陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-49

 言峰を目の前に待たせ、最終チェックを済ませる。セイバーのレベル、所持アイテム、端末にインストールされているプログラム、服装、戦術、全てを一通り確認して自分の状態が万全かどうかを確認する。

「既に君の対戦相手は待っているのだが」

 ユリウスなので待たせて問題なし。

「把握した」

「あぁ、純粋だった頃のマスターはどこへ……!」

 貴様が教えろセイバー。と、セイバーはひとまず置いて、自分の確認と、そしてセイバーの確認も完了させる。一度エレベーターに乗ってしまえばもう戻る事は出来ず、そのまま戦闘が開始されてしまう。それから気づくのであれば遅いのだ。間違いなくユリウスは今まで戦ってきたマスター達の中では最強の敵だ。殺し屋というスタンスで此方に対して立っているため、確実に戦闘は違う方向へと進むと自分もセイバーも、そして凛達も確信している。だからいつも以上に多くの礼装をステルス状態で体になじませているし、秘策を伝授してもらっている。


 今のうちにセイバーのステータスを確認する。

 ―――前に確認した通りのステータスだ。セイバーが言うにはあとは敏捷をBに上げる事ができれば、”セイバー”としてはそれが知名度補正やマスターの補正抜きでの本来のステータスとなるらしい。ステータスは一流のサーヴァントと比べれば正直かなり低い。だが本来のレベルはあっさりと神話クラスの80に入り、そして低いステータスを補うだけの凶悪なスキルと技術の数々を行使する、”宝具型サーヴァント”がセイバーの正体だ。正面から安易に戦おうとすれば騙され、そして飲み込まれる。初見相手であれば確実にアドバンテージを取れるサーヴァントだ。

 セイバーによればサーヴァントには大きく分けて”ステータス型”と”宝具型”があるらしいが、今回の敵であるアサシン・李書文はこの分類の中間に立つサーヴァントだと説明していた。一撃必殺の宝具に強力な武術を発揮するためのステータス。マトリクスで得た情報通りの相手であれば今回はアルクェイド級に……いや、それよりも厳しい戦いとなる。

 だからこそ、

「―――行こう、明広」

「あいよ、白野」

 クラスではなくその忘れられた名で呼ぶ。それに対してセイバーは笑みを浮かべ答え、言峰は無言で決戦場への扉を開いた。これ以上、多くの言葉を出すのが無粋と思ったのだろうか、無言で扉を開け、横へと体を写し道を譲る。そして告げる言葉は短く、

「―――良い殺し合いを」

「……」

 今更、思い返す必要はない。悩む必要もない。私はこれから敵を殺しに行く。それが聖杯戦争だ。これから戦う相手を助け出すとか、そんな甘い事は言わない。知りたいとは思う。だから容赦はしない。絶対に容赦は出来ない。そんなつもりは初めからない。大体なんだ、

 ―――勝手に人の男に致命傷叩き込んでんじゃないわよ。

 覚悟を改める必要っもなく、セイバーを率いてエレベーターへと乗り込む。中央でシールドによって分け隔てられているそのエレベーター。何時も通りの位置へと移動し、シールドの向こう側に断つ二人の姿を見る。扉が閉まり、エレベーターが動き出す。だがそれを着にすることもなく。数秒間、無言睨みあい続ける。視線と視線が合わさり、互いの闘志を確認できたところで、アサシンが笑う。

「ほう、闘志は萎えていないと見える。アレだけ痛みつけられ、恐怖を味わい、それでもなお向かってくるか。全く持って愉快! よくぞここまで腕を磨き上げた、初めて見た時は見違えるような強さだ」

 ユリウスが感情を見せずにアサシンへと視線を向ける。

「アサシン、無駄口は―――」

 マスターであるユリウスの言葉をアサシンは遮る。

「無我口は叩くなと? 無理を言ってくれる。聖杯戦争とやら実に楽しい、そうは思わないか? ―――何せ儂の一撃で大抵の者は壊れてしまう。こういう事は本当に稀だ。暗殺者としての領分を果たせなかった。だがそれもいい。なぜなら武とは本来、人生の押し合いだ。拳の重みは費やした年月に比例する。何十年もの歳月を重ねた拳が一瞬で潰し合うその感覚は実に得難い」

 そう言い、アサシンは笑みを深める。

「お主もそう思うだろう? 表情を見れば解る。我が雇い主にもの申したい、と」

 ―――そりゃ言いたい事は腐るほどある。よくもセイバーをやってれくたな、とかよくもセイバーをやってくれたなとか、よくもセイバーをやってくれたなとか。

「マスター! 嬉しいけど少しは違う事も考えようぜ! 呪い系(ヤンデレ)は俺の芸風だから!」

 サーヴァントの芸風なら仕方がない。まあ、言いたい事は結構ある。今まで邪魔されてきたし、殺されかけたし、何度か目撃したし……かなり長い付き合いだ。五回戦ではかなり迷惑にあったから、ここはあえてセイバーに任せる。大体ほら、セイバーの方がこういうのは得意だと思うし、セイバーだって言いたい事はいっぱいあるだろう。

「ほほう」

 楽しそうな声を漏らしながらセイバーはシールドの前に立つ。その向こう側にいるアサシンは横へ避けると、その奥にいるユリウスの姿を見せる。興味なさそうにセイバーの視線を受け止めるユリウス。セイバーはそんなユリウスの姿を数秒間眺め続けてから口を開く。

「んじゃ簡単な所から始めようか、何のために聖杯を求める?」

 愚問だな、とユリウスが答える。

「レオを無事に聖杯へと送り届ける為―――」

 ユリウスはそれに答える必要はなかったのだろう。だがユリウスは反射的にセイバーに応じてしまった。そして応じてしまったからこそ、セイバーは悪辣な笑みを浮かべる。

「―――あぁ、嘘だな。それは」

「……」

 見透かすような視線をユリウスへと向けている。セイバーからは魔力の使用を感じられない。だとすればそれは純粋にセイバーの技量、眼力、把握能力、人生経験からくるロジックに基づく答えだ。そしてユリウスは沈黙する事でそれが正しい事であると証明してしまった。だからこそ、ユリウスは話を切る事が出来ない。

「その目を見れば何のためにお前が戦っているのかぐらい、良く解る―――即ち愛。お前は愛の為に戦っている」

 セイバーがとんでもない事を言う。だが誰かが口を開く前に、セイバーは話を続ける。

「だがそれはレオへと向けたものではないな? 身を粉にしてレオを守ろうとしているが、それはレオの為ではなく……もっと、別の誰かへと向けられている。……愛する存在にレオの事を頼まれでもしたか? ありきたりだが同時に美しい願いでもある。俺への暗殺の指示、実に見事。俺がお前だったら同じことを殺るだろう。本来ならぶちギレている所だが、うん。愛の為に戦うというのは実に好ましい。コキュートスへ来たら百年住民税を払わなくていいぞ」

 そろそろ頭大丈夫なのか、とセイバーの事を心配しだす。が、ユリウスは口を開く。

「俺個人の感情等関係ない。ハーウェイの者としての役割を果たす。それだけだ」

 ユリウスの返答は明らかな拒絶だが、それは同時に肯定であることをユリウスは理解して言ったのだろうか? 今の発言は”そうだ、だがどうした”と言っている様なものだ。セイバーの奇抜な発言が的を得ている事を表していた。だから、

「また嘘をつくか。レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイに対して何も思わず、だけど誰よりも個人的な感情を持ち込んできている癖によくもそんな事が言えるな。あぁ、だが許そう。何せそう言う姿は実に見ていて愛い。やはりどうなろうとも己というものが永遠にどうにもならないのが人間だと再認識される」

 セイバーの言葉にユリウスは若干ながら、睨むように視線をセイバーへと向ける。魚が釣り針にかかった、とセイバーは此方に飲み届く声でつぶやくと、組んでいた両腕を解放し、腕を広げる。

「第一俺も個人的な感情でこの聖杯戦争へとやってきた。愛! Love! 素晴らしいじゃないか。否定する理由もなかろう。恥ずかしいのか? それとも後ろめたいのか? だからと言って隠す理由などありはしない。思うままにさらけだせ。叫ぶままに叫べ。人間という生き物は本当に厄介だ」

 セイバーはユリウスを射抜く様に見る。

「―――心が決めた事には絶対に逆らえない。死人を気取るにはお前は少々若すぎる」

 珍しくセイバーの言葉には遊びはない。それはまるで闇夜を歩く子供を導く大人の様に、諭すようにユリウスへと言葉を投げかけていた。正直な話、セイバーがユリウスを罵倒する事は全く想像できなかったし、するとも思えなかった。だがこんな風に助言を与えたり、導くように接するとは思いもしなかった。

「悪いな。これは俺の本能というべき部分での行動なんだ。俺は人間が好きだ。人類という種を愛している。彼らが努力し、思うままに生き、死んでゆく姿を誰よりも優しく見守り続けたい。その時間を触れられぬように守り続けたい。傲慢だろう? だが仕方がない! 好きなものをどう否定しようか! 好きだからこそ関わりたい、助けたい。どんなことであれ、行動の根幹、その全てには確かな愛が存在する。そう、それは救いようのない無量大数の悪夢にさえ通じる話だ。故に―――」

 セイバーはユリウスを見る。

「お前はその心を押し殺すべきではない。実にもったいない。その魂の輝きをお前は感情を殺す事によって燻らせている。解放しろ、その魂を。人としての生きざまをその刹那に刻み込め、お前は白野の前に立った最強最悪の壁だ―――その壁を越えてマスターとして、人間として、そして俺の女として更に強くなる」

「―――所詮は魔王の戯言。付き合う道理はないな」

 セイバーの発言をユリウスは感情の困らない声で両断する。それがユリウスの心に届いたかどうかは自分には解らない。ただこの過激な発言と思想を持った自分のサーヴァントは、

「無口キャラは印象薄くなるだけだぞ? ミハエルでさえ一発ネタを所持していたんだ。お前もそれ位はできんのか……。まあ、これだけ言っても無駄ならそれまでの話だ。さ、予想よりも簡単な勝負になりそうだぜマスター?」

 とりあえず何余計な事してんだコイツ、とスネにローキックを繰り出す。

「痛い。地味に痛い。リアクションに困る痛さ」

 セイバは身じろぎしないが、痛そうな、そうでもないような、そんな表情を浮かべている。個地r尚事は好きだって把握しているし、セイバーのアライメントが混沌・善だから基本的にカオス思想の持ち主である事も重々承知済みだ。だがこの場で敵を強化するのだけは止めてほしい。ほんと、マジで、勘弁してください。

「痛い、痛い、やめてっ!」

 構わずローキックを叩き込み続けていると、それが面白かったのか、もしくはユリウスの反応が面白かったのか、アサシンは大声で笑い始める。

「カカカカカカカッ! ずいぶんと手ひどくやられたものだユリウス! 短い間だったが実に良いものを見せてもらった」

 黙り、何も答えず、反応を見せないユリウスの代わりにアサシンは獰猛な笑みを見せる。

「五体を使わぬばまともな套路も見せられたものではないが、この李書文、全力を持ってその命を奪って見せよう―――」

 その言葉を持って―――エレベーターは動きを止める。

 運命の時は来た。

 ポケットから二色のリボンをとりだす。

 白のリボン。

 黒のリボン。

 その両方を合わせ、それを使って髪の毛をポニーテールに束ねる。これで持ち込んだ最後の礼装の装備は完了した。

 ―――お願い、生き残る為に力を貸して。

 白い少女と黒い少女へと軽く祈りつつ。セイバーと視線を合わせ、頷く。既にエレベーターの扉は開いている。その一歩目を踏み出せば、戦いは始まってしまう。はじめてしまう。結局のところユリウスの事は良く解らなかったが―――良かったと思う。

 ユリウスは感情の無い人形ではなく、己の意志と覚悟をもって聖杯戦争へと参加したマスターだったのだ。

 だから……!

 ポケットから”宝石”取り出し握り、一歩目を踏み出す。

「―――勝つよ」

「あぁ、任せろ」

 エレベーターから出た瞬間、

 閃光と衝撃が襲った。




 予想外に長くなってので分割しました。次回更新・決着は土曜日に。下は現在の基本ステータスと状況です。
 原作EXTRAだとこの時点では大体28~30レベぐらいですが、それでは足りないのでセイバーにもアサシンにも10レベぐらいインフレしてもらっています。というか全体的にインフレしてもらっています。

 ※なお、李書文はレベル60と想定しています


マスター:岸波白野
クラス:セイバー
レベル:41
真名:シャヘル
宝具:※※※へ※捧※※※※の刻 - 解禁
属性:混沌・善
キーワード:処刑人
      黄昏の守護者
能力値
筋力C 耐久C 敏捷C 魔力A 幸運C

スキル:対魔力B
    処刑術A+++(A+)
    可能性の覇道者EX - 1戦闘1回まで
    黄昏の守護者EX - 1日1回まで
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| 断頭の剣鬼 | 01:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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