陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-37

 アリーナと侵入と同時に、セイバーは自分の出せる最高の速度でターゲットのエネミーを攻撃した。それは向こうも同じようで、最速の行動で道中のエネミーをなぎ倒しながらエネミーを撃破し―――アリーナのハンティングは一瞬で勝負が終わる。結果は昨日と変わらない。四対三、此方の方が一手早く動いたおかげでエネミーを一体多く倒す事が出来た。これでハンティングは完了、明日になれば言峰が報酬である敵の情報をくれるに違いない。

 それも、生きていればの話だ。

「来るぞ白野!」


 魔力を消費し、セイバーが前から言っていたようにセイバーに魔術のスキルをAクラスで取得させる。二刀の処刑刃を構えるセイバーは広い部屋で背後に私を置き、構えたまま動きを止める。その状態で数秒後、ガトーとバーサーカーがやってくる。バーサーカーとガトーは走ってここまでやって来たとはいえ、一切疲れを感じさせることはない―――バーサーカーはともかく、ガトーの精神力も体力も凄まじい。

「見つけたぞ魔王! 見つけたぞ小娘! さあ、我が神よ! あれこそ供え物、貴方が食らうべき贄! 原始の女よ、光の神を自らの手で下す事により貴女は神を超える事を証明する……!」

 ガトーの言葉にバーサーカーは狂う。天井を見上げる様に口を開き、

「―――ウォァァァァ―――ッ!!!」

 理性のない咆哮をアリーナに響かせる。それだけでアリーナが振動する。正直な話、アリスが召喚したジャバウォック以上の衝撃を受けているような気もする。いや、セイバーはジャバウォック相手であれば一撃で殺す隙があると言っていた。この相手が本来の力を持っていれば、勝てる見込みはないと言った。だったらこの戦いでせめて、その見込みがあるのかないのか、それを見極める。いや、見極めて見せる。そう、セイバーに認めて貰えたのだ。だったらその期待に応える。そしてセイバーに命の全てを預ける。

「セイバー、”好き”に戦って!」

 それは判断も指示も全てを捨てて、私一人は静観する事に他ならない。なぜなら今、敵の情報は一つもない。なら見るしかない。見て、聞いて、覚えて、そして考える。その為の一歩目を、”見る”という行動に全神経を傾け、バーサーカーの動きを全て記憶する必要がある。だからこの戦い、しのげると宣言したセイバーに必要なスキルを取得させ、完全に任せる。自分はこの戦闘、バーサーカーの動きを見極めるまで動かない。

「―――アクセス、スキルリコンストラクション。所持スキルを魔術スキルと組み合わせで最も効率的な型へと変化させる」

 何時の間にかセイバーの手からは刃が消え、セイバーは開戦の言葉を口にした。瞬間、アリーナの床を砕かんほどに力を込め、バーサーカーが瞬発する。右腕を大きく振り上げながら繰り出されるのは、シンプルな爪の一撃。武器を取り出さず、爪で切り先に来るバーs-アカー、その主武装は指の爪らしい。一瞬で接近してきたバーサーカーの攻撃をセイバーは上半身をスウェーする事で回避し、そしてカウンターに蹴りを繰り出す。

 バーサーカーは避ける事無くその一撃を顔面で受け止める。

「ウゥゥゥァァァア―――!」

 バーサーカーは吠えるだけだった。バーサーカーにさほどダメージが通っている様子はなく、蹴りを繰り出した足に噛みつこうとするバーサーカーがいた。

「行儀が悪いぞッ!」

 足を素早く引きながらセイバーが横へと飛ぶ。敵の足をかみ砕く事が出来なかったバーサーカーは金色の片目でセイバーを追うと、すかさずセイバーの姿に肉薄する。その素早さは軽くセイバーの素のステータスを超えている―――最低でも敏捷Bを想定しなくてはならない相手だ。だが、

「再生成完了―――アクセス―――ゴルゴダの磔刑……!」

 その瞬間にはセイバーのスキル再生成は完了していた。魔術スキルを通して最も発揮しやすい形に整えられたセイバーのスキルは、セイバーではなくキャスターとして習得するはずだったスキルを使用する。短時間の間のみ、それに本来よりも低威力と、制約は重い。だが、状況によって自分のスタイルすら切り替えられる無限の可能性を持つ”最優”がこのセイバーの何よりもの売りだ。

 セイバーの全身からプレッシャーの様なものが放たれる。目に見えはしない。だがそれをバーs-アカーが捉えている事は視線の動きから見える。前進していたバーサーカーはアリーナの床に拳を突き刺す事で急制止し、そのまま一気に体を後ろへ飛ばす。右へ左へ、最速のサーヴァントであるランサーの株を奪う程に高速の動きで残像を残し、右へ左へと避けながら再びガトーの下へと戻ってくる。

 セイバーもバーサーカーが戻ってくるのを確認し、二回ほどステップをしながら私の前まで戻ってくる。バーサーカーが無言でセイバーを見つめ、セイバーも無言でバーサーカーを見る。自分も、ガトーも口を出せない刹那の沈黙、

「神よ!」

「セイバー!」

 バーサーカーとセイバーが同時に飛び出す。

「跳んで!」

「ぬうぁぁにぃっ!?」

 バーサーカーの急接近に対しセイバーは跳ぶことによって回避する。バーサーカーの見せた加速は最初に見せたそれよりも数段早く、もはや自分の目で追えない速度だが―――あの時、バーサーカーは全力を出していない事は目に見えていた。更なる加速の余地を残していた……なら早めに行動すればいい。

「ははっ! 早いじゃないかマスター! じゃあ、俺も景気よくいくぞ」

 セイバーの手には得物がない。それは魔術を行使する際には邪山となるからであって、得物の代わりに魔法陣が手の前に出現していた。それを下にいるバーサーカーへと向け、バーサーカーが避ける前に打ち込む。

「GOGMAGOG……!」

 魔法陣から閃光が発射され、バーサーカーを飲み込む。一瞬の怯み、一瞬の隙、その隙をついて回転しながらセイバーがバーサーカーの頭上へと踵落としを叩き込み、

「マスターの質の差の勝利ってやつさ!」

 セイバーが踵落としから着地し、バーサーカーの体勢が整わない内に蹴りを繰り出しバーサーカーを強く蹴り、体を吹き飛ばす。その体をそのまま追いかけ、右手に黒い球体を生み出したセイバーはそれをバーサーカーの顔を掴む事で叩きつける。

「Disce Libens」

 セイバーが離れるのと同時に黒い球体はバーサーカーを飲み込み、全身を打ちつける。調子が良さそうなセイバーはバク転を決めながら再び私の前へと戻ってくる。

「我がマスターはセラフ一!」

 流石にそれは言いすぎだ、とは言うが、そう悪い気分でもない。自分の指示が見事決まり、相手を封殺してコンボを決めた時の気持ちはいい―――何よりセイバーが傷つく姿を見ない事が一番だ。

「おのれ天魔めぇ!!」

 ガトーが吠えるのと同時に黒い球体を内側から破ってバーサーカーが現れる。バーサーカーは両目を大きく開き、セイバーを睨みながら吠える。

「ガトォォォォォ―――!!!」

 バーサーカーの怒りの咆哮だった。その咆哮を聞き、ガトーは更に奮起する。

「阿修羅よ! 建御雷よ! 我が神に跪けぇい!!」

 ガトーのコードキャストによってバーサーカーの能力が強化される。瞬間、バーサーカーが飛び出す。もはや指示を口に出して飛ばす暇はなく―――。

「俺を信じろ白野……!」

 ―――黙ってセイバーと、そしてバーサーカーを見る。

 バーサーカーの一瞬の接近、敏捷がCではコードキャストによって筋力と敏捷が強化されたバーサーカーの攻撃にはまともに反応できない。一瞬の判断で防御をしたセイバーの体は、

「ツブレナサイッ……!」

 バーサーカーによって叩き潰された。今までの意趣返しなのか、バーサーカーはセイバーの頭を掴むとそれを全力でアリーナの床へと叩きつけた。その衝撃でアリーナの床にひびが走る。だがそれを気にすることもなくバーサーカーは再びセイバーの体を持ち上げ、

「アーパー吸血鬼め……! ―――拘束術式サハリエル」

 セイバーが術式の名を口にするのと同時に光の縛鎖がバーサーカーを締め上げる。だがそれも一瞬だ。鎖はバーサーカーの体を締め上げた次の瞬間にはバーサーカーん委酔って破壊される。これが本来、セイバーが最も魔術の効果を発揮できるクラスであるキャスターともなれば、しばしは拘束出来たかもしれない。だが最優である以上、本命以外の行動は全て”手段”というレベルへと落ちてしまう。

 一瞬の隙を生み出し、抜け出すための手段へと。

「無価値の腐剣、デスサイズ!」

 バーサーカーから解放されたセイバーが腕を振るう。その軌跡を追うように走ったのは一閃の炎だった。黒い腐滅の炎。魔術というスキルを得て自由自在に動かせるようになったそれは触れた相手を腐らせる腐滅の剣となってバーサーカーに斬撃を刻んだ。

「ハァァァァッッ!」

 バーサーカーはヘテロクロミアの目でセイバーを覗き込み、笑うように吠えながらセイバーの胸に拳を突きだす。その衝撃を受けセイバーの体がアリーナの反対側へと吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。だがその瞬間、

「ふんっ!」

「ウァッ!」

 吹き飛ばされたことにより距離を得たセイバーが床より黒い影を操作し、それにバーサーカーを噛ませる。

「上玉だ、しっかりと食えよナハツェーラー……!」

 ナハツェーラー。食人影。それが牙を生やし、赤い瞳でバーサーカーを捉え、その体に噛みつく。不快な感情を隠す事をバーサーカーは隠さずに吠える。

「この不届きものがァ! 神を地に縛り付けるとはなんたる不敬!!」

 ガトー怒りに吠えるのと同時に食人影がバーサーカーによって払われる。バーサーカーはどうやら拘束系統のじゅすつ式に強いのか、s回ほどからセイバーが時間を稼ぐ用意放つ拘束系の術式を純粋に腕力のみで吹き飛ばす。

 圧倒的に不利だ。ダメージ的にはどう見てもセイバーの方が重い。セイバーを見れば全身がボロボロ、額からは血を流し、それが顔を赤く染めている。比べてバーサーカーは擦り傷が多いが、致命傷に至るような傷はない。

「―――Slave Raphael」

 だがその程度、セイバーには関係なかった。短い詠唱。それを完了させたセイバーは風に包まれ、一瞬のうちに傷を癒していた。戦闘前と変わらない姿のセイバーがそこにはあった。そして理解した、セイバーの妙な自信の理由を。

 倒す事は出来ない、だが倒されないようにするのであれば魔術を駆使して戦い、適度に傷を癒せばいい。決戦場では使えず、アリーナで相手を偵察する時のみに使える方法だ。

「さ、仕切り直し、と言いたい所だが―――」

 セイバーとバーサーカーが構え直したところで、アリーナにアナウンスが鳴り響く。もはや聞きなれたムーンセルによる警告。

『―――アリーナ内でのマスター同士の戦闘は禁止されて―――』

 それはこの戦闘を強制終了させる行動であり、セイバーとバーサーカーの戦闘状態を強制的に解除させるアナウンスでもある。セイバーの魔術取得も丁度解除され、本当にギリギリのタイミングだったことを自覚させられ、冷や汗を流す。

 だが、セイバーは、自分の相棒は期待に応えてくれた。

「ぬう、おのれ小娘、おのれ魔王よ! 来たるべきジャッジメント・デイにて我が神が真の神として君臨すべき存在だと証明して見せよう! ならば、その時までさらばだっ!!」

 ガトーは怒っているのか、怒ってないのか、よくわからない姿を見せながらバーサーカーと共にアリーナ内から消える。戦闘内容を見る限り、バーサーカーが圧倒的だった。アレを相手に勝利しなくてはならないと思うと激しく頭が痛い。

 が、

 セイバーの笑みを見る限り、負ける気はしないと思う。この相棒は確信している。

「あぁ、勝率が四十パー上がったぜマスター」

 セイバーは宣言する。

「あの女、”原初の一”を失ってやはる」

 朗報を。
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| 断頭の剣鬼 | 19:12 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

 魔術系スキルの大盤振る舞いに激しく胸熱な回でした! これで前哨戦なんだから決勝はどれだけ派手になるんだというw
 そして、子リスマスターが内心のデレがそろそろ浮上しそうに見えてニヤニヤしてしまうこの頃、しかしCCCもありますし、レオ戦も考えるとまだまだ先なんですかねー激しく楽しみです!
 しかし、『セイバー、“好き”に~』の件を一瞬曲解してしまった私は大分末期な気がする……orz

| tonton | 2013/05/12 20:10 | URL | ≫ EDIT















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