陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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現実 ―――アス・ダーティー・アス・イット・キャン・ビー

推奨BGM:Unus Mundus


「さてそろそろ休憩を入れようか。珈琲飲むかい? それとも角砂糖を食べるかい? こうやって話す時は定期的な補給が大事だよ」

 そう言って菊岡は勝手に立ち上がるとポケットから角砂糖を取り出し、口の中に放り込む。もちろん言いたい事は多くある。だがその前に話を狩って人切り上げてしまった菊岡の動きを睨んで制す。それに一瞬臆した菊岡を言葉で捕まえる。

「どこへ行くって言うの?」

 菊岡の顔が引きつっているのが見える。そこまで強くドスを込めて喋ったわけではない。だがそれでも菊岡は此方の表情に対して軽く怯えている様な姿を見せている。視線をそのまま菊岡からラインハルトへと向ければ、ラインハルトは軽く肩を揺らす。


「あまりそう言う表情を浮かべるのは淑女としてどうかと思うぞ」

「端的に言うと悪鬼の様な表情浮かべているわよ」

 いけない。菊岡が大事な事を離し始める前に茶化すようなことを言い始めるから少し怖い顔をしてしまったようだ。いけない、と思い自分の眉間に触れる。少しだが皺が寄っていた。それを指の平で軽くほぐしながら、なるべく上品に笑みを浮かべ、それを菊岡へと向ける。

「とっとと戻って座れよオラ」

「彼の言葉を取るつもりではないが少々卿は休みを入れた方がいいのではないかね」

 ラインハルトは涼しい表情を浮かべているが、少しだけ此方を気遣う言葉を使っている。……少しだけ、焦り過ぎているのかもしれない。菊岡が苦笑しながら口を開く。

「まあ、正直な話……ここからは少しずつ胸糞の悪い話になるよ? あまり普通の人間に聞かせたくない―――というか聞かせられないクラスの話だよ。日本という国ではなく世界的に見てトップレベルの機密。これが情報としてばらまかれたら国がヤバイってレベルの話」

 そんな事を菊岡が苦笑しながらいうものだから一瞬、菊岡の言動を上段か何かの間違い化と疑う。だが苦笑しながらも覗き込む事の出来る菊岡誠二郎の目は一切笑ってはいない。菊岡は本気でそう思い、そして語っている。その事実に、ようやくキリトが関わっている事態の大きさを理解する。

 キリトは大きな流れ、その渦中に存在しているのだ。そしてそれはもはやどうしようもない。

「まあ、ここまで来たらごまかしは利かないしね。パパっと言っちゃうけど―――カール・クラフトと名乗った男が自分を売り込みに来たのは”二十年”以上も前の出来事となるんだよ」

「はあ!?」

「ちょ、ちょっと待ちなさい」

 流石にその言葉にはストップをかける事しかなかった。二十年以上前、最低二十年前にはカール・クラフトという男は存在し、そして今現在ここで使われている技術の根幹を生みあげたというのだ。明らかに進みすぎている。男の存在が、技術が、思考が、その全てが数世紀早すぎる。それに今使われている技術にはどう足掻いてもVR技術が必要とされている。だからこの話はおかしい。

 二十年も前となればまだVR技術、その初期段階さえ完成していないのだ。

「―――NERDLESの試作一号機が開発されたのは二〇一六年の話のはずよ」

 神代凜子はそれを断言した。茅場晶彦と共に開発に携わっている神代凜子だからこそ断言の出来る話だ。誰よりも開発に携わってきた人物がそれを断言するのだからこそ、それは事実なのだが―――。

「あぁ、そうだね。フラクトライトに関する技術の根幹にはVR技術が組み込まれている。これは大量のフラクトライトを一度に運用する上では非常に効率がいいからだ……だけど、まあ、最初の頃は量産せずにクオリティアップを望んでいたからね、そんな事をする必要もなかったんだよ」

 と、菊岡は言う。ここで凜子は少しだけホ、っとした表情を浮かべていた。sおれは先にVR技術はクラフトの手によって完成させられ、自分たちは、茅場晶彦の努力は無駄だったと断言されなかったからであろうか。

「カール・クラフトが持って来たフラクトライトは三つだった。その名を”ベリアル”、”ベルゼブブ”、そして”アスタロス”と言った。まあ、今思えばずいぶんなネーミングだけど、彼によって持ち込まれた三つの”魂”は本物だった。目で見る事が出来て、そして義体へと組み込めば人間とそん色のない思考、活動、言動、全く変わらない状態を見た。この男は自分は人間という範疇であれば魂を解析しきった、何て事も言ってのけたんだ。……そして魂にも寿命はあるって」

 菊岡は言葉を詰まらせることなく喋る。だが本人はあまり飢餓のならないのか、先ほどから口の中に投げ入れる角砂糖の数が多くなっているような気もする。

「カール・クラフトという男の手口は実に巧妙だったよ。まずはインパクトの強い登場。次に成果を出す。そしてその先がまだあると見せる。あの男は巧みな話術で自分の怪しさをどうでもいいものにし、政府の高官達の興味と期待をすべて集めたんだ。最初は人間に完璧に近いAIを生み出す研究だったプロジェクト・アリシゼーションもカール・クラフトが参加した事によって完成し、そして変革した」

 菊岡は一拍を置いてから言った。

「人を作る事から人を神にするプロジェクトとなった」


 菊岡はポケットの中に手を入れ、探るようなしぐさを取るが、その中で何も見つけられない。クラフトの話をしているうちに角砂糖を食べきってしまったのだろううか。ラインハルトがポケットから飴を取り出し、それを菊岡へと向ける。

「ジンギスカン飴ならあるぞ」

「……昔ジンギスカンキャラメルを北海道で食べて失敗したから遠慮しておくよ。あとにも先にもキャラメルで吐いたのはアレが初めてだったよ」

「そうか、試した事のない者にこれを食わせると中々愉快な姿が見れて良いのだが―――あぁ、ベイの時など最高だったな」

 菊岡でさえ吐くレベルの飴をラインハルトはこともなげに食べた。改めて人間を止めている事を実感する。

「えーと、どこまで話したっけなぁ……」

「人から神へって話よ。全く正気を疑う内容ね、それ」

 凜子の言葉に菊岡は別のポケットからビスケットを取り出し、それを齧りながら頷き、答える。

「全く持ってそうだよ。頭がおかしいと言うほかがない。だけどね、本当に、だからこそ彼は厄介だった。あの頃僕はまだ若くてプロジェクトに参加していなかったからね、どんな様子だったのかはわからないけど、その記録と今の経験から彼がどうしようもない天才だという事だけは理解できちゃうんだ。疑う事は出来ても、それをどう読んでも利益へと繋がってしまう。だから彼の存在は受け入れられ、変革したプロジェクトは彼を中心に進んだ」

 さて、と菊岡は腕を組む。ビスケットは既に十枚目へと突入している。段々とだが菊岡のポケットはどうなっているのか気になりだす。

「―――ここから二十年、つい最近までこのプロジェクトは最高を見ていない」

 それは、かなり長い期間だ。そしてプロジェクトの打ち切りには十分すぎるだけの時間でもある。だが二十年前からのプロジェクトが継続しているという事は、

「一定の成果をコンスタントに提示する事を彼は成功してたのね?」

「あってるけど、少し違うね」

 菊岡は断言する。

「カール・クラフトは自分の成果を十年間に渡って小出しにし続けたんだよ」

 菊岡は少しだけ、疲れているよう様子を見せる。

「彼は政府に向けて自分はちゃんと仕事をしている、プロジェクトを通して成果を生み出している―――そう見せながらも結局のところ最初から全てを知っていた、全てを持っていた。だから研究をしながらも、少しずつ自分の手札を見せて行った。そしてそれを見れば見る程に聖婦の高官たちはクラフトの見せる魔性の魅力にひきこまれていったよ。……魂の概念、フラクトライトの寿命、人間の魂を強化する方法、もはやオカルトの領域に足を突っ込んでいても、誰も注意しないし、注意する事も出来ない。気付いた時には遅い、彼は完全に魂をカール・クラフトという男に握られていた。彼の言葉の、彼の言葉の見せる幻影の虜だった。その状態へと持って行くのには数年もかからなかった。そこからはカール・クラフトが主導でひたすら彼の言う”神”を生み出す為の実験だったよ」

 まあ、解ってのとおりそれは最近までは何の意味のなかったんだけど、と菊岡は言う。だがそれは逆に生み出すこと自体には成功してしまった、という言葉でもある。あぁ、そうだ。カール・クラフトという男はもはや人の領域を最初から超越していたのだ。こうやって話を聞かされるだけでは実感は得られない。だが―――話を聞き、その成果を目撃したと確信すればその実感は得られる。キリトやサイアスから小話で色々と聞く事はあったが、それはここで、恐ろしい形で組み上がろうとしている。

「さて、このプロジェクトが実際は最初から一切の歩みがない事はこれだけ説明すれば解っていると思う。まあ、何で僕がこうも色々と知っているかは今のところは忘れておいてほしい。そこまで重要な事じゃないし。ともあれ、このプロジェクトが大きな変化を迎えるのはクラフトが加わってから十年後の話―――NERDLES試作一号機が完成した数か月後の話だ」

 NERDLESの単語が飛び出し、凜子は一瞬だけだがビクっとした。だが菊岡は止まらず……今度は板チョコレートを食べながら話を進める。そろそろいい加減に食べるのを止めないと血糖値がやばそうに見えるが、大丈夫なのだろうか。

「どこから聞いたかは知らないけどカール・クラフトという男はNERDLESが完成した事を何故か知っていた。そしてまるで最初からそれが完成されるのを待っていたかのように、この研究にNERDLESを―――仮想現実世界を組み込もうと提案してきた。ここまでくれば誰も彼の言葉は疑わない。誰もがこの男の成功を確信している。それはカリスマではなく洗脳にも近い状態だった。何故? という疑問は誰も浮かばず、NERDLESのコピーをぜいたくにお金を使って作って、それをフラクトライトの解析、管理専用に発展させたのが―――」

「―――STL、という事ですか」

「あぁ、もしかしてキリト君にSTLに関して話を聞いてたのかい? だったら解ると思うけど、STLはフラクトライトの事のみを考え、追及してできたマシンだ。人間の魂、それが持つ力を一番引き出す事に特化した機械、いうなれば魂の強さを反映できるマシンなんだ、これは。どうだい、凄いオカルトな話だろ? それを純粋な科学力だけで再現させているんだ―――普通の科学者には絶対無理な代物だ」

 こっから更に狂う、と菊岡は言って、チョコレートを食べきる。今度こそ食べる事を止め、その表情は何時もよりも真剣なものとなる。

「……何度もフラクトライトのテストを進めている内に僕たちは……いや、カール・クラフトは一つの仮説、というか結論を生み出した。フラクトライトはあくまでも人工物で、完全な天然の魂ではない。故にこれはボトムアップ型AIと言っても全く問題ない代物だ……だから教えられた事、命令された範疇でしか行動できない。それを超える想像力を普通の方法で得る事は出来ない、って。実際にSTLで生み出した仮想世界でもそうだった。彼らは本当の人間のように活動し、行動する。だが最後の壁、此方が設定した事を破る事は出来なかった。人ならそれでいい。だが神であるならそれを無視するぐらい存在でなくてはならない。でも何度テストしてもいい結果は生まれなかった……その中、一回だけルール破りに成功したフラクトライトがあった。そのフラクトライトはとある極限状況下において、意図的ではないにしろルールを破る事に成功したんだ」

 ここまで言えば解るでしょ? と菊岡は言う。

「普通の状況じゃだめなら極限状態で殻をぶち破らせるしか方法はない。それもどこまでもリアルで、予想不可能で、そして僕たちの手を離れて進行する様な。実際、ある程度管理できる状況でもよかったんだけど、カール・クラフトは許さなかった。彼は神の雛形と呼ぶ一つのフラクトライト、一人の少女を生み出した―――その名をマルグリットと呼んだ」

 激しく嫌な予感がする。たぶん、これから菊岡が何かを言うが、それを聞いて火開けないような予感がする。―――聞いてしまえば、たぶん、自分を抑える事が出来なくなる。

「カール・クラフトがマルグリットを生み出したのと同時期、”丁度いいタイミング”でSAO事件が発生した―――政府の高官達はこれが与えられた機会だと喜んで彼にどうするかの全権を任せた。

 その意味は、

「日本政府は実験の為に最初から君達を救うつもりはなかったんだよ」

 言葉よりも先に体が前に出た。




 流石ニート汚いなニート汚い。
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| 断頭の剣鬼 | 13:54 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

メルクリウス超うぜぇぇぇ!!
さすがニート。政府も操り人形か。
どうせ実験が成功すれば不老不死も夢じゃないとか言ったんだろな。
マリィを人工フラクトライトに混ぜることで違和感を消したわけですか。そしてSAO事件がマリィの成長のためだけにあったとしったアスナはどうするか

| シオウ | 2013/05/12 15:15 | URL | ≫ EDIT

メルクリウス超うぜぇぇぇ!!

| とっつき | 2013/05/12 16:20 | URL |

メルクリウス超うぜぇぇぇぇぇえええ!!

| ガリバー | 2013/05/12 21:45 | URL |

メルクリウス超うぜぇぇぇ!!

アスナさんがキリトさんが居ないせいで人として外しちゃいけないリミッターを(キリトさんとは違った意味で)バンバン外しとる‥‥‥このままだと阿修羅すら凌駕してしまいそうだ。

落ち着いて阿修羅さん!

| hunting ground | 2013/05/12 23:01 | URL | ≫ EDIT

メリクリウス超うぜぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!

| Poh | 2013/05/13 18:20 | URL | ≫ EDIT

メルクリウス超うぜぇぇぇぇ!!
流石ニートは格が違った。

| DHMO | 2013/05/13 18:57 | URL |















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