陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-51

 やはり今回もギリギリだった。いや、ギリギリじゃない戦いなんてなかった。今まで、どの戦いも常に限界以上を求められる戦いの連続だった。セイバーというサーヴァントが可能性を拡大するという事の象徴でなければ、今頃お陀仏だったかもしれない。どの対戦相手にしても最優最良の手段を取る事の出来るこのサーヴァントは、レベルと技量の低さを自らの可能性を拡大して正気を見出してきた。それは今回も同じだ。だが、頭に残るのはユリウスの叫び声だ。

 ―――彼は最後に何を見たのだろうか。

 ユリウスは最後で叫び声を上げながら何かを行っていた。その様子からかなり苦しんでいたのは解る。だが、未熟な自分には彼が行っていた事は解らない。ただ苦しんでも、それでも何かを成そうとした、その覚悟だけは伝わってきていた。ユリウスの原動力とはいったいなんだったのか、それを知る方法はもう存在しない事を胸に刻みつつ、エレベーターから出て校舎へと戻ってくる。

 そこにはブロンズレッドの服装の少年がいた。


「―――驚きました」

 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイがそこにはいた。彼は驚いた、とは言うが決して驚いているような表情を見せない。ただ淡々としてその言葉を呟いた。彼は此方を見ながらそういうが、その周りには何時も傍にいる筈のガウェインの姿がない。いや、おそらく霊体化しているのだあろう。あの騎士がレオから離れるところなど想像できない。

「兄、ユリウスは手段を選ばない人です。一度仕事を与えられればそれを成す為にあらゆる手段を模索して実行します。手段を選び、選ばない強さというものが彼にはあります。ですから、正直な話私は貴女が帰ってくるとは思いませんでした。確かに一流、それも神話級のサーヴァントを貴女は所持していますが、技量の問題から十全に運用する事は出来ていません―――ここから出てくるのは兄の方だと思っていました」

 淡々と語るレオからはユリウスに対する強い感情を感じない。その事に対して違和感を感じる為、口を開く。ユリウス・ベルキスク・ハーウェイとは名前から解る様にレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイの兄だ。そして今、自分はレオの兄を殺した。勝負で戦い、勝利した結果としてそうなった。だとすればレオはその事に対して悲しみを感じないのだろうか? 殺した自分に対して怒りを感じないのだろうか?

「なるほど」

 レオは此方を見ると、視線を合わせてくる。そうやってレオの存在感を感じる。レオという人物の王としての器を、人としての大きさを感じてしまう。身近に常にセイバー、という魔軍の王を従えるからこそ、彼とはまた違う王道を進むレオという存在を正確にはかれてしまう。レオという存在がどれだけ大きいのか理解できてしまう。セイバーと共に自分もだいぶ強くなった―――だが追いついたなんてとんでもない。

 レオと自分の間にはまだ絶望的な差が存在している。レオを見て改めて理解する。最後まで残るマスターは絶対にレオだ。自分が次の戦いに勝利して七回戦目を迎える事ができるかは解らないが―――現状、完全回復したベストコンディションで挑んでもレオに勝利することは絶対に不可能だ。それは現実として理解できる。

「貴女は殺しに来た兄の死さえ悼むのですね」

 何を言っている―――それぐらい当たり前だ。

 自分はどうしようもなく足りず、かけていて、そして支えられていて、未熟だ。マスターとしても、魔術師としても、ハッカーとしてでもない。人間という存在にして未熟なのだ。死を悼む? そんなの当たり前だ。自分が今まで戦ってきた相手はすべて、自分よりも人間として上を行っていた存在だ。何もかも足りていない自分に対して、その生きざまを見せ、少しずつ”私”という形を与えてくれた者達だ。シンジも、ダンも、ありすも、ガトーも、そしてユリウスも。彼らは絶対に忘れる事は出来ないし、忘れるべきではない者達なのだ。彼らの死を悼むし、彼らの死からは目をそむけないし、そして彼らに対する勝利という責任は必ず取る。

 だからどうなのだろうか。レオは―――兄の死にどう感じているのだろうか。

「もちろん悲しみを感じていますよ?」

 そう言うレオの表情には悲しみが見えない。本当に悲しんでいるのかどうかはわからない。

「いえ、これは表情に出さないだけで本当に悲しみを感じています。少し前まででしたらそうですね、―――何も感じる事はなかったでしょう。悲しみを要らずと断じて僕は斬り捨てていたでしょう」

 しかし、とレオはそこで一拍置く。

「少々考える事が増えまして、ガウェインと相談する事も増えました―――そも、王道とは何か、ということをですね。昔の僕であれば西欧財閥の砲身、それこそが僕の王道であり、そして万人を幸福にする方法だと言いましょう。ですがどうでしょうか、僕の理想は変わりません―――しかし、考える事は増えたのです」

 レオは言う―――群体での個人とはなんなんだろうと。

「戦って誰かが死ぬのは当たり前です。なぜならそれは争いであり、闘争であり、戦であり、戦争であり、言葉は多くありますが、それを本質的に表す言葉は”奪い合い”だと僕は理解しています。ですから戦いの結果として義兄化が奪われて、なくなるのは当然の事です。それは結果であり、次への一歩の為に必要な犠牲でした。だから貴女の勝利は僕にとっては必要な犠牲でした。ユリウス・ベルキスク・ハーウェイとは、僕の兄は、僕の王道を完遂する上では必要な犠牲でした。彼という強敵を乗り越える事が出来た貴女の健闘は称賛されるべきものであり、責める要素は一つもありません。その大方の考えを変える事はありません」

 それが恐ろしいと思う。結局のところレオは王という生き物であり、人間ではない。

「―――そう、それでは人間ではない」

 レオはその言葉に頷いた。

 そして少しずつ、レオから強い感覚を感じる。それはよく感じる気配。強敵を目の前にしたとき、彼らがこっちを意識している時、いや―――敵として認識している時に受けるプレッシャー。威圧感。そういう類の戦意だった。それをレオは此方へと向けていた。

「王とは人に非ず。えぇ、確かにそうでしょう、王が人であってはいけないのです。王とは常に最良の為に何かを斬り捨てる残酷な心を持っていなければならない―――だからと言って人間を理解してはいけない、という事ではありません。この聖杯戦争、王や騎士と話し合う機会を経て僕は理解に至りました。僕は王として君臨します。そして王としては振るいますが―――民を理解する王でありたいと。救世主で結構、咳を救うために手段は選びませんが、”私情”を持って人でありたいと思いますので―――」

 空に浮かぶ日論がその熱を此方へと送ってくるように、レオの存在感は此方の肌を焼いてくるように感じる。レオは追うとして完成していた―――足りないのは”人”としての部分、情緒やら迷いやら、そういう人間的な部分がレオは欠けていた。それをレオは見つけ、そして埋める事に成功した。

 だからレオは笑顔を持って敵意を此方へと叩きつけてくる。

「だから言わせてもらいましょう―――よくも兄さんをやってくれましたね、と」

 レオにない人の心が埋められていた。それは既に頭がおかしい程に強かったレオの存在を一次元上へと押し上げる行動だった。

 完璧な王であれば完璧な統治が行われるだろう。それは納得の結果だ。だが、人心を理解しない王という存在は絶対に滅ぶ。その栄華は一生続かない。どうあろうと、その存在は砂上の楼閣、崩れて消え去ってしまう。王として統治し、そして人心を持って部下を、民を引き繋いでおかないと千年国は成り立たないのだ。

「しかし」

 そこでレオから感じていた重厚な気配はそれで消える。今間で相手してきた問題児とは違い、レオはこの場で仕掛ける気がないようだ。その事ん委ほっとする。何時の間にか戦闘用に構えていた体を少し恥ずかしく思いながらも解除する。

「正直な話、貴女がここまで来るのは予想外でした。こうなればいいな、とは思っていましたが、どうやら貴女は僕が思っていたよりも特別な存在だったのかもしれません」

 レオは純粋にj勝ち残れたことに対して驚いているようだ。これは、おそらくレオの言う”称賛”という所だろう。正直な話、自分でもここまで勝ち残る事は想像できなかった。できなかったが―――まあ、なんというかほぼ協力者とセイバーのおかげだ。自分はただ諦めずに前に進み続けてきただけだ。そしてその結果、こうやってここまでやってくる事が出来た。そう、特に特別な事はやっていない。

 あきらめず、手を繋いで、頑張ってきた。それだけの事だ。

 ―――それだけの事なのに、レオは驚いたような表情を浮かべ、

「―――なるほど、何故貴女がここまで勝ち残れたのか、それが解ったような気がします」

 レオは此方を見て頷く。そしてそれは自分でもわかっているそれは―――。

「いえ、それは決して貴女のサーヴァントであるルシファー……いえ、ここはシャヘルとおよびするべきでしょう。シャヘルや貴女の協力者であるラニやミス遠坂のおかげでもありません。確かに彼らは貴女と比べればはるかに優秀で、そして強力な力の使い手です。ですがその中心が貴女だからこそここまで来れた」

 ただ単純に、

「貴女は諦めない。それだけなんです」

 レオは告げる。

「諦めない。認めない。負けない。動き続ける限りは這ってでも動く。特別な才能も持たない貴女はまさしく大衆の体現でしょうが……その中でも、貴女は特に”人間”というものの理想形を表している様に思えます。生きている限りは飛躍を望んでで進み、何度倒れようともまた立ち上がって挑む。それだけ、それだけです。ですがそれは誰もができる事ではない。生きるという事に対して真摯な貴女だからこそここまで来れた、そう感じます」

 レオの言っている言葉は良く解らないが、彼は此方の存在を認めている様に感じる。レオは頭を下げてくる。謝罪の言葉と共に此方を向き、

「決戦の後で突かれている所邪魔をして申し訳ありません。ですが、不謹慎な事に、今、この大義の中で初めて、僕は個人としての欲を優先させている所があるのかもしれません。えぇ。もし、七回戦で貴女と全力で戦えることがあれば、それはどんな事よりも―――素敵な事なんだと思います。そしてそうなる事が僕は実に楽しみでしょうがないようです」

 子供の様な笑みを見せると、レオは此方へと向く。

「これは僕の勘ですが、おそらく貴女の次回戦の相手は執行者のバゼット、そして彼女のサーヴァントであるアサシンとなります。あの二人のコンビネーションは初見では見切る事は不可能でしょう。予め協力者の方々に相手の情報を集める様に頼んでおくことをお勧めします」

 助言を此方へと与えてくる辺り、レオがhん等に楽しみにしている事は感じられる―――だが心配される必要はない。

 もう、私は戦う理由を見つけたから。

 ダン・ブラックモアはこの聖杯戦争に戦う意味を見つけろ、と言った。

 そして、私はついに理解した。

 こんな悲しい戦いはあってはならない。

 もう二度と起こしてはならない。

 ―――私は、聖杯を―――。

「では、また逢いましょう」

 そう言ってレオが背を向けようとしたその瞬間、今まで黙って姿を現していなかったガウェインが急に姿を現す。

「ガウェイン?」

 レオがその名を呼ぶのと同時に、ガウェインが剣を握る。その構えは見た事の無いものだ。右手で剣を握り、右腕を左脇の下を通すようにし、構えている。その急な参上と構えに戸惑っていると、何時の間にか横にセイバーが出現し、服を突き破って刃根を構える姿を見る。

「明広?」

 もはやレオの前では名を隠す意味もない。故に真名よりも古い名で呼ぶが、明広は校舎の奥を睨み、動かない。レオも自分もその光景に軽く困惑していると、ガウェインが口を開く。

「感じますか」

「あぁ、感じるぞ」

「どうしたのですか?」

 ガウェインも明広もそう言ったきり何も言わず、後者の奥の闇を睨む様にして黙る。二人がそうやって生み出す雰囲気はとてもだが付け入る事の出来ないものであった。どちらのセイバーも、間違いなく本気で校舎の奥を睨んでいた。レオの問いにさえ答えず、ガウェインは返答する。

「レオ―――もしものことがあれば逃げてください」

「ガウェイン、答えてください。一体何事ですか」

 ガウェインが本気で敗北のあとの事を考えている。アレ程の、一級のサーヴァントが。

「マスター、いや、白野。俺が消えたら凛達連れてバゼットとレオを頼れ。聖堂教会と西欧財閥なら抜け道の一つぐらい用意しているだろう」

「明広……?」

 何か、何か本気でヤバイ者が来る。その感覚だけは理解できた。この場にいる誰をも不安にしながら、それは現れた。

 黒い、人の形をしたような存在。サーヴァントたちが感じている旋律は自分には理解できない。だがその存在を即座に調べ、自分もレオもその名を納得する様に零す。

「―――サーヴァント・イーター」

 対サーヴァント専用のウィルスだった。


  ―――Begin Cursed Cutting Crater.




物語は月の裏側へ。

二次SS初のEXTRAからCCCを書く作者である! (ドヤァ
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| 断頭の剣鬼 | 13:08 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

そもそもエクストラ二次を完結させた作者もまだいないからねー
さて、カルナさんとジナ子はまだかね?

| モグラ五拾号 | 2013/05/27 16:54 | URL | ≫ EDIT

ありや? 主人公がおそわれたのって六回戦の途中かと思ってました。

| ossann | 2013/05/27 17:44 | URL | ≫ EDIT

残念なことに自分まだCCCやってないのでここまでにしとかねば。
終わってから続き読ませてもらいます。これからも頑張ってください。

| ヨッシー | 2013/05/27 19:12 | URL | ≫ EDIT

貴方様の更新速度は神速の域に達していますね。
毎日更新がこのままEX終了どころか、断頭の剣鬼の終了まで続きそうです。

CCCニナッタラドレホド妖怪閣下ガハッチャケルンデショウネー。

| 黒羽鴉 | 2013/05/27 21:57 | URL |

確か裏側に連れてかれるのは6回戦の途中だった気がするんだが

そうじゃなきゃ色々矛盾が・・・ユリウスとか

| おk | 2013/05/28 08:33 | URL |















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