陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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現実 ―――デス・アンド・プラン

推奨BGM:Unus Mundus


 ―――足元から知っている事が崩れてゆく感覚だった。

 訊いたことのあまりに重さに思わず黙り、両手で顔を覆う以外のリアクションを取る事が出来なかった。それだけ、今聞かされた事がショックだった。到底信じる事の出来ない事実。兄が、自然に生まれてきたのではなく、どこか良く知りも知らない男が生み出した人工的な魂、それを自分の母親に埋め込んで生み出したのが兄だと言った。

「ははは……」

 乾いた笑い声しか出てこない。それ以外に口から言葉が出てこない。同しようっもなく頭が混乱している。だって、だって、兄が、兄が。何時も自分の前を勝手に走って進んでいた兄が、生まれる前から人外の、人口の、そんな生物だと断言されて、どうしろっていうんだ。本当に、如何しろと言うんだ。二十数年前に用意されていた? ずっと昔から計画されていた? マルグリットと一緒に生み出された? 最初から番になる運命だった? 出来事は全て必然? じゃあアインクラッドで兄が苦しんだことも、兄が瀕死になってまで何かをしようとしたのも、兄がプロポーズしたのも、結婚したのも、その後頑張ったのも、全部全部仕組まれていたと?


「ふざけるな……ッ!」

 ふざけるなふざけるなふざけるな。

「ふざけるなッ!!」

 声を荒げながらテーブルに拳を叩きつけ、叫ぶ以外に怒りの発散の仕方がなかった。

「ふざけるなよ……」

 テーブルを強く叩いたいた事でカップが倒れ、そこに注がれていた紅茶が零れる。その光景に酷く無関心な自分がいる。ただ赤い液体がさらさらとテーブルの上を濡らしている光景を見つつ、頭の中では思考がどうしようもなく沈んでいた。どうしようもない。ふざけないでほしい。だが目の前のエレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグという女性は冗談を言わない。言う理由がない。そしてこの女は常に本気だ。だから彼女の言っている事が全て真実だと嫌でも理解してしまう。だからこそまともな言葉が出てこない。兄の二十数年が、そして彼に関わってきた自分の十数年が、全て、零から十まで計算しつくされたものでいた。

 簡単に行ってしまえば、自分が本の登場人物だと聞かされるような事態だ。

 作者によって生み出されて。

 作者の望む様に進行していた。

 自分の本の登場人物だと知らされて平常通りでいられる人間なんていない。まともな精神ではそれに耐える事は出来ない。事をそんな聞いてもまともでいられるのはよほどの馬鹿か、もしくは最初から精神に異常をきたしている異常者だけだ。自分はどちらでもない。真実だとおわかってしまうからこそ泥沼にはまって動けない。心の底まで誰かに見られている。操られている。何をしても無駄だと、絶望している自分の姿がそこにはある。

「……」

 目の前でエレオノーレが倒れたカップを戻し、濡れたテーブルを布でふく姿が見える。―――非常にどうでもよく見える。頭をからっぽにして、その光景を見続ける。黙ってテーブルを拭く姿は彼女らしからぬと思う。自分の知っているエレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグであれば正気に戻れ、と一撃ぐらい叩き込んでくるはずだ。

 この光景を見て、ふと、疑問が浮かぶ。

「貴女は……」

 一瞬これを聞くべきかどうか言いよどむ。だが、ぎっもんを抱いたことを始まりに、思考力が戻ってきている。聞かずにはいられない。

「貴女は何時からその事実を……?」

 テーブルを拭き終わり、カップに紅茶を入れ直したエレノーレは葉巻を口から離し、指で支えながら告げる。

「プロジェクトに関わる時点でクラフトの子に関しては聞いた。クラフトの正体と計画に関してはSAOの事件が終了してからだ。あの時、あの事件が終了してから、シャヘルが我々に全て説明したよ」

 ―――え?

 それは、つまり、

 兄は真実を自分で見つけだし、そしてそれを知ったからこそALOの事件に大きく噛みこんだという話になる。誰よりも当事者の話だ。自分が人工物と知れば怒り狂うか、絶望するか。もしくは自暴自棄になるはずだ。知ったからこそ兄はあんな行動にでた。そんな気がする。

 ともなれば、聞かずにはいられない。

 カール・クラフト=メルクリウスという男は間違いなく天才であり、そして天災である。才能を持って世界を意のままに振るう暴君だ。今までの話が全て真実だと仮定して、この男はどうしようもない。だとすれば大きな疑問が幾つか露見する。

 一つ目―――。

「―――桐ヶ谷和人とは何者なんですか?」





 人を神にする。神を生み出す。新たな世界を生み出す。話を聞けば壮大だ。そして、実際神になった人が存在する。そう考えれば間違いなく成功だ。だがその中で、この物語にはもう一人の主人公が存在する。

 ―――桐ヶ谷和人。キリト。

 振り返れば彼という存在は常に兄と共にあった。時には支える様に、時には支えられるように。まるで光と影の様に常に存在した。間違いなく桐ヶ谷和人という少年は物語の根幹に存在したのだ。であれば、彼の役割りは、活躍は、ロールは、いったいどういうものなのだろうか。この、今の状況に彼が、そして自分が巻きこまれている状況に対して必ず意味がある。

「さて」

 エレオノーレは言葉を置く。

「桐ヶ谷和人。彼はそうだな……所謂”主人公”というロールを与えられた人物だ」

 主人公、という言葉に首をかしげる。確かにキリトの活躍を見れば主人公と言われても遜色ないだろうが、それでは答えになっていない。

「いや、それが答えだ。そもそも貴様は神という存在を侮っている」

 エレオノーレは葉巻を此方へと向けてくる。

「神という事は”万物”を見る目があるという事であり、世界の法を操るという事だ。理解はできないだろうが、クラフトの”ラース”における目的は大きく分けて三つだ。一つは”神座”へのアクセスだ。そしてこのアクセスはGGO事件の後に成功しているが―――」

 そこでエレオノーレは区切り、

「いや、今はそれが存在する事だけ知っていればいい。そしてクラフトはその場からありとあらゆる人間の運命を、生活を見る事が出来る。そしてそれに触れて変える事も出来た。この意味が解るか?」

 それはキリトという少年が青年になるにつれて味わってきた経験と冒険、その全てが決定されていた事項であるという事と、そして同時に―――カール・クラフトが人知を超えた存在であるという事の証明だ。

「カール・クラフトはおそらく唯一の天然の神だ。奴が今の始まりだ。そして奴の言葉で言えば”主人公がなければ物語は動かない。神は機会を与えるのみ”との事だ。解るか貴様? どんなに強くなろうとも、人間を超えようとも、出来ないkとは存在する―――人間でなければ物語を進行する事は出来ない」

「キリトが進行役……?」

「そういうロールになる様にクラフトは人生を調整した。彼が選ばれたのは純粋に偶然だったのか、我々が存在していなければ元から”そういう”ロールが与えられる運命を持った青年だったかもしれん。そこは解らんが、間違いなくキリトという少年は人間にしか手の届かない事をさせる為に用意された駒だ」

 次々と暴露される話にど、っと疲れが押し寄せてくる。顔を覆って椅子に寄り掛かる。情報があまりにも多すぎてパンクしそうだ。だがこれで解った。この世界にキリトがいる理由―――それは彼にクラフトや兄ではできない何かをさせる為に存在しているのだ。だとすれば、

「兄はこの世界にいるんですね?」

「あぁ、いるぞ」

 エレオノーレが話す言葉の中で、やっと心を落ち着かせる言葉を聞け、安らぎ―――。

「今も尚この世界を滅ぼそうとする軍勢の、その長として君臨しているぞ」

「兄に何があったんだ……」

 何処へ行っても何か馬鹿をやっている兄の行動に対して頭を抱える。今まで深刻な話をしていたに対してバカバカしくなってくる。ともなれば、一度闇の国とやらに行って兄に会いに行くのも悪くはないはずだ。それまでの障害は多そうだが、こうやってエレオノーレと合流できたのだ。これからの活動に対しては大方問題はなさそうだ。

「―――違うだろう?」

 エレオノーレの言葉に、熱を奪われる。

「そうではない筈だろ、最上正樹。貴様には質問しなければならない事があるはずだ」

 意図的に意識を逸らしていた事に対して直視させられる。気にしない様に、そっちを見ない様にしてきたのに、エレオノーレは現実を見ろと言ってくる。ここまで言ってきた事は荒唐無稽で、そして夢物語として断じたくなるような厳しい話だ。だから、

「聞きたくはないのか。何故カインやベアトリスが記憶もなく存在するのを」

「それは……」

 確かに気になる事。だがそれはSTLに記憶をブロックされて―――。

「―――ならば何故海外へ言ったという必要がある? ラースの活動拠点は国内堕。海外へと行く理由は存在しないし、であるとすればそうやって偽ってまで活動する必要もない」

 嫌な予感が胸中を満たす。それ以上は聞きたくはないが、エレオノーレの言っている言葉が直感t系に真実だと納得し、認めてしまっている。

「教えてやろう」

 エレオノーレは何ともないかのように告げる。

「我々は死んだのだよ。敗北して。ハイドリヒ卿とクラフト、そしてお前の兄を除いた全員な」

 最悪に近い言葉だった。





「―――死んだ?」

「然り」

 その言葉にラインハルトは頷く。飛躍する話についていけない。だがそれを着にすることなくラインハルトは話を続ける。

「そも、神座とはなんだ、という話に繋がるが、神座とは一種の超科学の産物、我々が産まれる遥か古代より前に生み出された宇宙同志を繋ぎ合わせる草義にして宇宙の中心点―――それが太極座。神となったものが座り、世界の法則を流れ出す場所だ」

 またトンデモ話が増えてゆく。だがそれを嘘だと切る事が自分は出来なかった。

「カールの願いは実に簡単なものであり、彼の認めるものに座を譲り渡す―――つまりマルグリットに座を明け渡す事が願いであった。その為に黒円卓であり、シャヘルであり、ラースであり、そして数々の事件。全てはマルグリットを女神として覚醒させ、そしてシャヘルを最強の処刑人として仕立てるためだ。その前に起きた犠牲などカールにとっては些事でしかない」

 些事ではない、と言ったラインハルトからは別段それを責める気配がない。それに対して不思議か、とラインハルトが問うてくる。笑みを浮かべながらラインハルトは答える。

「人と高次に立つ存在からすれば命は平等ではないのだよ。必要な存在と必要な犠牲。カールは己の為、そして何より未来の為に己の全てを賭けている。そしてそれを実行した。理想と夢の為に全力を向けた男を私は笑う事は出来ぬよ」

 異常者の弁だと思う。どうあれ、カール・クラフトという男が異常者で、そして犯罪者であることは迷う必要はない。彼はつまり、

 ―――自分の目的の為にキリトを苦しめてきたのだ。

 難しい話はそれだけ理解していればいい。それだけで万死に値する。

「何やら横から凄い不穏な気配がするけど見ないふりして進めるわね。死んだというと、どういう事なの? 最強の軍団というふれこみだったんでしょ? 人間やめているんでしょう? そこまで大見得切って負けて死んだというのは?」

 その言葉にラインハルトは頷き、答える。

「それに応えるには説明しなくてはならんな」

 ラインハルトが一拍を置き、様々な感情を込めてその名を口にする。

「―――大欲界天狗道・波旬を」




次回か次々回あたりでこの章は終わりだにゃー。キリト編はアクションマシマシな感じで。ユージオはどこまで人間やめてくれるのだろうか。

情報が若干ぐちゃぐちゃしているかもしれませんね。少し読みづらいかも……?
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| 断頭の剣鬼 | 12:55 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

来るかスーパーインド………!正直棺の中に引っ込んでいてほしいのだがなッ!

| グラスハート | 2013/05/26 13:13 | URL |

ウンコマンは独りで地中に引きこもってろ、出てくんなw

| 空 | 2013/05/26 13:35 | URL |

ついに天狗道の話か
神座の話もするんだな。てっきりごまかすと思ってた
キリトは解脱するのか。それとも歩く特異点になるのか
どっちにしろアスナはセットだろうけど

| シオウ | 2013/05/26 14:57 | URL | ≫ EDIT

ついにインドの出番か……。

| 裸エプロン閣下 | 2013/05/26 16:01 | URL |

(∴)<俺の出番か

 引っ込んでろ!

ってことですね

| 名状し難き | 2013/05/26 17:39 | URL |

ウンコマンはでてくんなww

| とっつき | 2013/05/26 18:12 | URL |















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