陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-33

 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイは見た。

 保健室の前で、体育座りしながらおにぎりを片手に食べるサーヴァントの姿を。

 この聖杯戦争でそんな姿はそもそも見れるのか、という疑問が浮かんでくるが、おそらくこれがこの男の、というよりもサーヴァントの芸風なのだろう、とこれ以上目の前のサーヴァントの姿に関して追及する事を―――

「何をしているのか聞いてもいいでしょうか?」

 ―――止められなかった。

「んあ? 麻婆食ってる以外に何をしている様に見えるんだよ」


 麻婆をのっそりと食らっていたセイバー―――シャヘルはレンゲを口から話、視線を持ち上げて此方を見てくる。天上の神へと世界の命運を賭けて戦った神が、体育座りで、麻婆とおにぎりを食べている。これ以上なく憐れでどうしようもない話だった。だが不思議と、マスターである岸波白野同様このサーヴァントは中々気になる存在でもある。その正体を知っており、尚且つ彼が口にして人間に対する価値観。

 ―――最近、色々と興味を抱く自分を自覚する。





 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイが此方を見ている。それは変化だと思う自分がいる。この少年王は足りていない。だからこそ最後の最後で絶対に敗北する。それは自分がいるから、等という自惚れでも自信でもなく、歴然たる事実として決まっている事なのだ。敗北を経験した事のない王が王冠を手にする事―――それはつまり終焉の幕開けなのだ。

 永遠の王とは神である。

 なるほど。ならば王とは完璧でなければならない。

 故に、レオは至らないのだ。

 と、それは本人からすれば完全に余計な話であり、聞いてもいない話。誰しも”足りない”という部分は一つや二つと言わず、何十個と持っている。王という種類部類の人種はそれが極端に少ないだけだ。そこから賢王と呼ばれる様なものは己の足りない部分と至らなさに気づけたものだ。

 さて、そう言うところもあって―――レオという少年は面白い、というのが自己の評価である。

「で、ガウェイン卿を引き連れて救世主君は此方へ何を」

 レオは此方の適当な言葉に対して怒りを見せない。それを器が広いと受け取るか、もしくは諦めているのか。そのどちらかなのだろうが、れおは特に気にすることなく此方へと話しかけてくる。

「世の学者が宗教家が見れば卒倒モノですよ、その姿は」

「既に言峰神父とごった煮宗教家に会っている。その結果」

 と、言って手の内の麻婆とおにぎりを見せる。

「お供え物である」

「流石に予想斜め上のリアクションですね」

 そう言って小さくだが、レオが笑みを浮かべた。何時も浮かべている微笑ではなく、純粋に状況を楽しんでいる事を表す、年相応の笑みだった。面白かったから笑った、そう言う類の笑みは当たり前に見えて実は貴重だ。特にこんな状況で見られる笑みは宝石程の価値を持つ。

 それはわずかだが、レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイが迎えつつある変化である事だと理解している。大きな変化ではない。小さな、ほんの少しな変化―――が、此方にとっては絶望的な変化であるかもしれない。少年王は自らに足りないものに気づくかもしれないし、気づかないかもしれない。

 いや、あるいは気づいても無駄かもしれない。

 敗北とは一度は経験しなければ真にその極意を味わえることはない。

 故に―――何らかの異常で、敗北を迎えても生き残る。そんな事態が発生しない限り、この少年王は真の覚醒へと至らないだろう。

 だから、まあ……こうやって一々霊体化せず、待ち構える様に保健室の前で待つのは確実に趣味の領域だ。何せこのタイプの人間は知っている限りではかなり少なく、似たようなタイプは知っていても、それぞれが違う成長を遂げた。殻を破る前の赤子を愛で、手を刺し延ばすのは年長者としては当然―――と、心の中で理論武装をしておく。

「まあ、ぶっちゃけた話凛とラニと話し合いをしているんだよ。我が愛しいマスターは」

「確か自爆しようとしたところを止め、二人とも救いだした、とか」

「お前の兄さんが視聴覚室で何かをしようとしてたおかげで何とか間に合う事が出来たよ」

 その発言にレオは眉を歪める。

「僕はユリウスを兄さんだと一度も言ってないですし、サーヴァントである貴方にはそういう細かい情報は知らない筈です」

「あぁ、だがそう言うのは魂の色を見れば解るものだ。そこのガウェイン卿だって方法は別として肉親か、そうじゃないのか判別する方法もってるんじゃないのか」

 ガウェインは無言で口を噤み、何も答えない。が、それは十分な答えでもある。伊達や酔狂で最優と呼ばれているわけではない。あらゆる面からみて”最優”だからこそ、セイバーにはその称号が与えられるのだ。

 つまり、聖剣とか魔剣ぶっぱしているのがセイバーの仕事ではないのだ。

 言葉にしてみると凄い酷い感じがする。

「で」

 麻婆を食べ終え、おにぎりも一気に食べ終える。ふざけるのもここまでだ。自分はともかく、レオは目的もなく話しかけてくるような存在ではない。一分一秒までもが精密にスケジューリングされているような存在だ。それが西欧財閥を象徴する、という意味でもある。故にこの時間だって限られている。だから相対するのであれば相対する。

 故に指を舐め、マスターから気づかれないように少量の吸い上げ、それを持って人間観察をスキルとして取得する。

「マスターが来ない内に答えよう、少年王。汝、我に己の疑問をぶつけてみよ」

 では、とレオは一旦言葉を置き、少し間を開けてから話しかけてくる。

「―――貴方のマスターは一体何者でしょうか」

 それがレオの疑問、レオの質問であった、タイムリーと言えばタイムリーな話題だ。だがレオはそう言う表面的な話をしているのではなく、本質的な部分を言葉にしている。何故レオはこうも岸波白野と、セイバーというコンビに話しかけるのか。何故こうも気になるのか。何故救いの手を伸ばそうとしたのか。レオ自身からすれば不思議な話だろう、何故ならこれは聖杯戦争で、他の参加者は最終的に滅ぼすべき敵だ。同盟を組もうが仲間を作ろうが、戦争の最後にはそれは全て意味がなくなる。

 レオは自分が最後に残る一人だと確信している。ゆえにこそ、どこにでもいるような女一人に自分が気にし、かまけている事が理解できない。

「正直な話、貴方に話しかけているのも彼女の事を知りたいという気持ちから来ている部分が大部分だと思います。これが恋愛感情から来るものではないとは理解しています。だからこそ僕は理解できない。何故ああも”平凡”な存在に対して僕は意識を向けているのだから」

「その答えは実に簡単な話だ。寧ろ俺としちゃあ、そこに気づかない事の方が不思議ではならないね。いい感じにアンバランスだな。実に面白く、維持利害があるが……ガウェイン卿の視線が怖いので答えだけいいますね、ハイ」

 レオの疑問は実にもっともな事であり、基本的な事だ。故に説教らしくなってしまうが、簡単な所から自覚を促す事を始める。

「ふむ、ではまず軽い所から始めよう。王である為に必要なものとはなんだ」

 微笑を浮かべた少年王はそれに対し素早くこたえる。

「資格と覚悟ですね」

「否。それは持って生まれたものが、”与えられた”ものが思いやすい勘違いよな。王に必要なのは資格でも覚悟でもない。王が王であるとして絶対的に必要なのは”民”だ。支配し。支配される民が存在すれば資格や覚悟も領土さえなくとも王にはなれる。まあ、これはある種の暴論だが―――必要なのは自分が治め、導く民だ」

「―――あぁ、なるほど。そういう事でしたか」

 それだけで残りを察する事が出来る辺り、この少年は凄まじく優秀だ。そこらの凡俗の者とは違う。だが話を始めたものとしては最後までそれを話す義務があるので適当に残りを口にする。

「そう、つまりはレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ、お前はそう特別な話でもなく我が愛しきマスターを”民”として見ているのだ。特にこの聖杯戦争という場所は多くの優秀な人間や一芸特化した変態とも言える連中の巣窟だ。その中で足りず、至らず、それでも努力する凡俗な人間を見つける。目標も寄る辺もなくただ暗中を模索する人。お前は敵ではない人間を全て平等に価値ある存在として見ている。つまり王の視点から人を見ている。敵には刃を。惑う民には救いの手を。お前は無意識ながら理解せずとも、この場における”無力な民”の象徴であり、平凡な少女に見える岸波白野を導く存在として見ている」

 一度そこで言葉を止め、レオにそれをの巫女馬を与えてから、言葉を終わらせに喋る。

「なるほど、人としちゃあそれは……おこがましい。だが、なるほど、王としてはそれは当たり前だ。王とは人ではない。王はどうであるか―――それはそれぞれの王が自らの王道として決めるべき道であり、理想である。故にそこは俺の語る部分ではない。だがお前の王道はどうやら人を幸福へと導く事を義務としているようだな」

 レオから視線を外し、ガウェインへと視線を向ける。

「良かったなガウェイン卿。この少年は大成さえすれば完成された騎士王とも言える存在になりかねんぞ―――まあ、最終的には確実に俺とマスターの愛に負けるからそこらへん意味ないんだが」

 言うだけの事は言い終わった。レオは神妙な表情を浮かべ、目を閉じ、数秒間そのままで塊―――目を開ける。その頃にはレオを悩ませていた疑問は欠片も残っていない。もうこの少年が俺単体に話しかけてくる事もなかろう。

「ま、頑張りたまえ少年。此方の邪魔にならない程度には応援している。人類全てを等しく愛しているからな、俺は」

「人類であれば敵さえ愛するその懐の広さは僕にでさえ真似はできませんけどね」

 今のはレオなりのジョークだったのか、少しだけ驚かされる。

「今回も非常に参考になる話でした―――ありがとうございます」

「ま、こんな敗北者の話で十分ならな」

「いえいえ、それでは―――」

 レオとガウェインが背を向けて保健室の前を通り過ぎ、アリーナへと向かって行く。当たり前の話だが彼らも聖杯戦争の参加者であり、トリガーの取得をしなければ決戦場への侵入は出来ない。あの少年王の対戦相手には悪い話だが、自分たち以外に負ける少年の姿が思い浮かばない。予想は覆ることなく、この少年王は決勝までやってくるのだろう。

 というのも、何となくとした予想だが―――あの少年王とは決勝まで対戦カードを組まされない気がする。

「いや、これは確信か」

 白野とレオの勝負は六回戦では”早すぎる”故、絶対に七回戦―――最終戦での勝負になる。

「あぁ、そうでした。最後に一つだけよろしいでしょうか?」

 アリーナへと向かっていた足を止め、レオが此方へと振り返る。

「興味本位の話ですが、魔界の王よ、貴方は自分のマスターの事をどう思っているのですか? 貴方も彼女を導くべき民として見ているのですか?」

 実に愚問。

 その問いに対する答えは簡単だ。

「愛している。答えはそれだけで十分だろう、少年王」

「えぇ、そうですね。ありがとうございます」

 今度こそ振り返ることなくレオは進み、アリーナの中へと消えてゆく。

 そして、再び暇になってしまった。保健室の方へ聞き耳を立ててみれば自分のマスターが凛やラニとまだ楽しくおしゃべりしている様に聞こえる。となればもう少々ここで時間を潰すべきなのだろう。

「……?」

 今、視界の端に保健室のAIである桜を見た気がする。ただその服装は白衣ではなく、黒いコートだった気がしてならない。が、次の瞬間にはそんな姿は何処にもない。

「見間違いか」

 昨日は大変だったし、少々疲れているのかもしれない、と呟き、壁に寄り掛かって少しの間だけ、休む事とする。

 主が保健室から出てくれば―――今日も今日とて探索と修練だ。




大人気コーナー!
レオ君を覚醒してみた! 第2弾!
ちゃくちゃくと積み上がって行くレオ君パーフェクト王様化計画ッッ!!
セイバー、七回戦で頭を抱えて呟く、「やめておけば良かった……!」
白野ちゃん、最後の令呪を持って命じる「自害はよ」……ッッ!

次回断頭EXTRA! 言峰神父ー! ハンティングなんてやめて麻婆の早食いしようぜー!


 と、型月の4月馬鹿風に次回予告。レオ君がちゃくちゃくとフラグを。
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| 断頭の剣鬼 | 09:25 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

セイバー! うしろうしろ!(笑)

| さきと | 2013/05/08 21:58 | URL | ≫ EDIT

完成してしまったらセイバー陣営に勝ち目はあるのかww

| 通行人D | 2013/05/08 22:47 | URL |















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