陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-42

「嘘……なにこれ、魔術回路がボロボロじゃない!?」

 マイルームへと戻ってくるのと同時にセイバーをベッドへと寝かせる。普段は自分が使っているベッドだが、こんな状況で躊躇する理由などない。一番楽になれるベッドの上に凛と二人係でセイバーを寝かせると、ラニがホロボードとホロウィンドウを出現させ、セイバーに対してスキャンを行っている。ホロウィンドウを通してセイバーの容体を確認しているラニは渋い表情を浮かべ、セイバーの状態が芳しくはない事を伝えている。

「セイバーのボディチェック―――魔術回路が全て断線しています。それに伴いマスターとのパスも切断され、内部がかなり破壊されていますね。これは……マスターからの魔力供給が受取れていません。セイバーの魔力量と現在の維持に使用する量から考えまして、セイバーが消えるまでのタイムリミットはあと二日か三日、と言ったところですね」


 セイバーはベッドに寝かされるとつらそうな表情を浮かべる。外相がないだけにセイバーの容体の深刻さが伝わってくるし、あのアサシンの手際の良さも理解できる。あのアサシンは見事にセイバーの中身だけを破壊できるだけしたのだ。一撃。たった一撃だけでここまでの破壊をもたらした。カウンターを叩き込むためとはいえ、セイバーはまともに受け止めてしまったのだろう。息を吸うのさえつらそうにしている。だが顔を見れば、その目は死んでいない。口を開こうとはしないが、その目は師かk理と此方の目を捉えている。

 ―――まだ、まだ死なない。消えない。諦めない。

 セイバーは諦めていない、こんな絶望的な状況でさえ。それ以上に私を信じてくれている。こんな状況でさえどうにかできるだろう、と。無条件の信用でも信頼でもなく、それは今までの戦いによって得られた私とセイバーにしかない血よりも濃い繋がりによる絆だ。セイバーは確実にどうにかしてくれると信じている―――そんなものパスがなくても解る。だから、凛とラニに質問する。

 どうすればいい。

「魔術回路の修復?」

「おそらく難しいかと思われます。魔術回路の修復は可能ですが、高速で修復するには再生特化のサーヴァントの能力に頼る事となります。そして現状、このセイバーはそういう事に適したサーヴァントではない様に思えます。自然回復力に任せて五回戦終了、と言ったところでしょうか。ともあれ短時間での修復は不可能と言っておきます。現在セイバーを襲っている疲弊は正しく魔力が体を駆け巡らない事からによる存在の希薄化でしょう」

「じゃあ別の所から魔力を引っ張ってくる? 擬似回路を体内に生みこんで別ソース空魔力を供給するの。―――場合によっちゃあ私かアンタの魔術回路を切り取って使うのもいいかもしれないわね」

 凛……!

 魔術回路とは才能だ。魔術師としての実力、そして才能を表すための存在だ。そしてそれをセイバーの修復の為なら使用できると凛は言っている。その壮絶な覚悟に戦慄し、驚きながらも凛を見れば、凛は少しだけ赤い顔をしていた。

「な、なによ! 貴女とセイバーに負けられたら困るの! レオを倒すためなんだからね!」

「ツンデレ乙」

「病人は黙ってろ」

 凛がセイバーの顔面にエルボーを叩き込み、セイバーが黙る。どうやら魔力や魔術回路の事を抜けばセイバーはそれなりに大丈夫な部分があるようだ。端末を使ってセイバーを書く淫すればHPが減っているわけではない―――ただ魔力の回復ができない、セイバーの体を正しく維持できない。それだけで、そしてそれが問題だ。

「悪いですがその案も無理そうです」

「なんでよ?」

 ラニはホロウィンドウへと向かっての操作を止めると、彼女が見ていたものを此方の前へとコピーして投影してくる。それはセイバーの身体、というよりも構成についてのデータだった。セイバーの体調、ロジック、バイタル値、メンタル状態、そういったデータが表示されている。そのバイタルデータの中で、異様に高い数値を見せているデータがあった。

「……なにこれ」

「セイバーの抵抗力ですよ―――データ改変やらハッキングなど、そういう事に対する耐性というものでしょうか。デバフみたいなバッドステートや呪いではなく、”自身という存在”に対する干渉に対しては非常に優れている耐性をもっています」

 それを聞いて凛はあちゃあ、と声を漏らしながら手を顔に当てる。

「つまり」

「はい」

 ラニは頷く。

「もしインプランテーション行為を行えばセイバーの意志などに関係なく、彼の体は改変や移植等の干渉行為を行えば拒絶反応を見せるでしょう。サーヴァント、それもこのクラスの者の拒絶反応となれば正直興味はありますが、経験してみたいとは思えません」

「言ってくるわね……ラニ、私にもデータ頂戴。できる事がないか見てみるわ」

「どうぞ。ついでに図書館とのラインも繋いで起きました一々図書館へデータを探しに行くのも面倒でしょうしここから調べられます」

「お、気が利くじゃない」

 ラニと凛がホロボードに情報を打ち込み、必死にセイバーを調べ、そして何か手段がないかをムーンセルのデータベースへとアクセスして調べている。こうやって足すかてくれウr仲間がいる事が心底心強く思える。自分にできない事を補い合う仲間がいる事がこんなにも幸福な事は―――この聖杯戦争でなければ一生理解する事は出来なかっただろう。

 あぁ、だから、少し申し訳なくも思う。

 自分は凡人だ。ハッカーとしてはこの聖杯戦争参加最低クラス、魔術師としても礼装がなければほとんど何もできない。本当に、自分があるのはマスターとしての才能とこの観察眼だけ。それだけだ。それが誇りであることに間違いはない。正面からの戦いとなれば自分とセイバーは負けない。どんな劣勢を覆し勝利することができると信じている。それだけに、何もできないこの状況に心が苦しい。自分のサーヴァントの事だからこそ、自分でどうにかしてあげたい。セイバーの事は誰よりも自分が一番知っていると思うのは、独占欲なのだろうか。

 ともあれ、こうやって凛とラニが必死になって探っている中、自分は椅子を引っ張ってきて、ベッドに倒れるセイバーの手を握ることぐらいしかできない。そうやって、セイバーが耐える姿を見るしかない。

「ねえ、ラニ」

「おそらく同じ結論でしょうかと」

 凛とラニが何らかの結論に達したようだ。それがなんなのかを聞くためにも視線を彼女たちの方へと向ける。操作をいったん止めた二人は此方へと視線を向けている。何事かと思い、少し緊張したところで、凛が質問してくる。

「ねぇ、白野。少し質問するけどいいかしら?」

 構わない。なんだって質問していいと凛に言うと、凛は腕を組んで此方を見る。そして口を開く。

「貴女、四回戦の時に魔力の代わりに自分の肉体をソースとしてセイバーへと渡したのよね?」

 ―――そうだ。魔力では足りない。であれば別の者を燃料としてセイバーに渡す必要が出てくる。その為自分の肉体を構成するソースを三割程セイバーへとスキル発動の対価に渡し、その結果セイバーは逆転の手立てを立てる事が出来たのだ。そういえばあの時発動したスキルの内容を未だに教えられてないな、と少し考えながらも凛へと伝えると、凛は自分から視線を外し、ラニへと視線を向けるの。その先で褐色の少女は頭をうなずかせた。

「決まりね」

「そうですね」

 ラニはメガネをクイ、っと整えながら此方へと視線を写し、宣言してくる。

「―――上手くいけばセイバーの体内に新たな魔術回路を生成する事ができるかもしれません」

 ラニのその発言に驚愕し、とびかかりそうになる。今までの話を聞くにセイバーはそう言った干渉を嫌う体質の様だが―――。

「その抜け道を見つけましたので―――」

 ラニはウィンドウを操作し、此方の端末へとデータを送り込んできた。それを確認する前に、ラニは話を続けた。

「それを教会のミス蒼崎に見せてきてください。それによって我々の仮説が正しいかどうかを確かめる事が出来ます。彼らほど魂やサーヴァントの肉体に精通した存在であれば一目で可能かどうかを判断してくれましょう」

 ラニから受け取ったデータに感謝しつつ立ち上がる。こんな状況だからこそ無性に体が動か死体。というかかなりじれったい。マイルームの外へと向けて歩き出す。と、凛が顔を此方へと向けずに話しかけてくる。

「私達は私達で出来る事やってるから、寄り道しちゃ駄目よー」

 するか。

 凛は私の事を一体なんだと思っているのだ。

 ―――その軽口が凛なりの気遣いだというの事は解ってて答え、はしってマイルームの外へと飛び出す。

 セイバーに余裕はない。だからなるべく早く、早く終わらせないといけない。セイバーにはまだ猶予があるというが、アンナ姿を見せられては焦るほかはない。だから周りのNPCから奇異の視線にさらされている事を気にせず、会談は大ジャンプで一気に飛び降り、再びジャンプして一番下まで降りる。着地の衝撃で音が響いたり足が少ししびれるが、それは些事だ。このままはしって教会へと向かう。

「―――ほう、その目、まだ死んでないと見る」

 教会へと向かう廊下の途中、体の動きが凍る。その声は聞いたことがある。ほんの少し前、というよりも数時間前。アリーナで聞いたばかりの声だ。姿も形も見えない。だがその声がアサシンのものであるという事を疑う必要はない。姿を見せないまま、アサシンはこちらへと話しかけてくる。

 奇しくも、それはアサシンが決戦後に襲ってきた場所と全く同じ場所だった。

「あぁ、そう身構えるな。今日は何も命令されておらなんだな。戦う意志はない」

 それは解っている。このアサシンはセイバーに気配を悟らせない程の隠密のプロフェッショナルでありながら、対峙した時は殺気をみじんも隠そうとはしない。だからアサシンが自分を殺しに来たのであれば殺気で溢れているはずだ。いや、そもそも自分が一人でアサシンと対峙できるとは思ってさえいない。自分の適性は観察の一点に限る。これによって見抜き、指示する。サーヴァントがいなければ岸波白野という存在は成り立たないのだ。

 故に、アサシンは襲ってこない。

「カカカカ、良い。良い目をしている。―――行くがいい。セイバーを救うために奔走しておるのだろう? 正直このまま終わらせるには惜しい敵だ。可能であれば存分に壊したいのでな……!」

 一瞬だけ殺気をアサシンは見せる。それは間違いなくセイバーという敵への殺気。本気で正面からぶつかり合いたいというアサシンの我欲であった。―――それが、近藍の、五回戦の付け入る隙ではないのか? アサシンの隠密性を殺す毒になるのではないかと、直感的に思えた。

「さらばだ剣の英霊の主よ。再び壊せる時を楽しみにしているぞ」

 声を残し、アサシンは完全に消えた。少なくとも、そう感じる。黙ってついてくる理由も存在しないだろうし、アサシンは去ったのだろうと思っておく。ともあれ、凛に寄り道はするな、と言われている。

 急いで教会へと向かう。

 誰よりも頼りになる馬鹿を助ける為に。




原作とちょい違う、のかな。

さあ、次回、いよいよ……!
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| 断頭の剣鬼 | 16:13 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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