陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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剣と鋼 ―――プリーチ

推奨BGM:Nacht der langen Messer


 パンをちぎって口に放り込みながら街の中を歩く。

 セントリアは円形の街だ。セントラルカセドラルを中心に、円を描く様にできている巨大な街だ。そこから外周へと向けて北、南、東、西、と区切られている。ちょうどルーリッドが北の集落に分類されるように。壁によって区切られたこの世界はクラシフィケーションが非常に楽だ、というも解りやすい。まあ、解りやすいだけなのだが。別に独自の文化をはぐくんでいるわけではない。

 いや、それが面白い所なのかもしれない。

 パンを食べながら歩く曇天の街の中、湿った空気と臭気が鼻を刺激する。あまりいい臭いではない、腐ったような、腐る直前の様な、そんな匂いがしている。中世ヨーロッパでは糞が道路に捨てられていたり、肉の余った部分や内臓を精肉店は放り投げて捨てていたという。そんな衛生的ではない事が行われていない以上、本来の中世ヨーロッパよりはマシでも、一度街の裏へと足を踏み込めばこんな事になる。ここがおそらくSTLの中の世界だとしても貧困や格差とは無縁というわけにはならない。


 流通とそれによって生まれる絶対的な差、それはちゃんと存在している。

「ということは、だ。ちゃんとした市場があるって事だよな、今更だけど。お金はリスポーンせずリアルと全く同じ形でお金は回ってるんだよな?」

 これはALOと同じ―――というわけではない。ALOはネットゲームである為モンスターからお金などを手に入れる事が出来るし、資源はリスポーンする。だから完全にリアルと同じ経済の仕組みが出来上がっているわけではない。この街、いや、世界はそれと比べてどこまでもリアルにできている。時代は古いが、それでもリアリティには変わらない。どこまでも現実を追及しているように見える。

 軽く手を近くの壁に伸ばし、角を抉る様に握る。力を込めればあっさりと壁は砕け、手の中には壁だったものの残骸が小さくながら出来上がる。ALOで同じような事をすれば非は怪物として停止させられるはずだし、出来たとしてもこうやってとった破片は即座に消える。こんな細かい領域まで保存できるメモリが存在しないからだ、というか持たない。あらゆる可能性を考慮するハメになるからだ。

 それができてしまう。

 改めて不思議、ではなく異常な世界だ。

「雨、降るのかな」

 呟きながら路地裏から大通りへと戻ってくる。黒髪は中々珍しいものだとカインに教わった。無用な視線を避けるためにも予め用意していたクロークのフード部分を被り、周りから自分の顔と姿を隠す。たぶん必要のない行動だが、これも気分だ。モチベーションには大いに関係ある。どんなに歳を取ってもこういう恰好は男の憧れというか、年甲斐もない厨二―――いや、忘れよう。

 雑踏に紛れる様にゆっくり歩く。

 そうしながらするのは人間の確認だ。

 既に戒とベアトリス、、そして螢に出会っている。いや、これらが本人なのかは確認する手段がない。だけど、それでも、ここまで人が揃っているのを見ると、どうしても作為的なものを感じてしまう。

 ベアトリスと出会ってから既に一週間が経過している。


                           ◆


 アレからの一週間は安定して平和なものだ。

 カインに剣について聞かれたら答え、振ってくれと頼まれたら振る。鍛冶の方は完全にジャンル外だから頼まれる事はないが、納品と店番だけはやらせてもらっている。若干楽じゃないかな、と思ってしまう状況。ようやくケイも心を開いてきたのではないかと、おずおずながら挨拶をした後すぐに逃げる事はなくなった。少しは慣れてくれてのだと思いたい。

 あの日からベアトリスにはまだ一度も会っていない。それも学園へと向かう用事がないからだ。ぶっちゃけそれぐらいだ。というかそれしかない。ここ数日は特に店にカンヅメだったために街にすら出ていない。だからこうやって街に出るのは実に数日ぶりの出来事となる。まあ、あらかじめ予想していた事だし、文句はない。調査も何も、人間関係がなければ聞ける話も聞きだせない。

 ようやく巡ってきた休みの日。

 この日だけは誰もが仕事を休む事を許される日。

 迷うことなく向かうのは今まで行きたくともいけなかった場所、

 ―――セントラルカセドラルだ。

「高いなぁ……」

 大通りから街の中央にそびえる塔を見る。まさしく塔と表現すべき建造物だ。雲に覆われて先端が見えない塔。これがこの世界の中心となっている。少なくとも”此方側”の世界の中心tのなっている。闇の国に囲まれていて先へと進めないこの世界、ここが中心となっている。

 ゆっくりと歩きながらセントラルカセドラルへと近づけば、建物の中へと入って行く人の姿が見える。ローブ姿の者、カソック姿、色々と服装に違いはあるが見た所平民や貴族も出入りをしている様に見える。

「えーと、公理教会の本拠地であるのがセントラルカセドラルであり、その中には騎士たちがいる、と」

 道の端へと体を移して目を閉じる。ここ最近体は更に強靭に、そして感覚は鋭く研ぎ澄まされて行く。まるで肉体が改造される様な事態に恐怖はない。その事を軽く不思議に思いながら軽くだが、気配らしきものを探る。セントラルカセドラルへと向けて神経を伸ばせば解る。

 その中に存在する大きな流れと力の存在を。

 目を開ける。

「ま、一般入場は許可されているようだし」

 自分は自分の出来る事をしよう。そんな思いと共にカセドラルの中へと向かって歩き出す。ここが教会ならば、一般開放されているエリアはおそらく礼拝堂だ。そこから何か得るものもあるかもしれない。望みは薄いが、今もどこかで頑張っているキリトとユージオの為に自分もできる事は全てやらなくてはならない。


                           ◆


「あ、キリト酷いよ!」

「悪いな、このハチミツは俺が予約済みなんだ。マーガリンだけで我慢してくれユージオ」

「日が経つごとに僕に対する遠慮以上に色々と酷くなってないか!?」

「真面目キャラというか唯一俺を理性的に抑えられる正樹がいないんだぜ? あえて言わせてもらうぜ―――はは、ざまぁ」

「キリト!!」


                           ◆


 キリトとユージオは元気にやっているだろうか。確実にハッチャケたキリトの被害をユージオが被っている光景しか思い浮かばない。いや、まあ、確実にそうなるのだろうが。真剣な顔をしているがキリトはなんだかんだでまだ子供だ。精神的に、ではなく年齢的に。多生ハッチャケているのは次出会った時に殴る事で許そう。

 頭を入り口の門番に下げてから教会の中へ侵入する。入るときに門番も笑顔と共に頭を下げているため、それなりにモラルは高いのだと思う。少なくともその他多数に埋もれる感じではない。

 セントラルカセドラルに踏み込んでまず見えてくるのは長いホールと、その先にある開いた扉だ。その先にはステンドグラスに祭壇、ベンチやらと、礼拝堂の姿が見える。だがそれよりも気になるのはこのホールの左右に設置されている扉だった。鍵がかかっている様子はない。誰かが立っているわけでもない。

 と、そこで扉の向こう側から鎧に身を包んだ人物―――騎士が出てくるのを目撃する。そこで自分が呆然と立っている事に気づき、少しだけ足を速め、礼拝堂へと向かう。あそこが関係者戦用入り口か、と軽く言葉を零す。何故見張りがいないって―――そりゃあそうだ。ここは自己中心的な人間の世界だが、それでも規律によってモラルだけは維持されているのだ。見張りなんて最初からいらない。学校で”ダメだ”と教えればそれだけでこの世界の住人は疑うことなくルールを守れる。

 フードをかぶったまま正道に入る。正直予想してたよりも礼拝堂は凄くなかった。ステンドガラスのクオリティは”そこそこ”といったレベルで、装飾もあまり施されていない。中世でいえば教会とは権力と権利の象徴だったはずだ。まあ、禁忌目録があれど、もはや教会はただの象徴だけであり、実質的な力や権利はその裏の騎士達が握っていると考えられる。

 ……なんか、つまらないな。

 ベンチに座り、若干俯く様にして、顔が周りに見られないような姿勢から祈るフリをする。実際作法は知らないだけだし、周りの動きに合わせているだけだ。だがそれでも十分だ。この世界でおそらく本当に心の底から神に対して祈っている人間などいないだろう。そればかりは確信の出来る”現実”だ。それがふつうであるために、形だけとして祈っていても怒られはしないし、別段珍しい光景ではない故怪しまれる事もない。だからこそこうやって祈っているふりをして周りを窺う。

 見えるのは広い礼拝堂とまばらにいる人たちの姿だ。誰もかれも祈りをささげているようで層には見えない。現実の宗教家に魅せれば憤慨しそうな姿勢だ。ともあれ、その姿を見ていても面白いことはない。視線を更に写し、礼拝堂全体を観察し―――特に発見という発見もない。ただただ普通の礼拝堂だ。部屋全体を見て回すが発見はない。というよりも入り口以外に扉はなかった。と言う事は、あのホールの扉を抜けた先が―――アリス少女のいる場所だ。

 確かセントラルカセドラルに連れて行かれたという話だ。

 ここ射到着してから1週間、っもちろんアリスの行方については探った。それでも誰も彼女の存在を知らない。いや、興味を持たない。だから情報なんてない。金髪の騎士がここにはいる、そう言われても金髪の騎士なんてたくさんいるに違いない。それだけでアリスとは断言できない。

「キリト達が追いつくまではスルーか……?」

 とはいえ、情報収集にも限界はあると思っている。カインが悪い人物ではない事は理解している。が、そこで終わってしまう。高位の役職についているわけでもないし、そういう人物のコネクションを持っているわけでもない。セントラルカセドラルに入るにはまず”身内”になるしかない。キリトとユージオの選択は間違いなく正しいものだ。少将時間はかkるが、確実に侵入の出来る方法だ。

 しかし、やはり、時間がかかる。どう考えても時間がかかる。

 安全策故に仕方がない話だ。

 だったら―――安全を無視すれば?

「……うん」

 いざとなれば身を隠すだけで済むのだ。自分は強いし、多少強いってだけなら何とかなる。

 ならば、

「やろう」

 忍び込もう。




 平和。まだ。平和。でも気づいていないだけだよね!
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| 断頭の剣鬼 | 15:04 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ようやくバトルパートに入りそう。
日常もつまらなくはなかったがやっぱりバトルがないと
盛り上がらないので

| シオウ | 2013/04/08 00:50 | URL | ≫ EDIT















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