陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第12話 不良騎士アグスタで暴れる

「―――とはいえ、来て下さらないと結構暇なのよねぇ」

 溜息を吐き、ホテルの廊下、壁に寄りかかる。その正面にはガラス張りの窓が存在し、そこからアグスタ周辺の森を眺めることが出来る。タバコを吸うわけにもいかず、口の中にはタバコの代わりにコーヒー味のガムがある。その味をタバコの代わりに確かめながらもホテル東側から強化された視力を駆使し森の中の様子を見る。

 魔力によって得られる透視能力で見える光景の中には卵の形をした機械が見える。

 ガジェットだ。


 確認したそれの様子を見ながら、ホテルの西側へと回らせたクゥーニャに念話をつなげる。

『おい、そっちからはどう見える』

『大体そっちと同じだ。指揮官の存在は見られないぞ』

『んじゃあ陽動か囮だな』

 機動六課はガジェットが"自動で魔力反応のあるロストロギアを追って来ている"と考えているようだが、それは違う。実際は指揮官を通して軽いプランをプログラムされ、そしてそれに基づいた行動を取っている。そしてその場合、殆どの可能性で囮に使用されている。というよりもアレは玩具だ、と敵も把握しているのだろう。明らかに使われ方があっけなさ過ぎる。少しずつAIや機能性の上昇は見られるが、それでも管理局を揺るがすほどの戦闘力はない。大体管理局にいるニアSやオーバーSは別にはやて達だけではない。ほかにもSクラスの戦力は存在している。つまり管理局は"機動六課"と言う捨て駒を使ってガジェットやスカリエッティの掃除をしているに過ぎない。

「ま、だからこそ付け入る隙があるんだがな」

 コーヒーガムを噛むがそれでは若干の物足りなさを感じる。が、ホテル内での喫煙は禁止されている。透視魔法でホテルの外を確認していると、次第に近づいてくるガジェットの集団へと向けてホテルの上部から迎撃する存在が現れる。赤と桃色の二つの姿はある程度空中を進むと二手に分かれてそのままガジェットの破壊に乗り出す。

『騎士シグナムと騎士ヴィータだな』

『あの二人がいるのならほぼ問題はないだろ。さて』

 後ろを向くと床に三角形の魔法陣が描かれ、光を発しながらそこから人の姿を現していた。現れる人の姿は全身黒に包まれていた。黒のボディスーツに黒のプロテクター、そして黒のグローブに黒のフルフェイスメット。肌どころか髪の毛の一本すら露出させない格好の侵入者はおそらくは召喚魔法による召喚で一気にホテル内部へ召喚されていた。

 目の前に現れたその人数十二。

 多分、憶測ではあるがこの召喚魔法を使った召喚移動法でホテル内部、既に各所にこの襲撃者は召喚されている。その手の中に握られている武装は統一されており、全員が銃型の得物を握っている。

「いらっしゃ―――」

 言葉を終わらせる前にトリガーが引かれ、弾丸が発射される。


                   ◆


 フルオートで吐き出される弾丸は何度も何度も体に命中しながらホテルの壁に弾痕とウィルフレッドの体を叩きつける。見敵必殺。その言葉を体現するように召喚現場から一番近いウィルフレッドに対して容赦ない弾幕が放たれ、その全てが命中する。たっぷりと十秒ほど射撃を続けてからウィルフレッドの体が弾丸から開放される。声も合図も存在しない事からおそらく念話かそれに類する技術を持って連絡を取り合っていることが解る。ホテルの床に力なく倒れる体から絶対に目を離す事無く銃を向けたまま、

 ―――黒の侵入者たちのうち四人が腰からハンドグレネードを掴む。

「あ、流石にそれはヤバイ」

 瞬間的に起き上がったウィルフレッドが片手を地面に押し当て、それで体を一気に数メートルほど飛ばす。侵入者はそのままハンドグレネードを標的へと投擲するが、ウィルフレッドが懐からカード状の道具を取り出す。

「呼吸と心音を抑えての死んだフリだったんだがなぁ」

 カードが一瞬で二メートルほどの逆手大剣へとその姿を変貌させる。投擲されたハンドグレネードを逆手大剣の動きで横へ弾くと、弾かれた先で爆発を起こす。そのまま逆手大剣を強く握り、攻撃の踏み込みを行った所で、

 侵入者達が後ろへと下がって行く。

 グレネードをウィルフレッドと自分たちの間に投擲し、爆発させつつ銃によるフルオート射撃で弾幕を張る。既にその足元には出現の時と同じ魔法陣が出現し、別の場所へ召喚する準備を整えていた。

「逃がすか」

 逆手大剣を迷わず投擲する。

 弾丸を超える速度と力で放たれた逆手大剣は弾丸を受けてもなお減速せず、一瞬で敵にまで到達すると衝突し、敵を吹き飛ばす。逆手大剣が飛んだ先へ床を蹴り、弾丸を体に張っている透明のバリアジャケットで弾きながら一気に接近する。が、吹き飛ばされた敵共々その全てが召喚魔法によって回収され、おそらくまた別の場所へ再召喚される。

「統率とれすぎだろ。それに質量兵器を容赦なく使ってくる辺り、ただのテロリストって訳じゃないよなぁ……弾薬ってクソ高ぇし。ヘタに質量兵器に手を出すよりは魔法の方がお手軽だしなぁ」

 床に突き刺さった逆手大剣を抜きながら腕を組む。ホテル西側にいるクゥーニャに念話をつなげる。

『おい、クゥ。そっちはどうだ』

『ふむ。少々厄介な事になってしまった』

『はぁ? なんだ。そうかそうか。漏らしたか。クゥちゃんはまだお子様ですねぇ』

『お前がそういうプレイを所望なら私は何時でも受け入れる準備があるが―――私と視覚を共有してみろ』

 クゥーニャの言葉に従い、クゥーニャとの視覚を共有させる。一種の秘術に近いそれを行った瞬間、クゥーニャの目に映る光景が入ってくる。

 即ち高速の戦闘と、それに追いつく敵の姿だ。

「うわ、めんどくせぇ」

 思わず念話ではなく口で言葉を滑らせてしまう。ウィルフレッドがクゥーニャの視覚を通してみる戦闘は超高速のそれだ。まだ本気からは程遠いが、軽度の身体強化のみを使用した状態でもクゥーニャの移動は凄まじい。速度はそれを有しているだけで多大なアドバンテージであるのに対して、クゥーニャは騎士団中"最速"の名を保持している。そのクゥーニャの速度に相手はデバイスと思わしきランス二本を持って完全に追いついていた。

 否、追いつく、という表現は間違いだ。対応が正しい。ウィルフレッドの視界にはクゥーニャが高速で動き回り、様々な方向から爪での斬撃を繰り出すのが見える。しかし二槍の侵入者は動きを最低限にし、背を壁に預ける事でなるべく死角を消し、クゥーニャの攻撃の選択肢を狭めている。壁を背にしている以上槍を振り回しにくいはずであるのに、それを巧みに操る侵入者は不自由をしているようには見えない。

『そう言うな。まさかこれほどまでの相手に会えるとは思ってもいなかった』

 走り出す。相手がアグスタ内部に来てくれたお陰で相手の狙いに大体見当が付いた。

『おう、間違ってもデバイス使うんじゃねぇぞ。報告書がクソめんどいから』

『大丈夫だ。相手もどうやら本気で戦うつもりはないらしい。折を見て一気にカタをつける』

『解ってるのなら宜しい』

 走った先でフロアの中央、吹き抜けとなっている場所にまでやって来る。現在位置は屋上一つ下のフロア、つまりは七階となっている。そしてオークション会場となっているイベントホールが存在するのは二階。つまり階段か何らかの手段を用いて下へと降りなければならないのだが、

「よっと」

 吹き抜けとなっている場所から一気に飛び降りる。重力に従い体が一気に下へと向かって加速する。そのまま落ちて行けば体が地面へと衝突しタイムのロスになるであろうから、その前に四階を過ぎた所で拳を壁にめり込ませる。壁に突き刺さった拳により一気に体が減速し、二階に到達したところで体が完全に停止する。腕の力で体を前に一気に飛ばすと、二階に着地する。

 そこで、イベントホールへと進入しようとする黒い一団の姿を目視する。

 その集団の背後に逆手大剣を投擲する。超高速で放たれた大剣が背後から集団を打撃し、大きく体を左右に弾く。そのまま自分も前へと飛ぶと、イベントホールの扉前の床に突き刺さった得物の所まで一気に到達し、回収する。

「ははっ、ストラ―――イク、ってやつだ。かっこつけるために磨き上げたボウリングのテクはどーよ」

 倒れた黒い集団が少しよろつきながらも立ち上がり、武器を構える。その目的はやはりイベントホールへの進入だった。ここから先は通さない。その意思を見せるためにもウィルフレッドが得物を握りなおすとそれを肩に乗せ、軽く肩の上で叩く。

「そんなによろよろしてないで少しは休んだらどうだ? 人生楽してる方が何かといいぜぇ。ほら、"誘拐"なんかやめちまえ。どうせ俺を突破する事なんざ不可能だからよ」

 声に挑発されてか黒の一団がしっかりと立ち上がり、銃を構える。そのまま引き金を引こうとしたところで動きを止め、後ろへ数歩下がる。

 後ろへ銃を構えたまま下がる一団と入れ替わりに、一人の襲撃者が前に出る。

 格好は変わらない。一部も姿を晒す隙を与えない黒尽くめの格好だが、持っている得物が違う。体格からして男に見えるこの存在は特定に役立ちそうな特徴を持たない、おそらく使い捨ての長剣型デバイスを握っている。

 他の一団がイベントホールへと繋がる廊下の入り口を塞ぎ、長剣の男とウィルフレッドを廊下に閉じ込める。

 反応からして、この男が指揮官級だと確信する。

 長剣を無言で構える姿からは何の威圧感も感じないが、"できる"相手だという理解はある。

「おいおい、勘弁してくれよ。俺は男相手と踊る趣味はないんだ。出来たら胸のある女に生まれなおしてからまた俺の前に出てきてくれよ。そしてらダンスホールでもベッドでもどこでも踊ってやるからさ」

 軽口を飛ばすが相手から一切反応はなく、ただ長剣を構えるだけだ。

「そうか、どうしても"ユーノ"が欲しいって訳か」

 無言の相手は答えないが、ウィルフレッドはニヤリとして笑みを浮かべる。

「そんじゃ互いに本気を出せない茶番劇だけど、いっちょ暴れますか」

 肩から逆手大剣を下ろした瞬間―――爆発するように床を蹴りウィルフレッドが前に出る。強さはあるが、そこまで速くはない。そんな跳躍をもって接近したウィルフレッドに対し黒尽くめの指揮官は素早く接近した。一瞬でウィルフレッドの懐にもぐりこむと非殺傷設定の切られた長剣型のアームドデバイスを首に振るう。西洋剣で行う斬撃、叩ききるように放たれた剣の一撃は常人に対して致命傷になるほどの傷を与える。

 が、ウィルフレッドの体に一切の傷は付かない。

 反撃に、相手の攻撃を無視するように逆手大剣が振るわれる。幅四メートルほどあるイベントホールへの廊下が逆手大剣と、ウィルフレッドの動きで半分以上が埋まる。あらかじめ攻撃が通じる事がないと解っていたのか、長剣使いは得物から一度手を放し、逆手大剣を斬撃を潜るようにして回避してから長剣の柄に手を触れる。再び首筋目掛けて返しの動きで長剣の方向を同じ所へ、一気に逆方向から仕掛ける。しかし、ウィルフレッドも簡単に防御が貫かれないとはいえ、簡単に相手の攻撃を許すつもりはない。逆手大剣を振るった瞬間が明確な隙であると一番理解している以上、空いている手が懐からセカンドアームを取り出す。

 ―――Raging Bull Model 500 Oliver Custom。

 ベースをそれとしてミッドチルダの技術を持って更に凶悪に改良され、そしてカスタムされた連射性度外視の超高威力のオートマグ。元々は地球という次元世界の一つで生まれた銃ではあったが、近年の"エースオブエース"ブームにより目をつけた次元犯罪者の"オリバー"が生み出した問題作。あまりの威力に持つ腕が耐えられないと言う明らかに設計思想からして狂っており、設計者本人が試し撃ちで腕を骨折した化け物。もちろん質量兵器であり、所持する事自体が違法であるはずのものをウィルフレッドは何でもないかのように所持し、

 そしてその引き金を左片手で長剣使いの頭へ目掛けて撃つ。

 轟音と凄まじい反動がオートマグ、レイジング・ブルから発せられる、そして命中すれば致死量の破壊を与える弾丸が吐き出される。ウィルフレッドの強靭な肉体はその反動に一切堪える様子も揺らぐ様子も見せない。化け物を片手で完全に押さえ込んでいた。距離からして必中間違いなしの射撃。頭部へと目掛け発せられた凶弾を指揮官の男は―――斬った。

 銃が向けられた瞬間に反応を示した男は後ろへステップを踏み出しながら体を回転させ、首へと放とうとしていた剣を円の動きで戻し、その引き戻す斬撃で弾丸を斬り捨てた。

「ヒュゥ、やるねぇ」

 あくまでも上から目線で、まるでサーカスの曲芸に対する評価をウィルフレッドは与えていた。高速の弾丸を斬鉄すると言う偉業に対しての感想はそれだけ、たったそれだけ言葉を零すと逆手大剣の動きを筋力で止め、片足で長剣使いを蹴りつける。素早い攻撃に対し既に攻撃範囲にあった長剣を操り、刃の部分を靴底に当て、そのまま押し込もうとするが―――靴に刃は食い込まない。

 靴の裏、ゴムが裂けて見えるその裏は金属の光が見える。

「あーらよっとぉ!」

 足を捻りつつ得物を床に突き刺し、そのまま体全体を回転させるように長剣を絡め、それを扉とは逆方向へと投げ捨てる。完全に無手となり、何も持たなくなった指揮官へと向けて再びレイジング・ブルを向け―――ウィルフレッドの体が吹き飛ばされる。

 その衝撃の元は指揮官の男ではなく、廊下の出口側で得物を構えている黒尽くめの襲撃者達だった。隊列を組み、吹き飛ばされるウィルフレッドの視線の先に装備されている武器は一撃の威力と精密性に長けるライフル。それが数挺全てウィルフレッドへと向けて構えられ、発射されたのだ。

「流石に今のはヒヤッとしたぜ」

 吹き飛ばされながらも空中で体勢を立て直し、扉の前で着地したウィルフレッドの体に傷は見えない。同時に飛んで行った長剣を掴んだ指揮官の男も武器を回収したところから構えなおす。ウィルフレッドは得物を床に突き刺すと、それに寄りかかる。

「お前ら、ウチんとこの騎士かなんかだな?」

 唐突に告げたウィルフレッドの声に対するリアクションは何もない。おそらくこういう事態に対する対処法も心得ているのだろう。だがそれを無視するように赤毛の騎士はどうするか、と呟き頭を掻く。

『んー、おい、クゥ。お前の方はどうなんだよ』

『すまん、予想以上に粘られている。思いの他連携が取れていてやり辛い。本当にデバイスを使っては駄目なのか?』

『後で死ぬ目を見たいのであればどーぞ』

『むぅ、それは困る』

『正体は大体確信できたし、適当に時間稼ぎをしてろよ? 六課がガジェットと遊び終わったらこっちへ来る。もしくはホール内の混乱を収めたら六課のエース達がやって来る。合流したら俺達の仕事は終わりだ』

『解った。ウィル』

『あん?』

『無事に終わったら頭を撫でてくれ』

『変にフラグを立てるな!』

 銃声と共に頭を横に逸らす。

「悪い、少し話し込んじまった。いやぁ、モテる男は辛いねぇ……あぁ、君達非モテには辛い話か。いやぁ悪ぃ悪ぃ。とか言ってるけど全く悪いとは思ってないんだがな」

 また銃弾が飛んでくるがそれを逆手大剣で防ぐ。

「おぉ、怖い怖い……で、お前ら"急進派"だな?」

 返答の変わりに数十発の弾丸が飛んでくる。それらを全て逆手大剣を盾にしつつ、笑い声を上げる。

「やっぱアレか、ユーノの頭が欲しいって所か? ま、今回出品されてるロストロギアを確認したが正直どれもこれも微妙だよなあ。それよりは研究に使えそうな人材拉致って洗脳して働かせたいよな。おい、どうなんだよそこらへん。ビル爆破したりしない辺り大体そんな所だって思ってんだけど。つか爆破したら確実にロストロギア暴走するよな。ウィルちゃんったらオチャメね!」

 笑いながらふざけた様子を見せるウィルフレッドは大剣を大きく振るい、弾丸の雨を弾くと大きく身を晒す。

「来いよ、六課がガジェットと遊び終わるまで少し遊んでやるよ。こと防御とか防衛とかは得意分野なんだよ。神殿騎士団第二位"至天の覇蛇"ウィルフレッド・カーストだ。ちぃとばっかし制限かかってて色々やり辛いが、存分に遊んでやるぜ」

 逆手大剣を構えなおすのと同時に、長剣を構えた指揮官の男が銃撃の援護と共に前に踏み出す。
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| 不良騎士道 | 11:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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