陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-45

 上半身に何も纏わないで状態で部屋の中央に立つ姿がある。

 よく見ればその体には無数の傷がついている。それを彼は生前についた傷ではなく、この戦いを始めてからついた傷だと主張した。その数は多く、そして酷いものが多い。ライダーによってつけられた銃撃の痕、アーチャーによって射られた傷、ジャバウォックによって殴られたときにできた抉られた様な傷跡、そしてバーサーカーの爪の痕。それをセイバーは残し、自分だけが獲得した誇りだとして語っている。

 私と、一緒に駆け抜けてきた、誇りだ、と言っている。

 頬が緩みそう。

「魔術回路を確認……魔力の供給状況を確認……リソースの確保確認……パスの接続確認……魔術による魔術回路の再生を開始」

 セイバーに魔力供給によって供給された魔力を消費し、自身が習得しているスキルの一つを使用する。即ちリザレクション効果のあのスキルを。そのスキルに指向性を持たせ、HPが0になった時のリレイズ効果からそれを部分的な再生機能へと変化させる。普通のサーヴァントであればそんな事は不可能だろう。だが私は知っている。このサーヴァントは本来魔術師でも、狂戦士でも、そして騎士でもない。


 彼は救世主だった。

 だから諦めないし、負けても蘇るし、あきらめない限りはバラバラの体をくっつけて再び立ち上がる。それが救世主という存在だ。諦めない限りは絶対に敗北しない。私のサーヴァントはそんなサーヴァントだ。

 セイヴァーでなくとも、セイバーであっても、その心だけは変わらない。

 魔術のスキルを取得し、自身のスキルを微妙に改変しながら力を行使する。魔力供給でセイバーへと捧げた魔力が減って行く―――が、同時に私からパスを通してセイバーへと供給される魔力量は増えてゆく。それによって消費されるはずの魔力は相対的に見えて全く減らない。魔力を消費しながらも、セイバーはほぼ同じ速度で自身の魔術回路を再生していた。それも数分もかからない。

 最初に与えた魔力を使い終わる頃には、完全に魔術回路の修復も完了し、セイバーは頼もしい背中姿を見せていた―――アサシンの襲撃を受ける前の姿がそこにはあった。その頼もしい姿を見て、微笑んでしまう。

「うへへへへへ……」

「白野、前から思ってたけどお前絶対乙女じゃねぇ、中身オッサンだろ」

 この駄サーヴァントは一体何を言っている。これほど可愛いくて、大当たりの美少女マスターもいないだろう。この私に巡り合えたことに対して感謝するべきだ。

「ん? 感謝とかは当たり前にしてるよ―――ただこれとそれとでは話が違うだけで」

 当たり前に出会いに感謝している。できそうな事で出来ない事だ。ともあれ、やはりもう少しこの出会えた幸福に感謝しつつベッドの中でシーツにくるまっている。セイバーは半裸のままキッチンへと向かう。床に落ちている端末に手を伸ばし、引き寄せてみれば時間はもうすぐ昼だ。何時も通り自分の仕事へと移るセイバーの姿を見て、セイバーの回復が成ったんだな、と本当に思った。

「さて、白野、いやマスターよ」

 エプロンにフライパンを握った姿でセイバーが真剣な表情を浮かべる。恰好のせいでどうもシリアスには見えないが、セイバーの声だけは真剣なので笑わずに頑張ってみる。

「もうだいぶバレているとは思うけど……俺もそろそろ真名をバラすという覚悟ができてきた。今回の対戦相手、宝具もなしでは勝てる相手ではないだろう。最後のスキルの使用条件も揃った。……取り戻していないスキルを除いた俺の手札は全て開示しよう」

 ピピ、と端末が音を鳴らす。それはセイバーが最後の宝具とスキルを開示した事を示す音だった。

「俺がまだ人間だった頃は最上明広という名だった。今では俺の正体となってしまった前のどうでもいい符号になってしまったが、その名前にはそれなりに愛着がある。今まで通りセイバーと呼ぶのも良し、明広と呼ぶのも良し、まあ、好きにしてくれ。個人的にはマイルームでは明広、外ではセイバーというのがオススメだったりする」

 セイバーの提案は快く受け入れる。セイバーの真名は正直解らない、というか知らない様にしている。それは、それがセイバー……いや、明広の信頼の証であるという事だから。だから彼がこうやって自分自身を公開してくれるのであれば受け入れない理由は存在しない。

「あぁ、だけど待ってほしい。俺の真名、……俺の神格を表す名はまだ口にしないでほしい。ハーウェイの方にはもうバレてしまっているが、それでもそれを口にするのは少し待ってほしい。俺の宝具で確実に正体はばれるだろう……それが終われば本当に好きに呼んでもいい。だから宝具を使用する決戦の時、それまではどうか解っても胸の内にしまっておいてほしい」

 真剣、というか困った様子で明広はそう言っていた。彼にしても相当覚悟の必要な事なのだろう。明広はフライパンを持ち上げながら聞いてくる。

「そんでリクエストは?」

『赤飯なんてよろしいんじゃないでしょうか』

 端末を壁にシュートする。今貴様の背後で桜の声がした―――保健室だな? 待ってろよ。

 っと、まあ、とりあえずオムレツを所望する。前食べた時は中身が凄くふわふわしててレストランで食べるクオリティだったし。というか何故こうも料理スキルが高い男子なのか、それを質問してもいいのだろうか。

「ん? 元々は一人暮らしの男だったから自然と料理スキルはつくし、結婚後も基本的には料理したからな。ベースとなった最上明広という男はそこそこ器用だった、ただそこから派生した最上明広には生まれ直した時に性転換してメイドになったりと、色々カオスな人生を送ってるからな。そこらへんの記憶があると……な?」

 なるほど。基本的に器用だったり芸の幅が広いのはそういう事なのか、と納得する。

「ところで」

 なんだ? と首をかしげながら返事する。

「午後からはアリーナいけるか?」

「今は股の間が少し……」

「あぁ、やはり……」

 解ってるるなら羞恥プレイやめてくださいよーもー。





 ”セイバー”が保有する規格外の宝具とスキル。その効果を確かめればなるほど、と納得するしかできない。彼は今まで使わなかったのではなく、”使えない”という状況が続いたに違いない。だから宝具は見せられないと言っていたのだ。この宝具をもし自分に先に見せていれば、一生宝具の条件を解除する事などできなかったかもしれない。

 この宝具、そしてスキルの解放条件はそれほどまでに”呪われていた”のだ。

 それは彼の呪われた一生を象徴する様な宝具で、そして彼の恵まれた仲間たちとの絆を表す宝具でもあった。人生においてこの救世主が報われる事はなかった。だけどその絆は諦めずにどこまでも、永遠に、あり続ける。それを思わせるような宝具だった。

 彼は不幸だったが、救いはあった。そういう話だ。

 アリーナへと彼と一緒に踏み込む。服の下から刃根を伸ばし。二歩先をセイバーが歩く。

 少し前へと足を踏み出した瞬間、それは来た。

「―――」

 衝撃だった。セイバーの体を突き抜ける。衝撃が発生し、セイバーの背後に見えない何かが存在すると確信させる。それは前回アリーナへとやってきたときにセイバーが食らった技と全く同じ奥義。

「―――二の打ち要らず、だったか」

「ほう!」

 セイバーの背に生える刃根が動く。それが背後に存在する見えない存在を捉えようと振るわれ―――そして空を切る。姿の見えない何かは着地の音だけを鳴らし、自分の背後へと着地する。素早くセイバーの方へと姿を飛ばせば、同時にアリーナへと入り込んでくる黒い姿を発見する。

「ピーピングとは趣味が悪いな塵処理屋」

「……」

 ユリウス・ベルキスク・ハーウェインがそこにいた。漆黒の服装に身を包み、透明となって姿を現さないアサシンの横に立つ。ユリウスは確実に此方の動きを把握している。セイバーが言うとおり、ピーピング、つまりは此方の行動をある程度監視しているに違いない。

「見たのね! あんな所や! こんな所を!」

「セイバー、キモイから真似になってない真似はやめて」

 セイバーとの茶番劇にさえユリウスは興味を示さない。ただ淡々として此方を観察し、

「しくじったなアサシン」

「いやはや、確実に仕留めたと確信の出来る一撃だった。それを乗り越えられたのだ、ユリウスよ、これは確実に敵を敵として認めるところだぞ? 彼らは我々にはない方法で体を繋ぎ直し。この僅かな時間で復帰してきたのだ。カカカカッ! これは二の打ち要らずの名も返上の時か!」

「面白がるなアサシン」

 アサシンはこの状況に楽しさを感じているが、ユリウスはそうでもないようだ。セイバーの背後へと動くと、セイバーの体から黒い靄が抜けて、消える。アサシンはそれを見てほう、と言葉を発する。

「その濃密な死の気配、それが我が勁を阻んだと見る」

 セイバーは得意そうな表情を浮かべる。

「我が兄弟、我が戦友、死王、死の鎧」

「ほう、なるほど。自らに降りかかる死を死によって相殺したか。なるほど、アレがある限りは一撃必殺の類は通らんぞユリウス」

「チッ」

 それがセイバーの取り戻したスキルの一つだった。死王の鎧。セイバー曰く”マッキー☆アーマー”。自らに降りかかる絶対死の運命を死によって相殺する絶対防御能力。本来は”マッキー☆パンチ”らしいが、強力すぎてムーンセルに出禁を食らったとの事。ムーンセルが出禁をくらわすとか一体何事かと思ったが、出禁食らって月の裏側に沈んだ金ピカもいるらしいのでアリらしい。ともあれ、魂の改竄ではなく、宝具の条件が揃った時に蘇った”二つのスキルの内の一つ”であり、条件を満たしてから復活する辺りアイツらブレねぇ、とはセイバーの弁。

「アサシン」

「あい、未だ此方は破られていない―――負ける理由はなかろう」

 アサシンは自信満々に言葉を発し、ユリウスも感情のこもっていない視線で此方を睨む。セイバーは腕を組みながら笑うと、上着である赤い衣をけし、シャツを突き破る様に背中から刃根を大きく広げる。そう、アサシンの気配遮断スキル、透明化能力は未だに破られていない。あの透明化を破らない限りはまともな戦闘はできないと思ってもいい。

 だが、まあ、まともに戦えないのは何時ものことだ。今更見えない敵とか出されてもリアクションに困るという話なだけだ。

「見えないなら手当り次第ぶちこみゃあいいって話だな!」

「gain_strength!」

 セイバーへとコードキャストで支援をしながら攻撃を開始させる。ユリウスは大きく飛び退くと、部屋の隅へと移動する。アサシンの姿は見えない。だが狭い部屋を埋める様にセイバーが十数枚の刃根を大きく広げながら振るう。

「なるほど、実に道理!」

 刃根が砕かれる。それは最初から期待して射た結果だ。見えないのであれば見えない事を念頭に置いて戦えばいい。刃根が砕けるのは先刻承知で、砕けたという事はつまりそこにいる、と言う意味だ。故に刃根が砕けた瞬間、逃げ場をなくすように刃根の檻を生み出し。それを一気に収縮する。

 一瞬でアサシンを捉えるは刃根の檻は刃根の砕け散った位置を蹂躙する。

 ―――が、そこに血の跡は生まれない。

「さて、どこから壊すべきか―――ここか」

 アサシンの声はセイバーの真横からした。何時の間にアレだけの移動を―――いや、違う。

「離れた位置から破壊したのね!?」

「ほほう、中々の目を持っているな? しかし―――!」

 アサシンが踏み込む音が聞こえる。来るのは間違いなく必殺の一撃だ。短くしゃべっただけだが、この敵は己の武に対して”誇り”持っている様な武人タイプのサーヴァントだ。今までの敵とは違い、己を象徴する様な一撃が防がれた場合、

「もってけ!」

 セイバーへと大量の魔力を送り込むのと同時に、アサシンの一撃は強烈な殺気と共に放たれる。息苦しさの酸素を求める程に殺意が、殺気が練り込まれた一撃。それをセイバーは揺るがず体で受け止める。

「防がれたか、しかし―――」

「―――なるほど、確かに強力なスキルだが、そう何度も打てるというわけではないのか」

 ユリウスが観察しながら断言する。そう、このスキルは大量の魔力を消費するスキルだ。しかも暴食の王とは相性が絶望的に悪い。暴食の王はダメージを魔力へと変換する。だが死の鎧はダメージそのものを消し去ってしまう。スキルの元となった人間関係がここらへんで嫌なほどに出てるとセイバーは言っていた。

 この無敵防御、自分の魔力量で使用できるのは三回が限度となる。

 それ以上は大きな回復が必要となる。しかもこの三回は別のスキルを使用せずに、これだけを消費した時の基準でだ。明らかに消費量が間違っていると思うが、なんでも防げると豪語する辺り、これぐらいの消費でもおかしくはないのかもしれない。

「ふんっ!」

 刃根をアサシンがいた位置に向けて振るうが、それはやはり空を切る。セイバーがバックステップを取り、此方の一歩前の位置へと戻ってくる。刃根を振るい、壁を作る様にして構えるが、

「さて、どうするユリウス?討つか? 討たぬか?」

 アサシンの声はユリウスのすぐ横からした。見えない事がこんなにも厄介な事だとは思わなかった。だが、何とかなる。一応は戦えている―――これに宝具を投入する事ができれば勝てない戦いではない。それでも、まずは、アサシンのあの絶対的優位を剥がさなくては。

「……戻るぞアサシン。新しい手札が見れただけでも上出来だ」

「あい解った。さらばだ、次はさらなる死合を期待しよう」

「……」

 ユリウスとアサシンはアリーナの入り口からアリーナの外へとでた。どうやらここでの戦いは終了したらしい。アサシンから放たれる強力な殺意を受けなくてもいいと思うと心と体が楽になる。さて、

「そんじゃアリーナデートと行こうセイバー!」

「逞しいなぁ」

 苦笑しながらも付き合ってくれる辺り、セイバーは付き合いがいいと思う。トリガーを入手するまでの短い時間だが、二人っきりの時間を楽しまなくては。

 あぁ。

 そして―――その後は保健室組の粛清だ……。




端末を切り忘れてたのでつけっぱなし、あの時保健室は静かでした。そんなわけで、最後のスキルと宝具の開示の時は近い。

死の鎧:あらゆる攻撃を1回だけ無効化する 120MP

アイアスより消費たかーい!
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| 断頭の剣鬼 | 13:26 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ア、アイアスは投影準備いるし(震え声

| | 2013/05/20 14:55 | URL |

さすがにマッキー☆パンチは出禁くらうw


……あ、ええ桜さん。映像は保存してますか? ……はい、是非それをこちらに(ry

| 空 | 2013/05/20 14:56 | URL |

鎧だと、下に落ちて(沈んで)行きそう。お笑い芸人だけに

| | 2013/05/20 19:52 | URL |

CCCの最後に覚える技と同じぐらいじゃねーか!

マッキーのこの待遇の悪さよ・・・

| おk | 2013/05/21 08:29 | URL |















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