陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-12

 眠気を振り払いながら目が覚める。おはよう私。今日も楽しい聖杯戦争の時間だ。

 速やかな目覚めの為にそのような事を自分に言って聞かせると、体をベッドから起き上がらせる。しかしムーンセルも若干意地悪だと思う。サーヴァントとマスターで一部屋なのにベッドは一つしか存在しない。一緒に寝ろと言う事だろうか。乙女舐めるなよムーンセル。私は記憶喪失でもそこまで乙女を止めていない!

 と、叫びたい所だが、セイバー肉食系にも見えないしぶっちゃけ気にしない。しかし向こうは気にしているようでソファで寝てくれている。ソファと言っても机を積み上げ、その上にカバーをかぶせた偽ソファだ。最近はその周りにタイガー式インテリアも増え始め、少しだけ見栄えが良くなってきている。視界の隅にある時計は早い時間を示している。相棒と呼んでくれる自分のサーヴァントが起きているかどうか確認してみよう。


 どれ。

 そう思い、ソファに視線を向ける。

「お、起きたか。グーテン・モーゲン」

 そこには既に起き上がり、立っているセイバーの姿がある。

 ただしその体は比喩ではなく物理的に燃えていた。それはもう黒く燃えている。黒い炎がセイバーの全身を飲みこんで元気に燃えていた。何時もセイバーが来ている赤い衣はどうやら脱いでいるようで、肌が凄い焼かれているなあ、等と一瞬見当違いの考えに至ってしまうのは状況的に悪くないはずだ。

 ともあれ、

「せ、セイバーが燃えてるぅ―――!? 水! 水! 水を出す礼装はあった!? セラ―――フ! セラ―――フ!!」

「錯乱しすぎだろ」

「だ、だってセイバーが燃えてるんだもん! 物理的に! ファイアー!」

 まあまあ落ち着け、とセイバーがたしなめてくると黒い炎は消える。どうやらセイバーが燃えていたのではなく、セイバーが炎を操っていた様だ。ようやくその事実に思い至ると、安心してベッドに座り込む。怖かった。ガチで怖かった。火災保険とかはいってないのでマイルームが燃えてしまったらもうどうにもならない。

「正気に戻れ。ここに火災保険とかねぇーよ」

 セイバーのリアクションを受けて何とかいつも通りの自分へと戻ってこれた。うん、切り替え完了。再び立ち上がる。早速セイバーには質問しなくてはならない。今の炎は何なのか、と。

 その質問を受けたセイバーは笑みを浮かべる。両腕を組んで、胸を張り、誇らしげな姿をしている。

「喜べ相棒。昨夜マイルームに戻る前に魂の改竄でチマチマと俺に経験値を注いだろ? おかげでまた一つ絆(スキル)を取り戻す事に成功したぞ」

 スキル。英霊が持ちあらわす技術や宝具からのこぼれ出た技能など、戦闘においては大いに助かる技の一つだ。セイバーの一つ目のスキルは”時を刻め”というのであった。内容は実に簡単なもので、セラフによる端末に表示されている説明によると筋力依存の貫通ダメージらしい。セイバーによれば時間を切り刻みながら無拍子の一撃を叩き込んでるから回避も防御も不可能な必中の奥義らしい。凄まじくチートだが、これ一撃では落としたくとも英霊の首は落とせないらしい。何やら幸運の相性とか心眼による回避とか、首を狙わない分にはほぼ確実に成功するらしい。

 幸運と心眼がそんなチート要素だとか聞いてない。

「幸運Aとかの英霊は必中攻撃とか因果確定攻撃を幸運で回避する様な頭のおかしい連中だからな。まあ、慎二とライダーのペアもそんな幸運で舞台を回す様なコンビだったがね。行動が俺の動きとかみ合ってた。最終的には実力で落としたけどな」

 ほうほう。これは筋力や敏捷ばかりではなく幸運を育てることも考えた方がいいのだろうか。ここまで聞かされた後だとどうも幸運をないがしろにすることはできない。と、それはまた別の話だ。セイバーはサチ薄そうな顔をしているしおそらく幸運が低くてもどうにかしてきたタイプの英霊だ。幸運の事は一旦忘れて、端末を取り出す。

「幸の薄そうな顔とか初めて言われた。泣くぞ俺」

 端末には自分とセイバーのステータスが表示されている。ここらへん、セラフは結構便利にできている。サーヴァントの実力を数値化したり、使えるスキルやマトリクスをデータ化してくれているので非常に解りやすい。サーヴァントのステータス項目、スキルを確認すれば確かにスキルが一つ増えている。

 名前が”無価値の炎”の炎であった。

 効果は燃焼効果の付与、と。

「何か別のスキルを取得したらそのうち使わなくなる不遇スキルの気配がする」

「ちょっとお前そこに座れ」

 あ、はい。

 セイバーの目が怪しく光っていた。確実にセイバーを怒らせてしまった。そりゃあ自分の自慢のスキルを馬鹿にしてしまったのだ。怒るに決まっている。だが良く考えてみるのだ。高速戦闘中に攻撃に能力を付与する暇なんてどう考えてもなかったのだ! これは不可抗力だ!

「却下。正座」

 はい。




 意外とスキルに愛着を持っていたのか、セイバーの話は長く続いた。そしてその結果、朝食の時間は過ぎてしまった。流石にそれを反省したのか、セイバーが走って食堂から色々と持って来たところで双方の手打ちとする。もう十分時間は経過している。

 そろそろ自分とセイバーのレベリング作業へと戻らなくてはならない。

「ノルマは一日最低一レベっ!」

 グッ、と拳を握って自分に気合を入れる。まだ自分の事は、頑張るだけの気力はある。これで多少とも前には進める。

「……?」

 と、そこで違和感を感じる。

 何やら空気が少しだけだが、ピリピリしている。感じた事のない感覚に首をかしげる。皮膚がゾワリとし、首の裏がチリチリとし、軽く体が震えるこの感覚はなんだろうか。まるで全身が何かの予感を感じ取っている様な感じだ。経験した事のないこと故に、どうやって言葉にするか迷う。

 ……ともあれ、一階へ降りないと何も始まらない。購買でアイテムを揃えてアリーナへ向かおう。

 そう思い、階段を降りたところで体が動きを否定する。

「マスター、喋るな、動くな」

 階段を下りた瞬間セイバーが現れ、何もするなと告げてくる。だがその心配はない。なぜなら体が動く事を拒否しているからだ。体に動く意思を込めようとしても、体に突き刺す感覚が動く事を拒否している。

「これが殺気ってやつだ」

 殺気―――つまり誰かが殺意を持ってこっちを狙っている事に違いない。

「相手がだれかは考える必要もないな?」

 間違いなく緑衣のアーチャーとダン・ブラックモアしかありえない。ダン・ブラックモアは狙撃手らしいし、アーチャーとその組み合わせは自分達にとっては絶望的な組み合わせだ。その相手が此方を本気で殺しに来ている。シンジとライダーでは絶対に取る事のなかった、いや、取る事の出来なかった明確な排除の意志……!

「合図を出したら走るぞ」

 セイバーは背中を此方に向け、虚空へと向けて視線を送っている。おそらくタイミングや隙を窺っているに違いない。と、

 セイバーが手を叩いた。

 同時に叩いた手から黒い炎が飛び散って遮蔽物となる。数瞬もすれば消える小さな炎。だがこの緊張状態に一石を投じる動きであり、目くらましだ。

「今だ!」

 セイバーに促されるように全力でアリーナへと向けて走る。

 ここで選択できる行先は三つだ。一つは校庭へ。これは駄目だ。校庭は広く、遮蔽物が存在しない。狙撃するには絶好の場所だ。二つ目の選択肢は校内を逃げ回る事やマイルームへと逃げる事だが―――これは正直トラップを一番仕掛けやすい場所だと思う。一回戦を思い出せば軽いハッキングで慎二がトラップを仕掛けている。イチイの毒を使ったトラップを考えると、相手アーチャーが似た様な手段を使ってこないとは考えにくい。それに階段を上るのは平面を走るのよりも労力を消費する。

 だから、迷わずアリーナへと向けて走る。

 瞬間、ヒュン、と何かが光って気がする。

「ハァ!」

 金属がぶつかり合う音が響き、何かが床に落ちる。間違いなくアーチャーの攻撃と、それをセイバーが迎撃した時の音だ。すぐ後ろを走ってついてくるセイバーの気配がある。後ろは振り返らない。校舎内での戦闘はペナルティがあるはずだ。アーチャーもそれを回避しようとするはずだ……!

 アリーナに飛び込む。一瞬の閃光と浮遊感。次の瞬間にはデジタルなアリーナに立っている。横へ飛ぶのと同時にセイバーも守る様に前に立つ。既に両手には剣が握られており、戦闘をいつでも行える姿となっている。戦意を体に漲らせているセイバーは今までと違って正直―――怖い。そう感じられるほどの戦意を感じられる。

「せ、セイバー……?」

「シッ」

 沈黙する様に指示され、黙る。戦闘やこういう状況に関して自分は知識がない。セイバーに頼る事しかできない。だからこそ自分は早く慣れなくてはならない。聖杯戦争とはサーヴァント同士の戦いではなく、マスターの戦いなのだ。サーヴァントがどんなに強大な力を持っていようとも、マスターの指示がなくては魔力不足では戦えないし、マスターの指示を得てこそフルスペックに動けるようにできているのだ。だから、こんな状況で指示を出す事の出来ない自分が悔しい。

「……チッ、出口を抑えられたな」

「どういうことなの?」

 セイバーは構えを解くが、警戒した様子でアリーナを見回している。

「別ルートでアリーナに入ったっぽいな。アリーナの侵入と退出の際が一丸無防備なんだよ。このシステム上な。だから先にマスター押し込んで炎を置きながら中に入ったんだが―――:

 セイバーがアリーナを探る様に見回している。

「―――殺気の出所はアリーナっぽいな。こりゃあ出る際確実に狙われるぞ。アーチャーをどうにかしない限り帰る事も出来ないぞ」

「リターンクリスタルでも?」

「転移は一瞬でも使ってから数瞬は無防備だ。一級の狙撃手ならヘッドショットいけるな」

 セイバーの説明に改めて自分の命が狙われている事実に気づかされる。英霊といっても色々の種類があるのだ。セイバーの様な正面戦闘タイプであればライダーの様に偉業をなした英霊、そして―――このアーチャーの様に卑怯な手段を迷わず使う英霊もいる。

「だけど早速役に立ったね」

 もちろん無価値の炎というスキルの事だ。こんな応用できるとは思わなった。

 だろ、とセイバーが笑みを浮かべて横顔を見せてくる。いつも通りの表情を見て、安心する。彼は私の知っているセイバーだ。大丈夫。私にはセイバーがいる。まだまだ前に進める。うん。

「行こう、セイバー。アーチャーを何とかしよう」

「おう」

 私が歩きだせばその後一歩後ろをセイバーが歩いてきてくれる。迷宮内のエネミーは通常通り存在している。彼らと戦っている間にアーチャーと戦えば確実に奇襲される。セイバーは黙って此方の後についてきてくれている。此方を尊重しているのか、信頼を置いているのか、それは解らないが、

 自分で取る行動は自分で責任を取らなくては。

「遠回りでもいいから回避しながら進もう」

 セイバーは無言で頷く。その返事を心強く思いながらも、アリーナの迷宮の様にうねる通路をエネミーを避けながら慎重に進んで行く。セイバーが時々鋭い視線を様々な方角へと向けている。セイバーでさえアーチャーの居場所を完全には捉えられていないようだ。此方も警戒しながらアリーナを進めば―――中央へと到着する。

 第二層の一のアリーナ。その中央は大きく”開けている”のだ。

「フゥ! 期待通り動いてくれてありがとうさん!」

 声の方向へと反射的に視線を向ける。そこにはアリーナの壁の”上”に立っているアーチャーの姿が存在した。その腕にはクロスボウの様な短弓が装着されている。それは限界までひかれており、矢が装填されてある。喋る瞬間にはアーチャーが攻撃を放っている。

 カキィ―――ンと、音を響かせ割り込む姿がある。

「一方的に処刑される覚悟はできてるんだろうなぁ、アーチャー!!」

 刹那、割り込んだセイバーが処刑刃を使って矢を叩き斬っていた。しかし、アーチャーは笑みを浮かべる。

「ホント期待通りでありがとよ」

「えっ」

 瞬間、全身の血が沸騰する様な感覚に襲われ、体が崩れ落ちる。

 矢は一発ではなかった。

 二発目の矢が一発目の矢に隠れるように放たれていたのだ。完全な初見殺しの罠に私もセイバーも引っかかってしまった。そして体を蝕むこの重みは間違いなく毒だ。

「相棒!!」

 倒れる体をセイバーが支える。此方の事を見た後、視線をアーチャーの方へと素早く切り替える。視界がぼんやりとし、上手くセイバーの顔を見る事が出来ないが―――今にも噛み千切りそうな程碇に燃える表情に見えた。

「テメェ―――!!」

「おぉ、怖い怖い。ま、旦那の為に死んでくれや」

 三発目の矢が迫る。セイバーが剣を放棄し、代わりに私の体を持ち上げて後ろへと飛び下がる。一気にアリーナの壁を飛び越える様に動き、入り口まで逃げようとする。が、それを逃がすわけもなく、アーチャーの四発目の矢が放たれる。セイバーが体を横へ動かし回避する。

『アリーナでの戦闘―――』

 アラームと共にセラフが先頭への介入を開始する。出口は近い。あと少し時間を稼げば戦闘はセラフによって強制終了するか、あるいはセイバーが逃げ切ってくれる。だが、アーチャーはそれを許すほど愚かではない。今の回避でまだ本来のステータスの半分も取り戻せていないセイバーの体勢は崩れている。

「これでチェックメイトだ―――!」

 アーチャーが矢を放つ瞬間、セイバーが叫ぶ。

「ブロークン・ファンタズム!」

「てめっ!?」

 アリーナ中央に放置していたセイバーの刃が巨大な魔力爆発を起こす。アリーナの中央に穴をあける程の衝撃波アーチャーの照準を狂わし、そして逃げる為の時間を十分すぎるほどに生み出す。

「しっかりしろ相棒……!」

「セイ、バー……」

 何とか絞り出すように声をだし、出口に到着したところを確認し、安心する。

 そのせいか、

 意識を失うのは難しい話しではなかった。




 予想外に長くなったなぁ、と。

 キャス狐ENDとCCCルートEND見ました。真・ラスボスが原因でR-17なんじゃないかなぁ。

 ともあれキャス狐かわいいよキャス狐。タマモ9とか全員そろえたひたすらもふもふしたいです。というか九尾になったらデレ消えて暗黒面に落ちるんじゃないのかよ。SG3はなんだったんだ。九尾化したのにデレデッレというか利権争うなよ……!

 あ、あとトワイス戦楽しかったです。キャス狐はどの時間軸でもキャス狐でしたね。ポニテキャス狐かわかわ。
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| 断頭の剣鬼 | 20:10 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

無価値の炎ww
ここのセイバーさんは何処を目指してるのだろう、予想を斜め上にいっそう飛びされたZE!
いやしかし、戦闘パートで輝くはずのセイバーだと思ってたら、小リスマスターの小リスっぷりに思わずほっこりさせられるw
CCCはゲーム時間をなかなか確保できず、二週目の嫁王様攻略中という亀play中ですが、てんぞー様のお話を聞いてると三週目はキャス狐にしようかと悩んでしまうヾ(´ω`=´ω`)ノ

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2013/04/16 15:11 | URL | ≫ EDIT















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