

明日菜姐さんの勝手にそっちで殺れに笑ったよwww

後、菊岡ザマァwww

| Poh | 2013/06/03 06:30 | URL | ≫ EDIT















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