陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-23

 朝起きたらセイバーに用意された朝食があった。現在の姿のベースとなっているセイバーはその世界ではメイドなんてやっていたらしく、姿に引っ張られるように料理したという。部屋の隅に出来上がっているシステムキッチンから目を逸らしつつ朝食を食べての感想。

「―――女のとしての自信を無くす……!」

「白野?」

 あの性格のセイバーが作った料理のクオリティが予想を超えて高くて―――軽くへこんだ。





 朝食のメシテロを乗り越えてマイルームから出る。久しぶりに麻婆か麻婆丼以外の両リオ朝ごはんに食べた。あのマーボーハヤバイ。中毒性が異常に高い。それから抜け出す意味でもまともな朝食は良かったのかもしれない―――女として負けた気がするが。


「さて、白野。メモの方はもう確認したか?」

 出現したセイバーは昨日と同じ、プリッツスカートにブラウス姿だが、そこに防具である籠手と具足、そして赤い衣をつけた状態となっている。スカートの下からゆらゆらと尻尾を揺らし、そんな事を聞いてくる。しかしこの姿のまま、という事は本当に弱点へのダイレクトアタックだったのだなぁ、と今更ながら思う。そしてもちろんメモの内容は確認してある。そこに書かれていたのは実に短く、

 ”あなたの名前はなあに?”

 メモにはそう書かれていた。

「あなたの名前は何、か。”名無しの森”で名を聞くのか。ばかばかしいけど、案外それが答えだったりしてな」

 セイバーはそんな事を感慨深げにつぶやく。あの固有結界の中では名を覚える事が出来ない。もし、名を叫ぶことが答えだとしたら、自分の名を忘れずに持ち込む方法が必要だ。だが固有結界を相手にそんなことする方法を思いつかない。

 となれば、やっぱり頼るほかない。

「未来に生きすぎてノーパン健康法を取ってるアトラスの最終兵器ラニと、赤い服がトレードマークのレジスタンスのツンデレ平気凛か」

「セイバー、それ絶対聞かれない様にしてね。というかラニがノーパンとか初耳なんですが」

「ヴォーパルの剣を錬成した時に少し風がふいたろ?その時に見えた」

 おい、待てセイバー。お前は日ごろから視線をどこに向けてるんだ。

「……」

 セイバーは無言で消えた。この件に関しては非常に興味があるので本日の探索が終わったら是非ともセイバーに聞きださなくてはならない。その時は最終奥義・カラダ・ニ・キクンダ! を使う事も辞さない。

 ……っと、まあ、ふざけるのもここまでにして、そろそろ真面目に攻略を開始するとしよう。ありすかありすが自分に対して殺意を持っているのは明白だ。これを何とかし、決戦での勝機を見出さなければならない。

 二階の階段を登り。三階へと到着する。二回戦の頃と比べて明らかに少なくなったマスターの気配は、少しずつだがこの聖杯戦争の進行を伝えている。少し、というかかなり寂しく感じる。差いっしょは活気に満ちていた校内も、後半となれば―――残されるのはNPCと、片手で数えられるほどのマスターだけだ。

 と、いた。三階の廊下奥、何時も通り星を眺めている彼女の姿があった。

 ラニ=Ⅷ.アトラス院のホムンクルスにして、二回戦や三回戦での協力者。同盟とはいってないが、それでも聖杯戦争を勝ち抜くために頼った、心強い”ライバル”だ。ラニにおはよう、と挨拶をしながら近寄ると、ラニも頭を下げて挨拶してくる。

「おはよう御座います。何の用でしょうか」

 さっそく、というよりも無駄に話を伸ばすタイプでもない。此方としても本題に入るのが早いのは助かる。さっそくだがラニに名前を忘れない方法がないかを聞いてみる。

「名前を忘れない方法ですか? でしたら魂に直接名前を刻むコムという方法が有効かと思います。ただし少々痛みを伴いますし、魂が砕かれる可能性も―――」

『白野、このアホムンクルスは大真面目で言ってるからな』

 ラニの目は真剣だ。しかも望むのならやるとか言ってきている。丁重にラニの提案は理、そして廊下の奥から離れる。セイバーの話ではラニはまだまだ若いホムンクルスだと説明したが、それはどういう事だろうか。

『知識はあっても精神が成熟してないって事だ。まだAIと似たような状況。言われた通り、プログラム通り動く存在ってやつだ。俺の本体も昔、そんな感じに白痴の子を一般人のレベルまで教育した事がある―――まあ、教育方法はとてもだが口に出せる方法ではないが』

 流石セイバーというべきか、色々経験しているものだ、と感心する。ともあれ、ラニはなんというか全力過ぎて話にならない。ここはもう一人の頼りになるアドバイザーの元へと行くとする。三階の階段を登れば校舎の屋上へと出る。そして屋上のフェンスに寄り掛かる様に端末を覗いている姿は何時も通りの遠坂凛だ。今日も情報の確認や、ハッキング、対策を練ってたりと忙しそうだが、その時間を少し割いてもらおう。

 驚かせないために少し離れた位置から凛、と声を駆けながら近寄る。しかし口を開くころには既に此方を見ているし、霊体化したサーヴァントに此方の到来を知らされているのかもしれない。とりあえず凛に近づき、おはようとあいさつしながら早速質問する。

「名前を憶えていられる方法を知らない?」

「あっきれた……ついにそんな情報まで消えたの?」

『確かにそんな言い方だとそんな風に聞こえるよな』

 だったら最初から言ってほしいな、セイバーよ。

 凛にとりあえずの現状を説明する。敵のサーヴァントがマスターと全く同じ姿をしている事、キャスターである事、そして相手がアリーナでずっと展開する様な固有結界を張る事。そして、その固有結界では名前を覚えられず、自我が消失する事。それを聞いて凛は驚愕していた。

「はあ!? なにそれ!? アリーナで固有結界をずっと展開ってなにそれ絶対おかしいわよ。かなりきな臭い話よ、それ。とてもだけど真っ当な英霊ではないわね。何か、反則じみた特例か、特殊な能力を持ってる筈よ―――……ここでつぶれてくれないかしら……」

 凛が物騒な事を言っている。が、とりあえずあの固有結界を破る事に必要なのは自分の名だと思っている。あの名を覚えられない世界の中で、名を叫ぶことができれば、必ず結界の破壊につながるはずだ。

「ん? メモよメモ」

 凛はあっさりと告げた。

「メモに書いてあったんでしょ? 名前は何? って。だったらこっちも適当に名前を書いて持ち込めばいいのよ。そうすれば意味が解らなくても読むことぐらいはできるでしょ? そうね、手にでも書いておけば忘れないんじゃないかしら」

 ―――その発想はなかった。

 良く考えれば合理的な話だ。当然といえば当然でもある。覚えてないのであれば最低でも読める様に準備すればいい。意味が解らなくとも読んで口にすることができればそれで名前を言った事になる。なんというか、言われてみれば”あぁ、そうか”と、納得してしまう答えだった。

「ま、そういう事よ。子供だましには子供だましよ。メモを残すのもおそらくルールの一部なんでしょうね、”遊び”である以上はルールに縛られるって意味でしょうし」

 凛には感謝しなければいけない。こんな事を思いつかない自分もセイバーもどうにかしていた。素直な気持ちを感謝の言葉として継げると、凛が少し顔を赤くしていた。

「っ、ば、バッカじゃない? こんな事で一々お礼を言われてたら私は今頃女王様だっての」

 やはり凛の対応はそっけない。いずれは殺し合うかもしれない仲なのだから仕方がないのかもしれないが、それでも少し寂しい。

『はくのんはくのん、アレ、怒ってるから赤いんじゃなくて照れてるから赤いんだよ! ツンデレだよツンデレ! ”可能性の覇道者”で人間観察を取得したこのセイバーの目に狂いはない!』

 魔力が減ったと思ったらお前は何をやっているんだセイバー。いや、しかしこれがツンデレなのか。改めてみると確かに凛は少し焦っている様な感じもしている。少しダケニヤニヤしいておこう。

 と、忘れないうちに手に名前を書き込んでおく。

 岸波白野―――、っと。これで名前を手に書いておいた。忘れる事はあっても読めない事はないだろう。とりあえずこれで名無しの森の突破は可能となった。心置きなく、アリーナの探索へと挑むことができるようになった。

 アリーナに入る前にセイバーには短時間だけだが耐える為の覚悟をしてもらってから、再びアリーナへと入ろう。

「ま、頑張りなさいよ。正直私でも相手したくない部類だからそういうのは。ステータスが低くても宝具がEX判定の連中って大抵宝具だけで此方を封殺してくる奴らだから相手し辛いのよね」

 それはなんというか、

 一回戦と二回戦で嫌という程味わってきた。





 アリーナの中は前来た時と変わらない、次がと名を削る最悪の結界が展開されていた。予め魔力を全てセイバーに投げ渡していたため、セイバーは宝具を部分的に使い、この結界による干渉を完全に否定している。まだ宝具は教えてもらえない。が、セイバーは”時が来たら”、とその時に真名と共に宝具を授けると言っている。信用されていないのではなく、力不足が原因で伝えられない事は理解している。

 だから、叫ぼう。

 この手に書かれている文字の意味は解らないが、とりあえず叫ばなくてはいけない事がある。

「フランシスコォ・ザビエェェ―――ル!!!」

「グフォ」

 セイバーが吐血した。おや、おかしい。自分の認識が正しければ今ので固有結界が……。

「テメェ解っててネタに走ったなこんちくしょう!!」

 セイバーが武器をアリーナの床に叩きつけてもう抗議してくる。だが、うむ。

「セイバーが何を言っているのかよくわからにゃいにゃあー」

「語尾をネコっぽくしても無駄だぞ……!」

 正直これ以上はセイバーをブチギレさせそうなのでふざけるのは止めよう。もう一度手に書いてある文字を確認し、それを読みあげる。

「―――岸波白野」

 それだけで十分だった。アリーナを覆っていた固有結界はガラスが割れるような音とも人砕け散り、その存在を崩壊させた。セイバーから使用されなかった魔力が戻ってきた。それは自分が使える魔力の総量の半分ほどで、セイバーの宝具がこの短時間で吸い上げた魔力の量を証明している。セイバーの宝具、それは凄まじく燃費の悪いものかもしれない。今のうちに覚悟しておこう。

 キィン、と転移音をならせながら白と黒のありすが現れる。

「名無しの森が壊れてしまったわあたし」

「そうねあたし」

「もう他の遊び場がないわあたし、どうしましょうか」

「大丈夫よ、ありす。もう少しで時計がなってしまうもの―――その時は思いっきり遊べるわ」

 間違いない。あの黒い方がサーヴァントだ。どこまでもありすと同じで、似ていて、重なっているが―――それでもあの黒い少女の言葉には毒が混ぜられている。巧妙な誘導と、そして隠された敵意が此方へと向けられている……!

「見抜いたか白野? その観察眼を更に磨け。それと、お前の根性が俺達の一番の武器だ」

 セイバーの言葉に背中を押されるようにして、黒い少女を見る。ありすと似て非なるありす―――彼女こそがアリス、ありすの影にして模倣にして、ありすを守っている存在だ。情報が足りない。いや、欠落している。

「じゃあねお姉ちゃん達!」

「そっちのお姉ちゃんもお茶会までには元のお洋服に戻れるといいわね!」

 ありすとアリスが姿を消す。彼女たちの正体を暴くには最後のピースが足りない。今日のアリーナ探索でそれと、そして明日の内に真名を看破しよう。

 何故なら今日は四日目。

 残されたモラトリアムは二日。

 七日目。それが自分とありす、どちらが死ぬかを決める日となる。




 どうでもいいゲームサイドのデータとして、現在セイバーが習得している戦闘用スキルは4個だったりします。ゲームサイドではない表現としてスキルの応用やら、固有スキルによる戦闘中強化など、そんな感じの描写もあります。

アンケート継続中。ラニ>両方>凛って感じですね。
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| 断頭の剣鬼 | 15:04 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

両方助けて、いっそランサーに獣どnゲフンゲフン……作者さんの他二次からのオリ鯖とか見たいきも。

| | 2013/04/29 17:55 | URL |

 なんだろう、ここ最近Extraのクオリティが目に見えて上がっている気がする―――ハッ! これが巷に聞く連休効果か!? てんぞーさん的に言うとHyper Update Time!!(必殺技みたくなったw
 うん、子リスマスターの暴走具合が微笑ましくてこっちもニヤニヤしてしまう。いいぞもっとやれっ
 ラニ、やはりNoパン健康法はツンデレに勝るのかw

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2013/04/29 19:04 | URL | ≫ EDIT

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邪神が出ると聞いて←


……いや、聖杯戦争の枠じゃ到底収まらんか。
宇宙を一つ犠牲にする覚悟じゃないと。まだ新しい邪神は進化途中だしね。

| 空 | 2013/04/29 22:53 | URL |















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