陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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プロローグ ―――スタンド・アローン

推奨BGM:Nacht der langen Messer


 ゆっくりとだが確実に一歩進んでいる。視線を前へと向ければ”央都セントリア”の姿が視界に入る。横にキリトの姿もユージオの姿もない。今は、自分一人だけがここにいる。その事実に少なからず寂しさを感じている事に軽く苦笑する。少しだけ、寂しがり屋属性でも自分にはあるのかもしれない。SAO事件で兄は眠ったままになるわ、ALOでは超人大戦に巻き込まれるわ、GGOでは知り合いが人間やめたと思ったら数か月後にはギリ人間に戻るとか。

 もう引きこもりになってもいいような人生を送っている様な気がする。

 ともあれ、キリトもユージオもいない。二人はついてこれそうにないからおいてきた、というわけではない。

「アレが央都セントリアかぁ……」


 セントリアが見える距離までやってくると雲を突く高さの建造物、セントラルカセドラルの姿がどうしても目に映る。キリトの話によればあそこにアリスという名の少女は連れていかれた話だ。現実的に言えばもう生きているはずはないのだが、態々それを口に出して空気を悪くするのも嫌だし、何より信じることは大切だと思っている。

 だから俺は一人だ。

 キリトはユージオと共に剣士になる事を選んだ。

 ルーリッドをでて俺達が向かったのはザッカリア―――ルーリッドの次の街だ。そしてザッカリアは”街”と呼べるレベルにはルーリッド以上に発展した場所であり、セントリアとも結構な交流があった場所である。ザッカリアの剣術大会にキリトとユージオは出場する。そしてそこであの二人は優勝か二位の座を勝ち取らなければならない。そこで一位か二位の地位を手に入れれば、キリトとユージオはザッカリアで短い期間を経てから央都セントリアの剣士学校へと入学する事を許される。それは何十人の夢を踏みにじる進むという行為だが、まあ、

 正直この世界の住人の夢を踏みにじったところでなぁ、という考えは出来つつある。これでは連中と一緒じゃないのか? と少しだけ苦悶する時もあるが、そこらへんは完全にスルーする。不思議な感覚だが、ルーリッドの村で見たあの自己中心的で欲望に正直な村人たちを心の底では”人間”として認めない自分がいる。人間という種族として見ていない、というのが正しいのかもしれない。

「この場合は人種差別? になるのかなぁ?」

 まあ、自分自身に語りかけても答えが返ってくるわけではない。これで二重人格か、自分の体に誰かが住んでいるのであればなら答えが返ってくるのかもしれないが、そもそもそんな愉快な設定を適応するつもりはさらさらない。何なんだ二重人格とか同居人って。突飛すぎて発想が頭悪い。少し疲れているのだろうか。

「ま、気楽にやるか」

 そう、キリトとユージオが今はいないのだ。彼らはザッカリアの剣術大会が開催されるまで―――約半年。その間はザッカリアの近くの農家で働きながら過ごしている。今すぐ飛び出さないでもう少しルーリッドに残る選択肢はなかったのだろうかと悩む部分もあるが、まあ、アレ以上は残るのは心情的にも厳しいよな、等と自分自身に対して言い訳し、

 セントリアへとだいぶ近づいてきた。

 街道での人の出入りの動きもかなり多くなってきている。ルーリッドにいた頃は全く人を見なかったが、流石にここまで来るとザッカリアや近隣の街へと向かう行商人で交通は増えている。だが逆に言えばそれだけだ。普通に旅をする様な人間の姿は見えない。そもそも、旅人なんて天職は存在するのだろうか。ユージオが言うにはごく少数だが存在するとは聞かされていたが―――。

「っと」

 そんなこんなで色々と考えている内にセントリアの門まで到着する。城壁に囲まれたセントリアの街に入るには門を通る事しかなく、”まるで侵略から身を守る事を想定している”ようである事を感じさせる。闇の国だったか、彼らが未だここまで進攻した事はないが、それでも警戒を怠らないというやつなのだろう。

 役に立つ日来るのかこれ……?

 そもそもからしてシステム的に人間同士では殺し合えないっぽいし。

 闇の国は何やら専守防衛という感じがしたし。

「ま、今はどうでもいい話か」

 セントリアの門に到着すると中に入ろうとする商人たちで短い列が出来上がっていた。その最後尾に並び、一番前の様子を疑う。そこでは門番らしき男がセントリアの中に入ろうとする商人たちをちゃんと確認していた。なんというか、しっかり仕事している。ルーリッドの光景を見ていたせいかこんな風に”笑顔で仕事に励む姿”は非常に違和感がある。ザッカリアの農家にキリトとユージオを置いてきたときもそうだ。農家の人はまるで普通の人間の様に笑って、キリトとユージオを受け入れた。もしかして、ルーリッドだけが特殊なのかもしれない。そう思ったところで、

「君は?」

「あ、はい」

 自分の順番が回ってきた。ルーリッドの村長に貰った身分証明書を取り出し、それを門番に渡す。

「旅人です。いろんな場所を回って見たりしています」

 背中には大きな布の堤、体はクロークですっぽいりおおわれている黒髪の青年。ものすごくあやしいものがあるが、

「旅人の天職とは中々珍しいものだな……問題なし、通っていいぞ」

「ありがとうございます」

 何の疑いもなくスルーされた。これで”天職”という盾が存在する限り、この世界の人間はそれを疑う事は出来ない事が解った。確実にシステムによる制約、制限、思考。だからこそアリスという少女が気になりだす。自らの意志でシステムを乗り越えるその精神力。

 一度、会ってみたい。

 そんな思いを抱いたからこそこんな行動に出ている。ともあれ、セントリアの門をくぐり、街の中に入る。手荷物は少なく、ユージオに分けて貰ったお金が少々、そして二日分の食糧が手持ちにはある。もとよりザッカリアに戻る事は考えていないので手荷物はこれで十分だ。

 まずは寝床の確保だ。

 商人向けに宿はいくつかある、とユージオは教えてくれた。だから適当にセントリアを歩き回ればたぶんだが宿は簡単に見つかるだろう。だが商人向け、という事はそれなりに裕福な存在をターゲットしたという事でもある。となると、そういう宿で止まる事は出来ない。旅人という存在が珍しい……いや、必要されないこの世界ではネットゲームではお約束の宿屋はほぼ存在しない。

 自分には厳しい話だ。

 となると、自然に狙う事は一つ。居候だ。もしくは住み込みアルバイト。結局のところキリトとユージオもそれが選択肢だった。農家に泊まらせてもらう代わりに労働する、という内容だった。働き次第であれば僅かながら給金も出す、という話だったし。それを思い出すとやはり、改めてルーリッドが特殊だったのか? と疑うところが出てくる。今の所ルーリッドの村人程兎関心で自己中心的な人間は見ていない。

「っと、考え込んじゃったな」

 足を動かし、セントリアを見回しながら観察する。

 セントリアはザッカリアよりもはるかに栄えている街だった。イメージでいえばアルンに近いものがあるかもしれない―――違いはセントリアが平坦な街である事なのだろうが。

 街の中は清潔に保たれ、かなり活気が見えている。通りを行きかう人々の顔には笑顔があるし、商売に精を出す人間の姿が多く見える。そこで唯一自分が感じる違和感はやはり、冒険者風の姿の人間だろう。周りにいるのはどれも商人や、私服姿の住人の姿で、ALOで見る様な武器を装備した人間の姿が一人も見当たらない。中世風の世界観であれば常に武器を持った冒険者や騎士をどこかで見かけるものだが、セントリアを歩いていてその姿を目撃する事は全くと言っていいほどない。

 やはり、区分けされているのだろうか。

 武器を握る存在が騎士や剣士に限定、という形で。

「まあ、慣れている光景なだけに少しだけ寂しい気もするなぁ……」

 ALO歴、というよりネトゲ歴の長い人間からしたら剣などのない中世の街並みに違和感を覚えるが……まあ、此方の方が平和的でいいのだろうと納得はしておく。個人の趣味は趣味で、実用性等とはまた別の話だ。

 と、

 そこで面白いものを見かける。

「制服と剣、か」

 制服姿に剣を装備した若い男女が通りを歩くのを見かける。おそらくアレがキリトとユージオが目指している剣士学校だったか、そこの生徒なのだろう。その制服を見て、そしてキリトとユージオが同じ服にそでを通す所を想像する。

「ぷ、くっ……」

 やばい。似合わない。むしろ女物の服の方がキリトには合うんじゃないか。

「言ったら斬りかかりそうだから止めておこう」

 まあ、キリト達に会うのは最低でも半年後の話だ。それまでは俺は俺でやるべき事を果たすしかあるまい。

 そう、俺は明確な目標があって分かれた。

 ―――情報。

 情報とは活動や行動の指針を得る上では最も大事なファクターである。それがないと判断を下す事は難しい。故に、誰か集める必要がある。

 この場合は、俺だ。

 探すのはもちろんアリスの情報、そしてこの世界の”仕組み”だ。

「……まずは拠点だよな」

 活動の拠点はどこへ行っても必要だ。募集などを探しながら改めてセントリアを歩く。人が多く、店の数も多い。となれば、それなりに人の需要も高くなるはずだ。適当に探せばあるかだろう。

 そう思い、

 注意深く歩き出す。


                           ◆


 結果で言えば甘く見過ぎてた。

 募集なんてなかった。

 そりゃそうだ。良く考えればこの世界は天職でやる事が決定しているのだ。アルバイトなんてものはこの世界には存在しない。手伝いはあっても、誰かを店の経営のために雇い、そして維持するシステムは存在しない。故にチェーン店や大規模な商会は存在しない。

 少し考えればすぐにわかる事なのに、どうも思考が別の所へ流れてしまったようだった。

「はぁ……なにやってんだろ」

 手持ちの金はそう多くはない。野宿をしようとすればできるだろうが、街の中ではやりたくないし、街の外でもやりたくはない。ALOみたいにモンスターがポップするわけではないが、それでも野宿は嫌だ。

 空を見上げれば既に日は沈み始めている。蒼かった空ももう赤とオレンジ、そして黒の闇が混ざったような色を見せ始めている。このまま何も見つからなければ今日の分としては少々高いが宿に泊まる必要が出てくる。その場合ベッドの気持ちは良さそうだが、俺が激しく鬱になりそうだ。主に自己嫌悪で。

「いや、早めに部屋を確保した方がいいのか……?」

 早めに部屋を確保してから探した方がいいのか?

「うーん……ま、先に部屋を確保した方がいいか」

 部屋が埋まるという事はありえなさそうだが、それでも早めに部屋を確保していた方がいいだろう。

「あぁ、そうしよう」

 と、そこで一旦無言になって足を止める。

「……」

 やはりここで茶々を入れる人物がいないと案外寂しいものdあなぁ、としみじみ実感する。思い出せば兄がいないときは司狼が、そしてその後はキリトとかと関わっていたわけで、それなりに友人には恵まれていた。完全に一人になって活動する回数はあんまりなかったかも仕入れない。

「今まで恵まれていたのかもしれない」

 軽く溜息を吐きながら暗くなってきたセントリアを歩く。少々焦りのせいか、足は速くなっている。

 やはり俺もまだまだ未熟だなぁ、と思いつつ、

 宿を探す為に角を曲がろうとしたところで非常に典型的なパターンながら、曲ってきた人と衝突してしまった。軽くよろめきながら体勢を整え直し、即座に声を出す。

「す、すみま―――」

 そこで声は止まり、代わりに漏れたのは驚きの声だった。

 何故―――。

「―――大丈夫かい?」

 そう言ってぶつかった人物。その人物を俺は知っていて、彼は―――。




 アリシゼーション第2幕開幕。
 キリトとユージオは原作通りにザッカリアなのでソッチやっててもつまらないので空白の半年間を飛ばし飛ばしで埋めながらアリシ2巻分を進めようかと。
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| 断頭の剣鬼 | 12:56 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

弟くんは一体誰に出会ったんだ?

続きが気になるなぁ

| マ王 | 2013/03/03 19:51 | URL | ≫ EDIT

おいおい、誰とあったか超気になるぜ(>_<)

| ガリバー | 2013/03/06 07:17 | URL |

更新お疲れさまです。
角を曲がった先で出会ったのは・・・?
次を期待してまってます。

| 断章の接合者 | 2013/03/07 23:36 | URL | ≫ EDIT















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