陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-48

 ―――本来なら六日目は最終調整の為にアリーナで経験値を稼ぎ、一レベでも上昇させて魂の改竄を行うべき日だ。なぜなら七日目が決戦日。相手のマスターと本気での戦いが発生する日となっている。この日がアリーナで訓練をつめる最終日となっているのだ。だから本来はアリーナで大いに駆け回るべき日だったのだが―――何の間違い化、朝早く起こしてくれるべきはずの明広はそんな事もせずに、何時も通りのソファを寝床に、一向に起きる気配を見せていなかった。時間を確認すれば既に十時過ぎだ。何時もなら八時ごろには起きて、朝食の準備を済ませている明広がこの様子とは非常に珍しい。珍しいが、罪は罪だ。

 明広の顔面にドロップキックをかます。

「ふんごっ!?」

 避けることもなく明広はそれを顔面で受けきると、苦悶の声を漏らしながらソファ共々裏返りながら後ろへと倒れる。最近コードキャストの扱いにも慣れてきたもので、こういう軽い肉体技であれば身体能力の強化魔術で綺麗にヒットする様になってきた……まあ、明広が元から避ける気など見せないので、彼相手に限定されるのだが。


 ともあれ、明広が呻き声を漏らしながら目を開ける。ソファが倒れて大きな音が響くが、幸い隣の部屋には音は漏れない……つまり凛達を起こす事はない。流石にあの二人には昨日とその前と合わせ、かなり働いてもらっている。今日は特に何もなければアリーナに行くだけで終わるので、彼女たちにはゆっくり休んでもらう予定だった。

 だったのだが。

「ありゃ、起きたのかはく―――」

 明広の顔面を踏んづける。もちろん自分のマイルーム名の中なので靴は履いていない。床はアメリカ式にカーペットを敷いてある。この部屋も凛とラニのおかげでだいぶカスタムが進んだなぁ、と感慨深げに呟きつつ、

「なえふむ」

 足に踏まれる明広の声が若干可愛かったので踏むのはこれまでにする。しかしこの駄処刑人め、解っているだろう。時間だ時間。時間をぜひ確認して欲しい。そう、そうなのだ。何時もと比べて完璧にオーバータイムなのだ。別にお腹がすいているわけでは名、というかお腹はすかない。ただこう、決めていた時間に起こされないというのは非常に怒りにくるところがあって、そのなんというか―――無性に殴りたくなる。

「解った、解った。俺の負けだ」

 なだめてくるように手を前にだし、いさめてくる明広の姿に許してやるとする。ソファを元に戻し、明広は立ち上がると軽く体を動かす。此方へと視線を向けてくると、

「で、よく眠れた?」

「……は?」

「いや、よく眠れたかっての。ここ数日辛い戦いや作戦ばっかだったろ? だから今日は勝手ながらお休みの日にしようとおもってな」

「……はあああ―――!?」

 このは何を思ったのか、レベリング作業を今日一日休んで、完全に休暇とすべきだと主張しているのだ。そしてそれを実行するためにわざと起こさなかった、とも。ふざけているのだろうか。アサシンである李書文とッマスターのユリウスは何処からどう見ても強敵だ。そんな余裕の許される様な相手ではない。だから今日は最終調整のためにもアリーナで盛大にエネミー狩りへと出かけた方が効率的なはずだ。

「それだ」

 効率的、という言葉に対してビシ、と音が出そうなほどに強く明広は指を此方へと向けてくる。あまりの希薄に少し後ろへと下がってしまうぐらいにだった。そのポーズから手をグっと片目、拳を作ると彼は力説し始める。

「いいか? 効率、そう、物事を進めたり成し遂げたりするなら効率という事は本当に大事だ。なぜなら効率とは即ち回転率でっもある。効率を上げれば上げる程アクションの回転率は上がり、どんどん物事は早く進むようになる。だがまあ、それではただの機械と一緒だ。突き詰めた効率化というのはマンマシンの様なもの、つまり非人間的行動だ! 故に俺は戦いのも、人生にも、必ず余裕や余計な”デッドウェイト”を推奨する! いいか?」

 何やらものすごいノリノリだった。こいつの一体何がここまでテンションを上げさせるのだろうかはよくわからないが、とりあえず今日は探索なしで、マイルームでゆっくりと過ごせ、と明広は言いたいらしい。なんというか、普段はアリーナでなるべく少ない太順で相手を見切り、倒せと言っている事とは別の事ウィっている様な気がする。

「ん? それはそれ、これはこれ、だ。第一敵を倒すt気は全力で戦うのは当たり前だ。相手を兎だと侮って死にたくはないだろう? それとは別に余裕のある日は次の全力に備えて心を休めておくべきだ。聖杯践祚というのは戦いだけじゃない。俺達の様に心を確かめ合い、受け入れ、そして愛し合う事だってできる。故に休息日だって必要だ。ほら、世界創造の時にだって神様は日曜日には休んだだろ? そういう事だ。人も神も全てを忘れて休む日は必要だ。特に俺達みたいに余裕のなかった組はな」

 明広はそういうと此方の頭をぽんぽんと叩き、そして足を組んでソファに座る。詰まる所、彼は此方のメンタルコンディションを心配してくれているのだろう。ムーンセルにいる以上特殊な攻撃を討金い限り、疲労と魔力に関しては完全回復し、そして腹だって減らない様にムーンセルがリソース供給を行ってくれている。フィジカル面はムーンセルによって完璧な支援がある。

 だがフィジカル部分となれば完全にマスター任せだ。それを補えと明広は言っているのだろう。

「違う違う」

 めんどくさそうな表情を浮かべられ、頭を横に振られる。そして仕方がないな、と言わんばかりの表情を浮かべられると、立ち上がる。

「いい時間だしガールズも起こそう。このまま朝食に入るより昼飯と一緒にしてっ軽めのブランチを作ろうか」

 結局明広が何を言いたいのかはよくわからない。が、自分の考えを実行するために彼は動き出した。どうせ彼がやる気を出さなければ戦う事すらできないのだ。だったらサーヴァントに付き合うのもマスターとしての解消。いや、個人的に彼と一緒にいたいので、付き合う事とする。





「で、今日はアリーナへと向かわずにここにいるというわけですか」

 そう言ってラニはチェス盤の上の駒を進める。その向こう側に座っているのは明広で、驚くべく事に勝っているのも明広らしい。現在三セット賞美し、全勝している。なんでも数千年見据える長期的な戦術眼が必要な状況の為、チェスで負ける事はなくなったらしい。まあ、その意味はよくわからないが、ラニも明広もとんでもなく強い化け物だという事は解った。チェスというゲーウを遊んだ記憶の無い自分でも別レベルでの攻防に見える。

 ともあれ、

 凛とラニをお越し、ブランチを済ませるととくに急ぐ様子もなく、何処からかチェス盤を取りだした明広はこれで遊ぼうと提案したところ、ラニがそれに食いついた。この世で一番公平なゲームと言ったところ、明広は苦笑していたところを見るに、彼はそう思わないらしい。凛も特にせっつくことなく、メガネをかけ、ホロウィンドウを出現させるがゆっくりとそれを動かし、チェス盤を眺めながら時間を過ごしている。

 目の前には食後用と、ラニに淹れてもらったチャイミルクティーもある。普通のミルクティーと比べてかなり甘いこのチャイという種類のミルクティーはアジア圏、特にインドの方などで飲まれている。甘いという理由でかなり好みが解れるらしいが、個人的には好きだな、と思う。

「ラニ勝てそう?」

「かなり難しい、というよりも勝利の道筋が見えて消えませんね」

「ハンデでナイトなしで遊んでもいいんだぜ? 縛りプレイとか超得意だし。というかそこ、マスター。ラニじゃなくて俺を応援すべきだろう」

 基本的に弱者を応援する方がこういうのは楽しいと思っているのでそこはあしからず。素直に諦めてください。と、ラニが駒を進めると明広が駒を進め、ラニが動きを止める。ジ、っとした様子チェス盤を眺めている。おそらくその状態から勝ち筋を探っているのだろう。思考力のゲームとも言えるチェスはどれだけ先を読めるか、という事が重要になってくる。つまり運用、把握、そして戦術。……明広に言わせれば読む事だけでは駄目らしく、私はその一点においてズバぬけているが、”将”としての資質は皆無なのでチェスは無理らしい。

「頑張るわねぇ」

 凛は珍しくメガネなんてものをかけていた。初めて見るメガネ姿はフレッシュだが、その理由はいまいちよくわからない。ともあれ、凛がさっきから何かの情報を除いていた事は解っている。その内容に関して質問してみる。

「ん? あぁ、地上よ地上。今の地上の様子を見ているのよ。私はラニやあんたと違って西欧財閥の敵対組織に所属してるから、組織がつぶれたら本体がピンチなのよ。隠れ家に人払いのを設置して、入念に隠したと言っても、何時爆撃とかで焼かれないかと思うとゾっとしなわい」

 そういう凛の顔はげっそり、と言った表情が似合っていた。

「そこらへん私は心配する必要はありませんので楽ですね」

 ラニはチェス盤から視線を離さず会話に入ってくる。

「アトラス院では魔術の使用ができますから、色々と魔術的な防壁を張らせてもらったりしています。おかげで地上でのkとは心配する必要はありません」

「お前が地上でもノーパンかどうか俺は激しく気になるけどな」

 それは個人的にも気になる話ではあるが、とてもだが乙女の前でする会話ではない。明広の顔面にジャブを叩き込んでおく。痛そうに鼻を押さえて悶絶する彼を無視して、ラニに話を続ける。そう言えばアトラス院がキチガイの巣窟だとは聞いたが、具体的にはどんな場所なのかは聞いてはいない。

「どういう場所か、ですか? 基本的には錬金術を学び、世界の終末回避に向け頑張っています。ですが世界が順調にアポカリプスなうしていますし、残された純正の錬金術士も師一人となりまして、アトラス院もおそらく私が死ねばなくなる事となりますでしょう」

「世界のどこも救いようがないからねぇ。ま、アトラス院も世界の滅びからは逃げられないという事でしょう」

「もう何時タイプ・マーキュリー目覚めたり他のアリストテレスが来てもおかしくなさそうな状況ではあるよなぁ……」

 明広が小さな声で凛達の言葉に対して呟いていた。Oタイプ・マーキュリーという時点で嫌な予感しかしない。というかアルクェイドの親戚の様な存在がいるのか。なんというか―――激しく見たくない。アルクェイドがタイプ・ムーンだったか、だとしたら―――いや、忘れておこう。何も聞こえなかった。それでいいじゃないか。

「はい、チェックメイト」

「え?」

 明広の声にチェス盤を見るが、まだまだラニに動かせる手は多く存在しているように見える。だが違いますとラニは頭を横に振りながら否定する。

「この先、どの手を取っても負けは確定しています。それを此方も認識していますので負けです。セイバー」

「はいはい、もう一勝負だろ」

「はい、お願いします」

 ラニの口調は穏やかだが、その目には闘志が滾っているのは見えている事だ。ラニ、最初にあったころはノーパンの感情の無い機械にしか見えなかった彼女も、こうやって交流を重ねてゆくうちにだいぶ個性的になったと思う。凛も最初はもっとツンケンしていたが、こうやって味方になると実に頼りになるし、優しい少女だという事が解った。

 ふと、思う。

 こうやってゆっくり時間を過ごせば今まで焦って気づかなかった事も見えてくるのではないのかと。チャイミルクティーをゆっくりと味わう事は出来なかったし、自分のサーヴァントがチェスに強いなんてことも解らなければ、凛のメガネ姿を見ることもなかった。

「な? 人生たまにゃあゆっくりするのも悪くはないだろ?」

 笑みを浮かべてくるサーヴァントに頷く。確かにこの時間は大切だ。見なかった事が見えてくる。感じなかった事が感じられる。少し腰を落ち着けて、考える時間があれば見えなかった事が見えてくる。

 ―――また、こんな日を迎えたい。

 戦う事はなく、戦い方も考えず、ただゆくりと、自由に時間を過ごすだけ。

 それだけの時間をまた、この余人で味わいたい。

 この時間を刹那を、ずっと、守り続けたいと。

 そう思った。




黄昏の守護者:EX
このスキルを使用時、セイバーは過去、現在、未来に囚われる事無くスキルが使えるようになる。
ただし宝具使用時以外の時に使用すれば武器は破壊され、反動にその日の間は体力が削られる。
なおこのスキルは一日一回しか使用できない。
時空に関係なく、可能性を模索し、女神を守り続けてきた存在の証明、そのスキル。
同時に、セイバーが人類すべてに対する救世主である事の証拠でもあるスキル。

 明日はいよいよ決戦ですねー。いよいよ宝具の登場です。
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| 断頭の剣鬼 | 09:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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