陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-10

「どうぞ、お茶です」

「ありがとう」

「いえいえ、健康管理AIとしてこれぐらいは当然ですから」

 そう言って保健室のテーブルの上にはお茶が出ている。そのお茶を飲んでほっこりと体を温める。マイルーム以外でこんな癒しスポットがムーンセルに存在していたとは思わなかった。お茶を飲みながらそんな事を思う。

 キィーン、とサーヴァントの出現する音を響かせてセイバーが現れる。

「さっきまでアリーナへと向かう空気だったよな……?」

 うむ、とセイバーの言葉に頷く。だが毎回戦いが始まると保健室の桜からは支給品を貰うことができるのだ。ハッカーではない自分の力量では他のマスターみたいに独自の術式で頑張るなんてことは出来ない。だからアイテムと礼装を限界まで集めて利用するしかない。やっぱりタダでアイテムが手に入るのであれば手に入れるべきだと私は主張する。

 それにセイバーは胡散臭げな視線を向ける。

「で、本音は?」

「桜のお茶美味しい。私達予選の間でもかなり仲良かったし」

「把握」


 あきらめの溜息を吐いたセイバーの姿が消える。文句を言わない辺り、許してくれているのだと判断する。その光景を見て、桜がくすくす、と笑い声を零す。

「セイバーさんとは仲がよさそうですね、先輩」

 ―――先輩、懐かしい響きだ。予選の間はそんな風に呼ばれていた覚えがある。そう、桜は年下の少女という設定のはずだ。そして自分が二年であるから先輩、と。予選は終わったのにこうやって同じ関係を続けられるのは精神衛生的に大変よろしい。記憶がない故に過去に接点のある存在と話せるというだけでも大変気が楽になる。

 ……なにせ、聖杯戦争とは基本的に斬り捨てて進む儀式だ。自分を知る相手はほぼ敵か、自分のサーヴァントのみとなる。

 その中、戦いには直接的にかかわらない人物との会話は嬉しい。

 とりあえず桜の言葉に対してまだ返答を返してない事を思い出し、軽く頷く。セイバーには良く助けられていると桜に告げる。っぶっちゃけ自分の様な魔術師の最底辺が良くこんなサーヴァントを引く事が出来たな、と関心すらする所がある。良く頑張った私のラック。絶対幸運パラメーターはEX……だと信じたい。記憶喪失でムーンセルにいる時点でそれは絶対にありえないんだろうが。でも少しぐらいは夢は見たい。

「先輩が元気そうで良かったです。一回戦の間は一度も来なかったので少し心配したんですよ?」

 そう言われると申し訳なくなる。一回戦は一回戦で余裕がなかった。今もある訳ではないが、それでも少しは心に余裕を持ちたいと思っている。

 さて。

 飲んでいたお茶を飲みほし、カップをテーブルの上に置く。ここに浸るのもいいが―――それでは到底前に進めはしない。桜にお茶をありがとう、と告げてから立ち上がる。桜もこれからアリナーに向かう事を察したのか、笑顔を向けて頷いてくる。

「はい、探索頑張ってください」

 頑張らなきゃ死ぬ。マジ死ぬ。

 そんな事を思いつつ、保健室を出て、アリーナへと向かう。

 あ、でもその前に魂の改竄しよう。死活問題。

『しまらんなぁ……ウチの所のマスターは……』





 誰と出会う事もなく、何も起きる事無くアリーナに入る。アリーナに入った直後にセイバーは姿を現し、そして同時異にアリーナの空気がおかしいことに気づく。素早くセイバーが近づくと、口元を服の袖で隠してくれる。体が重く、だるく感じる。息苦しい。このアリーナの空気はおかしい。まるで―――

「毒だ。しかも空間全体を汚染するタイプの毒。陰湿だが効果的なやり方だ。奇襲とかには警戒したいな」

 セイバーの服には対魔力か対毒能力があるのか、それで口元を覆うだけで少し呼吸は楽になった。一瞬アリーナからの脱出を考えるが、それは駄目だ。時間の浪費になる。何より入ってすぐに出たのでは情報は掴めていない。もっと、貪欲に求めるべき……だと思う。

「それでいい、前に進むことを恐れず進む姿はだれであれっ見習うべき姿勢だ」

 そう言うとセイバーは上着となっているフード付の衣を脱ぎ、それを此方の肩にかけてくる。やはり対魔力が付与されているのか、対毒能力があるのか、それを羽織っているだけで体は楽になる。だがそうなるとセイバーの方が危ないのではないか?

「安心しろ。この程度の毒だったら致命傷にはならない。チクチクHPを削られる事にはなるがそれもアイテム使えば十分取り戻せる範囲だ。もちろん購買でアイテムは買い込んでるよな?」

 もちろん。礼装での回復魔術は使用できるが、それでもアイテムは魔力をしようしないで回復の出来る貴重なリソースだ。購買でお金を使って購入できるのだから、購入できる限りは購入してある。何せお金を使わず腐らせて死んでしまったら意味がないので。使えるものは使える時につかってしまう。

「それでいい。さ、相棒よ、俺に指示をくれ」

 武具を纏い二刀を握ったセイバーは後ろについてくれている。見慣れた赤い衣は自分が使っているため、非常に珍しい姿だ。この際しっかりとみておこうと思ったが、それで毒で死んだらたまらない。敵やエネミーに襲われる前にアリーナの中を探索し始める。いつも通り、少しゆっくり走るペースで、トリガーを探索し始め―――

 ……いた。

「エネミーだな」

 箱を二つに割ったような形のエネミーが普通にアリーナ内で活動していた。どうやら毒の影響を受けているようには見えない。確実にこの毒はアリーナの特徴ではなく、敵の攻撃なのにエネミーが巻き込まれていない。と言う事はある程度敵味方を判別する事の出来るものなのかもしれない。そういう詳細な事が出来るクラスはキャスターじゃないだろうか。老練の元軍人とキャスターの組み合わせ。うわ、相手にしたくない。

「邪魔だな」

 一瞬で近づいたセイバーがエネミーを両断する。たった一撃でエネミーは滅びる。いや、両断したのではなく斬首したのだ。どうやらセイバーには人型ではない生物でさえ首の位置をしっかりと把握できているらしい。ステータスは弱体化で低くとも、この一撃必殺のスキルがあるおかげで戦闘は本当に助かっている。魂の改竄で筋力と敏捷を集中的にあげているのでその動きはさらに機敏に、そして力強くなっている事もある。その姿は頼もしくなる一方だ。

「さ、俺達にどんどん経験値とPPTを貢ぐんだ」

 もうちょいシステム的部分をぶっちゃけないで欲しい。

 だがセイバーの動きは止まらない。少し先にはまた新たなエネミーが存在している。それを目視しすると確認の視線を送ってくる。声を出す必要はない。軽く頷く瞬間にはもうセイバーは動きだしている。今度は蜂の姿をも舌エネミー。此方も一気に接近すると首に当たる場所を処刑刃で斬り落とす。本来ならシステムがサーヴァントの筋力やエネミーの耐久力を判断し、どこまで一撃で傷をつけられるかを判定するのだが、その過程を無視して首が飛ぶ。

 第一回戦のアリーナの頃は首がポンポン飛ぶ光景に恐れを覚えたが、二回戦目となれば慣れる。というかバステ中でも寸分の狂いもなく首を飛ばす辺り流石セイバーと言ったところだろうか。

 と、ヘッドハンティングをしていたセイバーが動きを止める。何事かと視線をセイバーの先へと伸ばせば―――

「アーチャー、これはどういう事だ」

「え、どういう事って?」

「とぼけるな。何故イチイの毒を使っている」

 そこにはダン・ブラックモアと、そして彼と言い争っている人物の姿がある。緑色の衣に身を包む青年。彼をアーチャーと呼んだからにはダンのサーヴァントなのだろう。しかし、

「どうやらあまり仲がよろしくないようだぞ?」

 そう。ダンと緑衣のアーチャーは言い争っている。何やらダンがアーチャーを責めている様にも思える。

 ここは―――だまって様子を見よう。情報もないのにこのまま突撃してしまってはダメだ。ダン・ブラックモアはもう雰囲気からして強敵だし、レオが太鼓判を押すほどのキチガイだ。ここで前に出たら絶対デッドエンドフラグである。

「ここで打って出るって言ってたら教育する必要があったから安心したよ」

 流石にそこまで馬鹿じゃないと信じたい。どっかの並行世界の自分は1回ぐらい選ぶんじゃないだろうか。まあ、ともあれ、黙ってアーチャーとダンの口論に耳を傾ける。

「アーチャー、一回戦もそうだがお前は勝手が過ぎる。お前には誇りがないのか」

「ハッ」

 アーチャーはダンの言葉に短い笑いをあげる。

「誇りぃ? で語ればいいんですけどぉ? いや、まあ、俺って誇りとかとは縁遠いし? そもそも騎士ってガラじゃないんでそんな事言われても困るんすよ。大体俺の戦法はヒット・アンド・アウェイ。ロマンチストじゃなくてリアリストなんですよ」

「アーチャー、お前は解っておらんようだな」

「解ってないのは旦那だよ。誇りだけで勝てるのなら俺のようなやつは生まれねぇんだよ」

 その言葉にダンは静かに目を閉じ、頭を横に振ってから再びアーチャーを見る。

「今回の出来事は不問とする―――次はないぞ」

「へいへい、ダンナもお優しい事で」

 ダンとアーチャーの姿が消える。それを合図にセイバーと共に数歩前に出る。もうアリーナの中にはダンとアーチャーの姿は見えないし、気配も感じない。おそらく一足先にトリガーを確保し、アリーナから脱出したのだ。セイバー腰に手を当て、ニンマリといやらしい笑みを浮かべる。

「おいおい、今の聞いたかい奥さん」

 ―――えぇ、聞きましたわよ奥さん。

「あら、ノリがいいな相棒。あぁ、その位調子にノってるのがいい。しめる所はちゃんとしめてな。―――この戦い、ブラックモアとアーチャーが不仲なのが確実に俺達の付け入る隙になる。生き残るためには利用できるものは全部使おうぜ。それにあの連中”イチイの毒”つってた」

 おそらくそれがこのアリーナを汚染している毒の正体に違いない。

「こういうタイプは結界の起点となるものが近くにあるはずだ。周りを見てみるんだ」

 セイバーに言われ、軽く辺りを見渡せば……あった。アリーナの一角に木が生えている。このアリーナのデザインからしても明らかな異物だ。アレがアーチャーの使った”イチイの毒”というものに違いないだろう。これ以上毒に悩まされるのも面倒だ。木の下へと走り、セイバーに飛ばす。

「セイバー! アレを破壊して!」

「せぁっ!」

 短い声と共にセイバーが刃で木を砕く。イチイの毒の源泉はセイバーによって砕かれるのと同時に姿を消す。アリーナを汚染していた毒は消え、体にかかっていた軽いけだるさも消える。セイバーのHPをチェックすればその減少も呈していた。どうやら敵のトラップは破壊できたらしい。セイバーの衣を少々名残惜しくも感じながら返し、それに袖を通したところを見てからうん、と納得する。

「いや、なんだよ」

「やっぱり、マフラーと一緒にその服を着てるとセイバーだなぁ、って思って」

「キモイ」

 ひ、酷い……!

 軽くショックを受けている自分の姿を見てセイバーは笑うが、本気で言ってないのは解っている。故に、

「つかれたし今日はノルマの1レベ上昇したらトリガーゲットしてマイルームへ!」

 妥協はしない。くじけない。願いも理由もなくても、とりあえずは前に進もう。

 私に呆れず、あきらめずついてきてくれるセイバーのためにも。




 キャス狐でサーヴァント記憶喪失イベント終了しましたけど、キャス狐はどこまでもキャス狐だった。あと桜色の現代服マジ可愛い。

 なんだかゲームで遊んでるせいかスラスラ書けますね。

 え、SAOインフィニットモーメント? クソゲーって評判なので (
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| 断頭の剣鬼 | 15:34 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

リアルで講習会であくせくしてたら更新量がw
そして本編も、流石にてんぞー様w 更新速度が神懸かってるよぉぅ
今日からの仕事の活力ゲットォオ!!
休み時間にゆっくり読みましょう
つか、ヘッドハンティングが用法間違ってるのに決して誤字では無い件について……流石にセイバー、いったい○○アキなんだっ!ww

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2013/04/15 15:47 | URL | ≫ EDIT















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