陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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プロローグ ―――サン・イン・ザ・スカイ

推奨BGM:Burlesque


「兄さん、機嫌がよさそうだね」

「お、解るか?」

 機嫌がよさそうに鼻歌を歌いながら持ちを並んで歩く兄の姿は変わらず、若い。いや、若いのではなく少々女顔というか、本人に言えば確実に頭を叩かれるので言わないけどアレだ。女装しても違和感のなさそうな顔だ。その為昔から歳を取ってないんじゃないかなぁ、と悩まされる事もあったがそんな事はない。兄だって人間だ、歳ぐらい取る。


「それは真実かね?」



 だけどこの顔で結構筋肉ついてたりするので兄は油断できない。それもまあ、日ごろの行いというか、色々やんちゃやっている結果こうなってしまったというか、何時からだろうか、こんな兄になってしまったのか。両親が言うには子供の頃は本当に大人しく、為がかからないいい子だったらしい。それが今となっては率先して暴れ回る不良だ。いや、それも飽きたのか落ち着きつつもあるが、それでも破天荒度では中々変わりはしない。

 何時か振り回されて死ぬんじゃないかと不安になるが、横で幸せそうな表情を浮かべて歩く兄の姿を見ているとまあ、それもどうでもいいと思えてしまうのは自分がブラコンの部類に入るからだろうか。いや、ブラコンではないはずだ。そう、ちょっと仲がいい兄弟それだけだ。それだけでいい。人生がドラマチックでなくとも、家族と友人さえいればそれだけで人生は十分で、それ以上求める必要はない。

「いやぁ、悪いな正樹。お前も休日には司狼の犠牲になる系の遊びがあっただろう」

「ねえ、なんで犠牲になる事が前提なの」

「なんだかんだ言ってお前断らないから良い様に使われるんだよ。本当に嫌なら俺からあの馬鹿に口出すぜ?」

 そう言われてしまうと口を噤んでしまう。楽しいかそうでないか、と問われれば確実に楽しいと答えてしまう自分がいる。というよりも同年代の友達たちと兄の友、司狼や香純、玲愛等と比べるとどうしても刺激が足りないというか―――確実に毒されている自分がいる事に気づく。まあ、これもなあなあで付き合い続けてきた弊害というか、そんな感じの事だ。

 平和で、


「実に無意味で」


 満たされていた、そんな日常は間違えなく、かけがえのない宝だ。






「ん……」

 そうやって夢から覚める。目覚めとは常に唐突なもので、目を閉じていても”あ、起きた”と何故か気づくものだ。目を開けなくて視界が黒く染まっていようとも、寝起きとは理解できる。まあ、つまり今はそんな状況だ。夢から覚めたら起きていた。意識が眠気であいまいな状態。暖かい毛布の下で体はもっと熱を貯め込もうと小さく、体を寄せようとして―――動きを止める。

「……違うし、な」

 ここはもう自分の家ではなく、幻想の世界、別の所有者の家なのだ。カイン・チェリウェルだったか、自分の知っている櫻井戒に良く似た男の店の二階、その一室に泊めさせてもらっている。ここには従業員として住み込みではたらk背てもらっている。昨夜、偶然出会って転がり込んできた自分に一室をあたえ、そして今に至る。

「よし」

 だいぶ脳が覚醒してきた。まっすぐ考えられる。少なくとも昨夜の出来事を思い出せる程度には目が覚めてきた。何時までもベッドの中でぐだぐだするわけにもいかない。毛布を剥がして体をベッドから降ろす。寝間着なんて上等なものはもちろんない。この世界へとやってくるとき、というよりも送り込まれた時に来ていた初期服装、それが材質的ン一番柔らかく、それを着て寝ている。……と言っても歩いている間もこの上にマントやら軽い防具を装備して、それだけで終わりなのだが。

 ベッドから降りて軽く体を伸ばす。窓の外を見れば空は既に明るい。昨日の夜ふり続いていた雨も完全に上がったのか空を曇らす原因は見えない。太陽が窓から差し込み、暖かい陽気が降り注いでいる。体を動かして陽だまりの中へと入ってみればぽかぽかと日光が体を温めてくれる。これが春の陽気ってやつなのだろうか、今一季節感を掴めてはいないが、おそらく今は春だ。おそらく。”外”の季節とは長さとかタイミングが違うらしく、少々戸惑う。まあ、ここに来てからまだ一週間と少し程度だ。もう少し過ごしていれば慣れるかもしれない。

 まあ、それは日常生活に任せるとしよう。朝起きたのならまずは顔を洗うべきだ。常識人の嗜みであり、生活に保つことは文明人の義務だ。

 昨夜教えてもらった洗面所の場所を思い出しながら歩き出そうとしたところで、

 カァ―――ンと、金属の響く音が聞こえた。

 それは体の芯を貫くような快音であり、一階部分から聞こえてくる音でもあった。その音はALOでもよく聞いたことのある鍛冶の音だ。熱した金属をハンマーなどで叩いて形を整える時、少し鈍い金属の音。懐かしさを感じるのと同時に戒、ではなくカインが既に起きている事を察す。空が明るい事を考慮して、もしかして長くね過ぎてしまったのではないかと思い、

 焦って顔を洗いに行く。





 顔を洗って歯をみがき、そうやって軽く身嗜みを整えてから一階へと降りると、体の芯へと響く金属の音はさらに強くなっていた。導かれるように音源へと向かって歩みを進めると、直ぐにその主が見えた。一階の奥の部屋は鍛冶屋の工房となっており、鉄を叩きつけるカインの姿があった。黙って金属を睨み、そしてそれを叩きつける姿は真剣で、他者の入り込む余地がない。その姿を邪魔するわけにもいかず、部屋に音を立てずに入ったところで、静かに近くの壁に寄り添ってその姿を見る。慣れた手つきで金属と向かい合うカイン。金属を叩く度に金属は形を変え、少しずつだが刃としての形が組み上がって行く。既にカインの中では完成された姿が映っているのだろうか、力の入れ方、角度、かくにんするようなうごきがそんざいせず、ひたすら完成を目指して、いや、完成を終わらせるために腕を動かしている事が解る。カインの中では既に完成形は見えているのであり、あとはそれを現実にするだけだ。

 鉄を冷やし、熱し、叩く姿を眺めてからしばらくが立った。どれぐらいの時間が経過したかは解らないが、やがてカインは鉄を叩く動きを止める。そして、出来上がってきた刃を持ち上げる。美しい波紋が見える両刃の剣だ。種別で言えばロングソードの部類で、ゲーム的に言えば初心者が最初に手にする様な剣だ。柄も唾もない、抜身の刃。それを満足そうな顔で持ち上げているのを見ていると、

「……お兄ちゃん」

 何時の間にか部屋の入り口に誰かが立っていた。視線をそちらの方へと向けると齢五歳、六歳程の少女が寝間着姿で立っていた。眠そうにはしてないものの、一度此方を見てから少し遠慮する様な様子を見せている。この子昨夜カインの言っていた妹の存在だろう。幼い少女の顔を見れば―――やはり似ている。櫻井螢に。一緒に戦ってくれた女性の姿に。まだ面影だけだが、似ているという事実には変わりはない。そして彼女を見る事で再び、此処には何かあるのかもしれない。そんな予感を抱かせるのだった。

「ん? ケイにマサキ君、もしかして待たせちゃったかな? あははは……」

 ケイ、と名前はそのままなのか等と軽く感じ入りつつも、軽く頭を下げる。

「えーと、起きたのはいいんですけどなんかゆっくり眠っちゃったようで……」

「いやいや、僕が起きるのが早いだけだよ。基本的に日の出前に起きているし。もしかして音を聞いて心配させちゃったかな?」

「あー……はい……」

 少し照れて頭の後ろを掻く。その姿を見たカインが声をかけてくれればいいのに、と言ってから視線が螢、ケイへと向けられる。

「今更かもしれないけど紹介するね、彼女が妹のケイ。まだ幼年学校へと入ったばかりで、少し人見知りするけど優しくしてあげてほしいんだ」

 名前を呼ばれたケイが此方の方を向いて、視線を受けている事に気づくとビクリ、とするが、ゆっくりと頭を縦にコクリとうごかし、

「よ……よろしく……」

 消え入りそうな声でそう言うと、ケイはそのまま走って部屋から出てゆく。何か嫌われそうな要素でもあるのかと思い己の身を見るが、

「あぁ、ケイは恥ずかしがり屋だから気にしないでほしいんだ。一週間も一緒にいれば慣れると思うから、それまでは少し逃げ回ってるかもしれないけど……」

「あ、はい。此方こそ置いてもらってるので文句は言えませんし、子供のやる事に腹を立てては大人とは言えませんから」

「そう言ってくれると助かるよ」

 そう言って小さく笑うと、カインが出来上がった刃を近くの壁に立てかける。作業着からエプロンを外し、手袋も取る。髪を纏めていたバンダナを取り、武装を外した様に感じられウ状態に入ったカインは体を動かす。

「完成は午後かなぁ」

 その言葉に首をかしげる。

「アレで完成じゃないんですか?」

 いいや、とカインが首を横に振る。

「残念な話だけどこの後に刃を潰さなきゃいけないんだ。これは学園の方に納品するものだからね、本当に切れる様な剣は訓練じゃ使えないから仕方がないんだけどね。本当に切れるものは貴族か、騎士か、特別な日のプレゼントとか……本当にそれ位だよ。僕も別段貴族とのつながりを持っているわけじゃないし、基本的には訓練用の剣を納品するだけだよ」

 それは何とも……勿体ない話というか、素人目に見てもカインの作り出した剣は中々のシロモノだと解る。ここまでの技術を得るのに相当の修練を重ねたに違いない。その剣を台無しにするようなことは事実、勿体なく感じられる。

「うん、そんな風に見てもらえると嬉しいよ。っと、いいかなマサキ君?」

「はい?」

「昨日の事だけど―――」

「あ、はい。何時でも大丈夫です」

「催促するようでごめんね」

「いえいえ」

 カインが確認したのは剣の事だ。自分が今持っている唯一の武器、兄、キリト、そして自分へと渡ってきた黒い大太刀。≪羅刹≫と呼ばれるそれを昨日軽くカインへと見せた所、今までに見た事のない種類の武器だと軽く興奮し、それを後日もっと良く見てみたいと言われた。これぐらいで家賃が払えるのは安い話なので了承したが、大太刀を見た事がないと言う事は刀系の東洋武器はその概念がないのだろうか。まあ、ALOみたいに東陽テイストが中世ヨーロッパ世界に脈絡もなく混ざっていても困る話なのだが。

「マサキ君、君は料理は?」

「得意ってわけじゃないですけど嗜み程度ならできますよ」

 じゃあ、と言いながらカインが近づいてくる。部屋を出よう、という意味合いは通じるので一足先に部屋から出てカインを待つ。

「手伝ってくれるかな? ウチにいる間は家事とかもいろいろ手伝ってもらうつもりだし、まずはお手並み拝見と行こうかな」

「お手柔らかにお願いします。基本的な技能なら持ってますから苦労はかけませんよ」

「うん、期待するね」

 朝日を浴びながらセントリアでの新しい生活、その一日目が幕を開ける。





試験的にですがcenterタグを使い始めました。今までは横に入るスペースを数えて真ん中に来るように調整してましたが、CSSの勉強をしているおかげでこんな便利なものがあるとは (

 そんなわけで前よりは綺麗に中央に来るようになりました。

 さて、戒、螢ときたら……。
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| 断頭の剣鬼 | 14:51 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

来るか、ヴァルキュリア+(0゚・∀・) + ワクテカ +

| | 2013/03/17 18:13 | URL |

櫻井兄妹とくれば……嫁の出番だけど、果たしてこの世界で嫁になってるのか、ヒモになってるのは――ヤバい、今からktjt

シーンが朝食前って事もあってドラマCDの「ご飯は―中略―」のシーンが浮かぶww

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2013/03/19 10:24 | URL | ≫ EDIT

天魔・六条

シュピーネさんですよねw
太極するシュピーネさんを見たいです、先生。

| 形成(笑) | 2013/03/24 09:43 | URL |















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