陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-25

「シッ!」

 セイバーが足を蹴りだし、

「ハッ!」

 それを回転蹴りへと変化させ、拳を繰り出し、

「セィ!」

 バク転を決める。

 ヒラヒラするスカートはない。耳も尻尾もない。スラックスとシャツの上に衣を着た、シンプルだけどなじみ深い恰好。何時も通りの男のセイバーの姿がそこにはあった。腕を回し、体を捻りながら調子を確かめるセイバーは実に満足げな表情を浮かべ、元の姿の調子を確かめている。

「セイバーのサービスタイムは終了いたしました―――ここからは何時も通りロックに決めるぜ」


 ロックかどうなのかは疑問だが、セイバーがいつも通りの姿に戻った。そしてセイバー曰く、肉体の形が変わると重心などが変わって動きも微妙に変わってくるらしいため、なるべく慣れている、というよりも戦い慣れている姿が好ましいらしい。そう言うセイバーはなんだか妙に嬉しげだった。セイバーのベース、オリジナルとなった”一人目”は本来男だったらしいし、個人的にはこれが一番しっくりくる恰好でもあるらしい。

 まあ、自分としてもライダーとアーチャーに勝利したセイバーの姿が見れてこの上なく心強い。だが、それとは別に問題がある。マイルーム、セイバーが普段使うソファに腰掛けながら部屋の中央で軽く運動をこなすセイバーを見つつ、今までの情報を整理する。

 問題は一つ。

 ―――キャスターの正体が解らない。

 今手にしているキーワードはそう少ないわけではない。

 まずは一つ目のアリーナで取得したヴォーパルの剣、そして対戦したジャバウォック。

 キャスターが張った固有結界”名無しの森”、そして昨日ありすが落とした”鏡文字”のメモ。

 これから連想できるのはアリス・イン・ワンダーランドという童話だ。鏡の国のアリスは少女は不思議な世界で冒険をする。彼女たちが使ってきている魔術、宝具、それらは全てその童話がベースとなって出現してきている。だからあのキャスターを主人公のアリスと呼ぶのは―――少し違う。アリスと言えば”アリスエプロンドレス”というジャンルの服が出る程の有名人であり、その服装はアリスの象徴でもある。サーヴァントとして顕現する上であの服装ではないのはおかしい。

 なによりも、キャスターとありすの姿は似すぎている。蒼崎橙子は同一の存在の様な相性等と言っていた。ありすがゴーストであることはもはや疑う事はない。これで半分だ。もう半分、キャスターの正体へと辿り着くためのラストピースが足りないのだ。

 一枚だけピースの抜けたパズルを見ている様な、そんな感覚に囚われる。だがそれは正しい。パズルの中核を担うピースが抜けている。それがあればキャスターの真の正体へと辿り着けるような、そんな気がする。

 ……いや、しかしある種の予感はあるし、予測は出来上がっているのだ。

「ほほう、面白そうな事を考えてるな」

 ソファの前のテーブルにセイバーが座る。相当運動をしていたようにも思えるのに、その姿には一切の汗が見えない。やはりここらへん、英霊は人間と全く違う生き物なのだな、と思い知らされる。しかし、さて、面白い事、と言われてもどうだろうか。キャスターの関係とありすの関係、そして正体を、そのラストピースを埋めるためのある種の予想があるという話なのだ。

「言ってみろよ」

 セイバーに催促されたので口に出してみる。

「ありすとアリスって、まるで鏡写しの様だよね。なんか、こう―――キャスターがアリスの鏡みたい」

「ほほう」

 セイバーが笑みを浮かべる。それも、自分の良く知る笑みだ。こういう笑みを浮かべたセイバーは此方が何か成功した時だったり、答えにたどり着いた時、何らかの”真実”へと到達した時に見せる様な笑みだ。慈しみ、見守る、父の様な笑みだ。

 なんか、少しだけムカつく。だがそれを口にしてもからかわれるだけだ。セイバーには勝てる気がしないので、純粋に諦めの溜息を吐く。それを見てセイバーは笑い声を軽く、だが零す。

「ま、疑問というやつは厄介だ。溜め込めば溜め込むほど重くなって体を縛り付ける。だから良い疑問にしろ、悪い疑問にしろ、そりゃあどっかで発散させなきゃいけないときた。実に面倒。実に厄介。疑問は他人がいて初めて解消できる、相手が非協力的だと実に滞る!」

 セイバーは言っているのだ。解ったのなら動け、と。そしてそれは言われるまでもない。

 セイバーなら解っているはずだ。ありすの居場所が。

「おうともよ。便利スキルを開示した今、その恩恵を存分に味わえ……まあ、戦闘中は使用可能時間の都合上宣言できるのは”1スキルのみ”なんだがな。そこらへん、ムーンセルさんスキルデータのバランシングマジお疲れ様って事で。あ、でも聖者の数字とかアレ完全にチートだろ」

 後半はどうでもいいから、そう言うのは早めに言ってくださいよセイバーさん。いや、マジで。





 セイバーの言うとおりにアリーナの入り口へと向かえば、そこにはありすの姿があった。アリスの姿はない。ここは質問をするチャンスだ。相応の覚悟を持ってありすに近づく。

「あ、お姉ちゃん。……どうしたの? お顔が怖いわ」

 此方の表情に少し、ありすが怯えている。が、それでも、此方は覚悟を持って挑まなくてはならない。少し戸惑うような表情のありすに疑問を言葉というナイフにして投げつける。

「ありす、君は鏡の―――」

「―――あたしはありすの夢。ありすが読んだお話の姿」

 答えは横からやってきた。霊体化を解除、ではなく転移で出現したキャスターは自らの声で自らの正体をバラしていた。いや、此方が真実へと辿り着いたことを確信し、そして最後の欠片を開示してきている。

「ありすが望んで、聖杯が応えたお友達。ジャバウォックはサーヴァントじゃない。ありすの力でありすが生んだの」

 これで確定した。ジャバウォックはキャスターの宝具による召喚で現れたのだ。

 そして、

「あの子はアリス」

 ありすは言う。

「アリスはありす」

 アリスは言う。

「ありすはアリス」

 交互に話せど、彼女たちは色を抜けば声もしぐさも一緒だ。まるで鏡合せの様に、鏡に映った少女が語り合っている様に。夢の中の鏡にうつされたありすがアリスを生んだように。ありすの夢見た物語がアリスを形作った様に。彼女たちは二人で一つ。二人で初めてサーヴァントとマスターでいられる。その意味は他の主従よりも太く、強く、そして儚い。

 ありすが夢見た物語の主人公―――ありすの夢を守る童話の鏡。それがキャスターの正体だ。

 キャスターなんて英霊は存在していなかったのだ。架空の存在、それがありすの夢を、愛した物語を受けて英霊化したサーヴァント、それがキャスターの全てだ。

 このサーヴァントに名をつけるなら子供に聞かせる童話の名を―――ナーサリー・ライムと呼ぶべきだろう。

 その考えに、情報に行き当たった瞬間、端末が音を鳴らす。それを確認するつもりはない―――おそらくだが、その端末は情報マトリクスが3となっていたのを、マトリクスを最大状態への移行を示しているはずだ。だがそれを確認する余裕はない。挟まれるように今、自分はありすとアリスの間にいるのだ。セイバーは霊体化しているが、すぐにでも現れる事が出来る。

『安心しろ。階段の方を見ろよ―――麻婆魔人がこっち見てるだろ? アイツの目が届く範囲では戦闘は出来ない。というかアレ、一回戦で戦ったライダーよりは強いぞ』

 ま、マジか―――!

 セイバーの発言にちょいちょい驚かされつつも、勇気づけられる。なんというか、セイバーはここら辺の飴と鞭が非常に絶妙だ。それで言葉が正しいのかは解らないが。

 ともあれ、

 幸いなことにありすもアリスも戦意はない。

「もうすぐ新しい遊び場ができるから、それまでバイバイお姉ちゃん! 楽しみにしててね!」

「楽しみにしててね!」

 少女達の姿が消える。彼女たちの姿が消えるのと同時に、少しだけだが心に余裕が出てくる。やはり、というべきなのか。目の前に明日の対戦相手がいるとなると緊張せずにはいられない。

「あ―――」

 そう、明日は決戦日なのだ。明日、自分とありすはあのコロシアムで殺し合うのだ。それをムーンセルは止めないし、止める事も出来ない。生き残るためには絶対に対戦相手を殺さなくてはならないのだ。そう、自分かありすの死は確定的なものとして決定しているのだ。この数日間はそれをよく考えていなかった。だがこの状況に、真名やありすの正体を忘れて決戦の事だけを考えると嫌でも認識してしまう。

 明日、私はまた人を殺すんだ―――。

 その考えへと至るのと同時に軽いめまいがする。

 ふと、背中に暖かい感触を得る。

「白野」

 セイバーが後ろから両肩を抑え、体を支えていた。だがそれだけだ。それ以上セイバーは言葉を発さない。それでも―――

「……うん、大丈夫じゃないけど、……大丈夫」

 ―――セイバーから離れる。そう、明日、私は人を殺すということtなる。願いがある訳じゃないし、明確な信念がある訳でもない。ただ、何も知らないまま死にたくない。それだけ。それだけを燃料にこのまま生き足掻いてきたのだ。自分でも見苦しいと解っていても、死ぬことはできない。なんという無様、何という酷いありさまだ。

 それでも、

 ―――ダン・ブラックモアに教わったのだ。

 私には義務がある。

 たとえそれがどんな相手であろうと、結果をから逃げてはならない。現実を直視しなければならないのだ。現実は常に残酷で、容赦はないが―――それでもここで生きている以上、それに対して真摯でなければならない。それはダンに教わった事であり、セイバーに誓った事でもある。そう、セイバーという剣を振るうのは常に私で、問題を切り払うのも私だ。

 だから逃げてはいけない、幼いとか、理解してないとか、ゴーストとか―――そういう言葉で飾って、自分に対して逃げ道を用意してはいけないのだ。それはダンの死を穢す事であり、そして間桐慎二が迎えた結果に対して目を背けることなのだ。

 どんなに辛くても、目をそむけない―――それだけだ。

 なんと無情、辛く、そして―――。

「いいさ、それでいい。気張れよ。俺はそんなお前を愛している。愛おしい人であってくれ、白野」

「お前は何を言ってくれているんですか!?」

 セイバーの発言に少しビビって距離を生む。セイバーがえー、等と声を流しつつ唇を尖らす。

「そこはほら、シリアスな雰囲気のまま流す所だろ……特にこういう意味深な言葉はさ、セイバーさんの核心に迫る言葉だったかもしれないのよ!?」

「お前は一体何がしたいんだ」

 何か気が抜けた。

 まあ、いいや。少しだけ、力を抜いた方が自分達らしい……かもしれない。

 とりあえず、

「一日最低一レベル上昇! 目指せ二レベか三レベ上昇!」

「おー!」

 マトリクスはまた後で確認するとして―――明日に備えてアリーナへと踏み込む。




 明広セイバーの本来の適性。
 ???>キャスター>バーサーカー>セイバー

 邪神のサバ化ステータス望んでる人いるけど、キャラのサバ化望んでるのでアレば感想にでも書けば次回か、その次のあとがきにステータスでもだす。あ、もちろん次回は3回戦決戦です。
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| 断頭の剣鬼 | 14:55 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

さすがてんぞーさん!

ということで、お願いします。どんな感じで弱体化されんのかね。

| 空 | 2013/05/01 16:20 | URL |

さあ、次のバトルはどんなふうになるのかな。

雑記で紹介されてしまったゲームにちょっとは嵌まってやヴぁい

| 通行人D | 2013/05/01 21:46 | URL |

じゃあ正樹君で(迫真)

| おk | 2013/05/02 09:21 | URL |















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