陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-21

 再びアリーナの最奥、ジャバウォックの前にいる。セイバーの手に握られているのは何時もの二刀ではない、宝石を連想させる刃だった。それはラニと凛の協力を経て完成した仮想の剣、概念武装、ヴォーパルの剣だ。理性の存在しない相手に対し絶大の効力を発揮する武装。処刑刃の代わりにそれを構えるセイバーは、初めて得物を両手持ちする姿を見せる。流石剣の英霊というべきなのか、構える姿は凄味が存在する。処刑刃を手にしなくとも、その技の鋭さを証明する姿だった。

 既にジャバウォックの姿は見据えている。此方の準備は完了している。

 なら、

「討ってセイバー!」

 指示と共にセイバーが矢の様に飛び出す。一瞬で加速を得たセイバー接近し、sの手に握られているヴォーパルの剣が鳴動する。その響きがジャバウォックへと届き、その体を穿つ。ヴォーパルの剣に秘められた力が一瞬でジャバウォックの力を奪い、破壊する。荒ぶる魔人の力を消失し、強いネミー程度の実力へと存在を落とされる。アリーナを揺るがすほどの存在感が消えた相手にセイバーが後れを取るわけがない。


 セイバーの姿が時の切断と共に加速する。目視する事が不可能な速度。幸運のパラメーターが設定されていないエネミーではどうあっても回避する事は出来ない。一瞬で接近したセイバーはヴォーパルの剣をジャバウォックの首に突き刺す。

「―――!」

 ジャバウォックの咆哮。それは怒りと悲鳴の咆哮であった。だがセイバーがその程度で動きを止める筈はなく。片足をジャバウォックの肩に乗せ、もう片足を胸に当てる。片手でジャバウォックの顔面を掴み、突き刺した刃に力を込める。

「首を晒せ」

 そのまま力任せにジャバウォックの首を刎ね飛ばした。その行動で元々脆い構造のヴォーパルの剣は砕け散る。が、ジャバウォックの滅びと共にその剣の必要性は消えている。それに、ジャバウォックとの戦闘で解ったことがある。

 ジャバウォックはサーヴァントではない。

 セイバーが攻撃を開始した瞬間にセラフからの警告が入るはずだ。最終フェイズまでは視界を邪魔するだけの警告。だがそれがジャバウォック相手には出現しなかった。つまり、この相手は純粋なエネミーか、モンスターか、サーヴァント以外の召喚された存在なのだ。

 ジャバウォック撃破による経験値リソースの確保を確認しつつ、辺りを確認する。ジャバウォックはサーヴァントではない。

 それはつまり、

「あ、お姉ちゃんジャバウォックを倒せたんだ。本当にヴォーパルの剣を見つけちゃった」

 敵はまだ健在ということである。もうこの時点でこの少女達がただの少女であるとは思わない。解り合えればいい、という甘い事だけでは生き残れないということは理解した。そう、無邪気な悪意とセイバーは言っていたが、その言葉をようやく理解した。彼女たちの行動には確かな悪羽衣が混じっているのだ。それが白いサテンドレスのありすか、それとっも黒いサテンドレスのありすなのか、判断する術はない。

 だがどちらかが、無邪気を装って此方を殺しに来ている……!

「ふふ、本当にどうやって見つけたのかしら」

 楽しそうに二人の少女は笑っているが、その笑みを今まで通りのものと思うことはできない。セイバーも次のアクションに対してすぐに反応できるように処刑刃を取り出し、構えている。が、少女達は此方に笑みを浮かべ、

「宝探しはお姉ちゃんたちの勝ちだね!」

「また新しい遊びを考えなくてはね、あたし」

「そうね、あたし」

 くすくすと笑い声を零しながらありすとありすは姿を消した。その姿が消えた事を確認してからセイバーが刃を消して、戻ってくる。

「さ、アリーナのアイテムは回収し終わってるし、来るまでにエネミーは全滅させてきたし、トリガー回収して帰ろうぜ?」

 そうだね、とセイバーに返答しながらジャバウォックが塞いでいた道を歩きはじめる。とりあえず今日はもうこれぐらいにしておこう。ジャバウォック、ヴォーパルの剣、ありす、既にキーワードは十分すぎるほどに揃っている。明日の朝、朝食が終わったら早速図書館へ検索しに行こう。

 やっとの思いで最初のトリガーを回収しながら、そんな事を考える。





 ジャバウォックの撃破から

 図書館にはマスターだけではなく、多くのNPCがいる。マスターはもちろん対戦相手のデータを探る為、NPCは職務の一環としてデータの管理にここにいる。自分の探し物が正しければ―――あった。

 童謡のコーナーに探していた本はあった。

 Alice in Wonderland。

 ジャバウォック、ヴォーパルの剣、ありす。いや、アリス。彼女の発言は彼の童謡を思い浮かばせるようなことばかりだ。ありすという名前を踏まえ、相手のサーヴァントに関する大きなヒントはここにあると解っている。

 食堂で凛へアタックをして双子のサーヴァントもマスターもあり得ないと確認をとったため、これで完全にあの少女のどちらかがマスターで、サーヴァントであることが発覚した。だが欠けている。あのサーヴァントとマスターを分ける以前に、あの二人の正体へと迫る為のピースが欠けている。

 この童謡だけでは情報が足りない。

「何をこそこそしてるのかなお姉ちゃん」

 そんな声と共に黒いドレスのありすが現れる。

 突然の登場と言葉にドキリ、と驚き、

「お姉ちゃん!」

 白いドレスのありすが現れる。

「私、新しい遊びを思いついたの! 新しい穴でならできそうだから私、先に行って待っているね!」

 少女達はそれだけを伝えるとすぐに姿を消した。まるでテロのように現れては言いたい事だけを告げて消える少女。実に厄介だが、今の黒いありすは白いありすとは違う行動をとった気がする。あれは遊びを告げに来たのではなく、

「―――邪魔された?」

 調べているのを邪魔された、という感じがある。実際、今の会話でアリーナへと向かわざるを得なくなった。端末を確認すればそこに連絡として新たな迷宮とトリガーの生成が報告されている。ありす達が新しい穴と呼んだのはそれの事だろう。

 結局のところ、一流ハッカーでも一流魔術師でもない、未熟で凡俗な自分にできるのはセイバーを信じ、自分の出来る事を信じ、自分の足で走り回って調べる事だけだ。他のマスターたちみたいに優雅な真似もずるいテクニックもないのだから、あの少女達を追いかけるほかがないのだ。

「よし、アリーナへ向かおうセイバー」

 セイバーからの返事はないが、心強い感覚を背中に感じる。セイバーという頼りになる仲間と共に、新たに出現したアリーナへと向かう。





「さっむッ!」

「大丈夫か?」

 アリーナへと踏み込んでまず最初に感じるのは冷気だった。寒い。圧倒的に寒い。アリーナの透明な床の下には海が存在し、氷河や流氷はそこらかしこに存在する。遠くには氷でできた城も存在し、感覚的寒さだけではなく視覚的寒さも感じる。なんというか、実に困ったエリアだ。体からドンドン熱が奪われて行く感じがする。これが魔術師かハッカーであれば、自分の感じる温度をごまかせるのだろうが。

 ふと、体に柔らかい感覚を得る。

 前にも着た事のあるセイバーの赤い衣だった。本人はシャツとズボン、それにマフラー姿と少し物足りない姿になってしまったが、赤い衣が体にかかった瞬間寒気がなくなった様に感じる。どうして、やいらない、と言うのはセイバーの心遣いに対して失礼だ。有難く受けとり、袖を通す。

 激しくどうでもいいが、少し自分には大きい。

「あ、お姉ちゃん遊びに来てくれたんだ!」

 袖を通したところで前方にありすの姿を発見する。ありすとありすは二人で並んでいる。その姿に寒そうにする姿はない。おそらく魔術で体を温めているのだろう。

「やっぱりお姉ちゃんは優しいね」

「優しい以外に取り柄がないからな」

 まさかの味方からの攻撃だった。今のは精神的に傷ついた、傷ついたのでマイルームに戻ったらセイバーをネチネチといびる。それで許してやろう。あと激辛麻婆。

「こやつめ……!」

 くすくすと笑い声が聞こえてくる。まるで悲しみを知らない少女の様だが、その行動は此方の死に繋がっている事は明白だ。セイバーは既に得物を取り出しているし、此方も礼装を装備してきている。ジャバウォックみたいな存在が現れた場合、反応される前に首を落とす様にセイバーには予め指示してある。

 だが、

「少し待っててねお姉ちゃん。今遊び場を作るから!」

 そして、悪寒を感じた。

「―――ここでは鳥はただの鳥」

「ここでは人はただの人―――」

「油断した、まさか固有結界とは……!」

 セイバーの焦るような声と共にアリーナはその色を変えた。白かった世界はベージュ色に、紫に、青に、オレンジに、様々な色が入り混じった不思議な世界へと変貌する。同時に重苦しい空気が漂い、アーチャーが結界を張った時と似たような雰囲気が流れる。だがアーチャーの時と違い、体に違和感はない。だが凄まじい魔力の消費は感じる。

「お姉ちゃんようこそありすのお茶会へ! ここではみんな平等なの! アナタとかオマエとかヤマダさんとかスズキさんとか、いちいち付けた名前はみーんななくなっちゃうの。お姉ちゃんもお兄ちゃんもそうなるわ!」

 ありすが笑顔で恐ろしいことを言ってくる。

「それだけじゃないよ。だんだん自分が誰だか解らなくなっていって―――最後にはお姉ちゃんも、そこのお兄ちゃんもなくなっちゃうんだから」

「面白いでしょう!」

 どこがおもしろいのか欠片も解らない。ただ一つだけ理解した事がある。どちらか知らないが、サーヴァントの方は殺す気でこの固有結界を張ったのだ。そしてこんな大規模な魔術を行使できるクラスを自分は一つしか知らない―――相手はキャスターだ。

「じゃあ、鬼ごっこをしましょ。鬼はお姉ちゃんだよ!」

「よ―――い、どん!」

 元気のいい声と共にありすは走り出す。だがこの固有結界の能力は恐ろしい。

「名前概念の破壊による自我の喪失……クソ面倒な固有結界もあったもんだな! その服を絶対に脱ぐなよ? その対魔力によって少しは抵抗できるはずだ。あのワルガキどもを捕まえて結界を早く砕くぞ」

 珍しくセイバーが怒ったような声を漏らしている。いや、これは怒りではない。似ているが、焦りだ。セイバーはこの結界が張られた瞬間から焦りを感じている。普段はそんな事を欠片も見せないセイバーが目に見えて焦るほどの結界なのかこれは。

「違う、これが俺の……!」

 セイバーが言葉を完了させる前に、セイバーの体に異変を生じる。その体から破壊にも似た黒い靄が立ち上ると、セイバーの姿が変化する。それは今までの二十代前半の男の姿から、十歳ぐらいの少年の姿だった。服装も体に合わせたサイズのものになっているが、武器の姿は変わっていない。難なく持ち上げている様に見えるが、明らかに体とのバランスがおかしい。

「セイバー!」

「”名前”はヤバイ! 具体的な話はマイルームに戻って……ッチィ!」

 再びセイバーの体から黒い靄が立ち上り、セイバーの姿が変化する。子供の姿は十代後半の青年の姿に変化する。それは今まで見ていたセイバーの姿に近いが、決定的に違うのはその服装だった。足と手、武具は変わらない。だが服装は見たこともない学生服に変化していた。服装のあちらこちらには機械的なハードポイントパーツが存在しており、何かが接続できるようにできている。先ほどまでのセイバーを幼いと表現するなら、今のセイバーは若々しいと表現するのが正しい。

 セイバーの姿の変化はセイバーでさえ予測外の事態の様で、その顔は苦しみに満ちている。ただそれを何とかしようと、必死な表情を浮かべ、そして耐えている。何かを成そうとしているのは解る。おそらくこの結界はセイバーの弱点を的確に攻撃してきているのだ。どんな時でも大胆不敵だったセイバーをこんなに苦しめる程に的確な攻撃だったのだ。

「セイバー……!」

 何かできないかと、それを確認するためにも再び声を荒げて叫ぶ。それに対しセイバーは姿を変化させながら言葉を口にする。

「魔力を……!」

「使って!」

 魔力を求めたセイバーに対して持てる魔力を全て注ぎ込む。それこそ礼装の使用ができなくなるレベルでの魔力をセイバーに注ぎ込む。それを受け、セイバーは肉体の変化を受けていた。その体はもっとしなやかで小柄に、そしておうとつのあるつくりに変化していた。頭と尻の方から見慣れるものが二つの微、その存在を自己主張していた。服装は元のシャツとズボン、そしてマフラー姿だが、服の下から存在を主張する双丘と、ズボンから飛び出て損z内を主張する尻尾は見間違えることはできない。その顔も、体も、セイバーの面影を残す女のものと変化していた。

 しかもキツネミミだ。

 キツネミミ。

 一瞬だけ和んでしまったのは悪くない。

「―――存在情報の保護と外部干渉の否定と抹消―――完了。クソ、やられたな」

 声の質も変わっている。だが動きに変化はない。苦しそうな表情から苦虫をかみつぶす様な表情へ、両手に握られた処刑刃をくるくると回し、握る。

「すまん、待たせた。宝具を使って干渉をある程度無効化したが、力が戻ってないから短時間の間しかもたない。早くキャスターとありす少女を追いかけよう。ワルガキには昔からケツ叩きが相場だろ?」

 セイバーは何時もの軽口を繰り出すが、その言葉には覇気がない。間違いなく先ほど渡した魔力を全部使って、今の姿に自分を押しとどめているのだ。ここで戻るのも一つの手だが、それではアリーナには結界を張られたままだ。また、同じ問題へと戻ってしまう。幸いまだ少女達はアリーナ内にいる。捕まえて結界を破壊させる。

 ―――何故なら私も、もう自分の名前を思い出せないから。

 セイバーの衣で遅延させようとも、抗えきれていないのはセイバーの対魔力Bでもここまで追い込まれているのを見れば解る話だ。

 ともあれ、

「お姉ちゃんまだー?」

 楽しそうに笑みを浮かべている少女達へと向けて此方は全力で走る。もはや今までの様な余裕はない。此方が追いかけてくるのを見つけるのと同時に、きゃあ、と楽しそうな悲鳴を上げて少女達は逃げる。

「鬼さん此方! 手の鳴る方へ!」

 パンパン、と白い少女が手を叩き、転移を利用して奥へと距離を生む。距離が近くなればありすは転移を使って距離を生む事で”遊び”を延長しているのだ。

「行き止まりに追い込むぞ。アレは此方へ集中してるし、どこかで道を間違えるぞ」

「ソウだね、セイバー」

「……ッチ!」

 セイバーとはなんだったのか。それが大事な人物である事には違いない。多分横にいる人物の事だ。共には知りながら白い少女と黒い少女を追いかける。必死にこっちが追いかけると相手は楽しそうに声をあげる。黒い少女は何かを投げつけてくる。狐耳の人物が刃でそれを弾く。

「もうモノマネはいいのかキャスター」

「なんの事かしら?」

「お姉ちゃんこっちこっち!」

 狐耳と一緒に通路を走る。少女が消えて遠くへ現れる。

 少女の先にみちはナイ。

 少女はそのサキから動けない。

 狐耳と一緒に出口をフサグ。

「今すぐ結界を解除しろ。じゃなきゃ首を刎ねるぞ」

 狐耳、が怒ってる。少女が怖がって、なく。

「なんでそんなに怒っているの……? ……ひっくっ……お姉ちゃんと遊びたかっただけなのに……ひっく……」

「ここはもう危ないわ。いきましょう、あたし」

「うっく……ひっく……ぐす、ごめんなさい……お姉ちゃん達……」

 くろとしろがきえる。

「チ、これだから死の意味を理解しないやつは……それより無事か? まだ光は残っているようだな。早く脱出しよう。これ以上は俺ももたない」

 ああ、ソウしよう。となりにいるダレカに。いわれるまでもない。

 ハヤクここからタちさらナイと、コトバまでワスレてしまいそうだ。

 ……? ナニカガ落ちている。コレハ、いったいなんだろう?

 カクニンしているヨユウはない。

 ハヤク。

 コウナイニ。

 モドラナケレバ。

「リターンクリスタル!」






 次回! ついにセイバーの正体が部分的に明かされる! 何故セイバーの姿は変わったのか! セイバーのスキルとは? 宝具とは! それは明日更新分で!

 なんか安っぽい通販みたい!!

 あ、あと軽くアンケートです。

 ラニと凛、3回戦終了時に救うのはどちらがいいですか? シナリオ的には大差ない変化なのでどちらが選ばれようと平気なので。
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| 断頭の剣鬼 | 14:35 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ついにキツネ耳アスアス登場で俺歓喜

ルートはラニ一択だな(

| 褐色スキー | 2013/04/26 15:37 | URL |

ラニで。
狐耳アスアス久しぶりだなあ。

| 空 | 2013/04/26 16:36 | URL |

 ああ、無邪気な悪意の表現が絶妙w てんぞーさんのExtraはアーチャー陣営といいキャスター陣営といい対戦相手の輝きが異常w ワカメ? アア、アレモタブンカガヤイテタンダヨ
 ルートは、すいません私もラニで。理由としましてはcccでのパn―――もとい、凛&ランサーとセイバーが戦う所が見たいからです。てんぞーさんの戦闘パートのクオリティとくれば期待大なので!

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2013/04/26 18:16 | URL | ≫ EDIT















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