陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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現実 ―――ウェイクアップ・ボーイ

推奨BGM:Mein Kampf


 突然だが懐かしい事を思い出した。

 まだ兄達が高校で馬鹿をやってた頃の話だ。

 とにかく兄たちはハチャメチャだった。自重という言葉を知らなかった。いや、知っていて無視していたフシがある。だから色々と弟としては悩まされた日々ではあったが、楽しくもあった日々の話だ。あの頃は良かった。戻りたいなんてことは絶対に思えないが、それでもいい日々だった。

 一階、むちゃくちゃやっていた司狼が掴まった時があった。zの時は兄がざまぁ、とか言って盛大に煽っていたなあ、等と思い出しながらも、実の所司狼は自分から経験しに行ったのではないかと疑っている。あの男は基本的に言動も行動も狂人で、経験の尾為だけに刑務所に入って脱走をするだけの事はする男だと思っている。


 しかし、どうなんだろうか。

 鎖につながられた犯罪者の気持ちというものは。特に死刑を待つ身の者は、いったいどんな思いを抱きながら天井を見るのか。少なくとも司狼がそんな事を考えた事はない、とは断言できる。ただ彼らの気持ちを今の自分は欠片でも理解できるのではないかと思う。

 なにせ、状況はそう変わらないのだ。

 改めて自分の状況を整理する。

 昨夜遅く、情報を得る為にセントラルカセドラルへの潜入を決行した自分は、その最後の最後で慢心というか油断というか、とにかく不覚を取って負傷した。それも本来はありえない筈なのに。あの時の自分はどうかしていた。本当によくわからない。何故ああなってしまったのか。だがとりあえずそれで潜入は開始直後にバレて、そして負傷したところ逃げて―――逃げてどうした。

 上半身を持ち上げ、周りを見る。

「ッ……」

 突き刺された腹の傷が痛みを訴えるが、それを噛み殺しながら耐える。部屋は実にシンプルな部屋で、装飾品は少ない。必要最低限の家具などしか置いておらず、それ以外に置いてあるものはあまりない。近くに写真のスタンドらしきものがあるが、その中身は影がかかって見えない。少しだけ残念だ。

「さて、どうしようかなぁ……」

 現状の判断に困る。たぶん昨夜、自分は逃亡中に攻撃を受けて、気絶したのだ。それも凄い無様な姿を見せて。そして起きたらこの状況だった。掴まった、とは判断できない、何故なら自身の腹には包帯が巻かれており、治療を受けた後があるからだ。そして自分の姿もベッドの上にある。もし掴まったとしても、その場で殺されるか軽い治療の後に牢屋の中へ―――そんな展開が妥当だろう。決してこんな厚遇を受ける筈はない。

 だとすれば、助かったのだろうか。

 しかし誰が?

 気絶する時に聞こえた声には覚えがある。しかもかなり。誰かは思い出せないが、自分の人生に多大な恐怖を刻み付けた相手だという事は理解している。しかし恐怖の対象とか多すぎて誰か、とかどれが、とか判別がつかない。基本的に兄の関係者の誰か、という所までは理解している。だがそれ以上は皆目見当つかない。

「ふぅ……なる様にしかならないか」

 不思議と”何とかなる”という確信と自信があった。根拠はないが、こんな所で自分は終わる事はない。そんな気持ちがあった。だが、そんな根拠のない自信も今の状況では心強い。少しぐらい強いメンタルを保っておきたいし、そうでもなきゃ不安に駆られてしまいそうだ。

 と、そこで、こんこん、と扉を叩く音がする。

「もう起きてますかー?」

 扉を開けて入ってくる姿は良く知った人物で、

「あ、おはようございます、マサキ君」

 金髪のポニーテールが特徴的な女性、ベアトリスだった。





 包帯の交換と朝食を持って来た彼女は此方の傷の具合と、そして天命の現在値を確かめると納得した表情を浮かべた。

「いやぁ、やっぱり若いっていいですねー、こうも早く治っちゃうのは羨ましい限りです」

 彼女の登場に驚く、となれば、ここはベアトリスの家なのか? いや、それにしては飾りっ気が無さすぎる。ベアトリスの性格を考えればもっと装飾品があってもいいはずだ。

「ん? 大丈夫ですか?」

「あ、いえ、うん、ハイ」

 何を喋ればいいのか迷った挙句、何も言えずに頷く。昨夜の出来事、アレは確かにベアトリスの声ではなかった。となれば……この状況はどういう事だ?

「本当に大丈夫ですか? 校長が貴方を担いできたときはもう本当にどうしようかと……」

「校長!?」

 予想外過ぎるビッグネームに驚く。校長と言えばたった一人の存在を示す。つまりセントリア唯一の剣士を、騎士を育成し、公理教会へ闇の国と戦うための戦士を育成、供給している学園の長だ。そんな人物が自分を運び込んできた。もちろん、驚くほかない。なぜなら自分はそんなビッグネームと繋がっているわけがないし、顔も見た事がない。

 困った表情を浮かべ、頭を掻くほか、選択肢がない。

「あれ、そのリアクションを見るにもしかして校長の事知らない?」

「あぁ、えぇ、まあ……ハイ」

「うーん、昨日担いで連れてきたから親しい間柄だと思ってたんだけど違ったのかな? まあ、あの人色々と化け物染みてるしどうでもいっか」

 その理由でどうでもいっか、というのはおかしい。もっとよく考えろベアトリス。

 と、言いたい所だが、正直そこまでツッコミを入れる程元気はない。体は完全に治っているわけではないし、痛み分けという予想外の結果に終わってしまった事も痛い。それに、自分の顔が割れてしまった可能性もまだ存在するのだ。これで落ち込まなくてどうする。

「ま、ここにオートミールを置いておきますので、元気があったら食べてください。私は起きた事を伝えてきますので」

 そう言ってベアトリスは部屋から出て行った。それを見届けて、部屋に置いて枯れたオートミールを見る。とてもだが食べる気分ではない。部屋を見渡せば自分の所持品がない。

 あの黒い大太刀さえも。

 困った。

 非常に困った。

 アレだけはあの騎士に、騎士アリスに目撃されているのだ。アレを所持している事をごく少数だが、知っている人間はいる。そこから自分の存在を割り出す事の出来る存在もいるのだ。となると、実に困った事となる。アレから身元が判明されたら自分だけでは知り合いにまで、そしてキリトにまで迷惑がかかる。となれば、早くアレを見つけ出して脱出する必要がある。

 食べる気分ではない―――腹の中に何もないよりはマシだ。

 オートミールを一気に腹の中に流し込み、立ち上がる。上半身は包帯を覗けば裸、下半身は自前のスラックスを履いたままだ。おそらく剣は上着何かと一緒にどっかに保管されているはずだ。ベッドから降り、立ち上がる。腹に痛みはあるが、無視しようとすれば無視できる程度だ―――これよりも酷い痛みを前に受けた事がある。その経験が今更ながら自分を支えていると思うと涙が出そうになる。

 嫌な経験ばかり、どうして糧になるのだろうか。

 部屋から音を立てずに去ろうとした時。

「ほう、中々元気そうではないか」

 開けようとした扉が、触れる前に開いた。聞いたことのある声に体が硬直し、動く事おw拒否する。懐かしい気配、懐かしい言葉、そして蘇るトラウマ。そして脳内を駆け巡る走馬灯。短い人生だった。良かったかどうかは判断がつかないけど愉快すぎる人生だった……!

「貴様、何人を見て遠い目をしている」

「痛い! 痛いです!」

 目の前の人物が片手で顔を掴み持ち上げてくる。それだけで体が床から数センチうかんでいる気さえする。苛烈な言動、行動、そして威圧的なこの存在感。それに符号する存在を自分は一人しか存在しない。

「エレオノーレさん!」

「ふんっ」

「ぬわっ」

 そのままベッド上まで投げ飛ばされる。尻からベッドの上に着地すると、葉巻を咥えたエレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグの姿がそこにあった。赤い髪はポニーテールでは纏めておらず、服装もこの世界観にそった簡素なものになっているが、その強烈なまでの姿の人物を忘れるわけがない。というか今でもALOでの登場時の姿は軽いトラウマとして残っている。

 しかし、待て、

「エレオノーレさんもしかして!」

「五月蠅い。少し黙れ」

 そして―――葉巻が額に押し当てられる。

「ぬわぁ―――!?」

「病人は少し大人しくしてろ」

「病人へやる仕打ちじゃない!! 絶対違う!!」

 額を抑えながらベッドの上でのた打ち回る。その様子をエレオノーレは何時も通り興味なさそうに見つめてくる。あぁ、しかし、少し涙が流れる。今まで顔は一緒でも、中身は全く違う人ばかりだったので、こうやって自分の事を知っている人間と会話できるというのは精神衛生上非常に宜しい。いや、言葉を取り繕う必要はない。

 純粋に嬉しかった。涙が少し出るぐらいには嬉しかった。

「貴様痛いのを笑って変態か。流石ヤツの弟だな」

「止めてくださいよ! 兄と一緒にしないでください! アレみたいな変態にしないでくださいよ!」

 何か酷い事を言った気がするが、そこは軽く流し、額を擦る。近くに鏡はないからそこにやけどがないかどうか確かめるすべはない。

「あまり暴れるな。私のベッドが汚れる」

「す、すいませんでした!!」

 まさかエレオノーレのベッドだとは思わなかった。通りで飾りっ気のない部屋だ。ベッドから飛び降りて、再び額に葉巻が押し当てられる。

「大人しくしろ」

 声にならない叫びを上げながら額を抑え、今度はもがくのを耐える。その光景をエレオノーレは見て、かすかにだが、笑みを浮かべる。

「まったく、騒がしい所は兄譲りだな、最上正樹」

「あ……はい……!」

 なんか、もう、そうやって”普通”の話ができるだけで感無量だった。同郷の知り合いがいる。それだけで十分だった。エレオノーレに会う事が出来た、それだけで昨日の苦労は十分見合うものだったと胸を張って言える。

 エレオノーレが葉巻を咥え、深く吸い込んでから、煙を吐き出す。少し煙いが、気にするほどではない―――司狼の経営していたあのクラブの方がよほどひどかった。

「話したい事も確かめたい事もあろう。が、今は眠って色。私の知っている事を次起きた時にでも話してやる」

「あ―――」

「返事はイラン。文句はきかん。黙って寝ろ」

 返事を聞く前にエレオノーレは部屋から出て行った。なんというか、実に強烈で唐突で―――そして懐かしい感覚だ。前は―――ここに来る前は―――もっと、こんな風に振り回される事が多かった気がする。そしてそれも、どこか楽だった。

「ふぅ……」

 結局、何なんだろうな、これは。

 そんな事を思いつつもベッドに倒れ、目を閉じる。

 次は、次目を覚ました時は―――。




個人的にもここら辺は面白さとしちゃあ微妙だとは思ってる。早く戦争したい。精神ステイ中。
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| 断頭の剣鬼 | 16:14 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

戦争

俺も早く殺りたいぜ!!

| Poh | 2013/04/28 21:22 | URL | ≫ EDIT

エレ姐ktkr

| 空 | 2013/04/28 22:21 | URL |

エレオノーレきたーー
まだ正樹もキリトたちも天魔(仮称)と戦える状態じゃないっぽいしとなると戦争はまだ先?

| シオウ | 2013/04/28 23:44 | URL | ≫ EDIT

アンダーワールドに愉快な面子が揃い始めたな

| | 2013/04/30 10:23 | URL |

姉ぇぇぇぇぇぇぇぇさぁぁぁぁぁぁん!!!1

| ガリバー | 2013/05/01 00:21 | URL |















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