陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-22

ひたすら本編ネタというか、EXTRAとはあんまり関係のない所の話なので注意。


「いやいや、参った参った」

 そう言って心底疲れたような声を出すのは自分の信頼できる相棒、セイバーだ。アリーナから帰ってきて疲れているような表情はみじんにも見せないくせに、口ではそんな事を言っている。帰ってくるのと同時にソファにどか、と座り込む。此方も”彼女”に倣い、ベッドに座り込む。アリーナではあいまいだった自我もアリーナから出るのと同時に蘇ってきて、今では問題のない事となっている。

 さて。どうするべきか。


 問題があり過ぎてどれから着手すべきなのか実に困ったものである。だがどれ、と言えばやっぱりセイバーだろう。”彼女”の姿には違和感がある。それもそうだ。もう既に半月は”彼”だったセイバーと過ごしていたのだ。それがいきなり”彼女”になられたら困る。その原因も経緯も解るが、冷静になってみると凄いものを見ているのかもしれない。改めてセイバーの姿をよく見る。

 白いマフラーと黒いシャツ、そして黒のスラックス。セイバーの着ている服装はあの赤い衣がないことを抜けば何時ものそれと変わらない。だが決定的にその肉体は違う。シャツの下で女性的な胸はその存在を自己主張しているし、長い髪と女性的な顔は女性からしても憧れる様なものだ。体は細いし、スタイルもいい。だが顔には僅かにだが元の姿の面影がある為、セイバーだと解る。ただ、何でこれに狐耳と尻尾がついているのかが解らない。スラックスの上の部分から出ている尻尾を体の前に回し、抱く様にセイバーは座っているが、

 あざとい。セイバーじつにあざとい。狐耳属性とかあざとすぎるだろう。明らかにウケ狙いだろそれ。

「ん? 俺の恰好が気になるか?」

 此方の視線に気づいたセイバーがそんな事を言ってくる。気になるのはセイバーの恰好ではなくその変体である。

「このままでは尻尾がキツイし少し待ってろ」

 セイバーが立ち上がり、パチ、と指をスナップする。すると天井から赤いカーテンが落ちて、セイバーと自分の間を遮断する。カーテンの向こう側で布の擦れる音がする。普通、このまま魔法の様に一瞬で着替えるとか、そんな展開だろうにセイバーは一々自分の手で着替えているらしい。

「えーと、下着下着……」

「そこから!?」

 ちょっとした異常事態にツッコミを入れざるを得なかった。

「というかカーテン邪魔だ」

「えぇ!?」

 赤いカーテンが燃え上がる様にして消えた。今の炎には魔力の使用を感じたため、セイバーはおそらくカーテンを消すのに無価値の炎を使用したのに違いない。なんという魔力とスキルの無駄遣い。これは無価値の炎も泣いているに違いない。というかカーテンの向こう側から下着姿のセイバーが出てくる。

 いいから服を着ろよ。

「……ま、それぐらい喋る事が出来るのなら自我境界に関しては心配はいらないな」

 次の瞬間、セイバーは服装を纏っていた。黒のプリッツスカートに胸元を開けた黒のブラウス、そして何時の間にかこちらから奪ったのか、赤い衣を身に纏っている。スラックスがよほど窮屈だったのか尻尾はゆらゆらと揺れている。髪の毛は長く、ルーズに放置されているが、蒼い髪を赤いリボンで装飾している。なんというか、あのファッションとか恰好とか気にしないセイバーからは予想もつかないファッショナブルな姿だ。衣を抜けば。

 しかし、今の発言は……もしかしなくても?

「あんな極悪な固有結界食らっておいて後遺症があるかないか解らんだろ? もしかして永久的なデバフかもしれないし、欠損した思考データが修復されない様にできているかもしれない。こういう思考や自我の封印や抑制系の術に対しては感情の発露や爆発が一番の対処手段だ。だから、まあ、少しだけバイタルとか確認させてもらった。黙ってて悪かったな」

 どうやらセイバーに心配させていた様だ。彼/彼女は何時も自分の事を第一に考えて行動してくれている、忠実な相棒だ。それをノリやテンションでふざけていると思うとは……。

「いや、たいていの場合はノリやテンションだ」

 感動を返せこの駄狐。

「流石にその言い方は酷いぞ! この俺はむしろ良く働くぞ。超真面目だぞ。どこぞの暗黒面の目覚めそうな自称良妻狐と違ってリアル良妻属性もちだっぞ」

 誰だその自称良妻狐とやら。

「さてな? ムーンセルなら別の可能性の白野を観測していそうだし、その答えを知っていそうだがな」

 再びソファに座るセイバーはそんな事を言ってくる。ムーンセルなら別の可能性を観測していそうだと、だがその発言の前に見過ごせない発言があった。今、セイバーは自分を相棒やマスター、ではなく名前で、”白野”と呼んでこなかっただろうか?

「あぁ、やっぱ気になる?」

 それはもちろん気になる。セイバーは此方を信用しているし、信頼もしているが、此方に対して聖杯戦争のパートナーであることを割り切ってマスターとサーヴァント、という関係の壁を作っていたように感じる。だが名前を呼ぶという行為はその壁をはらい、岸波白野とセイバーという個人で向き合うという事でもある。

「いやさ、正直な話俺、一回戦か二回戦で死ぬと思ってたんだよな」

 ……セイバーのその発言に対して自分は言葉を返せない。なぜならそう、セイバーの言葉は間違っていない。自分でさえ一回戦で終わる、何て事を考えていたのだから。

「願いは叶えられない。俺はそんな呪いを持って生まれてきているんだよ。だから、まあ、今回もそれを果たせず終わるのかなぁ、と思ってたんだよ。あ、いや、もちろん毎回本気だったぞ? だけど能力は初期化されているし、マスターはド三流以下だし、こりゃあもう運命を操るやつに笑われているななんて思ったもんだけど……」

 そこでセイバーが苦笑する。まるで予想外のものを見た、と言わんばかりの表情だった。

「根性あるじゃないか。見直した。いや、認めた。お前は誰が何と言おうと俺の戦友だ」

 たったそれだけの言葉だったのに、英霊に、いや、セイバーに認められたという事実は何よりも心に響いた。セイバーは自分をマスターとしてではなく、対等の仲間として認めている。その事実が嬉しかった。たぶん、というか今の自分は確実に恥ずかしさで赤くなっている。

「あの固有結界を魔術もなしに耐えられる存在はそういないさ。お前が知っている中ではラニやリン、レオなら魔術を使って耐えるだろうな。だが魔術もなしに、防具を借りただけの状態でアレに耐えるのはほぼ精神論の問題だ。誰にでもできる事ではないし、道中エネミーがいなかったろ? つまりあの程度だったら一瞬で名を削られるって事だ。その結果を勲章として誇るといい」

 何時にもなく真面目なセイバーの言葉に少しだけ戸惑うが、セイバーが何かを伝えようとしているのは解る。だから黙ってセイバーの話に耳を傾ける。そして、

「さて、前置きもこれぐらいでいいだろう。ほれ、受け取れ」

 端末にデータが転送されてきた。

 それはセイバーの二つ目の情報マトリクスだった。

 開示される情報は二つ。

 セイバーが所有している固有スキルの一つ。そして、セイバがどういう存在であるか、それを証明する説明であった。

 ―――並行同一統合体。

 マトリクスのキーワードにはそう出現していた。このまま簡略化された説明を読むのもいいが、目の前にはセイバーがいるのだ。ここは本人から話を聞いた方がいいのかもしれない。と、そういうわけでセイバーに改めて聞く。

 これはどういう事なのだ、と。

「さて」

 セイバーが少し前かがみになる様に体勢を変え、手を組む。

「白野は”並行世界”という概念についてはどれぐらい把握しているかな?」

 並行世界。それはつまり可能性によって分岐した世界の事だろう。もしああすれば、もしこうすれば、そうやって数々の細かい選択肢から分岐し、独自の道をたどって進む別の選択肢を選んで進む”IF”の世界の事を並行世界と、概念としてはそう呼ぶ。確かムーンセルは並行世界と未来と過去と現在を常にシミュレートする演算装置だと図書館の本に書いてあった。

「然り」

 セイバーが頷く。

「基本的にそんな考えで間違っていない。だが現実として並行世界はIFとして存在しているのではなく、実際に存在している。ムーンセルはそうやって無限分岐する無限の並行世界を観測、記録する事を可能としている。全く持って変態的な性能をもったモノだとは思わないか?」

 セイバーの語ったことが本当だとすればムーンセルの事を少々甘く見ていたのかもしれない。無限を観測し、記録するというのは言葉や文体であらわせれば簡単な話だ。だがムーンセルはそれを現実として成しているのだ。それを凄まじいと評価する以外の言葉がない。

「だから―――少々昔話をしよう。興味がなければ聞き流してくれても構わない」

 セイバーの声のトーンが一段下がる。セイバーの言ってくれることを聞き逃すわけがない。此方も少しだけ距離を詰め―――というか距離が離れているのでセイバーの横に座る。男の時は恥ずかしいが今は同性だ。これぐらいの距離は平気だ。

「まあ、いいんだが……さて、俺という男は基本的にガキの頃はヤンチャなクソガキだったんだ」

 想像できた。それ以上は言葉を必要としない。

「だが、まあ、それも立派に理由があったわけだ。俺は生まれてからずっと悩まされる事があった。既知感。何をやっても”やったことがある”と感じ、何を食べても”味わった事がある”と感じた。赤ん坊の頃から”俺は俺”という感覚が強かった。吐き気がするほどにな。解るか? 体は赤ん坊なのに大人の理性が詰め込められている異常性が。ストレスが。吐き気が。周りの人間は誰も解らない。気づかない。知りえない。だから俺も思考を放棄して赤子として育った。そして平穏を望んだ。こんなの欲しくない。こんな記憶はいらない、と」

 それは地獄の責め苦だっただろう。セイバーの人格がその時点である程度完成されていたのであれば死ぬ事も出来ず、そして自由であることも許されず、ただひたすら耐える事だけが許される最悪の時間だったに違いない。

「だが、その地獄も時間が立てば既知感の地獄に変わって行く。何をやっても新鮮さがない。面白みがない。だがそれを俺は一時肯定したんだ。―――既知感はつまり平和だ。味わった事があるのであれば死なない。そういう事だ。俺は既知感に溺れて呼吸する事を止めたんだ」

 だが、とセイバーは続ける。

「本当に数奇な人生を送ったもんでな? そこで同じ既知感を持った奴に出会って、そいつは何とやった事のない事を探し求めていたんだよ。あのときの驚きは凄かった。俺の人生最初の刺激はソイツだったな。あの馬鹿がいたおかげで俺は自分の人生を良しとしなくなった。もっと刺激に、未知に飢えるようになった」

 そこから自分の人生は大きく変わった、とセイバーは語った。目を瞑れば瞼の裏にセイバーの語る光景が浮かび上がってくる。若い姿のセイバーが現代風の街の中で、オレンジ色の髪の青年とタバコを咥えながら街中を走っている。そんな光景が浮かんでくる。

「ま、あの頃の俺らは未来を考えもしない馬鹿だったよ。毎日疲れるまでバカやったら幼馴染や先輩に介抱されたり叱られたり。血だらけになるまで殴り合った次の日には肩組んでアイス食ったり。脈絡もなく馬鹿をやり続けた毎日さ」

 それが変わったのは卒業してからだ、とセイバーは語る。

「このSE.RA.PHや今の地上にある霊子ネットワークの原型となるフルダイブ型電子ネットワーク。その最初のバージョンが出来上がって、一般開放されるゲーム型のそれが発売されたんだよ。あ、ゲームだと思って甘く見るな? 体感はこのムーンセルで自由に体動かせるのと全く変わらん。そう、聖杯戦争と”全く”変わらないんだ」

 セイバーの言葉の意味は理解した。

 ―――つまり、そのゲームでは死ねば、文字通り死ぬのだ。

「状況は少し違うが、ムーンセルの聖杯戦争と似たようなもんだよ。プレイヤーは阿鼻叫喚、ログアウトできない、そこで死ねば現実でも脳が焼かれて死ぬ。今更だが茅場晶彦は天才であると同時に愚か者だと評価するね。アレはおそらく先の時代に到達するのが”早すぎた”んだ」

 ふぅ、とセイバーが一息をつく。ここまでの会話、セイバーは色々とボカすように喋っている。が、それはプライベートな部分だろう。今更つつく所ではない。セイバーが少し口を休めると、再びセイバーは喋りだす。

「さて、俺はそんなゲームの世界で生まれた英雄だ。ラスボスは製作者ってクソゲーでなぁ、もう一人の英雄と一緒に俺が相討ちで済ませてゲームクリア、俺の命と引き換えに残った六千人程度の人間を電子世界から解き放ったのさ。ま、ここで一旦俺の活躍は終わる。これで俺は英霊としてムーンセルに記録された」

 その情報が本当であればセイバーは世界解放クラスの英雄となる。規模は小さくとも、世界を一つ解放した、となればかなりの英雄とみるが―――セイバーの顔は晴れない。

「白野、まず言っておこう」

 セイバーが言う。

「俺は英雄ではない―――反英雄だ。そしてここからが本当の始まりだ」

 反英雄とは英雄とは違い、何か悪行を行った事を示す英雄たちだ。それが暴君だったのか、大量虐殺を行ったのか、神話で神敵だったのか―――理由はどうあれ、それは正義ではなく悪だった存在の証明なのだ。セイバーの話を聞くにセイバーは多くの人間を助けたはずだ。

「あぁ、だが俺の物語はここで終わらない。いいか? 俺はここで死んだ―――しかし俺は別の時間軸ではまだ生きているんだ」

 セイバーが話を続ける。

「後で判明する事だが、俺の人生は玩具の様なものだ”マイナス10から100まで”が決定されているようにできているのだ。ゼロから、何て生ぬるいもんじゃない。文字通り生まれる前から設計されているんだ。俺が既知感を持っている事も、初めて人を殺す場所と時間と得物も、そして俺が解放したところで英雄になる事も」

 その話が本当であればセイバーの人生とは常に冒涜の連続ではなかったのだろうか。自由がないというレベルではない、自由という言葉自体が存在しないのだ。

「まあ、此処からは更に話が長くなるから少し短く切りあげようか。真実に至った俺は人生を何百、何万回、那由他と繰り返されてきたのだと気づいた。その頃になればもうすべて遅い。元凶を睨んでも納得してしまう。どうにかしようとも最善だと理解してしまう。もうどうしようもない程に俺も共犯だった」

 だから、とセイバーは言った。

「俺の本体は、ベースとなった男は、その全てを終わらせようと奮闘し―――星の数ほどの人間を殺しておいて失敗した。失敗してしまったんだ」

 その時、偶然ムーンセルを見つけたとセイバーは言った。

「ムーンセルは過去も未来も現在も、それを並行世界規模で観測している。だったら”全ての俺”を観測しているに違いない。だから、ムーンセルとの交渉によって俺はサーヴァントとして召喚される事を約束された」

 一拍を置き、セイバーが言う。

「それも、観測できる範囲の俺を統合した状態の俺、で」

 キーワードを理解した。つまりこのセイバーはムーンセルが観測できる範囲で、統合のされた同一の存在なのだ。名前をベースにして統合しているために、”名無しの森”によって名前を削られたとき、存在そのものが削られていたのだ。だからこの姿もムーンセルが観測しているセイバーの一人、いや、結末の一人でしかない。

「俺の本体は案外手段を選ばないやつでな、自分の可能性を広げる為に死んだ自分をリサイクルしているんだ。死んだ自分の魂を次元の壁のあちらこちらへ―――そうやって自分の出来る事を確認し、可能性を広げようとしている。そうやって統合された場合、どういう存在が出来上がるか。並行同一統合体。それが俺のサーヴァントとしての正体だ」

 衝撃的過ぎるセイバーの正体はここに明かされた。自分からムーンセルに売り込んできた、大量虐殺、ループの人生、自分の人生さえも利用した事、確かにこれを反英雄と呼ばずしてなんと呼ぶのだろうか。だが、そうだ、セイバーには負の感じはしない。必要だったから使った、そういう感じがする。

「そうか? 実は俺はキリングジャンキーかもしれないぜ?」

 それはありえないと自分が断言する。自分の知っているセイバーはそんな存在ではなく、心の優しい存在だと確信している。なぜなら、そんなサーヴァントではなければここまで自分は頑張る事は出来なかったし、セイバーも最初に見捨てているはずだ。それでも身を挺してかばってくれたり、的確なアドバイスをしてくれたり、セイバーは反英雄だとしても心の優しい、最終手段としてそういう手段を取らざるを得ない状況にある存在だと理解している。

「……!」

 セイバーが驚いたような表情を浮かべ、そしてソファに倒れ込む。その表情は丁度影がかかっており、覗く事は出来ない。

「……ったく、ばっかみてぇに……」

 断片的にしかセイバーの言葉は聞こえない。

 だが、そう言えば気になる事がある。

 本体、とはどういう事だ。

「ん? ああ。つまり死んで死んで死にまくった俺の中で唯一真実へと至ったやつがいるって言ったよな? 交渉を持ちかけた俺。実はまだ生きてるんだよ。召喚される前は情報共有とか意識の共有とかもできたけど、召喚されてからは完全にリンクきれて独立した存在になっちまってる。こりゃあ実験は失敗だな」

 ……アレ? もしかしなくてもこれ、魔術師としてド三流以下である自分が召喚してしまったための失敗ではないのか? あ、あれ? も、もしかしてとんでもない事をしたのではないのか自分? なんか、こう、人類逆転のチャンスを潰した的な。

「ははは! 今更そんな小さな事を気にするな。この聖杯戦争、もう本体の思惑とかムーンセルとかは忘れて、完全にお前の為に俺は戦うと決めているからさ、気負うな。気にするな。俺はここにいる。お前の為だけにここにいる。だから心配せずに、お前らしくいてくれ」

 ―――はっ!

 セイバーの笑みに見惚れてしまった。セイバーの話が正しいのであれば男性のセイバーも女性のセイバーも、多く存在したセイバーの一面でしかない。だからこうやって魅了する様な笑みを向けてくるのも、数多く存在した中でその分野に関して腕を磨いたセイバーとしての一面に過ぎない。

「ま、この姿も一日二日だけだ。決戦の日までには何時も通りに戻っている。前の改竄で蘇生スキル覚えたろ? アレの応用で消失した名の蘇生を進めている。少し待てばいつも通りの俺に戻るから、少しの間は見慣れない姿で我慢しておくれ」

 待て。何時ものセイバーは何時ものセイバーでいい。

 だがこのセイバーもこのセイバーで良いところはある。すぐに戻ってしまうのは若干勿体ない気がする。いや、そうだ。そうに違いない。だから今のうちにできる事をしよう。

「白野? バイタル値が少しゲージを―――」

 具体的に言うとその体型。少し悔しい。というか結構悔しい。というか測らせろ。そして教えろ。マスターとして令呪を行使する方針も辞さない。その体型をどうやって手に入れたセイバー!

「おい、ゲージ振り切ってるぞ!」

 今は何故バイタルチェックをしているとかそういうのは不問にするので今すぐ行こう。

「どこへ!?」

「風呂へ! まずはその肉体の神秘を見る!」

「まずは正気に戻れ!」

 頭にチョップを食らい、あいたっ、と声を零す。そうやってうんざりした表情を浮かべたり、しょうがないなぁ、等と言ってなんだかんだで折れてくれたりする姿は自分の知っているセイバーだ。そう、関係ないのだ。

 並行世界とか、統合とか、そんな事はどうでもいいし意味不明な事で。

 セイバーはセイバーで、私は私だ。

 今は、それだけでいいではないか。

「白野? で、どうするんだ?」

「もちろん入る……!」

「お前、すっげぇ男らしいよな。魂がアレだし」

 アレとはなんだアレとは。言ってみろこのなんちゃって狐耳め。お前の狐耳も尻尾もこうしてやる! こうしてやる!

「ああ、ああ、ああ! 引っ張るな! 撫でるな! あーそーぶーな! あー、もう、マトリクス公開止めればよかった……!」

「もう遅いよ。だって私、セイバーのマスターだし」

 もう、そこは運命だと思って諦めよう。

 そうやって、また、一日が終わる。





情報マトリクス1+2

クラス:セイバー
マスター:岸波白野
真名:???
宝具:???
キーワード:斬首
キーワード:並行同一統合体

ステータス
筋力 C
耐久 D
敏捷 D
魔力 D
幸運 E

クラススキル
対魔力:B
セイバーとしては少し低め。
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術・儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

固有スキル

???:?

可能性の覇道者:EX
自分が所持した事のあるスキルを一時的に取得するスキル。
これはあくまでも”自分”という範囲であるため、自分の可能性を超えるものは取得できない。
その限界もセイバーの本体が観測する内の自分のみとなる。
その条件さえ守れば並行世界の己の取得スキルさえ使用できる。
セイバー曰く、どこぞの暴君や皇帝の皇帝特権程便利ではないとの事。

処刑人:A+
戦闘よりも敵を”処刑”することに長けている。
特殊な動きは戦闘における優位性には低く、しかし致死性は恐ろしく高い。
その在り方を戦闘者としてではなく最後まで処刑人として貫いた存在の証。
このスキルは自身の真名が相手にバレる事によってランクをA+++へと上昇させる。







 そんなわけでEXTRA風にマトリクスを追加、加筆しながら完了、っと。EXTRAでは固有+クラススキルで全部で3個のスキルだったので、前の状態じゃ多すぎるので一気に削ったり。まあ、それでもスキル1個多めなのですが。そんなわけでどこか便利だったセイバーの正体は最上明広の寄せ集めで、皇帝特権の劣化版を使っていたからでしたー。

 マトリクスの説明で皇帝特権を読んでたけど改めてアレのチートっぷりには驚いた。嫁王、アレの使い方次第ではもっと活躍できたんじゃないかな! ほら、芸術Aでも取得したらさ (

 次回から再びアリーナ攻略、決戦へと向けて真名の看破開始って感じですね。今更ですけどアスアスになったのは完全な趣味です! そこらへんは言いきる。

 んで、ラニか凛というアンケートは続行で。とりあえず三択用意します。

1.ラニを救う
2.凛を救う
3.二人とも救う

 この話はCCC分岐予定ですので、4回戦の相手はガトー&白バーサーカーで確定しています。そんなに気負わず、見てみたい、と思ったのに投票してください。

 すっげぇアレだけど、番外編書いてると”俺何やってんだ”って迷う時がある。本編と同時更新だから文句来ないけどさ!
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| 断頭の剣鬼 | 15:26 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

更新乙です

やっぱりラニでしょう褐色でしょう
ラニ救えば兄貴とアルクが敵になるし、ラニは褐色だし

ということで1を希望します

| | 2013/04/27 16:31 | URL |

3で!

| 通行人D | 2013/04/27 18:11 | URL |

3、両方救う、で。

悩まないで大丈夫です。
需要ありますから。

| 断章の接合者 | 2013/04/27 18:46 | URL |

3ですね!!!

| | 2013/04/29 21:14 | URL |















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