陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-14

「これは私の探していた星ではありませんでした」

 そう言って遺物を通して星を見ていたラニは此方へと頭を下げた。セイバーは珍しく驚くような声をその姿に対して見せていた。

『うわ、まともな占星術だった。初めて見た』

 セイバーの言う占星術と一般的な占星術とはどうやら大きな違いがあるらしい。今夜暇だったらマイルームでセイバーの知ってる占星術とやらを確認してみるのもいいのかもしれない。だが今はラニに頭を下げて感謝する。ありがとうラニ、貴女のおかげで少しずつダンとアーチャーに関して理解できてきた。

「いえ、この程度では大した力にもなりませんでしょう。確認のためにも気になる事があるのであれば直接会いに行くのはどうでしょうか? 見た所ダン・ブラックモアは今アリーナにいるようです」

 アリーナにダンがいる―――走れば追いつけない事はない。確実に先頭になるだろうが、それは些事だ。武器がなくなってセイバーの戦闘力は確実に下がったが―――それを見せぬ戦闘力をセイバーは自分に昨日、第二層アリーナで証明してくれた。改めてラニに頭を下げ、下がる。


『で、どうするんだ?』

 霊体化したセイバーの声がする。その答えはもちろん、

「アリーナで探すよ」

 進むのみ。





「さて、頑張りますか」

 アリーナに入るのと同時に実体化したセイバーが肩を慣らす様に動かす。セイバーが素手でも戦えることは証明されているため、昨日の様な恐怖は存在しない。ただただ、本当にいいサーヴァントをひいたな、とセイバーへの感謝の念しかない。

「セイバーマジ最優」

「ははは、褒めろ褒めろ。もっと褒めろー」

 これ以上調子に乗られると困るのでセイバーを無視して歩き出す事とする。そのすぐ後ろをセイバーがついてきてくれる。アリーナのマッピングは既に昨日の内に済ませてある。端末を通してマップを拡大してみればどこにエネミーがいるのか、一目瞭然となっている。それを確かめながら、再びセイバーに声を向ける。

「どこにいるか解る?」

「おう」

 もちろんアーチャーとダンのコンビの事だ。セイバーの事だし、気配とかでどこにいるかは大体把握しているはずだ。

「出口の方にいるな。アーチャーもおそらくこっちの気配を感じ取っている。動きは止まってるし待ち構えているぜ」

 なるほど―――となれば、エネミーを相手に少しセイバー無双してから行っても問題なさそうだ。ダメージなしで進みたい気持ちもあるが、アーチャー主従と会えば絶対戦闘に移る。その前に軽いウォーミングアップは済ませておきたい。目の前に見える準人型のエネミーを前に、令呪を通してセイバーとパスが繋がっている事を確認し、意志を込める。

 指令を受けるのと同時にセイバーが動き出す。その両手は籠手に包まれている。接近と同時に人型の顔面を殴りつける。そこから速度を落とさず、二撃目のブローを繰り出しエネミーを浮かしてから、

「掴んで!」

「あいよ」

 ショートジャブで浮かびあげたエネミーの足の部分を掴み、それを一気にアリーナの床に叩きつける。衝撃と共にエネミーの頭部が砕け散る。そのまま崩壊するのを待つわけなく、セイバーがトドメにと、具足を纏っている足でエネミーの体を踏み潰す。体が砕け散り、エネミーの所有していた経験値、アイテム、PPTが端末へと流れ込む。

 武器がなくなろうとセイバーには関係なかった。

 曰く、

 ”格闘を極めた俺もいるから武器のあるなしは関係ない”、というのがセイバーの弁だった。ますますセイバーが何の英霊か訳が解らないが、それは追々理解するとして、今はウォーミングアップにエネミーを殲滅しながらアーチャーの気配を目指す。





 結局凝り性なのか、アリーナで見つけられるエネミー全てを撃破してから出口前のスペースへと到着した。そこにはげんなりとした表情のアーチャーと、少し愉快そうな表情のダンがいた。

「いや、オタクら流石に遅すぎやしねぇ?」

 いや、だって自分実力足りないし。格上と戦うのであればそれなりに備えは必要だ。アリーナに入ると出会えるエネミー全てを倒すのはほぼ毎回侵入するときにやってるし、そうでもしないとPPTとレベルが足りない。生き残るためにはPPT稼ぎは必須なのだ。

 回る回る。残高が回って減って行く。

 この消費は何時になったら終わるのだろうか。

「ほっほっほ、迷いはあるが、止まる事は止めたくない、そういう所か」

 まさしくその通り。自分が凡人のポンコツなんてことは何度もセイバーに指摘されている。だったら最初から自分の出来る事を全力でやるしかない。その結果倒れたのであれば文句はない。なぜなら自分はセイバーを信じ、自分の出来る事を全力でやったに過ぎない。そこに悔やむことはあっても、後悔する事も恨む事もない。記憶はなくとも、自分はここで頑張ったと胸を張って証明できる。何よりそれをダンとアーチャーは穢す事はないと言い張る事が出来る。

「おいおい、どうしたんだよアーチャーくぅん。何視線逸らしてるの? 期待とかと無縁の人生だったか? おいおい、恥ずかしがんなよ。おら、こっち向けよアーチャーくぅん。今までぼっちで頑張ったから認められるのがはずかちぃんでちゅよねー? よーちよち」

「ウゼェ」

 アーチャーの額に青筋が浮かぶのが見える。セイバーもその姿を楽しんでいる。ダンは―――驚く事にその光景を微笑ましく見守っている。何やらセイバーとアーチャーの間に険悪な空気が現れ始めているが、ダンが黙っているので自分も黙る事とする。

「つーかよ」

 アーチャーが青筋を浮かべながら笑顔でセイバーを見る。

「オタクなに? そんな態度を地でいってるわけ? お前さんの部下良くそれで頑張っていられるな。俺なら即ストライキで離反するよ。は、強欲が聞いてあきれるぜ! ただの我が儘大王じゃねぇか!」

 あ、セイバーの額にも青筋が浮かぶ。

「あー? 友代も仲間のなしにロンリー街道驀進しながら森でヒッキーしてた人には何も言われたくないなあ……」

「あ? あぁん? 誰がヒッキーだよ。少なくとも一歩も外にでねぇで引きこもってるお前よりはマシだろ。というかマジありえないだろ、そんなんだからどんなに頑張っても報われないんだよ」

 ピキピキ、と擬音が聞こえてくるレベルには二人の怒りは高まっていた。というか英霊の舌戦がここまでレベルの低い者だったとは考えもしなかった。というかこれ近所の友達と喧嘩しているレベルではなかろうか……!

 ダンと共に微笑ましく二人を見守ってたところ、セイバーが拳を構え、アーチャーがバックステップでダンの横へ並び、腕の弓を構える。

「いいぜぇ、そんなに死にたいのなら”シャーウッドの森”の殺戮技巧を見せてやるよ!」

「はぁ? 死にたいのはそっちだろ? 首……は無理だから腐滅しろやオラ!」

 何てレベルの低い言い争い……! だが二人の間の殺気は本物だ。言葉で茶化しているし、子供の言い争いにも見える言葉の応酬、それでも体から溢れ出す殺気と戦意は本物であり、人間には到底到達の出来ないレベルのものだ。その姿を見て、一歩後ろへ下がり、構える。

「アーチャー」

「解ってるよ旦那。卑怯な手はなしだろ? だけど俺からそれを取っちまえば何も残らないんだよ。残るのはこの甘いマスクだけ! ハ、これで生娘でも口説けってか?」

「アーチャー、お前の実力はわしが一番よく知っている。お前の腕前は長年狙撃手をしてきた身でさえ背筋が凍る程のものだ」

 ダンの言葉を受け、アーチャーは冷静さを即座に取り戻す。その姿を見てセイバーは笑みを浮かべ、アーチャーは口を開く。

「ハ、なら偶には縁のなかったやり方をやらしてもらいますか!」

 アーチャーが動き出す。それと同時に此方もセイバーへの指示を飛ばす。

「セイバー!」

「おうさ!」

 セイバーが一気に前へ飛び出す。アーチャーは弓の英霊、それに対して距離を生む事は愚行だ。故にセイバーに出した指令はシンプルで解りやすい対策であり指針。

 攻めろ。攻める。攻め続ける。距離を生まない。射る暇を与えない。毒を準備する時間を与えない。

 それに尽きる。

「ハァ―――!!」

 セイバーの掌底が接近と共にアーチャーに繰り出される。アーチャーはそれをバックステップで回避しながら、

「おらよっと!」

 曲芸染みた動きで矢を放ってくる。その一撃がセイバーの体に突き刺さる。あまり大きなダメージではないが、今の一瞬でアーチャーが距離に関係なく攻撃ができる英霊であることが判明した。セイバーに指示を飛ばす為に高速で思考を動かす。

「ハ、弓の英霊だから距離を生まない速攻で片付ける? そんなの見えてるんだよ! お前も素人のマスターを引いて残念だったなセイバー!」

「その未熟さ、魂の輝きに、マグマの様に燃えたぎる渇望に俺は惹かれたんだよ!」

 此方が思考をめぐらす間にもセイバーは高速で動く。アーチャーに再び接近しながら掌底を繰り出し、素早く短い動きで極限まで隙を潰す。だがアーチャーもそれに慣れきっているのか、動きにに対応し、バク宙で距離を稼ぎながら矢を放ってくる。

 セイバーの肩口に矢が突き刺さる。

「セイバー!」

「―――汝、無価値也……!」

 セイバーの両手が黒い炎に包まれる。無価値の炎がセイバーを指の先から肩までを保護する。本来ならあの処刑刃に纏われるはずの炎だが、武器を無くしたセイバーは己の腕を守るように黒い炎を発現させている。炎を生み出した瞬間にアーチャーは距離を生んでいた。

「アーチャー」

「任せな旦那!」

 アーチャーが片手をアリーナの床に当てる。

「茂みの棘!」

 瞬間、アリーナの床を突き破り棘がセイバーに襲い掛かる。足を絣、喉に向かってその魔手を伸ばす茨の棘をセイバーは両手で掴み、

「腐滅しろ」

 文字通り、腐り散った。振れた箇所からその根元まで、高速で枯れて、腐り、そして欠片も残さず鎖散った。英霊か、対魔力が高ければこのプロセスを一気に遅らせることも可能らしいが、対魔力の低い相手には効果を絶大とする必殺の黒炎。処刑刃が仕えない今ではセイバーの誇る必殺の武器だ。アーチャーの魔術から逃れたその瞬間、

 アーチャーの準備は完了している。

「遅いんだよ!」

 アーチャーの腕の弓から矢が放たれる。曲線を描きながら放たれた矢はセイバーの体を掠る。だがその瞬間、セイバーのステータスに変化が見える。

「毒!」

「奇襲ではないから、正々堂々と、正面からの戦いであれば堂々と使わせてもらおう」

「ま、ペナルティ受けまくって弱体化してるんだけどな! はは! 笑えねぇ」

「この程度なら購買で売っている治療薬で回復できるぜ相棒」

 セイバーの言葉を信じ、治療薬を投げる。それが途中で弾け、セイバーに振りかかるとセイバーのステータス異常を完全に解除する。その姿を見てアーチャーはこれ見よがしに溜息を吐く。トラップと毒物の超絶技巧者としては治療薬一つで回復されてしまうこの現状があまりいい気分のものではないのだろう。

「何を呆けている」

 パァン、と音が響く。

 反射的に防御の姿勢を取ったセイバーの頬を一線の傷跡ができていた。

「私もまだまだ現役という事だ」

「旦那、寿命が縮むんでマジやめてくれないそれ」

「安心しろアーチャー。老いた身ではセイバーの動きをとらえきれない―――動きが止まっている時でなくては無理だ」

 ダン・ブラックモアの手には―――銃が握られていた。

「アリなの!?」

 コードキャストであればまだ理解できたが……これはもはやコードキャスト物理というレベルの暴挙だ!?

「アリだ!」

 笑顔を浮かべたセイバーはそのまま突撃する様にアーチャーへと向かってゆく。その手には無価値の炎が巻きついている。アーチャーは既にその脅威を自らの魔術の犠牲を通してい知っている。

「解ってて触るかよ!」

 大きく跳躍し、セイバーからアーチャーが距離を取る。跳躍と同時にアーチャーが数本の矢を飛ばしてくる。横へ飛び、回避しながらセイバーが接近を試みる。

 が、

 距離が中々縮まらない。セイバーが接近しようとすればそれをアーチャーがはばみ、完全に曲芸と言えるレベルの動きで矢を放ってくる。アーチャーの戦術は徹底している。逃げて体力を削る。そして相手が自滅するのを待つだけ。

「ぐっ」

 セイバーの体を矢がカスリ、再び毒が付与される。それを解除するためにも素早く治療薬をセイバーに向けて使用する。毒は消える。が、セイバーの体力はわずかながら削られていっている。まだアーチャーに対してまともな攻撃を当てることに成功していない。

「面倒なタイプだな……!」

「面倒で結構、こちとら必死なんだよ!」

 アーチャーも決して正面から戦うタイプではない。その証拠に今、アーチャーは全力で戦っている。それでもアーチャーがセイバーに対して圧倒的な力の差を証明できているのは単にアーチャーの動きとセイバーの動きが”噛みあっている”からだ。ここで私の素早い動きをベースにした攻撃方法が間違っていない事に気づく。これ以外の選択肢は逆に此方の首を絞める。

 だが、これでは差は埋まらない。なら―――!

『―――アリーナでの戦闘行為は禁止されています―――』

 セラフからの警告が入る。それが聞こえた瞬間、ダンの体から戦意が消え、それに呼応するようにアーチャーの体からも戦意と殺気が消える。

「どうやらここまでの様だな」

「ハ、安心しろよ旦那。どうやら今回は楽に勝てそうだぜ」

「あまり相手を甘く見るなアーチャー。相手の顔を見ろ―――アレは諦めを知らぬ者の目だ。誰よりもお前が良く知っているはずだぞ」

 ダンの言葉にアーチャーは溜息を吐き、やれやれ、といった風に肩を揺らす。

「はいはい、解ってますよ。油断しちゃ駄目なんでしょ?」

「うむ。それでいい。ではセイバー、そしてセイバーのマスター。次は決戦場で会おう」

 ダンとアーチャーはもうアリーナに用事がないのか、そのまま出口からアリーナの外へと出て行った。その姿を見届けてから、

 ぺたん、と尻もちをつく。

「相棒?」

 セイバーが心配した様子で近寄ってくる。

 緊張感と責任感で今まで何とか持っていた。だがアーチャーがいなくなった瞬間それも空気と一緒に抜けてしまい、

「こ、怖かったよぉ……」

「あー……そういやあ殺されかけたばかりだもんな。そりゃあ怖いよな……」

 ダンやアーチャーは違うが、自分には記憶がない。だから少し前まで全力で殺しに来ている相手といきなり話し合いになったら―――そりゃあ怖いに決まっている。寧ろここまでそれを見せなかった自分は良く頑張った。褒めてセイバー。

「あぁ、頑張った頑張った。ホント、一般人の感性を持っていながら良く頑張ったよ」

 よしよし、と妙い馴れ馴れしく頭を撫でてくるセイバーのことは許すとして、

「セイバー」

「うん?」

「おんぶ」

「はあ?」

 セイバーがこいつ何を言ってるんだ、的な表情を浮かべてくるのも仕方がない。だけど仕方がないのだ。

 安心したら腰が抜けた。

 乙女を背中で運ぶ栄誉を与えるのだからもう少しやる気を出してほしい。

「……はあ、はいはい、ヤヴォール・マインヘル。しっかりとマイルームまで運ばせていただきます」

 そうやって背中を見せてくるセイバーにしがみ付き、苦しゅうないと口にする。

 さて。

 ―――問題が山積み過ぎて頭が痛くなりそう。




 バトルになった瞬間爆発的に増える文字数。やっぱりね、バトル系ならバトルで気合を出さないとね! そんなわけでアリーナでのバトルです。マトリクスが揃ってないと全く勝てる気がしませんよね。

 とりあえずCCCは三週目女主でギル様。スク水+ガーターでやろうと思ったら変態すぎたので自粛。
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| 断頭の剣鬼 | 14:32 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

だから、ここの小リスマスターは小動物ぽさが異常だってw
なんだおんぶってw くるしゅうない発言もそうだけと、所作に込められた破壊力がストライクゾーン掠りまくって俺のMPがマッハでヤバいww
戦闘描写は勿論圧巻の一言。みどチャさんの気の抜けたようで要所要所に気合いの入った語りに胸熱でした!
それだけに決戦話が楽しみで仕方ない(>_<)ノシ
あ、歴代ランサー並みに不遇属性香るみどチャさんにどうか救いの手をww

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2013/04/18 15:32 | URL | ≫ EDIT















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