陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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CCC-1

 ―――寒い。

 落ちる。

 墜ちる。

 おちてゆく。

 なんだったか。

 どうしたのか。

 ……良く解らない。

 誰かが、何かが呼んでいる気がする。

 遠くから、近くから、必死に口を開いて、時空を超えて、全てを無視して誰かが呼びかけている。

『――――――』


 何を言っているのかよく聞こえない。はて、此処は何処だったろうか。暗い。寒い寒い寒い。寒い。永遠という永遠をひたすら闇の中へと落ち続けている。いや、闇という表現すらおそらく間違っている。ここは無だ。圧倒的虚無。何も存在してない。何もかもが存在しない。虚無。存在していないという事象のみが存在している。だから解らない。見えない。触れられない。考えられない。動けない。ここは無明の世界。

 ―――考える必要はない。

 ここには入り口もなければ出口もない。だからどこへも行けはしない。だから体から熱は消えてゆく。何十、何百、何千、何万と体を動かさなければその機能は退化していって錆びついて行く。自分の体が硬直し、機能しなくなってゆくのを他人事の様に感じる。思い出せない。感じない。考えられない。ただひたすら沈んで行く。

 ここはどこだ。

『――――――』

 誰かが/何かが叫んでいる。

 彼/彼女は必死に叫んでいる。

 彼/彼女とは誰だ?

 ―――それを忘れる自分ではないだろう。ふざけるな。忘れてたまるか。

 思い出せ。始まりを。この始まりを。この状態がどう生まれたのかを、記憶を手繰り寄せて思い出せ。今この瞬間も消えてゆく記憶の欠片を、それが刹那後には消え去ってもいい。そんな事に頓着はしない。他の記憶は全て消え去ったとしても、彼/彼女の名前だけは絶対に思い出さなくてはならない。だから消えて行け目的。

 消えて行け意味よ。

 消えて行け私。

 そしてこの刹那に戻って来い―――原初よ。





「受けよ―――忠義の一撃」

「刻め―――罪姫・正義の柱」

 背後に出現した■■、そしてガウェイン。超一級のサーヴァントの魔力の籠った一撃、そして首へと命中さえすれば耐久関係なく一撃必殺のギロチンが命中する。これで確実に殺した、そう確信できたはずだった。なのに、

「チィ!」

「やはりこれはッ!」

 首に触れている状態で八枚の刃根は動きを止め、そしてガウェインの剣は体で受け止められていた。傷一つない、なんてレベルじゃない。二人の英雄の一撃は届いてすらいない。次元が違うとか、そういうレベルではなく、これは絶対的に無敵なのだ。■■の宝具罪姫・正義の柱はそこらへんの無敵や不死性さえ無視するはずなのに、それが発揮されない事にも違和感を覚える。が、それは後だ。

「来る!」

 察知した瞬間に叫び、それに反応し二人が一瞬で飛び退く。瞬間、黒いヒトガタ―――サーヴァント・イーターと端末にネーミングされたウィルスは腕を振るう。それ自体は何の威力もない攻撃だったが、飛び退くガウェインの鎧と、そして■■の刃根に僅かにだが触れた。

 瞬間、黒い毒の様な侵食を二人を襲う。

「ウィルスによる侵食です! 侵食箇所を捨ててください!」

 レオの声に従い、■■が刃根を砕いて破棄するのと同時にガウェインが鎧を素早い動きで切り離す。次の瞬間、黒に侵食された物はまるで最初から存在しなかったかのように消えたなくなった。此方をかばう様な位置で二人は戻ってくる。

「厄介ってレベルじゃねぇぞ」

「火力が足りないという話ではありませんね」

 ガウェインと■■が焦っている。この二人が組んで、焦っている。言葉にしてイッション井共同戦線を張るなどとは言う必要はない。

 ”言峰綺礼がいない”という時点で、もはやこれは深刻なエラーが発生しているのだ。

 素早くレオに呼びかける。

「えぇ、通常の手段で届かないとなれば、それなりに強い一撃か……あの無敵化を突破する方法が必要ですが―――」

 今までにない危機だ。迷う必要はない。体から大量の魔力を消費し、■■へと送りこむ。それと同時にレオへと告げる―――自分の■■、■■の宝具にはダメージ無効化や無敵能力を無効化できる宝具がある事を。その事にレオは笑みを浮かべる。

「マーベラス。ならば―――ガウェイン! 宝具の解放を!」

「御意!」

「■■! 本気で叩きのめして!」

「おうよ!」

 瞬間、■■の姿が変貌する。決戦で失った魔力は校舎に戻ってきた事でムーンセルが供給してくれている―――つまりは完全回復の状態へと戻っている。この瞬間も回復し続けている。だから遠慮する必要もなくスキルも宝具も一気に発動させ、褐色、赤髪の■■の姿をそこに見せる。天へと向かって大きく吠えてから、その咆哮を中心に波導が溢れる―――おそらくそれが無敵解除の力に違いない。

 レオも此方が宝具を見せた事に対して、誠意として宝具を見せている。いや、違う。自分も、レオも焦っている。恐怖を感じているのかもしれない。この状況に対し。

 ―――サーヴァントではアレには勝てないんじゃないかと、悟っているのではないか、と。

「魔王と騎士で挟み込むか!」

「世が世であればありえませんね……!」

 レオと共に数歩下がるのと同時に、ガウェインと■■がサーヴァント・イーターを挟み込む。ガウェインの握る聖剣には光が宿り、そして■■の手には光を凝縮したような剣が握られていた。両者ともに一につくと、一拍も置かず、全く同じタイミングでオーバーキルの一撃を叩き込む。

「―――この剣は太陽の写し身、もう一振りの星の聖剣! エクスカリバー・ガラティーン―――!!」

「―――我が太刀、星を消し天を割らん! カガセオ―――!」

 城や軍を滅ぼすクラスの一撃が両サイドから、挟み込むように放たれる。それは強固に構成されているはずの校舎内さえも破壊しながら放たれる必殺の一撃。太陽の光、そして原初の光。その両方を受けて存在できる者なんて存在しない。しないはずだが―――。

「やはり、システムサイドか……!」

 必殺を叩き込んでも、それは消えなかった。校舎の破壊から発生する土煙の中からでも不吉過ぎる黒い体は見えていた。此方を行動を待っていたのか、サーヴァント・イーターは狙いをガウェインと■■に定めると、一気に飛びかかってくる。動きは早くないが―――【攻撃】が一撃も通じない。それに今の発言、

「―――おそらくシステムサイドからルール的に守られている存在なのかもしれません”サーヴァントでは倒せない”、そんなルールの施された」

 そんな理不尽があってたまるものか。それにこんなバグ、ムーンセルが見過ごすはずがない。ムーンセルであれば観測した瞬間修復に走るはずだ。だからこの怪異が長く続くのはありえない。ありえない筈なのだが―――。

 ふと疑問が思い浮かぶ。

 ―――何をやっているのだろうか。状況ではなく、動きだ。敵が現れた事に対して危機感を感じ、言葉で交わさずレオと手を組んで、そして撃退しようとしている。状況を考えれば不思議じゃない。そう、誰だってやる事だ。勝てない相手、強敵であれば誰だってやる事だが……その時事に対して違和感を拭えない。なぜなら、

 レオも自分も、そんな簡単に相手に手を借りる程軟弱だったか。

 断言できる―――自分たちは甘くはないと。リアリストだと断言してもいい。言葉を交わさず協力、強大な敵に対して焦りを感じる……どれも自分達らしくない行動だ。

 ”焦り”だ。

 ……これほどレオに似つかわしくないものもないだろう。レオに関しては少ないが、確実に言えることがある。レオはある種人間という視点から外れているもっと高次、救世主の視点から人を見る事が出来る、王だ。恩俺の敗北に対してもレオが焦り等というものを感じる事はない。滅びとは自分の運命への敗北であり、究極的に言えば王道が試練に負けた。そう言う事なのだ。故に自分が焦りを感じ、そして■■が私を守るために焦りを感じる事はあるだろう。だがガウェイン、そしてレオがそう感じるのはおかしい。

 それに気づき名を叫ぶ。

「レオ―――!」

「ッ!」

 だがその瞬間には遅い。

 既にそれは現れていた。

 黒いヒトガタ―――サーヴァントイーターとは別タイプのそれが私とレオの背後から何時の間にか出現していた。ガウェインと■■の位置はサーヴァント・イーターによって大きく引き離され、距離がある。が、それに構わず二体のサーヴァントは主の名前を叫び名が駆けつける。

「レオ!」

「白野!」

 サーヴァント・イーターを無視して全力駆けつける英雄―――この状況に追い込まれて理解した。私とレオは精神を惑わされていた。少しほんの少しだけだが感情の揺れ幅を大きくされたのだ。だから焦りなんていうものが生まれた。

 レオの体を庇うようにガウェインが抱きついた瞬間、黒いヒトカゲが二人を抱く様に包み込み―――二人が口を開く前にそのまま黒い球体となって飲み込んだ。その光景を呆然と眺め、聖杯戦争最強の主従が消えてしまった、それを事実として認識する事が泣く―――。

「おおおおぉぉ―――!!」

 気合の方向と共に黒いヒトカゲの首が刎ね飛ばされる。サーヴァント・イーターとは違い、此方は普通に攻撃可能な存在だった。おそらくサーヴァント・イーターとは違ってルールに登録されていないのかもしれない。レオがいなくなったことには悪いが、自分が助かった事には素直にホっとする。助けてくれた心強い相棒の姿を見て―――絶句する。

 その体は多くの所が侵食され、欠けていた。

 顔の左半分は黒く塗りつぶされ、右腕は肩までが完全に侵食され、胴体も足も多くが食いつぶされている。

「あ……あぁぁあぁ……」

 呻くような声を漏らす事しかできない私に、■■は微笑み、

「―――今度は、間に合った―――」

 そのまま黒に塗りつぶされて消えた。

 最愛の相棒が消えた、その背後だった場所にはサーヴァントの攻撃を無効化するサーヴァント・イーターが存在した。彼が消えてしまった事で、もうまともに考えるだけの思考力は自分に残されていなかった。ぺたり、と全身から力を抜いて床に座り込む。ゆっくりと此方へと歩み寄ってくるそのウィルスの姿は視界に入らない。

 もう……どうでもよくなってしまった。

 窓の外を黒い影が埋め尽くしてるとか、

 上の回へと続く階段が黒で塗りつぶされて二階から上は絶望的状況とか。

 これが私に触れたらレオの様に消えてしまうのだろうとか。

 ……彼が消えてしまった瞬間から、何もかも、どうでもよくなってきた。

 消えてしまって初めて気づく。結局のところ、彼にはおんぶに抱っこされ続けてきたのだろう。こんな極限状態、彼の様に頼りになるサーヴァントを引き当てたのは言い、だが知らず知らずに自分は枯れに依存していたのだろう。いや、依存して心の拠り所にしなきゃ今頃プレッシャーや不安、そして現実に押しつぶされていたに違いない。だから彼が消えてしまった今、全身が冷えて、全く動く気がしない。我ながら、かなり重い女だな、と今更ながら思う。

 凛とラニの生存もこんな状況じゃ絶望的だし―――。

 サーヴァント・イーターが目の前にたどり着く。その姿は動きを止める事無く、レオにしたように飲み込もうとして―――

「―――諦めるのはいささか早計ではありませんか?」

 細い女の腕が黒い影、その頭を粉砕する。

 ノイズが走る。





 寒い。動かない。だが熱はある。

 体の奥底、芯とも言える部分が熱を持ちはじめている。

 ―――今の続きは―――忘れた。思う思いだせない。そう言う場所なのか、そう言う状況なのか、それは解らない。ただ今の光景はもう二度と思いだせない気がする。誰が助けに来たのっか、その事実も記憶も大事ではない。

 だから今の記憶は流れのまま流れて行け。

 もっと大事な記憶は別にある。

 ■■。

 彼の名を呼ばなくてはならない。

『――――――!』

 叫ぶように呼びかけているのは解っている。だから待ってほしい。

 今、熱を広げて―――思い出すから。貴方の名前を。

 少しだけ重い女かもしれないけど、それでも絶対に、思い出すから。

 思い出せ。思い出せ。

 この無と虚の世界を落ち続けながら思考しろ。

 ここはなんだ。

 始まりはなんだ。

 それが―――きっかけとなる。

 ―――思い出せ……!




 一度はやりたかった宝具サンドイッチアタック。当初の予定とは大きく異なったプロローグだけど、まあ、これもいいかなぁ、と。

 あと勘違いされている方がいますけど、CCC開始は5回戦終了~六開戦開始前です。

 軽いネタバレになるので、ネタバレがいやならここでストップ推奨。







 虚数空間は虚数空間という性質上、”終了した”という結果だけを持ち出す事が出来ます。ジナコが聖杯終了時の記憶を持っているのも、ユリウスがデレユリウスなのも、”敗北し、消滅寸前”という結果が確定しているマスターをBBが連れてきた事になります。たとえジナコが聖杯戦争終了時に構造体の消滅と共に消えるのがずっと先の話でも、一回戦で敗北が確定しているため、未来的に”消滅”の結末が待っているので、校舎に来ました。ユリウスも同じく、将来的に、というかユリウスの消滅の瞬間がデレている時なので、ファイアーウォールで死んだわけではなく消滅寸前のユリウスという事でデレている状態です。

 まあ、簡単に言うと”結果に時間軸は関係ない”というのがムーンセルさん。マジぱねぇ。

 って8歳児が説明してた。シンジ△。
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| 断頭の剣鬼 | 09:49 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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| | 2013/05/28 13:07 | |

ナルホドナー

| おk | 2013/05/29 08:27 | URL |















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