陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-31

 アリーナへとセイバーと共に入り込む。恨まれていないという事実は予想よりも気分を軽くしてくれた。セイバーは最初からそれ男見抜いていた様だが、何故知っていたのだろうか?そして凛は何故罵倒せず、心配するような言葉までをかけてくれたのだろうか? そこらへんはまだ、自分にはよくわからない。ただ今ならアリーナをいつも通り探索できる。それだけは理解している。

 アリーナへとやってきたセイバーの姿は何時も通りの服装で、処刑刃をいつも通り両方とも逆手に握っている。アリーナに進入した此方の横に立ち。すぐに前にも後ろにも回れるような配置で立っている。戦闘に関しては本当にいう事はない。が、セイバーの性格は一向として読むことができない。

 セイバーは、一体何を望んでいるのだろう。

 セイバーが教えてくれた己の過去。それはそれでいい。セイバーの事を知る事が出来た。だがそれがセイバーの全てではない事もまた事実だ。セイバーがレオに対して言った言葉、そしてあの時救うために取った行動、恐怖すら感じる圧倒的魔術。それは初めて見る、そして知るセイバーの側面だった。自分は少々、セイバーの事を知らなさすぎるのかもしれない。もう少し、マイルームでセイバーと話し、理解し合う状況を作るべきなのかもしれない。


「白野」

 セイバーの声に思考の海から引き戻される。

「アリーナにマスターとサーヴァントの気配だ。それも少々禍々しいタイプの気配だな。このままアリーナを探索する気なら接触は控えてくれ。勘だが情報もなしに相手をしていいタイプの敵じゃなさそうだ」

 どんなサーヴァント相手にも臆すことのなかったセイバーが、実に慎重な言葉と少しの不安を見せている様子があった。非常に珍しい光景もあって二度見する。

「なんだよ」

 しかしセイバーの主張はもっともな話だ。この聖杯戦争においてサーヴァントの情報の有無は勝敗を左右する。ライダーにしろ、アーチャーにしろ、キャスターにしろ、彼らと戦う時にある程度的確な指示がおくれたのは自分が彼らのマトリクスを通して動きを把握できたから。だからこそ先を読んで指示を出す事が出来た。やはり接触しない様に動いいた方がいいのだろう。

 セイバーに了承の言葉を返しながらアリーナ探索を開始する。少し先には魚型のエネミーが虚空を泳いでいるのが見える。

 今日も今日とて、やる事に変わりはない。姿が変わらないのであればAIにそう大きな変化もない。初めて見るタイプだから少し慎重になりながらも、その動きの法則性を見極め、セイバーの攻撃の指示を出す。パターンが見えるまでは魔力を若干多めに使用し、パターンが見えてきたら物理一辺倒で封殺する。

 セイバーの素早い連撃で沈むエネミーの姿を見つつ、覚えたパターンを端末に書き込み、

 アリーナのさらに奥へと進む。





 一時間もアリーナを探索すればアリーナの九割を歩き回ることに成功する。セイバーが相手マスターの気配を追ってくれるので今の所接触は存在しない。気配遮断スキル持ちのサーヴァントには意味のないスキルにすらならない技能らしいが、相手の位置をデータなしで追う事が出来るのは実に便利な事だ。多芸であることに今は感謝しつつ、まだ未探索のエリアへと足を踏み込む。

 そこで、床の中央にキラリと光、自己主張するものを発見する。光の塊にも見えるそれは―――

「こりゃあデータの塊だな」

 セイバーは腕を組み、床の光を見る。データの塊と言ったが、いったいどういう事なのだろうか。

「ん? つまりはムーンセルも百パー完璧って事じゃない証拠だよ。全並行世界を観測してるんだぜ? そりゃあバグの一つや二つあるってもんさ。これもそういうバグによって生まれた”ムーンセルの隙間”ってやつだ。……ここを除けばムーンセルから欲しいデータが得られるかもしれないぜ?」

 笑みを浮かべてセイバーがそんな事を言う。欲しいデータ、と言えばやはり敵の情報だ。セイバーはここから敵のデータを取得してみろ、と言っているのだろうか?

「ちげぇよ。流石にそこまでのチート行為を俺は推奨しないよ」

 ならば、何のデータを求めるのか、それをセイバーに問うた所、

「―――記憶がないんだろ? 戦う理由が欲しいんだろ? なら探してみたらどうだ」

 セイバーの言葉にゴクリ、と唾を飲み込む自分を自覚する。そう、ムーンセルは観測機であり、聖杯としての改竄能力はあくまでも副産物だ。だから此処には自分が記憶を失う前、どんな人物だったのか、それが記録されているのだ。確かにセイバーの言うとおり、これは願ってもいないチャンスだ。自分が抱えている悩み、それを一斉に晴らすチャンスかもしれない。

「そこに欲しいデータを考えてデータを取得してみろ。それだけでいいはずだ」

 そこからの行動は早い。

 ハッキングツールを取り出し、それを使ってデータを取得する為にハッキングを開始する。

 光として表現されているデータに触れた瞬間、眩暈と衝撃を軽くだが感じる。だがそれだけで、光は消えた。ハッキングツールを戻し、膝をついていたアリーナの床から立ち上がる。これでセイバーの言うデータは取得できたはずだ。

 どうだ、私のハッキングスキルも少しは成長しているのだぞ、と胸を張ってセイバーに言ってやる。

 だが、何時ものセイバーの軽口は帰ってこない。どうしたのかと気になりセイバーの方へと視線を向ける。

 ―――一瞬。ほんの一瞬だが、ものすごく、悲しそうな表情を浮かべた気がする。

 それも本当に刹那の出来事。あったのかさえも解らない一瞬。セイバーは何時も通りの笑みを浮かべている。何故か今の一瞬をセイバーに質問してはならないと感じた。質問は、何やら致命的な何かに繋がりそうな気配がして―――自分から踏み出す事は出来なかった。だから見なかったふりをし、端末をしまう。

 そして、

「―――小娘! 修練に励まずこのような場所で何をやっておるか!」

 キチガイがやってきた。

 三度笠を背にしたその男の姿は間違いなくガトーだ。暑苦しいまでの声と声量、それを聞き違える筈もない。だが問題なのはガトーがサーヴァントを連れて一緒にいる事だ。ガトーの横には金髪の女に見えるサーヴァントが存在する。ウェーブのかかった金髪、白いトップに紫のスカート。服装はそこらへんの店で購入した現代ものの服装に見える。ただ、その女は両目の色が違う。ヘテロクロミア、とでも言うのだろうか。目には相手を引き込む様な美しさがあった。

「おぉ、我が神よ! 三千世界をあまねく照らす我が神よ! 今こそそのお力を証明したまえ!」

 ガトーが両手を広げる。なるほど、ガトーが我が神と言い、信仰しているのはこのサーヴァントの事だった。さて、初見の相手を前に、戦う程自分は馬鹿でも無謀でもない。セイバーに質問する。この場から逃げることは可能かどうかを。

 しかし、セイバーのリアクションは予想を超えたものだった。

「ふ、ははは―――ははははは!!」

 笑っていた。敵のサーヴァントを見て、セイバーは腹を抱えて笑っていた。自分も、そして敵も予想外過ぎるリアクションに動きを停止する。ただセイバーは腹を抱えて笑った後に、敵のサーヴァントを見る。

「神、神と来たか! サーヴァントを神と崇める酔狂な男だとは思ったが、まさかその”ファニーヴァンプ”を崇めるとはなぁ! これが面白くなきゃ何が面白いって言う!」

 ファニーヴァンプ、それは自分の聞いたことのないサーヴァントのクラス―――いわゆるイレギュラークラスではなかろうか。

「良く聞け白野、そいつは本来はファニーヴァンプってクラスで召喚されるはずだったサーヴァントだ。マスターを破滅させる魔性の吸血鬼―――それがファニーヴァンプだが、バーサーカーとして召喚されているおかげで弱っているぞ。あぁ、これが本来のクラスであれば最初から出来レースなんだがな!」

 なにが面白いのか、セイバーはやけに饒舌だった。そしてその光景を黙って聞くバーサーカーも、ガトーもどこか不気味であり、

「教えてやろう、白野。そいつのステータスやらスキルやらは知らん。が、多少なりとも縁はあるから真名は知っている。夜明けの名の下に教えてやろう―――そいつはアルクェイド。アルクェイド・ブリュンスタッド! 神格とはまた別ステージに立つ存在だぞ!」

 セイバーは笑い声を上げながら処刑刃を二刀とも逆手に握り、構える。普通ならセイバーはここで逃げる様に言うに違いない、だがセイバーから感じる戦意は間違いなく戦闘を行う寸前に見せるものだ。

「ぬう、貴様―――」

 ガトーは自分ではなくセイバーを睨んでいる。だがその瞳に感じるのは狂気ではなく理性だ。セイバーを睨み、その存在を眺め、そして口を開く。

「―――いや、貴殿は明けの明星か! その刃に曙の名を持つ者、小生にはそれ以外は思いつかぬ!」

「……は?」

 明けの明星とは少し前にセイバーが放った魔術の名前でもあったはずだ。それを持ってガトーはセイバーの真名を言い当てた。そしてそれを知り、ガトーは言葉づかいを敬うものへと変換させた。セイバーが前に神性を取得できたことから歴史上神格を有した存在と混合された者であることは把握していたが、ガトーの様な宗教家からは敬れる様な存在だったのか……?

 セイバーは笑みを浮かべ、言葉を返さない。だがガトーはセイバーを見、そしてセイバーが真名を言い当てたアルクェイド―――バーサーカーを見る。

「……」

 バーs-アカーは無言のまま、何も言わない。だがガトーはそこから何かをくみ取ったらしく、此方へと向き直る。

「おお、ここを修業の場と定めましたか! ならばこのガトー、如何なる針の山、茨の森、どのような修練であろうとも耐え抜いて見せましょう! いやいや、案じるには及ばず! 小生修行とか大好物で御座るから!」

 バーサーカーから視線を外したガトーは此方、ではなくセイバーへと視線を向けている。見事に自分は蚊帳の外というか、ガトーは一貫して”神”という存在への強い執着を見せている様にも感じる。

「と、いうわけだ。小生はこれより我が神と修練を始める為に遊ぶ時間も語り合う時間もない。この場は互いに手を引く事で妥協しようではないか」

 此方としては願ってもない話だ―――ただガトーとバーサーカーがトリガーのある部屋への道を塞いじゃっている事が非常に困る話なのだが、それは明日回収すればいい話だ。やけに好戦的なセイバーをなだめつつ、戦闘を回避する事が出来た事にホっとしつつこの場は離れる。

 ガトーとバーサーカーからある程度離れた所へ行くと、セイバーが片手で頭を押さえる。

「……済まん白野。すこしヤケになってた。俺もまだまだ未熟らしい」

 気にする必要はない、とセイバーには言うが、それでも何故あんなに好戦的だったのかは軽く気になる事実でもある。セイバーには何があったのかを聞き出そうとするが、セバーは頭を横に振る。

「……マイルームへと戻ったらゆっくり話そう。俺としても少しばかり気の重い話だ。ま、今は忘れておけ。それよりどうする。もう少し経験値稼ぐか? アレはかなり強いぞ」

 少しテンションが低いが、セイバーも大体いつも通りの状態へと戻っていた。やはりと言うべきか、セイバーの豹変は私があの光に触れてからの出来事だ。

 ―――セイバーはあの一瞬で、何を見たのだろうか。

 ともあれ、レベリングは不十分だ。毎回ガトーと戦闘を回避できるわけでもあるまい。もう少しだけエネミーを狩ってから戻ろう。

 その頃には自分もセイバーも、覚悟のほどは決まっていると信じて。




 珍しく調子の悪いセイバーさん。まあ、誰だってマスターに勝っても未来がないって理解しちゃあそうなるよね。そしてガトーさんはマジガトーというべきか、CCCで株自体は上がっているので、もうちょっとだけ狂人だけではなく聖人っぽい所をだしていこうかと。
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| 断頭の剣鬼 | 12:56 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

久しぶりに明星の名前で呼ばれるの見たわぁ。
そうか、神格だからガトーからはそういう対象なのか。


そしてガトーさんマジガトー。

| 空 | 2013/05/06 19:00 | URL |















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